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異世界生活1日目の話をしよう。5
しおりを挟む見事に痛いところを突かれてしまった。
どうにか有耶無耶に出来るかもしれないと思っていたのだけれど、子供一人で国を渡って来たというには、やはり少しばかり無理があるようだ。
普通はそうだよね。
逆の立場だったら僕だって、え!大丈夫なの?って思うもんな。
でもさっき、護衛はどうした?って聞かれたよね。この世界、護衛とかいるんだな…。申し訳ないけれど、この際、それを利用させて貰おう。
僕は嘘を付くのは得意ではないのだけれど…致し方なく"護衛の人はもともといたが、少し前に別れた"という話にすることにした。
「あの…僕、両親はいないんです。それに従者って御付きの人とかそういう方のことですよね?一般人ですので、そういう人はいません。護衛の方は…もともとはいたんですけど、この国に着いた時に別れまして、今は僕一人です」
これはあくまでも僕の勘なのだけれど、おそらくこの二人は良い人な気がするんだ。然り気無く気を遣ってくれるところにも優しさが伺えるし、純粋に僕のことを心配して聞いてくれている気がしたのだ。
だからそんな二人に嘘を付くのは、内心とても心苦しかったのだけれど…とりあえず今はそう誤魔化す他ない。
「嘘だろ、信じらんねぇ…お前、それでよく今まで無事だったな」
??
確かに森の中は広そうなので、うっかり脇道にでも迷い込めば危険かもしれないが、今いる平坦な道を真っ直ぐ歩いている分には特に危険なんてないのでは?
「無事って…?僕、さすがによく知らない森で脇道に入る様な無謀なことはしませんけど…?」
僕は今まで歩いて来た道を振り返りつつ、首を傾げる。
二人はそんな僕を見て、呆れた様な顔をして、揃ってハァ…と息を吐いた。
……なんか、思いっきりため息つかれたんですけど?
二人の顔を交互に見つめる僕に、青髪のお兄さんがとんでもないことを言い出した。
「君は知らないようだが…脇道に入らずとも、この森には魔物も盗賊も出る。君の様な子が一人でのこのこ歩いていたら、それこそ格好の餌食だぞ」
「えぇ!?嘘!?なにそれ、恐い…」
そんな情報、神様から聞いてないよ!?
「……んなことで嘘なんかついたって、意味ねぇだろが。今まではたまたま運が良かったんだな。お前、この先の街を目指して来たんだろ?とりあえず、俺達と一緒に来るか…?」
さっきまで探検家気分でご機嫌だった筈の僕は、すっかりこの森が恐くなってしまって、赤毛のお兄さんのその素晴らしい提案に一も二もなく飛び付いたのであった。
そして、数分後。
僕達は三人で街の方へと向かいながら、交流を深め合っていた。
僕の右隣には赤毛のお兄さん。その隣に青髪のお兄さんという位置取りだ。
「改めまして…さっきもお伝えしましたが、僕はイク・カザトと申します。僕のことは"イク"でも、"カザト"でも、お好きに呼んで下さい」
僕はそう言って、二人にへらりと笑って見せた。
どんな時でも愛想笑い。これ大事。
「「!」」
ん?
なんで二人ともびっくりしてるの?
「~…あぁ、わかった。俺はエル。こっちはレニーだ」
なんとなく僕に何か言いたげな視線を向けていたが、エルさんは特に何も言わず、そのまま隣のレニーさんをまるでヒッチハイクする時みたいに、右手の親指で指し示して紹介した。
「宜しくな、イク」
エルさんの紹介に、レニーさんはにこりと微笑む。
「はい、宜しくお願いします!」
レニーさんって落ち着いてて、なんだか安心するなぁ…
「ところで…イク。お前、歳はいくつだ?」
エルさんが興味津々といった表情を隠しもせずに問い掛けてくる。
「僕は十二です。エルさんとレニーさんはおいくつなんですか?」
「そうか。俺が十八で、こいつが十きゅ……って、はぁ!?ちょっ…待て待て!お前、今、十二っつったか!?マジかよ…マージんとこの弟と一緒じゃねぇか。八歳くらいかと思ってたぞ…あと三年で成人…見えねぇ~…」
僕の歳を聞いたエルさんは今日一番なんじゃないかと思えるくらい大袈裟に驚き、そう宣った。
む!八歳っていったら小学二年生くらいじゃないか。
僕はそんなに子供じゃないぞ!
エルさんの失礼な発言に僕はすっかりむくれてしまったのだった。
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