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第十一話 姉の条件
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しおりを挟む夜が更けて人びとが部屋に戻り、会場に人が疎らになった頃、グレイス婦人は困っていた。
会場の入り口にある噴水の傍で、パラレウス皇子が一人ポツンとベンチに座りぼんやり星を眺めている。
さっきから周辺の者が話しかけてもまともな返答がない。
気が付いたらこのような抜け殻状態になっていた。
「…‥どうしたのかしら?」
周囲の者達も彼の変様に気が付いて皆遠巻きに様子を眺め心配そうに固唾を飲む。
まさか働かせすぎたのだろうか?
婦人も心配したがどうしていいか分からない。
そして心配がもう一つ。
「ふっ、おほほほほほほほ!さあ次の挑戦者は誰っ?私と張り合える者は居て?」
「……っ、ひ、姫様っ、もう勘弁、許して下さい…・」
「ううううっ、く、苦しい…なぜ?ううっ、なぜっ…?」
「なあに?もう終わり?張り合いないわね!それじゃ私から指名させて貰うわよ!そこの貴方、勝負なさい!」
「へっ、あああああああの、そんな…・お許しを…」
「ダメ!許さないわ!」
金髪を可愛らしく纏め上げてドレスアップしたお人形のようなお姫様は何故か異常にテンションが高く、今は大食い大飲み勝負を始めている。
可愛らしい姫の挑戦に初めは微笑ましく笑い参加していた殿方達は今はもう蒼白となって白旗を上げ続けて許しを請うている。
「まあだらしない事!それとも私とのデートはそんなに魅力がないかしら?」
「うっ…・・それは……」
魅力はあった。だが勝負についていくものは最早居なかった。
何なのだろうあの姫は?昔はあのような奇矯な姫ではなかったのだが?
グレイス婦人は不審に思う。
ミザリー姫のこのような行動は初めての事だ。このパーティに何かあるのだろうか?
全く意味不能である。
しかしそれは何もミザリー姫一人に限ったことではない。
未だに特定の恋人すら作らない三番目の姫も、婚約者が居ながら未だに結婚の兆しもない一番目の姫も、何故か相手捜しに積極的でない皇子も全く難解だった。
レナン夫妻の夢は皇子達の結婚、さらに可愛い子供を見る事。
しかしその夢は近そうでとても遠いのではないかと、不可思議な王家の子供達を見ているとそう思わずには居れなかった。
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