【完結】君と創る世界

くみた柑

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【第三章】君と色づく世界

重要なことは

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 数日と経たないうちに、僕は再び実家に帰ってきた。
 玄関を開けると、母が笑顔で出迎えてくれる。

「おかえりなさい。荷物を置いたら、少し休んだらいいわ」

 帰ってきたという安心感と、この土地に流れる時間の優しさに、心がじんわりと温かくなる。
 やっぱり、僕の居場所はここだったんだ。

 その日の夜、僕は早速可琳に連絡した。

「今から少し会えない?」

 そうたずねると、可琳は驚いた声で答えた。

「もう帰ってきたの?」

 待ち合わせ場所に現れた可琳は、僕の姿を見ると、思わず吹き出すように笑った。

「本当に帰ってきちゃったんだね!  ハチ、行動が早すぎるよ」
「だって、すぐにでも可琳に会いたかったから……」

 会いたかったのは僕だけなのかと、少しむくれた顔をすると、可琳は笑いながら、そっと僕の両手を掴んだ。

「おかえり。こんなに早く会えて、私もすごく嬉しい」

 その言葉を聞いた瞬間、胸の中が温かいものでいっぱいになる。
 星空の下で手を繋いだまま、僕たちは、たわいもない話で笑いあった。

 その日から、可琳の仕事終わりに毎日会う約束をした。
 僕たちのデートは、近所の公園だったり、窪のラーメン屋、そして地元のチェーン店といった、どれも垢抜けないものばかりだった。けれど、どこで何をしていても、隣に可琳がいるだけで、僕の心は満たされていた。

「ねぇ、ここの公園、そういえば一度、学校の帰りに寄り道したよね」
「うーん……どうだったかなぁ」

 可琳は首を傾げながら、あどけない笑顔を浮かべる。

「ここのブロック塀、通り抜けたことあったよね」
「え? そんなことあった? ……ごめん、覚えてないかも」

 小さい頃の朧げだった記憶も、可琳とその場所を訪れたり話しているうちに少しずつ鮮明になっていく。でも、僕が体験した不思議な出来事を可琳は覚えていないらしく、総じて「そんなことあったっけ?」と返されてしまった。
 けれど、その記憶が事実だったかどうかは、もうどうでもいいような気がしていた。
 重要なのは、こうして今、可琳が僕の隣にいるということだ。
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