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第4話
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俺は五万円と身分証明書を死神に渡した。死神は俺の身分証明書の中から、氏名と住所のみ書き写すと、こちらに返却してきた。
「……流出させないで下さいよ。もし変な情報が漏れたら、この店のこと警察に言いますからね」
俺が忠告すると、笑いながら死神が言った。
「しませんよ。逆に、もしこの店の話が警察に漏れていたら、あなたのことも話しちゃいますからね」
「分かりました」
そう言って、俺は死神と笑い合った。非現実的な空間というものは人と人の距離を縮めるものらしい。
俺はスーツの上着を死神に預け、檻の中へと入っていった。
「それでは、息の根が止まるまで、この檻は締めさせてもらいます」
「え?」
驚く俺に、死神は説明してくれた。
「麻袋の中には人間が入っていますが、胸には心拍を測る器具がついています。なので、心臓が止まったかどうかは、私の手元の機械で確認できます。今回の営みは息の根を止めてこその話です。中途半端だと、お客様の新しい姿は見られない。……お客様は人を殺すことを選びました。檻に閉じ込めるのは、その決意を揺るぎないものにするためです。修了後、必ず外に出すことをお約束します」
死神はこれまでの馴れ馴れしい態度からは考えられないほどの真摯な態度で言った。
「……分かりました」
「それに、もしお客様をここに閉じ込めたら、いずれは警察にばれてしまう可能性が高いです。しょせん、我々は街の一画、雑居ビルの中でやっているしがない店に過ぎませんので。我々も捕まりたくはありませんし、お客様を閉じ込めるメリットが無いんですよ」
「なるほど」
「それでは頑張ってください。私はここにいますので、何かあれば遠慮なく」
そう言って、死神は檻を閉めた。
檻の中には俺と麻袋だけが取り残された。もっとも、近くに死神はいるのだが、檻の向こうとこちらの差は思った以上に大きい。
檻の中、壁際には様々な凶器があった。定番のナイフや包丁に、日本刀や青竜刀。ハンマーのような鈍器もある。だが、あるものだけが無かった。
「あれ? 銃は無いんですか?」
「ありませんよ。今回は『人を殺す』コースであって、『人を撃つ』コースではありませんので」
「それって何か違いあるんですか?」
「ありますよ」
俺は死神の二の句を待ったが、それ以上、死神は何も言わなかったので、仕方なく再び凶器の方に向き合った。
「あ、一応、置いてはいますが、日本刀はおすすめしません。素人が使うと、指を持って行かれる可能性がありますからね。当店では、お客様の怪我や服の汚れについては保証できませんよー!」
なるほど、日本刀は駄目なのか。だが、指が持って行かれるという意味では刃物全般アウトではなかろうか。
そう思い、俺は、まずハンマーを手に取った。
「お、良いチョイスですねー」
先ほど見られた態度はどこに行ったのか、死神は俺の行動にいちいちはしゃいでいる。
ハンマーは思った以上に重かった。上に振り上げるだけでも結構な力を使いそうだ。
俺はハンマーを引きずりながら、麻袋のところに行った。そして、麻袋と対峙した時、不意に「この中に人がいる」という言葉が浮かんできた。それが俺の決意を鈍らせる。
「あの……ちょっといいですか?」
「なんでしょう?」
「この中には本当に人がいるんですか? 見てもいいですか?」
「あー、それは駄目です」
「えっ、それじゃあ、中に人がいるとは限らないじゃないですか?」
「お客様から見たら、そうかもしれませんね」
なんじゃそりゃ。俺が呆れたように死神を見ていたら、死神が続けて言った。
「でも、この中に人間がいるなんてこと、今のお客様にとって、そんなに重要でしょうか?」
「と言うと?」
「すでにお客様は人を殺すことを選んだんです。仮に、中を確認して、もし人が入っていたら、お客様は助けるつもりですか? ……そんな人は、人を殺すために、見知らぬ店に金や個人情報を提供しないし、そもそもこういう店には来ませんよ」
俺は何も言えなかった。死神が続ける。
「それに、多分、もし中に人がいなかったら、お客様はがっかりすると思いますよ。そんな人間が良心の呵責に苦しんでどうするんですか? 覚悟を決めましょう」
図星だった。俺は口を閉じると、麻袋に向き合った。
「……もうひとついいですか。この中には、どんな人が入っているんですか?」
「それも秘密です。誰が入っているかは重要ではありません。大切なのは、お客様自身が殻を破ることです」
「分かりました」
俺は一度だけ大きく深呼吸をした。
そして、力の限りハンマーを振り上げると、勢いよく麻袋に振り下ろした。
何か、大きな肉の塊に当たったかのような感触がハンマー越しに伝わる。同時に、今までピクリとも動かなかった麻袋がバタバタと動き出す。心なしか、うめき声のような音も聞こえてきた。
「ひるまないで! 殻を破るんです! 真面目さを打ち破って!!!」
死神の声援が聞こえる。俺は汗をぬぐうと、力の限り、何度もハンマーを打ち付けた。たまに外して床に当たると、じんじんとした感触が腕を襲う。その度に。心の奥底に広がる安堵の感情は俺の最後の良心だろうか。
もう何度打ち付けただろう。ワイシャツには大きな汗染みができている。心なしか、麻袋は最初の頃よりも小さくなったように見える。
「もう死にましたか?」
俺が死神に尋ねると、死神は首を振った。
「まだ大怪我レベルです。死まではまだまだ」
「そんな!」
俺は腕時計を確認した。すでに、この店に来てから三十分が経っている。これ以上は明日の出勤に響く。
「クソっ!」
俺は金属バットを持ってくると、今度は、それで麻袋を叩きのめす。ハンマーよりも軽いが、その分、扱いやすい。一発も外すことなく、俺は麻袋をひたすら叩く。
気づけばうめき声は聞こえなくなっていた。麻袋が動くこともない。それでも、俺は一心に叩く。その度に、今までの自分が、価値観が、「真面目」が――崩れていくように感じた。
すでに麻袋を叩くことに対して、抵抗は無くなっていた。それよりも、思った以上に自分が運動不足になっていた
という事実の方が辛かった。息が切れ、腕が持ち上がらなくなるほど叩きつけても、まだ中の人間は死なないらしい。
時間と労力だけが浪費されていく。
なかなか死なない苛立ちと早く終わらせなければという焦りが、俺を大胆な行動に移した。
「お客様!?」
死神が驚いたような声を上げる。俺が日本刀を手に取ったからだ。
「扱いにはホント気をつけて下さいよ!」
死神が叫ぶ。俺は死神の方を見てうなずくと、ゆっくりと日本刀を鞘から引き抜いた。初めて見る実物の日本刀は、薄明かりに照らされた刃が何とも美しかった。
俺は刃に触れないよう気をつけながら刃先を麻袋に向けた。そして、一気に突き刺した。
次の瞬間、俺は我に返った。
刺した部分から、赤い液体が吹き出したのだ。ドロリという表現が的確だろうか。その赤い色を見た瞬間、俺は手が止まった。
間違いない。これは血だ!
どうやら、俺は麻痺していたらしい。ただの麻袋に攻撃をしていたと思い込んでいたらしい。だが、この瞬間、分かった。この中には、やはり人間がいる。つまり、俺は人間を刺したということだ。俺が……殺した? 本当に? もう俺は犯罪者――。
かつてないほどの不安と焦燥が俺を襲った。手は震え、視界は霞み始める。喉は以上に渇き、心臓が高鳴っているのが自分で分かる。
「真面目さを乗り越えて! お客様!! 踏ん張り時ですよ!!!」
その時、店員の声が聞こえてきた。そうか。これらは全て、今までの俺の最後の抵抗だというわけだ。だが、ここでやめたら、今までと何も変わらない。
中途半端じゃだめだ。
俺は震える体を無理やり動かし、日本刀を引き抜いた。刺した個所から血が噴き出る。
俺はまた日本刀を刺した。そして引き抜いた。刺しては抜く、その動作を何度も無心で繰り返した。
やる度に、不思議と体は落ち着いて行った。一回刺し抜きする度に、手は震えがおさまり、視界は開けていく。しまいには、まるで自分の体の一部であるかのように、日本刀を扱っている自分がいた。
「お客様」
もう何度目か分からない。俺が日本刀を麻袋、いや麻袋だったものに刺した時、死神が言った。
「死にました」
俺は日本刀を抜くことなく柄から手を離すと、思わず、その場に座り込んだ。
殺した。
俺が人間を殺したのだ。
不安も恐怖もなかった。人を殺す、ということを成し遂げた俺に残っていたものは、意外なことに充実感だった。やり遂げたという充実感が、俺の心を暖かく満たしている。一時間ほど前にいた死にかけの自分はもういない。
檻が開かれる。俺は疲れた体を引きずって、檻の外へと出た。
「ひとつ良いこと教えましょうか?」
死神が悪戯っぽく言った。
「何ですか?」
「ほとんどの人が、最初に鈍器、最期に日本刀を使うんです。特に、日本刀については、扱いに気をつけるよう注意しているのに、まるで示し合わせたように。お客様もそうでしたね。なぜです?」
俺は答える代わりに、黙ってスーツの上着を受け取った。
店を出る間際、死神が聞いてきた。
「人を殺した感想は?」
死神の問いに俺は答えた。
「……最高です」
「おめでとうございます」
死神は、また微笑んだ。
この日、俺は汚れた人間になった。だが、少なくとも、この瞬間は、そんな汚れた自分がとても心地よかった。
ただ、帰宅後、家族から「何かあったの?」と聞かれたことは、やけに心に引っかかった。血も臭いもついていないはずなのに。
「……流出させないで下さいよ。もし変な情報が漏れたら、この店のこと警察に言いますからね」
俺が忠告すると、笑いながら死神が言った。
「しませんよ。逆に、もしこの店の話が警察に漏れていたら、あなたのことも話しちゃいますからね」
「分かりました」
そう言って、俺は死神と笑い合った。非現実的な空間というものは人と人の距離を縮めるものらしい。
俺はスーツの上着を死神に預け、檻の中へと入っていった。
「それでは、息の根が止まるまで、この檻は締めさせてもらいます」
「え?」
驚く俺に、死神は説明してくれた。
「麻袋の中には人間が入っていますが、胸には心拍を測る器具がついています。なので、心臓が止まったかどうかは、私の手元の機械で確認できます。今回の営みは息の根を止めてこその話です。中途半端だと、お客様の新しい姿は見られない。……お客様は人を殺すことを選びました。檻に閉じ込めるのは、その決意を揺るぎないものにするためです。修了後、必ず外に出すことをお約束します」
死神はこれまでの馴れ馴れしい態度からは考えられないほどの真摯な態度で言った。
「……分かりました」
「それに、もしお客様をここに閉じ込めたら、いずれは警察にばれてしまう可能性が高いです。しょせん、我々は街の一画、雑居ビルの中でやっているしがない店に過ぎませんので。我々も捕まりたくはありませんし、お客様を閉じ込めるメリットが無いんですよ」
「なるほど」
「それでは頑張ってください。私はここにいますので、何かあれば遠慮なく」
そう言って、死神は檻を閉めた。
檻の中には俺と麻袋だけが取り残された。もっとも、近くに死神はいるのだが、檻の向こうとこちらの差は思った以上に大きい。
檻の中、壁際には様々な凶器があった。定番のナイフや包丁に、日本刀や青竜刀。ハンマーのような鈍器もある。だが、あるものだけが無かった。
「あれ? 銃は無いんですか?」
「ありませんよ。今回は『人を殺す』コースであって、『人を撃つ』コースではありませんので」
「それって何か違いあるんですか?」
「ありますよ」
俺は死神の二の句を待ったが、それ以上、死神は何も言わなかったので、仕方なく再び凶器の方に向き合った。
「あ、一応、置いてはいますが、日本刀はおすすめしません。素人が使うと、指を持って行かれる可能性がありますからね。当店では、お客様の怪我や服の汚れについては保証できませんよー!」
なるほど、日本刀は駄目なのか。だが、指が持って行かれるという意味では刃物全般アウトではなかろうか。
そう思い、俺は、まずハンマーを手に取った。
「お、良いチョイスですねー」
先ほど見られた態度はどこに行ったのか、死神は俺の行動にいちいちはしゃいでいる。
ハンマーは思った以上に重かった。上に振り上げるだけでも結構な力を使いそうだ。
俺はハンマーを引きずりながら、麻袋のところに行った。そして、麻袋と対峙した時、不意に「この中に人がいる」という言葉が浮かんできた。それが俺の決意を鈍らせる。
「あの……ちょっといいですか?」
「なんでしょう?」
「この中には本当に人がいるんですか? 見てもいいですか?」
「あー、それは駄目です」
「えっ、それじゃあ、中に人がいるとは限らないじゃないですか?」
「お客様から見たら、そうかもしれませんね」
なんじゃそりゃ。俺が呆れたように死神を見ていたら、死神が続けて言った。
「でも、この中に人間がいるなんてこと、今のお客様にとって、そんなに重要でしょうか?」
「と言うと?」
「すでにお客様は人を殺すことを選んだんです。仮に、中を確認して、もし人が入っていたら、お客様は助けるつもりですか? ……そんな人は、人を殺すために、見知らぬ店に金や個人情報を提供しないし、そもそもこういう店には来ませんよ」
俺は何も言えなかった。死神が続ける。
「それに、多分、もし中に人がいなかったら、お客様はがっかりすると思いますよ。そんな人間が良心の呵責に苦しんでどうするんですか? 覚悟を決めましょう」
図星だった。俺は口を閉じると、麻袋に向き合った。
「……もうひとついいですか。この中には、どんな人が入っているんですか?」
「それも秘密です。誰が入っているかは重要ではありません。大切なのは、お客様自身が殻を破ることです」
「分かりました」
俺は一度だけ大きく深呼吸をした。
そして、力の限りハンマーを振り上げると、勢いよく麻袋に振り下ろした。
何か、大きな肉の塊に当たったかのような感触がハンマー越しに伝わる。同時に、今までピクリとも動かなかった麻袋がバタバタと動き出す。心なしか、うめき声のような音も聞こえてきた。
「ひるまないで! 殻を破るんです! 真面目さを打ち破って!!!」
死神の声援が聞こえる。俺は汗をぬぐうと、力の限り、何度もハンマーを打ち付けた。たまに外して床に当たると、じんじんとした感触が腕を襲う。その度に。心の奥底に広がる安堵の感情は俺の最後の良心だろうか。
もう何度打ち付けただろう。ワイシャツには大きな汗染みができている。心なしか、麻袋は最初の頃よりも小さくなったように見える。
「もう死にましたか?」
俺が死神に尋ねると、死神は首を振った。
「まだ大怪我レベルです。死まではまだまだ」
「そんな!」
俺は腕時計を確認した。すでに、この店に来てから三十分が経っている。これ以上は明日の出勤に響く。
「クソっ!」
俺は金属バットを持ってくると、今度は、それで麻袋を叩きのめす。ハンマーよりも軽いが、その分、扱いやすい。一発も外すことなく、俺は麻袋をひたすら叩く。
気づけばうめき声は聞こえなくなっていた。麻袋が動くこともない。それでも、俺は一心に叩く。その度に、今までの自分が、価値観が、「真面目」が――崩れていくように感じた。
すでに麻袋を叩くことに対して、抵抗は無くなっていた。それよりも、思った以上に自分が運動不足になっていた
という事実の方が辛かった。息が切れ、腕が持ち上がらなくなるほど叩きつけても、まだ中の人間は死なないらしい。
時間と労力だけが浪費されていく。
なかなか死なない苛立ちと早く終わらせなければという焦りが、俺を大胆な行動に移した。
「お客様!?」
死神が驚いたような声を上げる。俺が日本刀を手に取ったからだ。
「扱いにはホント気をつけて下さいよ!」
死神が叫ぶ。俺は死神の方を見てうなずくと、ゆっくりと日本刀を鞘から引き抜いた。初めて見る実物の日本刀は、薄明かりに照らされた刃が何とも美しかった。
俺は刃に触れないよう気をつけながら刃先を麻袋に向けた。そして、一気に突き刺した。
次の瞬間、俺は我に返った。
刺した部分から、赤い液体が吹き出したのだ。ドロリという表現が的確だろうか。その赤い色を見た瞬間、俺は手が止まった。
間違いない。これは血だ!
どうやら、俺は麻痺していたらしい。ただの麻袋に攻撃をしていたと思い込んでいたらしい。だが、この瞬間、分かった。この中には、やはり人間がいる。つまり、俺は人間を刺したということだ。俺が……殺した? 本当に? もう俺は犯罪者――。
かつてないほどの不安と焦燥が俺を襲った。手は震え、視界は霞み始める。喉は以上に渇き、心臓が高鳴っているのが自分で分かる。
「真面目さを乗り越えて! お客様!! 踏ん張り時ですよ!!!」
その時、店員の声が聞こえてきた。そうか。これらは全て、今までの俺の最後の抵抗だというわけだ。だが、ここでやめたら、今までと何も変わらない。
中途半端じゃだめだ。
俺は震える体を無理やり動かし、日本刀を引き抜いた。刺した個所から血が噴き出る。
俺はまた日本刀を刺した。そして引き抜いた。刺しては抜く、その動作を何度も無心で繰り返した。
やる度に、不思議と体は落ち着いて行った。一回刺し抜きする度に、手は震えがおさまり、視界は開けていく。しまいには、まるで自分の体の一部であるかのように、日本刀を扱っている自分がいた。
「お客様」
もう何度目か分からない。俺が日本刀を麻袋、いや麻袋だったものに刺した時、死神が言った。
「死にました」
俺は日本刀を抜くことなく柄から手を離すと、思わず、その場に座り込んだ。
殺した。
俺が人間を殺したのだ。
不安も恐怖もなかった。人を殺す、ということを成し遂げた俺に残っていたものは、意外なことに充実感だった。やり遂げたという充実感が、俺の心を暖かく満たしている。一時間ほど前にいた死にかけの自分はもういない。
檻が開かれる。俺は疲れた体を引きずって、檻の外へと出た。
「ひとつ良いこと教えましょうか?」
死神が悪戯っぽく言った。
「何ですか?」
「ほとんどの人が、最初に鈍器、最期に日本刀を使うんです。特に、日本刀については、扱いに気をつけるよう注意しているのに、まるで示し合わせたように。お客様もそうでしたね。なぜです?」
俺は答える代わりに、黙ってスーツの上着を受け取った。
店を出る間際、死神が聞いてきた。
「人を殺した感想は?」
死神の問いに俺は答えた。
「……最高です」
「おめでとうございます」
死神は、また微笑んだ。
この日、俺は汚れた人間になった。だが、少なくとも、この瞬間は、そんな汚れた自分がとても心地よかった。
ただ、帰宅後、家族から「何かあったの?」と聞かれたことは、やけに心に引っかかった。血も臭いもついていないはずなのに。
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