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三十二話 ひまわりの種
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その時であった。
アリシアは自分の胸のあたりが温かなことに気づき、首から下げていた小さな袋を取り出した。
その中には、以前魔女の美しい相棒の魚からもらったひまわりの種のようなものが入っている。
『何?』
アリシアがそれを取り出した瞬間、種が震える。
『きゃっ!』
アリシアは驚き種を落とすと、落ちたひまわりの種はぽんっと芽を出すと、弦が伸び始め、真っ暗な空間を緑で覆いつくしていく。
『わぁっ』
上下左右関係なく緑で覆いつくしそして美しいひまわりの花が咲き始めた。
風がないように揺れるそれは美しく、アリシアが呆然と見つめているとひまわりの花はまるで太陽のように美しく輝き、暗い空間を照らしていく。
『一体、どうなっているの?』
アリシアがそう呟いた時、画面が揺れた。
『あっ……? え? 魔女様?』
画面に現れたのは銀色のローブの棘の魔女とアルベルトであり、魔女は楽しげに笑いながら偽アリシアの体を棘のない弦のようなもので拘束すると、セオに向かっていった。
「来たか。アリシアの様子がおかしい。何か心当たりはないか」
「突然騎士をよこし呼び出したかと思えば、なるほどね。アリシアは魂を抜かれたみたいね」
セオは眉間にしわを寄せる。
アリシアはその光景を見つめながら、目を見開いた。
「でも、貴方よくアリシアが本物ではないとわかったわね」
その言葉にセオは不愉快そうに顔を歪めて言った。
「アリシアは私の侍女であり最愛の人だ。分からない方がおかしい」
「あらあらお熱いこと。でも具体的には何が違ったの?」
セオは何故言わなければならないのかという雰囲気ではあるが、魔女を頼る以上しょうがないと判断したのか口を開いた。
「私の上着は汚れていた。しかしアリシアはそれを掛けた。通常のアリシアであればすぐに対応する。それに最近のアリシアは私のことを意識しすぎるが故に口元が可愛らしく緩む。後、私が視線をそらしている間、彼女は私のことをいつも食い入るように見つめている。それが彼女の習慣だ。彼女は私を常に見つめる癖がある」
ばれていたのか。
アリシアは両手で顔を覆ってうずくまった。
セオに食い入るようにいつもご尊顔を見つめていたことがばれていたなど、知りたくなかった。しかも私は口元が緩んでいただろうか。
自分の失態が恥ずかしくて身もだえていると、画面の中の棘の魔女は楽しそうに笑い声をあげる。
「まぁまぁ! なるほどねぇ。愛の力は偉大だということがよく分かったわ。まぁでも私が来たのだからもう大丈夫よ。すぐに魂を引き戻してあげる」
魔女がそういうと相棒の魚が彼女の横ではねた。
するとそこに小さなひまわりの芽が姿を現す。
「よし。道が繋がったようね。彼女に種を渡していて正解だったわね」
「アリシアは無事なのか」
「えぇもちろん。さぁ、道を開くわよ」
だがしかし、魔女が道を開こうとした瞬間セオと魔女のいた部屋が暗闇に包まれる。
「なっ!? この力……まさか」
棘の魔女の顔色がどんどんと悪いものへと変わっていった。
★★★★
体調がだいぶ回復してまいりました!
皆様の応援のおかげです。
更新できるように頑張っていこうと思います!
作者 かのん
アリシアは自分の胸のあたりが温かなことに気づき、首から下げていた小さな袋を取り出した。
その中には、以前魔女の美しい相棒の魚からもらったひまわりの種のようなものが入っている。
『何?』
アリシアがそれを取り出した瞬間、種が震える。
『きゃっ!』
アリシアは驚き種を落とすと、落ちたひまわりの種はぽんっと芽を出すと、弦が伸び始め、真っ暗な空間を緑で覆いつくしていく。
『わぁっ』
上下左右関係なく緑で覆いつくしそして美しいひまわりの花が咲き始めた。
風がないように揺れるそれは美しく、アリシアが呆然と見つめているとひまわりの花はまるで太陽のように美しく輝き、暗い空間を照らしていく。
『一体、どうなっているの?』
アリシアがそう呟いた時、画面が揺れた。
『あっ……? え? 魔女様?』
画面に現れたのは銀色のローブの棘の魔女とアルベルトであり、魔女は楽しげに笑いながら偽アリシアの体を棘のない弦のようなもので拘束すると、セオに向かっていった。
「来たか。アリシアの様子がおかしい。何か心当たりはないか」
「突然騎士をよこし呼び出したかと思えば、なるほどね。アリシアは魂を抜かれたみたいね」
セオは眉間にしわを寄せる。
アリシアはその光景を見つめながら、目を見開いた。
「でも、貴方よくアリシアが本物ではないとわかったわね」
その言葉にセオは不愉快そうに顔を歪めて言った。
「アリシアは私の侍女であり最愛の人だ。分からない方がおかしい」
「あらあらお熱いこと。でも具体的には何が違ったの?」
セオは何故言わなければならないのかという雰囲気ではあるが、魔女を頼る以上しょうがないと判断したのか口を開いた。
「私の上着は汚れていた。しかしアリシアはそれを掛けた。通常のアリシアであればすぐに対応する。それに最近のアリシアは私のことを意識しすぎるが故に口元が可愛らしく緩む。後、私が視線をそらしている間、彼女は私のことをいつも食い入るように見つめている。それが彼女の習慣だ。彼女は私を常に見つめる癖がある」
ばれていたのか。
アリシアは両手で顔を覆ってうずくまった。
セオに食い入るようにいつもご尊顔を見つめていたことがばれていたなど、知りたくなかった。しかも私は口元が緩んでいただろうか。
自分の失態が恥ずかしくて身もだえていると、画面の中の棘の魔女は楽しそうに笑い声をあげる。
「まぁまぁ! なるほどねぇ。愛の力は偉大だということがよく分かったわ。まぁでも私が来たのだからもう大丈夫よ。すぐに魂を引き戻してあげる」
魔女がそういうと相棒の魚が彼女の横ではねた。
するとそこに小さなひまわりの芽が姿を現す。
「よし。道が繋がったようね。彼女に種を渡していて正解だったわね」
「アリシアは無事なのか」
「えぇもちろん。さぁ、道を開くわよ」
だがしかし、魔女が道を開こうとした瞬間セオと魔女のいた部屋が暗闇に包まれる。
「なっ!? この力……まさか」
棘の魔女の顔色がどんどんと悪いものへと変わっていった。
★★★★
体調がだいぶ回復してまいりました!
皆様の応援のおかげです。
更新できるように頑張っていこうと思います!
作者 かのん
応援ありがとうございます!
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