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やってみた④
しおりを挟むこの街に来て2年が過ぎた、この街が気に入って住民登録をしたのが一年と11ヶ月前そして、今日には……
「王様就任おめでとうございまーす!」
「「おめでとうございまーす!!」」
「みんな有難うございます!皆様のお陰で私は王様に成れました!今後はもっと頑張ってこの街を大きくしていく所存です!ですが、私だけの力では大きくは出来ません!なので……皆の力を俺に貸してくれ!」
「「はいっ!」」
「「こーじ!こーじ!わぁーっ!ぱちぱちぱちぱち!」」
空に浮かんでいた浮き街はコージ王の力で大きく成長し、高尾山くらいの大きさに育っていた。それが、偏西風に乗り空中を飛んでいた。
やがて空中都市には、変な気流が生まれ雲で覆われる事になった。それを、偶々気球で空を遊泳していた探検家に撮影されて、リアル○ピュタ発見!と題されてSNSに上げられた。
其処から世界中で、大空族時代が幕を上げることになる。航空機で近付くと謎の故障でその空中都市にはたどり着けなかった。
一人の少年がドローンとカメラ搭載気球を繋げた物で初めてそこの島に辿り着いてから、気球でなら辿り着けると夢を見た者達がこぞって空中都市を目指すようになった。
だが、気流が荒く中々手動では辿り付けず、機械の力を借りるも故障してしまい、未だに誰もたどり着けない幻の空中都市と言われるようになった。
そんな話は遂にど田舎村の麹村にも届くようになった。
◆
玄関の扉がバーン!と激しく開く音が聴こえたかと思ったらズダダダッと廊下を走る音が聞こえた。
長男のタケルが帰ってきた様だ。どうもあの子は誰に似たのか落ち着きがない……
「母さん!母さん!気球の作り方を教えて!」
ランドセルをぶん投げて家妖精にパスすると、シノの足元に縋りながら叫ぶタケル
【タケルは二歳に成ったコージの子供で、三つ子のうちの長男であった】
「ききゅう?」
「何だよ母さん知らないの?空を飛べる飛行船だよ?」
ジェスチャーを駆使して何とか伝えようとするが、洗濯物を畳んでいるシノは見ていない
「そんなこと言ってもねぇ……あなた達のお父さんが帰ってきたら、連れてってもらいなさい」
空飛べるから、そんなものに乗らなくても行けるわよ、と呟く
「いつ帰ってくるの?父さん」
シノの背中にぶら下がりながらタケルは片眉を上げて聴く
「いま封印されてどっかで浮いてるらしいから、もうすぐじゃない?」
もう邪魔しないのっと、背中のタケルの首を掴むとヒョイと持ち上げて脇に退かす
「そんなの待ってられないよ!僕は今すぐ飛んで行きたいのに!」
退かされた場所でジタバタと暴れ出すタケル
「あーもう、暴れないの!仕方ない子ねぇ……、いいわ、母さんが手紙を父さんに書いて直ぐに帰ってくるように伝えるから、もう少し我慢なさい!いいわね?」
シノは、自分の周りに浮いていた翅妖精を捕まえて口に咥えると、両面テープをピーっと出す
「はーい……直ぐだよ?すぐ呼んでよ?」
上目使いで、瞳をうるうるさせながらシノを見上げるタケル。何処で教わってくるの?と聞きたくなるほどあざとかったが、抗えないシノは
「ハイハイ、今すぐに送るわよ」
手紙に【はよ帰れ。シノ🐾】ペタペタと肉球で拇印も押して封をすると、咥えていた翅妖精を両面テープに貼り付けて、その反対側に手紙を貼り付けたあと「魔王に届けてね?」とお願いして、空へと力いっぱい放り投げた
投げられた翅妖精は、うまく上昇気流に乗りクルクルと廻りながら空高く上がって行くと小さくなって見えなくなった
「ほらっ!もう手紙を送ったから一週間くらいで届くはずよ?その時になって怒られない様に宿題とか終わらせちゃいなさい!」
と、両手を腰に付けて足元を見ると、タケルは大喜びで走って去り、他の弟妹に知らせてくると言って出て行った。
「もうっ!」と、ため息を吐いて空を見上げると
「早く帰って来なさいよ?」とコージの居る空を見上げた
洗濯物を纏めてタンスに仕舞いながら、隣の部屋へ行くと、2つ並んだ赤ちゃんベッドに眠る子供を撫でながら、子供2人増えたんだからね?と呟く
フフフと笑いながら、帰ってきたコージの顔を思い浮かべどんな顔するかなぁと想像して少し寂しそうに笑う。
シノにとっては優しい旦那様だったのだ。理不尽な行いはシノを魔王へと変えてしまった
二年前に封印したと笑いながら告げてきたコージの兄と名乗る少女勇者はフルボッコにして死ぬ寸前まで痛め付けたあとウンディーネに治してもらい、更にボコボコにして死ぬ寸前にしては治してもらいを200回ほど繰り返して心を折ると、記憶改竄してこの村の記憶とコージ達の兄弟だった記憶も消して、保護者宅へ熨斗付けて送り返した。
一年程怒りは収まらなかったが、突然陣痛が始まると魔王属性が消えてシノは二人の子供を産んで母親に戻った。
麹村では新たな決まりが出来て魔王を勝手に封印しない。っと、付け加えられた。
まさか新たな魔王が産まれるとは思ってなかった内田は、シノのキレ具合に意気消沈して二度と勝手はしないと誓ったあと、シノ家の家妖精として働く事になった。
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