黒い天使と白い悪魔

招待状

7

「こんばんは、改めまして自己紹介しますね。」
　シュウが相変わらず穏やかな口調で話しかけてきた。
「私がシュウで、こっちがショウ。名前は似ていますが・・・。」
「顔も似ている！」シュウが昨夜と同じクダリを始めたので思わず優が言葉を挟んだ。
　昨夜は優に口を挟ませないよう言葉と言葉の間にスキマを作らないように話していたが、この日シュウはゆっくり穏やかに話をしていた。優はそのシュウの言葉のスキマに口を挟んだ。
「どうせ夢だから・・・」と、優はこの世界がまだ夢だと思い込んでいた。だから大胆に自分の思っていることを口に出せた。
「似ていますかね？私たち・・・。」
　シュウはきょとんとした目をしてその視線をショウの方に向けた。
「いや・・・全然。」
ショウは短く答えると
「やっぱりそうですよね。」
と笑って答えその話を閉めてしまった。だがまた違った形でシュウが切り出し
「ところでショウとシュウ、そしてあなたがユウですから3人とも名前が似てますよね。」
と言うとショウが
「俺と優さんは似てないでしょ。」
と、突っ込んだ。その後、話が脱線して申し訳ないとシュウは謝罪し、仕切り直して改めて話を始めた。
「初めて優さんにお会いした日・・・と言っても私は居ませんでしたが、ショウは私達の事・・・というか小地震の事ですね、それを死神と名乗りました。あれは半分あっているとも言えますが、半分は間違っています。単刀直入に言いますと私達の正体は人間です。かつて生きていたとか、元人間で今幽霊でとかではありません。今生きている人間です。生霊と言われたら確かにそれは正しいかも知れませんね。」
シュウは笑った。するとショウが
「また話が脱線しかけてるよー。」
と突っ込みシュウが慌てて
「失礼しました。話が脱線するのは私の悪い癖です。気になる人、気になった人にはもっとその人の事を知りたいと余計な話をしてしまいがちなんです・・・。また話が逸れそうですね。」
その後シュウの顔から笑顔が消え引き締まった表情をして言葉を続けた・
「本題をちゃんと言いますね。貴方に私たちの仲間になってほしくて貴方の夢に勧誘にお邪魔しました。」
唐突すぎる話に優はただただ戸惑うしかなかった。