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第二章
下準備⑧
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「いいですか?あなたはまた木本先生が泣いていたら慰めたくなる。彼に抱きつくと、何故だか無性に性的興奮を覚えます」
「木本せんせい、だきつくと、性的、興奮‥?」
少し顔を歪めた。彼女の中で結びついていないのだろう。
アプリを一度閉じ、再び起動しSTARTボタンを押し彼女に見せる。
「あなたは先ほど、木本先生に抱きついて気持ちよかった」
「きもち、よかった‥はぁ」
先ほどのようなとろける顔になる。
「それが、性的興奮です。いつも彼氏とするセックスと同じくらいの快感。彼に抱きつくとあなたの敏感なところが反応して、気持ちよくなる」
「彼との、セックス‥びんかん、きもちよく‥っん」
顔が紅潮してき、少し息が荒くなる。
俺は興奮する気持ちを抑える事に必死だった。
「しかし、涙を流していない時は、彼は癒されていない。それはいやですよね?」
「‥はい。いやです」
「何としてでも彼を癒したいあなたは、木本先生の望むことは何でもしたくなる。彼を救いたい。その一心でどんな要求でも受け入れますよ」
「きもと先生‥どんな、要求、はい」
大きな音を鳴らし、木本と真野を覚醒させる。
普段通りに戻った二人は、不思議そうに首を傾げている。
しかし、二人して顔を赤くさせた。
まさか‥覚えているのか?
「二人とも、どうしました?顔が赤いですが」
「そ、そうですか?でも、確かにちょっと熱いかも」
「僕も、なんだか少し‥」
記憶には残っていないようだが、感覚は残っているのかもしれない。
何にせよ、これでやりたい事の下準備を終えた。
あとは、機会を待つだけだ。
理由もわからず照れている二人を見て、これはこれでいいものだなとふと思った。
———
——
—
「さて、新学期早々とはなるが、今日は皆に考えてもらいたい事がある。相川、分かるか?」
「え?えっと、中間テストの事ですか?」
「それも大切だが、もっと大切な事だ。夏休み前にある先帝高校の一大行事‥はい、風花」
手を挙げた風花を指名する。彼女は立ち上がり、抑揚のない声で「文化祭ですよね」と答えた。
「そうだ。ありがとう」
すんっとした態度は、助け舟を出したというよりは、無駄な問答はいらないから早く進めろ、という事だろう。
俺がこのクラスを担当してからもう一ヶ月になる。
下準備は着々と進んでおり、このクラスのランクが低い生徒はもう催眠下にある。
しかしまだまだ問題は山積みだ。
☆4の保科。
☆3の風花。
そしてなにより、一ノ瀬詩。
彼女はこの学校内で唯一の☆5。
一言も彼女に関しては???と出ており、そもそも催眠にかかるのかどうかも怪しい。
江口からのメッセージには、☆5は諦めたほうがいいと書いてあったが。
「先生。進めて下さい」
風花のキツい言い回しに現実に引き戻される。
「あぁ、すまん。さて、夏休み前に行われる文化祭の出し物をみんなで何をするのか考えてくれ。司会を、そうだな‥一ノ瀬」
一ノ瀬は冷たい目線で俺を一瞥し、また窓の外を眺めた。
俺は近づいて彼女に笑いかける。
「お願いできるか?」
「会長がやるなら、私が」
またもや風花が立ち上がるが、俺はその言葉を無視し一ノ瀬に語りかける。
「お前がやった方が、効率がいい」
その言葉に、はぁ、とため息をつき、長い髪を揺らしながら教卓に向かった。
「始めます」と全体を見渡して言うと、ピリッと空気に変わる。
「まずは見通しを立てましょう。今回の文化祭も順位が発表され、それが成績に反映されますので半端は出来ない。ただし、そればかりに気を取られ本業が疎かになってもいけない。バランスを考えながらやりましょう」
凛とした態度でそういう彼女に、クラス全体が頷いた。
もうこいつが教師をやった方がいいんじゃないか?と苦笑いをする。
一ノ瀬の司会を元に、話は進んでいく。
ピリッとした空気はあるも、時折笑いも漏れ楽しそうだ。
‥いいじゃないか。
少し、暖かい気持ちに包まれた。
しかし、一ノ瀬を見ていると別の感情に支配される。
この女もいずれは‥。
そうだ、今日はこの後お楽しみもある。
俺は湧き上がる興奮を抑え、クラスの様子を見守った。
「木本せんせい、だきつくと、性的、興奮‥?」
少し顔を歪めた。彼女の中で結びついていないのだろう。
アプリを一度閉じ、再び起動しSTARTボタンを押し彼女に見せる。
「あなたは先ほど、木本先生に抱きついて気持ちよかった」
「きもち、よかった‥はぁ」
先ほどのようなとろける顔になる。
「それが、性的興奮です。いつも彼氏とするセックスと同じくらいの快感。彼に抱きつくとあなたの敏感なところが反応して、気持ちよくなる」
「彼との、セックス‥びんかん、きもちよく‥っん」
顔が紅潮してき、少し息が荒くなる。
俺は興奮する気持ちを抑える事に必死だった。
「しかし、涙を流していない時は、彼は癒されていない。それはいやですよね?」
「‥はい。いやです」
「何としてでも彼を癒したいあなたは、木本先生の望むことは何でもしたくなる。彼を救いたい。その一心でどんな要求でも受け入れますよ」
「きもと先生‥どんな、要求、はい」
大きな音を鳴らし、木本と真野を覚醒させる。
普段通りに戻った二人は、不思議そうに首を傾げている。
しかし、二人して顔を赤くさせた。
まさか‥覚えているのか?
「二人とも、どうしました?顔が赤いですが」
「そ、そうですか?でも、確かにちょっと熱いかも」
「僕も、なんだか少し‥」
記憶には残っていないようだが、感覚は残っているのかもしれない。
何にせよ、これでやりたい事の下準備を終えた。
あとは、機会を待つだけだ。
理由もわからず照れている二人を見て、これはこれでいいものだなとふと思った。
———
——
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「さて、新学期早々とはなるが、今日は皆に考えてもらいたい事がある。相川、分かるか?」
「え?えっと、中間テストの事ですか?」
「それも大切だが、もっと大切な事だ。夏休み前にある先帝高校の一大行事‥はい、風花」
手を挙げた風花を指名する。彼女は立ち上がり、抑揚のない声で「文化祭ですよね」と答えた。
「そうだ。ありがとう」
すんっとした態度は、助け舟を出したというよりは、無駄な問答はいらないから早く進めろ、という事だろう。
俺がこのクラスを担当してからもう一ヶ月になる。
下準備は着々と進んでおり、このクラスのランクが低い生徒はもう催眠下にある。
しかしまだまだ問題は山積みだ。
☆4の保科。
☆3の風花。
そしてなにより、一ノ瀬詩。
彼女はこの学校内で唯一の☆5。
一言も彼女に関しては???と出ており、そもそも催眠にかかるのかどうかも怪しい。
江口からのメッセージには、☆5は諦めたほうがいいと書いてあったが。
「先生。進めて下さい」
風花のキツい言い回しに現実に引き戻される。
「あぁ、すまん。さて、夏休み前に行われる文化祭の出し物をみんなで何をするのか考えてくれ。司会を、そうだな‥一ノ瀬」
一ノ瀬は冷たい目線で俺を一瞥し、また窓の外を眺めた。
俺は近づいて彼女に笑いかける。
「お願いできるか?」
「会長がやるなら、私が」
またもや風花が立ち上がるが、俺はその言葉を無視し一ノ瀬に語りかける。
「お前がやった方が、効率がいい」
その言葉に、はぁ、とため息をつき、長い髪を揺らしながら教卓に向かった。
「始めます」と全体を見渡して言うと、ピリッと空気に変わる。
「まずは見通しを立てましょう。今回の文化祭も順位が発表され、それが成績に反映されますので半端は出来ない。ただし、そればかりに気を取られ本業が疎かになってもいけない。バランスを考えながらやりましょう」
凛とした態度でそういう彼女に、クラス全体が頷いた。
もうこいつが教師をやった方がいいんじゃないか?と苦笑いをする。
一ノ瀬の司会を元に、話は進んでいく。
ピリッとした空気はあるも、時折笑いも漏れ楽しそうだ。
‥いいじゃないか。
少し、暖かい気持ちに包まれた。
しかし、一ノ瀬を見ていると別の感情に支配される。
この女もいずれは‥。
そうだ、今日はこの後お楽しみもある。
俺は湧き上がる興奮を抑え、クラスの様子を見守った。
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