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この調子だと、私はすぐにお役御免となりそうだ。と思わせてくれたのはほんの一瞬だけで、彼はまた困ったように眉根を寄せて唸った。
「…他に?」
あ、これ何も思いつきそうもないわ。ルドヴィークは現実的で頭が固いのかもしれない。
「焦らないで、少しずついきましょう。小さなことからコツコツと、ね」
ゆくゆくは威力が強い攻撃魔法を想像できるようになってほしいけど、順序を踏まないとね。レベルの低い魔法を覚えてからじゃないと、上位の魔法は覚えられないのは通例だ。
「この薔薇を、実際に燃やしてみましょう。赤いし、火を連想しやすそうだしね」
「では燭台に火をともしましょう」
できる助手マルクは、飾り棚からオシャレな燭台を運んできた。火を付けると、甘くいい香りがする。アロマかな、勿体なかったかな。台所のコンロでよかったのに。いやお城だから厨房の竈になるのかな?
火の上で構えてから、花には水分があるけどちゃんと燃えるのか?と思ったけどまぁ大丈夫でしょう。
「火を付けると、花は燃えます。そして貴方は、火を自在に付ける事ができます。このように」
じりじりと端の方を炙るが、火は燃え広がらない。うーん、やっぱり。火も小さいからなぁ、肉に焦げ目をつけるバーナーとかないかな。
外側の花びらが焦げて、薄く煙が上がる。もっとぼっと燃えて、炎の花のようになるかなーと思ったんだけどな。
「火が弱いようです。不要な紙はありますか?」
「でしたら、庭に出ましょう。室内で火事になれば大事です」
まったくもってその通りですね本当すいません。
庭に移動して、用意されたのか偶然なのか、焚火に丁度いい枯れ枝の山に火をつける。燃えあがった火は大きく、薔薇一輪を全部飲み込んでしまえる。これなら十分だ。
「いいですね、キャンプファイアーみたいで!」
火に薔薇を突っ込むと、今度はすぐに火が燃え移った。赤い薔薇が一回り大きくなったように、火が包み込む。
「火力が高ければ一瞬で灰になるんでしょうけど、まぁとりあえず火が付けばなんでもいいです。貴方が持っている薔薇を、この状態にしてください」
火が付いた薔薇は熱かったので、そのまま焚火にくべた。薔薇が燃え尽きるまでじっと観察していたルドヴィークは、自分が手に持っている薔薇に視線を移す。
「キャンプファイヤー!」
「まじか」
クソダサい呪文が成立してしまった。とはいえ、焚火に頼ることなくその手の薔薇は炎をまとっている。
実験は大成功だ。いや別に実験してたわけじゃないけど。
「その調子です、よくできました!」
子供扱いしすぎかな?でもやっぱ褒めて伸ばさないとね。私は今神の使いだし自分設定100歳ぐらいのノリで生きよう。
「殿下、やけどしますよ。早く捨ててください」
「いやそれが、熱くないんだ」
「ちょっといいですか?」
手を近づけると、ほのかにあたたかい。思い切って火の先まで近づけても、ただ暖かいだけだ。試しにまだ火が付いていない枯れ枝を炙ってみたが、燃えない。
…どうやらこれは、ルーモス光よ的な…フラッシュ的な…夜に便利なランプ魔法?
「まぁ…これは大きな一歩ですよ。ちなみに消せますか?」
「消す…」
火がついているように見えるだけなので放置でも大丈夫そうだけど、エンドレス眩しいのも困る。燃え尽きることがないのなら、火の消し方もセットで考えなければ。
「火は、どうすれば消えますか?さっき部屋の蝋燭の火はどうやって消しましたっけ」
「エナが吹き消しましたね」
そういって、燃えた薔薇を私に差し出す。違う、そうじゃない。
「私が吹いたから消えたわけではありません。誰でも吹けば消せるのです。ルドヴィークが吹いて消してみて下さい」
「はい」
ふっと、息を吹きかける。火は消えない。あ、そうかキーワードになる呪文がいるのね。
「明かりを消すときの呪文は…うーん、どうしましょうか。消す場面での掛け声なんかあります?」
「掛け声、でしたら毎晩私がルドヴィーク様に」
「あぁ。おやすみ、だな」
とたん、薔薇の火が消えた。消えたのはいいけれども、呪文がイマイチすぎる。早くもちょっと良く分からなくなってきた。
《キャンプファイヤー》で攻撃性がないただ明るいだけの火がついて、《おやすみ》でその火が消える。関連性がちょっとずれてて覚えにくい。
「ルドヴィークができるようになった魔法を書き留めたいのですが、ノートをいただけませんか」
「すぐにご用意いたします」
「とりあえず今日はこの冒険に便利なライトの魔法を極めましょう。丁度薔薇園がありますし、そこの薔薇を片っ端から火を付けてみて下さい」
「それはさぞ幻想的な風景になりましょう、母や妹を招いてのお茶会はいかがですか?エナを皆に紹介させてください」
貴族っぽい優雅な提案。王子とメイドとお城が出てくるファンタジーな世界の母と妹なんて、ひらっひらのドレスに決まってるじゃない。物凄く興味がある。
でもさ、のんびりすぎない?この勇者魔王倒す気ある?
…待って、そもそも別に魔王を倒せとか言われてない。敵はいるの?悪いことしてる?被害ある?私は何のために魔法を使わせようとしてる?
4人の勇者が力を合わせて世界を救う、的な流れを聞いたけど世界を救うとは?敵か天災から防ぐのか、それとも既に衰退した場所を復興するのか?
色々丸投げすぎじゃないですかねー。せめて目標と期限と達成条件は、教えておいて欲しかったですね神様!
「…他に?」
あ、これ何も思いつきそうもないわ。ルドヴィークは現実的で頭が固いのかもしれない。
「焦らないで、少しずついきましょう。小さなことからコツコツと、ね」
ゆくゆくは威力が強い攻撃魔法を想像できるようになってほしいけど、順序を踏まないとね。レベルの低い魔法を覚えてからじゃないと、上位の魔法は覚えられないのは通例だ。
「この薔薇を、実際に燃やしてみましょう。赤いし、火を連想しやすそうだしね」
「では燭台に火をともしましょう」
できる助手マルクは、飾り棚からオシャレな燭台を運んできた。火を付けると、甘くいい香りがする。アロマかな、勿体なかったかな。台所のコンロでよかったのに。いやお城だから厨房の竈になるのかな?
火の上で構えてから、花には水分があるけどちゃんと燃えるのか?と思ったけどまぁ大丈夫でしょう。
「火を付けると、花は燃えます。そして貴方は、火を自在に付ける事ができます。このように」
じりじりと端の方を炙るが、火は燃え広がらない。うーん、やっぱり。火も小さいからなぁ、肉に焦げ目をつけるバーナーとかないかな。
外側の花びらが焦げて、薄く煙が上がる。もっとぼっと燃えて、炎の花のようになるかなーと思ったんだけどな。
「火が弱いようです。不要な紙はありますか?」
「でしたら、庭に出ましょう。室内で火事になれば大事です」
まったくもってその通りですね本当すいません。
庭に移動して、用意されたのか偶然なのか、焚火に丁度いい枯れ枝の山に火をつける。燃えあがった火は大きく、薔薇一輪を全部飲み込んでしまえる。これなら十分だ。
「いいですね、キャンプファイアーみたいで!」
火に薔薇を突っ込むと、今度はすぐに火が燃え移った。赤い薔薇が一回り大きくなったように、火が包み込む。
「火力が高ければ一瞬で灰になるんでしょうけど、まぁとりあえず火が付けばなんでもいいです。貴方が持っている薔薇を、この状態にしてください」
火が付いた薔薇は熱かったので、そのまま焚火にくべた。薔薇が燃え尽きるまでじっと観察していたルドヴィークは、自分が手に持っている薔薇に視線を移す。
「キャンプファイヤー!」
「まじか」
クソダサい呪文が成立してしまった。とはいえ、焚火に頼ることなくその手の薔薇は炎をまとっている。
実験は大成功だ。いや別に実験してたわけじゃないけど。
「その調子です、よくできました!」
子供扱いしすぎかな?でもやっぱ褒めて伸ばさないとね。私は今神の使いだし自分設定100歳ぐらいのノリで生きよう。
「殿下、やけどしますよ。早く捨ててください」
「いやそれが、熱くないんだ」
「ちょっといいですか?」
手を近づけると、ほのかにあたたかい。思い切って火の先まで近づけても、ただ暖かいだけだ。試しにまだ火が付いていない枯れ枝を炙ってみたが、燃えない。
…どうやらこれは、ルーモス光よ的な…フラッシュ的な…夜に便利なランプ魔法?
「まぁ…これは大きな一歩ですよ。ちなみに消せますか?」
「消す…」
火がついているように見えるだけなので放置でも大丈夫そうだけど、エンドレス眩しいのも困る。燃え尽きることがないのなら、火の消し方もセットで考えなければ。
「火は、どうすれば消えますか?さっき部屋の蝋燭の火はどうやって消しましたっけ」
「エナが吹き消しましたね」
そういって、燃えた薔薇を私に差し出す。違う、そうじゃない。
「私が吹いたから消えたわけではありません。誰でも吹けば消せるのです。ルドヴィークが吹いて消してみて下さい」
「はい」
ふっと、息を吹きかける。火は消えない。あ、そうかキーワードになる呪文がいるのね。
「明かりを消すときの呪文は…うーん、どうしましょうか。消す場面での掛け声なんかあります?」
「掛け声、でしたら毎晩私がルドヴィーク様に」
「あぁ。おやすみ、だな」
とたん、薔薇の火が消えた。消えたのはいいけれども、呪文がイマイチすぎる。早くもちょっと良く分からなくなってきた。
《キャンプファイヤー》で攻撃性がないただ明るいだけの火がついて、《おやすみ》でその火が消える。関連性がちょっとずれてて覚えにくい。
「ルドヴィークができるようになった魔法を書き留めたいのですが、ノートをいただけませんか」
「すぐにご用意いたします」
「とりあえず今日はこの冒険に便利なライトの魔法を極めましょう。丁度薔薇園がありますし、そこの薔薇を片っ端から火を付けてみて下さい」
「それはさぞ幻想的な風景になりましょう、母や妹を招いてのお茶会はいかがですか?エナを皆に紹介させてください」
貴族っぽい優雅な提案。王子とメイドとお城が出てくるファンタジーな世界の母と妹なんて、ひらっひらのドレスに決まってるじゃない。物凄く興味がある。
でもさ、のんびりすぎない?この勇者魔王倒す気ある?
…待って、そもそも別に魔王を倒せとか言われてない。敵はいるの?悪いことしてる?被害ある?私は何のために魔法を使わせようとしてる?
4人の勇者が力を合わせて世界を救う、的な流れを聞いたけど世界を救うとは?敵か天災から防ぐのか、それとも既に衰退した場所を復興するのか?
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