182 / 385
9章 壊れていく日常
8話 あなたがいなければ
しおりを挟む
長い沈黙のあと、後ろから何かグシュグシュという音が聞こえた。見ると、ベルが両手で鼻と口を抑えて涙を流していた。
「隊長……もしかして、ここからいなくなるおつもりでしたか? 駄目です、そんなの……」
「……ベル」
「あたし、あたしはここに来て、楽しいことばかりで……『回復魔法なんかよりお菓子作りの方が大事』って隊長が言ってくれたの、とても嬉しかったんです。隊長にとっては、何でもない発言でしたでしょうけど、でもあたしは、それでちょっと救われたんです。あたしだけじゃない、ジャミル君もカイルさんもルカもフランツも、この砦の集まりがなかったらみんな少しずつ何かが足りなくて、何かがずれていて……でもそれが何か分からないまま過ごしていました。それなのに隊長だけが救われないなんて、そんなこと、そんなの、あたしは嫌です……」
「…………」
「……今は、ただ休んで、そして立ち直り方を考えましょう。赤眼の人みんなが誰一人復帰せず処断されたなんてことないはずです。ですから……」
「ベルナデッタ」
「ですからどうか、絶望しないでください……希望を、捨てないでください……」
全て言い切ったのか、ベルはすすり泣くだけになってしまった。
肩に手を置くと、そのままオレの肩に顔をくっつけて泣き続ける。
「オレは、あんたに出会ってなかったらどうなってたか分からない。下手すりゃ死んでたかもしれねえ……あんたは『何もしてない』って言うけど、そんなことはない。オレは助かったのにあんたは助からずに投獄されるなんて、そんなことオレは納得できねえ。できることはするから……諦めないでくれよ」
――オレがあの黒い剣を持っていた時のことをグレンは「君がそのうち堕ちていくまで見なければならないのかと思って憂鬱だった」と言っていた。今ならそれが分かる。全く同じ気分だ。
「二人の言う通りだ……境遇のせいで色々と疑心暗鬼になるのは分かるが、少しは仲間を信じて欲しい。……『赤眼になって危険だから憲兵に引き渡しました』なんて、俺はそんなことを親方やレイチェルにはとても告げられない」
「……!」
レイチェルの名前を聞いて、力なくだらりと下ろしている手がピクリと反応する。
その手をテーブルの上に置き直し、祈るように両手を組み合わせギリギリと握った。
「頼む……レイチェルは……レイチェル、だけには……」
「……分かってる。でも、いずれ分かることだぞ。告げるのが遅れれば遅れるほど、あの子も傷つく。それは頭に入れておけよ」
「…………ああ」
ぼそりと返事をした後、グレンは気怠げに立ち上がり、ヨタヨタと歩んで食堂を出ようとする。
「おい大丈夫……じゃないな。部屋で寝てろよ」
「いや。今日は一旦帰る。荷造りをして……また明日ここへ来る」
「そうか」
「……カイル」
「ん?」
食堂の扉の取手に手をかけながら、グレンがカイルに声をかける――後ろ姿で、表情は伺い知れない。
「誤解を与えて、悪かった。別にお前のことを信用していないわけじゃないし、冷血とも思っていない」
「……そうか」
「……お前がいなかったなら……俺の人生はもっと……破滅的な方向へ行っていた。"カラス"を続けていただろうし、そのうち野盗やならず者になっていた。お前の存在は……救いだった」
「……っ、馬鹿野郎……そんな遺言みたいなのやめろよ、縁起でもない……!」
「すまない。そのうちに……自我がなくなってしまうかもしれないと、思って」
ドアを開けてグレンが出ていく。
少ししてからカイルが机を叩き、そのまま机に突っ伏した。ベルはオレの肩でずっとすすり泣いたまま。
食堂のテラスから、中庭を挟んで廊下を歩いていくグレンが見える。
「……ベル、悪い。オレ、ちょっと……」
「え……?」
「すぐ戻るから」
オレは食堂を出て、グレンを追いかけた――さっきはヨタヨタとしていたのに、足が早い。もう、砦を出るところだ。
「……グレン!」
「ジャミルか……いつかと、立場が逆になったな」
「そう、だな……。あの、送ってってやろうか?」
「いや、大丈夫だ。転移魔法があるから。それに少し寄りたい所がある」
「そっか」
肩にいるウィルが羽ばたいてグレンの肩に止まると、グレンは表情なくウィルの胸元を指で撫で口を開いた。
「……ウィル」
「え……名前、言えるのか」
使い魔のウィルの名前は、基本的に主人であるオレしか呼べない。唯一、ルカだけは呼べたが――。
「よく分からないが、魔力が高まっているらしい……転移魔法も、連発しても疲労がない」
「そうなのか」
「ウィルが剣だった時に言っていた……『心根のまっすぐな人間のわずかな心の闇を刺激して堕とすのが楽しい』と」
「……悪趣味だ」
「それで……『お前はこっち側の人間だから堕とす必要性がない』とも」
「…………」
「……もう、闇魔法の研究に没頭するのはやめたのか」
「え? いや、研究は続けてる……前ほど、躍起になってないだけで。ちょっと前まではなんかこう……渇望してる感じがあったんだけど」
「渇望……」
単語を復唱したあと、グレンは自分の手のひらを見ながら握るような動作をする。
「俺は……こうなった以上、もうレイチェルのそばにはいてはいけないと思っている」
「え、おい……」
「確かに、そう思っているのに……離れる気が起きない。どこにもやりたくない、誰にも渡したくない、ずっとこの腕の中に閉じ込めていたいとすら……思う」
「……」
テオ館長の奥さんの手記の一節が頭をよぎる。
――足りない、足りない、私はずっと足りていない。
――醜い自分はあの人にふさわしくない、だけど欲しい、彼は私のもの。
「……なんとなく……分かるよ、それ」
「……そうか。ありがとう」
「……うん」
何に対しての礼なのかよく分からないが、受け入れておいた。
「じゃあ、俺は帰るから……ほら、主人の所に戻れ」
ウィルがオレの所に舞い戻ってくる。それを見届けたグレンはこちらに背を向け、転移魔法で消えていった。
◇
「……これからどうする?」
「……そうだな……」
グレンを見送ったあと、今後のことを3人で考えていた。
カイルは冷めきったピラフをまた食っている。冷や飯でも食らっていたい気分だそうだ。
「とりあえず、あたしは砦に光の防護魔法をかけますわ。保養施設にもある光の魔石も用意しましょう、それで少しでも楽になるようにします」
「オレは闇堕ちしかかった友達に、その時のことを聞いてみる。保養施設がどんなだったとか……なんか手がかりになるようなことが聞けるかも」
「……ありがとう、二人とも。俺はあいつが出られない代わりに魔物討伐の任務とか増やさないといけないから、あまり戻れないかもしれない。ギルドマスターとかにはグレンは病気で伏せってるとでも言っておくとして……レイチェルにはどう言ったものか」
「……やっぱ病気だって言っとくしかねえけど、隠し通せるもんじゃねえな。アイツそんな察し悪い方じゃねえし」
「コソコソされるのは嫌いだもんな。今週来ないのは、運が良かったと言うべきか……」
「あの子が来るまでに、何か糸口が一つでも見つかっていればいいのですけれど」
「…………」
そんなものがあるんだろうか。
諦めないでくれとか希望を捨てないでとか信用してくれとか言ってみたものの、実際今の状況は絶望的だ。
物心ついた頃から今までに蓄積した憎しみのその果てに、闇に墜ちたグレン。
アイツ大丈夫なんだろうか。
砦を出る時には消えていたが、あの子供の姿の黒い影はまたグレンに縋り付き「どうしてどうして」と繰り返しているんだろうか。
オレは悪夢をたくさん見た。夢か現実か分からない光景が目の前に広がって、どんどん黒いぬかるみに沈んでいった。
アイツもそうなるのか。
もう闇に堕ちているというなら、せめて眠る間くらいは闇から解放して、楽にさせてやって欲しい――。
「隊長……もしかして、ここからいなくなるおつもりでしたか? 駄目です、そんなの……」
「……ベル」
「あたし、あたしはここに来て、楽しいことばかりで……『回復魔法なんかよりお菓子作りの方が大事』って隊長が言ってくれたの、とても嬉しかったんです。隊長にとっては、何でもない発言でしたでしょうけど、でもあたしは、それでちょっと救われたんです。あたしだけじゃない、ジャミル君もカイルさんもルカもフランツも、この砦の集まりがなかったらみんな少しずつ何かが足りなくて、何かがずれていて……でもそれが何か分からないまま過ごしていました。それなのに隊長だけが救われないなんて、そんなこと、そんなの、あたしは嫌です……」
「…………」
「……今は、ただ休んで、そして立ち直り方を考えましょう。赤眼の人みんなが誰一人復帰せず処断されたなんてことないはずです。ですから……」
「ベルナデッタ」
「ですからどうか、絶望しないでください……希望を、捨てないでください……」
全て言い切ったのか、ベルはすすり泣くだけになってしまった。
肩に手を置くと、そのままオレの肩に顔をくっつけて泣き続ける。
「オレは、あんたに出会ってなかったらどうなってたか分からない。下手すりゃ死んでたかもしれねえ……あんたは『何もしてない』って言うけど、そんなことはない。オレは助かったのにあんたは助からずに投獄されるなんて、そんなことオレは納得できねえ。できることはするから……諦めないでくれよ」
――オレがあの黒い剣を持っていた時のことをグレンは「君がそのうち堕ちていくまで見なければならないのかと思って憂鬱だった」と言っていた。今ならそれが分かる。全く同じ気分だ。
「二人の言う通りだ……境遇のせいで色々と疑心暗鬼になるのは分かるが、少しは仲間を信じて欲しい。……『赤眼になって危険だから憲兵に引き渡しました』なんて、俺はそんなことを親方やレイチェルにはとても告げられない」
「……!」
レイチェルの名前を聞いて、力なくだらりと下ろしている手がピクリと反応する。
その手をテーブルの上に置き直し、祈るように両手を組み合わせギリギリと握った。
「頼む……レイチェルは……レイチェル、だけには……」
「……分かってる。でも、いずれ分かることだぞ。告げるのが遅れれば遅れるほど、あの子も傷つく。それは頭に入れておけよ」
「…………ああ」
ぼそりと返事をした後、グレンは気怠げに立ち上がり、ヨタヨタと歩んで食堂を出ようとする。
「おい大丈夫……じゃないな。部屋で寝てろよ」
「いや。今日は一旦帰る。荷造りをして……また明日ここへ来る」
「そうか」
「……カイル」
「ん?」
食堂の扉の取手に手をかけながら、グレンがカイルに声をかける――後ろ姿で、表情は伺い知れない。
「誤解を与えて、悪かった。別にお前のことを信用していないわけじゃないし、冷血とも思っていない」
「……そうか」
「……お前がいなかったなら……俺の人生はもっと……破滅的な方向へ行っていた。"カラス"を続けていただろうし、そのうち野盗やならず者になっていた。お前の存在は……救いだった」
「……っ、馬鹿野郎……そんな遺言みたいなのやめろよ、縁起でもない……!」
「すまない。そのうちに……自我がなくなってしまうかもしれないと、思って」
ドアを開けてグレンが出ていく。
少ししてからカイルが机を叩き、そのまま机に突っ伏した。ベルはオレの肩でずっとすすり泣いたまま。
食堂のテラスから、中庭を挟んで廊下を歩いていくグレンが見える。
「……ベル、悪い。オレ、ちょっと……」
「え……?」
「すぐ戻るから」
オレは食堂を出て、グレンを追いかけた――さっきはヨタヨタとしていたのに、足が早い。もう、砦を出るところだ。
「……グレン!」
「ジャミルか……いつかと、立場が逆になったな」
「そう、だな……。あの、送ってってやろうか?」
「いや、大丈夫だ。転移魔法があるから。それに少し寄りたい所がある」
「そっか」
肩にいるウィルが羽ばたいてグレンの肩に止まると、グレンは表情なくウィルの胸元を指で撫で口を開いた。
「……ウィル」
「え……名前、言えるのか」
使い魔のウィルの名前は、基本的に主人であるオレしか呼べない。唯一、ルカだけは呼べたが――。
「よく分からないが、魔力が高まっているらしい……転移魔法も、連発しても疲労がない」
「そうなのか」
「ウィルが剣だった時に言っていた……『心根のまっすぐな人間のわずかな心の闇を刺激して堕とすのが楽しい』と」
「……悪趣味だ」
「それで……『お前はこっち側の人間だから堕とす必要性がない』とも」
「…………」
「……もう、闇魔法の研究に没頭するのはやめたのか」
「え? いや、研究は続けてる……前ほど、躍起になってないだけで。ちょっと前まではなんかこう……渇望してる感じがあったんだけど」
「渇望……」
単語を復唱したあと、グレンは自分の手のひらを見ながら握るような動作をする。
「俺は……こうなった以上、もうレイチェルのそばにはいてはいけないと思っている」
「え、おい……」
「確かに、そう思っているのに……離れる気が起きない。どこにもやりたくない、誰にも渡したくない、ずっとこの腕の中に閉じ込めていたいとすら……思う」
「……」
テオ館長の奥さんの手記の一節が頭をよぎる。
――足りない、足りない、私はずっと足りていない。
――醜い自分はあの人にふさわしくない、だけど欲しい、彼は私のもの。
「……なんとなく……分かるよ、それ」
「……そうか。ありがとう」
「……うん」
何に対しての礼なのかよく分からないが、受け入れておいた。
「じゃあ、俺は帰るから……ほら、主人の所に戻れ」
ウィルがオレの所に舞い戻ってくる。それを見届けたグレンはこちらに背を向け、転移魔法で消えていった。
◇
「……これからどうする?」
「……そうだな……」
グレンを見送ったあと、今後のことを3人で考えていた。
カイルは冷めきったピラフをまた食っている。冷や飯でも食らっていたい気分だそうだ。
「とりあえず、あたしは砦に光の防護魔法をかけますわ。保養施設にもある光の魔石も用意しましょう、それで少しでも楽になるようにします」
「オレは闇堕ちしかかった友達に、その時のことを聞いてみる。保養施設がどんなだったとか……なんか手がかりになるようなことが聞けるかも」
「……ありがとう、二人とも。俺はあいつが出られない代わりに魔物討伐の任務とか増やさないといけないから、あまり戻れないかもしれない。ギルドマスターとかにはグレンは病気で伏せってるとでも言っておくとして……レイチェルにはどう言ったものか」
「……やっぱ病気だって言っとくしかねえけど、隠し通せるもんじゃねえな。アイツそんな察し悪い方じゃねえし」
「コソコソされるのは嫌いだもんな。今週来ないのは、運が良かったと言うべきか……」
「あの子が来るまでに、何か糸口が一つでも見つかっていればいいのですけれど」
「…………」
そんなものがあるんだろうか。
諦めないでくれとか希望を捨てないでとか信用してくれとか言ってみたものの、実際今の状況は絶望的だ。
物心ついた頃から今までに蓄積した憎しみのその果てに、闇に墜ちたグレン。
アイツ大丈夫なんだろうか。
砦を出る時には消えていたが、あの子供の姿の黒い影はまたグレンに縋り付き「どうしてどうして」と繰り返しているんだろうか。
オレは悪夢をたくさん見た。夢か現実か分からない光景が目の前に広がって、どんどん黒いぬかるみに沈んでいった。
アイツもそうなるのか。
もう闇に堕ちているというなら、せめて眠る間くらいは闇から解放して、楽にさせてやって欲しい――。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
仕事で疲れて会えないと、恋人に距離を置かれましたが、彼の上司に溺愛されているので幸せです!
ぽんちゃん
恋愛
――仕事で疲れて会えない。
十年付き合ってきた恋人を支えてきたけど、いつも後回しにされる日々。
記念日すら仕事を優先する彼に、十分だけでいいから会いたいとお願いすると、『距離を置こう』と言われてしまう。
そして、思い出の高級レストランで、予約した席に座る恋人が、他の女性と食事をしているところを目撃してしまい――!?
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる