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【遺志】の巫女
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暗い一本道を行く。
二つ見えた入口のうち一つは巫女が目覚めた部屋に繋がっていたらしい。
彼女が言うにはそちらは袋小路だったとのこと。
状況はあまりよくない。
ナイフをはじめとした私の暗器。
そのほとんどが目を覚ました部屋にあったが、
どれも状態が著しく悪くなっていた。
まるで何十年も手入れをされずに
放っておかれたかのように。
当然、外部との連絡に使う道具も使い物にならなかった。
完全な孤立無援。
唯一の救いと言えば、
光るキノコが道を照らしていることだろうか。
おかげで照明がなくともなんとか進める。
…と。
気配を感じて思考を中断する。
巫女の手を引き、
近くの瓦礫に身を隠す。
どうしたの?と言わんばかりに
こちらを見つめる巫女。
しずかにして、の意で
私は人差し指を唇の前で立てた。
私は瓦礫からわずかに頭を出して様子を伺う。
人影だ。しかし、様子がおかしい。
姿勢は不自然に猫背。
足を引きずり、手は前に突き出している。
アンデッド、生ける屍だ。
と判断するも違和感。
よくよく観察すると私の知っているアンデッドとは違う。
あのアンデッドには、肉がない。
肉がないタイプのアンデッドも存在するが、それとも違う。
もともと肉がついていた場所には大量の黒い虫。
いや、粒子だろうか。
ともあれ、その黒く蠢く集合体が肉に変わって人間のシルエットを形作っている。
さて、どうしようか。
どう見ても話し合いの通じる相手ではない。
ただ、装備もない状態で未知の相手に挑みたくもないな。
普通のアンデッドなら頭を切り離せば停止するが、それも怪しい。
逃げるという選択肢もない。
ここまでは一本道だったし、
気づかれずにアンデッドの隣をすり抜けるには
道が狭すぎる。
「巫女ちゃん。なにか攻撃手段はある?」
隣の巫女に囁いた。
【遺志】の巫女の能力が戦闘に使えるものだと助かるのだが。
巫女はぷるぷると首を横に振る。
とても申し訳なさそうな表情をしている。
気にしないで、と彼女の背中をさする。
仕方ないか。
「ここにいなさい」
言い残す。
気配を消しつつ瓦礫からでる。
相手の周囲にも瓦礫の山が複数。
遮蔽物にちょうど良い。
敵の正体もわからない状態だ。
背後からの奇襲で反撃のチャンスを与えずに終わらせる。
あの怪物、背後が本当に死角なのかもわからない。
ただ、人の形をしている以上はある程度動きが似通っているとは思う。
どうにか気づかれずに至近距離の遮蔽物まで来た。
息をひそめ、全身を耳にしてタイミングを待つ。
足音が離れていく瞬間。
私は飛び出す。
敵の背後に組み付き、
頭に両腕を回す。
両腕に力をこめ、
そのまま敵の首をねじ切る
…はずだった。
首がもう少しでねじ切れるというところで、
敵の体が膨張。私の体を吹き飛ばす。
正確には体を構成する黒い粒子の量が
急激に増えたのだろう。
数メートル先の壁まで吹き飛ばされる。
壁を蹴って間合いを詰めなおすか、単純な受け身にとどめるか。
一瞬の判断。私は後者を選ぶ。
敵が予想外の動きをしてきたのだ。
無策に突っ込むべきではない。
壁との激突の瞬間、
私は全身の関節を使って衝撃をのがし、
そのまま床へ。壁に生えていた光キノコが降ってくる。
素早く体勢を立て直しつつ観察。
敵の体が一回り大きくなり、黒い粒子は周囲にも拡散している。
怒りというよりはただの防衛反応だろうが、
さっきまでより一層、恐怖をあおる見た目をしている。
決着はつかなかったが、奇襲の成果はあった。
敵の首はとても不安定で、一歩ごとにぐらりぐらりと揺れる。
手近にあった瓦礫を頭部へ投擲。
命中するも、とどめには至らない。
敵が体勢を低くする。
土煙をあげ、こちらへ突っ込んでくる。
それを確認した私は瓦礫の裏へ。
どん、と衝撃。敵が瓦礫に衝突した音。
通常のアンデッドと同じく知能は低いようだ。
瓦礫から顔を出し、様子を伺う。
衝突がとどめになったのだろう。
首が胴体から離れた位置に転がっている。
しばらく様子を見たが、動く様子はなかった。
長く息を吐き、
後ろを振り返る。
「もう大丈夫。出てきていいよ」
ひょこっと巫女が瓦礫から姿をあらわし、
こちらへ駆け寄る。
「お怪我はありませんかっ!?」
「ええ。なんとかね」
巫女はほっとした様子で肩をなで下ろし、周りを見渡す。
正しく死体となった敵の残骸を見た彼女は
おもむろに歩み寄っていく。
「待って。あぶないから近づいちゃ…」
ダメ、と言いかけた。
白く細い肢体が光を放っている。
巫女たちが力を発揮するとき特有の現象だ。
彼女は死体の前で膝をつき、
祈るように両手を合わせる。
死体に光が灯る。
光に溶かされるように黒い粒子が霧消する。
光はだんだんと強くなり、
死体全体を包み込み---
唐突に消えた。
その場に残ったのは、
白骨死体と…
炎のようにぼんやりと揺らめく、白いもや。
気が付けばそのもやに手を伸ばしていた。
私の手がもやに触れた瞬間、視界が白く染まる。
木製の食卓。質素な、しかし心のこもった料理。
卓を囲む若い女と小さな男の子の笑顔。
―――俺が守る。必ず。
右手に固く握りしめた長剣に誓う。
視界が戻る。
白いもやが消え、
伸ばした手には長剣が握られていた。
新品ではないが、錆びなどもない。十分に使えそうだ。
いつの間にか目の前にいた巫女と目が合う。
動揺の色が見て取れる。
「これがあなたの力?」
「は、はい。
でも、【遺志】はてっきりわたくしだけが回収するものだと…」
「【遺志】って?」
「わたくしが【遺志】の巫女であることはお話しましたね。
死者の心残りや感情を代わりに引き受け、
現世にとどまる魂を天に返すのがわたくしの能力であり、役目なのです。
そして、代わりに引き受ける心残りのことを【遺志】と呼んでいます」
つまり、さっきの光景は。
ちらりと白骨死体に目をやる。
彼の「心残り」だったわけか。
奥さんと子供、無事だといいけど。
あ、そうだ。
「この剣は?」
「【遺志】を回収する際、死者の力の一部を吸収することになります。
そして、吸収した力は不安定なので様々な形をとります。
あなたは武器がないことで不便を感じていた。
無意識のうちに吸収した力を武器として
具現化させることを選んだのでしょう」
死者の力の一部を吸収する。
短期的にはそこまで役に立たないが、
長期的にみると絶大な能力だ。
危険だな。この巫女はここで始末してしまうべきか?
少し胸が痛むが…。
左手に温かい感触。見ると巫女に手を握られていた。
「ごめんなさい…!本当はわたくしの役目なのに。
背負わせてしまってごめんなさい!」
…まあ命令が出ているわけでもない。
差し当たってはここから脱出することが優先かな。
「大丈夫。ちらっと記憶が見えただけだから。
むしろ便利で助かる。これで敵がいても戦えるよ」
本当に?と上目遣いで見上げてくる巫女に微笑んで頷く。
安心したのだろう。ふわふわとした笑顔が戻った。
二つ見えた入口のうち一つは巫女が目覚めた部屋に繋がっていたらしい。
彼女が言うにはそちらは袋小路だったとのこと。
状況はあまりよくない。
ナイフをはじめとした私の暗器。
そのほとんどが目を覚ました部屋にあったが、
どれも状態が著しく悪くなっていた。
まるで何十年も手入れをされずに
放っておかれたかのように。
当然、外部との連絡に使う道具も使い物にならなかった。
完全な孤立無援。
唯一の救いと言えば、
光るキノコが道を照らしていることだろうか。
おかげで照明がなくともなんとか進める。
…と。
気配を感じて思考を中断する。
巫女の手を引き、
近くの瓦礫に身を隠す。
どうしたの?と言わんばかりに
こちらを見つめる巫女。
しずかにして、の意で
私は人差し指を唇の前で立てた。
私は瓦礫からわずかに頭を出して様子を伺う。
人影だ。しかし、様子がおかしい。
姿勢は不自然に猫背。
足を引きずり、手は前に突き出している。
アンデッド、生ける屍だ。
と判断するも違和感。
よくよく観察すると私の知っているアンデッドとは違う。
あのアンデッドには、肉がない。
肉がないタイプのアンデッドも存在するが、それとも違う。
もともと肉がついていた場所には大量の黒い虫。
いや、粒子だろうか。
ともあれ、その黒く蠢く集合体が肉に変わって人間のシルエットを形作っている。
さて、どうしようか。
どう見ても話し合いの通じる相手ではない。
ただ、装備もない状態で未知の相手に挑みたくもないな。
普通のアンデッドなら頭を切り離せば停止するが、それも怪しい。
逃げるという選択肢もない。
ここまでは一本道だったし、
気づかれずにアンデッドの隣をすり抜けるには
道が狭すぎる。
「巫女ちゃん。なにか攻撃手段はある?」
隣の巫女に囁いた。
【遺志】の巫女の能力が戦闘に使えるものだと助かるのだが。
巫女はぷるぷると首を横に振る。
とても申し訳なさそうな表情をしている。
気にしないで、と彼女の背中をさする。
仕方ないか。
「ここにいなさい」
言い残す。
気配を消しつつ瓦礫からでる。
相手の周囲にも瓦礫の山が複数。
遮蔽物にちょうど良い。
敵の正体もわからない状態だ。
背後からの奇襲で反撃のチャンスを与えずに終わらせる。
あの怪物、背後が本当に死角なのかもわからない。
ただ、人の形をしている以上はある程度動きが似通っているとは思う。
どうにか気づかれずに至近距離の遮蔽物まで来た。
息をひそめ、全身を耳にしてタイミングを待つ。
足音が離れていく瞬間。
私は飛び出す。
敵の背後に組み付き、
頭に両腕を回す。
両腕に力をこめ、
そのまま敵の首をねじ切る
…はずだった。
首がもう少しでねじ切れるというところで、
敵の体が膨張。私の体を吹き飛ばす。
正確には体を構成する黒い粒子の量が
急激に増えたのだろう。
数メートル先の壁まで吹き飛ばされる。
壁を蹴って間合いを詰めなおすか、単純な受け身にとどめるか。
一瞬の判断。私は後者を選ぶ。
敵が予想外の動きをしてきたのだ。
無策に突っ込むべきではない。
壁との激突の瞬間、
私は全身の関節を使って衝撃をのがし、
そのまま床へ。壁に生えていた光キノコが降ってくる。
素早く体勢を立て直しつつ観察。
敵の体が一回り大きくなり、黒い粒子は周囲にも拡散している。
怒りというよりはただの防衛反応だろうが、
さっきまでより一層、恐怖をあおる見た目をしている。
決着はつかなかったが、奇襲の成果はあった。
敵の首はとても不安定で、一歩ごとにぐらりぐらりと揺れる。
手近にあった瓦礫を頭部へ投擲。
命中するも、とどめには至らない。
敵が体勢を低くする。
土煙をあげ、こちらへ突っ込んでくる。
それを確認した私は瓦礫の裏へ。
どん、と衝撃。敵が瓦礫に衝突した音。
通常のアンデッドと同じく知能は低いようだ。
瓦礫から顔を出し、様子を伺う。
衝突がとどめになったのだろう。
首が胴体から離れた位置に転がっている。
しばらく様子を見たが、動く様子はなかった。
長く息を吐き、
後ろを振り返る。
「もう大丈夫。出てきていいよ」
ひょこっと巫女が瓦礫から姿をあらわし、
こちらへ駆け寄る。
「お怪我はありませんかっ!?」
「ええ。なんとかね」
巫女はほっとした様子で肩をなで下ろし、周りを見渡す。
正しく死体となった敵の残骸を見た彼女は
おもむろに歩み寄っていく。
「待って。あぶないから近づいちゃ…」
ダメ、と言いかけた。
白く細い肢体が光を放っている。
巫女たちが力を発揮するとき特有の現象だ。
彼女は死体の前で膝をつき、
祈るように両手を合わせる。
死体に光が灯る。
光に溶かされるように黒い粒子が霧消する。
光はだんだんと強くなり、
死体全体を包み込み---
唐突に消えた。
その場に残ったのは、
白骨死体と…
炎のようにぼんやりと揺らめく、白いもや。
気が付けばそのもやに手を伸ばしていた。
私の手がもやに触れた瞬間、視界が白く染まる。
木製の食卓。質素な、しかし心のこもった料理。
卓を囲む若い女と小さな男の子の笑顔。
―――俺が守る。必ず。
右手に固く握りしめた長剣に誓う。
視界が戻る。
白いもやが消え、
伸ばした手には長剣が握られていた。
新品ではないが、錆びなどもない。十分に使えそうだ。
いつの間にか目の前にいた巫女と目が合う。
動揺の色が見て取れる。
「これがあなたの力?」
「は、はい。
でも、【遺志】はてっきりわたくしだけが回収するものだと…」
「【遺志】って?」
「わたくしが【遺志】の巫女であることはお話しましたね。
死者の心残りや感情を代わりに引き受け、
現世にとどまる魂を天に返すのがわたくしの能力であり、役目なのです。
そして、代わりに引き受ける心残りのことを【遺志】と呼んでいます」
つまり、さっきの光景は。
ちらりと白骨死体に目をやる。
彼の「心残り」だったわけか。
奥さんと子供、無事だといいけど。
あ、そうだ。
「この剣は?」
「【遺志】を回収する際、死者の力の一部を吸収することになります。
そして、吸収した力は不安定なので様々な形をとります。
あなたは武器がないことで不便を感じていた。
無意識のうちに吸収した力を武器として
具現化させることを選んだのでしょう」
死者の力の一部を吸収する。
短期的にはそこまで役に立たないが、
長期的にみると絶大な能力だ。
危険だな。この巫女はここで始末してしまうべきか?
少し胸が痛むが…。
左手に温かい感触。見ると巫女に手を握られていた。
「ごめんなさい…!本当はわたくしの役目なのに。
背負わせてしまってごめんなさい!」
…まあ命令が出ているわけでもない。
差し当たってはここから脱出することが優先かな。
「大丈夫。ちらっと記憶が見えただけだから。
むしろ便利で助かる。これで敵がいても戦えるよ」
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