22 / 31
第二十一話
しおりを挟む
「じゃあ行くわよ。」
「作戦は?」
「正面突破!」
「素敵な作戦ね!」
「私の背中に乗ってちょうだい。」
「え・・・いいの?じゃあ・・・はい。」
アイスの背に乗ったときであった。突如としてアイスの体が変化し始め気がつくと巨大な白く美しい竜へと変化した。
その肌は鱗で覆われながらも思っていたよりも柔らかかった。フェイナはその背に乗り、翼で守られながら納屋を突き破るアイスの力に驚いていた。
「ねぇ!わたくしは何から貴方を守ればいいの?」
「あれよ!」
フェイナが見たのは思いかげない物であった。
「ねぇ・・・・あれ?」
「ええ。あれ。」
二人はあれを見つめていた。
フェイナはもう一度だけ、アイスに確かめた。
「本当に、あれ?」
「間違いなく、あれよ。」
それは、フェイナにとっては何の変哲もない、別段嫌いになる要因も無いものであった。
けれど、本気でアイスは嫌がっている様子であった。
納屋の外で見張っていた男達は、竜が出てきたことによって驚いた様子ではあったがすぐにそれを手にして竜に応戦しようとしていた。
「フェイナ!あれはなんなの?本当に嫌なのよ!」
フェイナは言った。
「もうちょっと首のほうに座っていい?・・あと、耳って・・・ここ?」
「え?いいけど・・・うん。耳はそこよ。」
フェイナは静かに座る位置を移動すると、アイスの耳を塞いだ。
「楯っていうか、耳栓ね。」
「え?なんて?それより早く楯になって!どういうわけか、頭が割れるような衝撃波が飛んでくるのよ。あれ、人間には効かないんでしょ?」
「いや、多分これ耳塞げば十分だと思うわ。ね?」
「貴方何をしたの?全然頭が痛くないわぁぁぁ!」
フェイナはなんとも言えなかった。
“あれ”とは、何の変哲もない鈴であった。小さな子どもたちがよく手にもってリンリンならしている本当にただの鈴である。
リンリン・・まあたしかに煩くなって入るが、フェイナは気が抜けてなんとも言えない。
「すっごい。すっごい!フェイナ私大丈夫よ!」
「あー。よかったわねぇ。貴方何気にわたくしのこと名前呼び捨て?・・あー。もういいわ。それより、飛べるならもうこのまま逃げたら良いじゃない!」
「え?なんか言った?」
フェイナは指を少し外すともう一度同じことを言った。アイスは頷くと空へと飛び上がった。フェイナはこんなに高くまで空を飛んだ事がなかった。
地面がどんどんと遠ざかり、鈴の音もそれとともに小さくなっていく。
フェイナは鈴の音が聞こえない所まで来ると、アイスの耳から手を放した。そして首に抱きつき、振り落とされないように力を入れた。
「ちょっと・・・あんまり強く抱きつかないで。苦しいわ。」
「あ・・・ごめんなさい。」
「それにしても・・すごいわね。あんなに頭に衝撃のくるものをよく人間は平気なものだわ。」
「そんなに痛いの?」
今一真実味がなく、フェイナはそう尋ねた。けれど、アイスにとってはその質問のほうが信じられない様子である。
「頭が割れそうになるのよ。あんな状態で空には飛び上がれないわ。貴方を誘拐しようとして逆に誘拐された時なんて私意識を失ったのよ?」
そこまでの衝撃が、あのリンリンと楽しげな鈴から放たれていると思うと、少しフェイナは鈴というものが恐ろしくなった。
だが、今はそんなことより頬をかすめていく冷たい風と、下に広がるフリュンゲル国全土の風景に意識は向ってしまう。
空から見ると、本当にフリュンゲル国が豊かな国であることが分かる。
「あれがわたくしの暮らしているエデンよ。」
フェイナはアイスにそう言い、指を指した。だが、アイスにはそんなこと興味がないようであった。
アイスはできるだけ安定させながら空を飛んでいた。人間を乗せて飛ぶのは初めてであり、中々バランスをとるのが難しかったのである。
「あなた重いわね。」
思わずそう口にすると、フェイナは少し怒ったような口調で言った。
「太ってないわよ!これでも食事には気を使っているんだから・・・まあ・・・最近は魚ばっかりだったけど・・」
「私魚好きよ。あとやっぱり甘い物はなんでも好き。」
「わたくしも!甘い物ってどうしてあんなに美味しいんでしょうね。」
「本当にねぇ・・私自分で果物のタルトとか焼くんだけど今一上手く焼けないのよねぇ。」
「すごい!わたくし自分で料理作ったことないの・・うらやましいわ。」
「はぁ?・・・ならうちで一緒に作りましょうよ。」
「本当に!ありがとうアイス!わたくしは貴方のことが好きになりそうだわ。」
「好きになってよ。あ・・・誘拐犯が言う台詞じゃないわね。」
「本当ね!」
二人は声を上げて笑い合った。
互いに気が会う事が分かり、それからの話は弾んだ。特に、アイスが今片思いしている相手との恋愛話が中心となり、フェイナは初めて女の子とこんなに話をする事が出来て心がウキウキと弾んでいるのを感じていた。けれど不意に眠気が遅い、いつの間にか眠ってしまっていた。
「作戦は?」
「正面突破!」
「素敵な作戦ね!」
「私の背中に乗ってちょうだい。」
「え・・・いいの?じゃあ・・・はい。」
アイスの背に乗ったときであった。突如としてアイスの体が変化し始め気がつくと巨大な白く美しい竜へと変化した。
その肌は鱗で覆われながらも思っていたよりも柔らかかった。フェイナはその背に乗り、翼で守られながら納屋を突き破るアイスの力に驚いていた。
「ねぇ!わたくしは何から貴方を守ればいいの?」
「あれよ!」
フェイナが見たのは思いかげない物であった。
「ねぇ・・・・あれ?」
「ええ。あれ。」
二人はあれを見つめていた。
フェイナはもう一度だけ、アイスに確かめた。
「本当に、あれ?」
「間違いなく、あれよ。」
それは、フェイナにとっては何の変哲もない、別段嫌いになる要因も無いものであった。
けれど、本気でアイスは嫌がっている様子であった。
納屋の外で見張っていた男達は、竜が出てきたことによって驚いた様子ではあったがすぐにそれを手にして竜に応戦しようとしていた。
「フェイナ!あれはなんなの?本当に嫌なのよ!」
フェイナは言った。
「もうちょっと首のほうに座っていい?・・あと、耳って・・・ここ?」
「え?いいけど・・・うん。耳はそこよ。」
フェイナは静かに座る位置を移動すると、アイスの耳を塞いだ。
「楯っていうか、耳栓ね。」
「え?なんて?それより早く楯になって!どういうわけか、頭が割れるような衝撃波が飛んでくるのよ。あれ、人間には効かないんでしょ?」
「いや、多分これ耳塞げば十分だと思うわ。ね?」
「貴方何をしたの?全然頭が痛くないわぁぁぁ!」
フェイナはなんとも言えなかった。
“あれ”とは、何の変哲もない鈴であった。小さな子どもたちがよく手にもってリンリンならしている本当にただの鈴である。
リンリン・・まあたしかに煩くなって入るが、フェイナは気が抜けてなんとも言えない。
「すっごい。すっごい!フェイナ私大丈夫よ!」
「あー。よかったわねぇ。貴方何気にわたくしのこと名前呼び捨て?・・あー。もういいわ。それより、飛べるならもうこのまま逃げたら良いじゃない!」
「え?なんか言った?」
フェイナは指を少し外すともう一度同じことを言った。アイスは頷くと空へと飛び上がった。フェイナはこんなに高くまで空を飛んだ事がなかった。
地面がどんどんと遠ざかり、鈴の音もそれとともに小さくなっていく。
フェイナは鈴の音が聞こえない所まで来ると、アイスの耳から手を放した。そして首に抱きつき、振り落とされないように力を入れた。
「ちょっと・・・あんまり強く抱きつかないで。苦しいわ。」
「あ・・・ごめんなさい。」
「それにしても・・すごいわね。あんなに頭に衝撃のくるものをよく人間は平気なものだわ。」
「そんなに痛いの?」
今一真実味がなく、フェイナはそう尋ねた。けれど、アイスにとってはその質問のほうが信じられない様子である。
「頭が割れそうになるのよ。あんな状態で空には飛び上がれないわ。貴方を誘拐しようとして逆に誘拐された時なんて私意識を失ったのよ?」
そこまでの衝撃が、あのリンリンと楽しげな鈴から放たれていると思うと、少しフェイナは鈴というものが恐ろしくなった。
だが、今はそんなことより頬をかすめていく冷たい風と、下に広がるフリュンゲル国全土の風景に意識は向ってしまう。
空から見ると、本当にフリュンゲル国が豊かな国であることが分かる。
「あれがわたくしの暮らしているエデンよ。」
フェイナはアイスにそう言い、指を指した。だが、アイスにはそんなこと興味がないようであった。
アイスはできるだけ安定させながら空を飛んでいた。人間を乗せて飛ぶのは初めてであり、中々バランスをとるのが難しかったのである。
「あなた重いわね。」
思わずそう口にすると、フェイナは少し怒ったような口調で言った。
「太ってないわよ!これでも食事には気を使っているんだから・・・まあ・・・最近は魚ばっかりだったけど・・」
「私魚好きよ。あとやっぱり甘い物はなんでも好き。」
「わたくしも!甘い物ってどうしてあんなに美味しいんでしょうね。」
「本当にねぇ・・私自分で果物のタルトとか焼くんだけど今一上手く焼けないのよねぇ。」
「すごい!わたくし自分で料理作ったことないの・・うらやましいわ。」
「はぁ?・・・ならうちで一緒に作りましょうよ。」
「本当に!ありがとうアイス!わたくしは貴方のことが好きになりそうだわ。」
「好きになってよ。あ・・・誘拐犯が言う台詞じゃないわね。」
「本当ね!」
二人は声を上げて笑い合った。
互いに気が会う事が分かり、それからの話は弾んだ。特に、アイスが今片思いしている相手との恋愛話が中心となり、フェイナは初めて女の子とこんなに話をする事が出来て心がウキウキと弾んでいるのを感じていた。けれど不意に眠気が遅い、いつの間にか眠ってしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
(also @ なろう)
クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました
藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。
相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。
さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!?
「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」
星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。
「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」
「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」
ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や
帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……?
「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」
「お前のこと、誰にも渡したくない」
クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。
かつて聖女は悪女と呼ばれていた
朔雲みう (さくもみう)
児童書・童話
「別に計算していたわけではないのよ」
この聖女、悪女よりもタチが悪い!?
悪魔の力で聖女に成り代わった悪女は、思い知ることになる。聖女がいかに優秀であったのかを――!!
聖女が華麗にざまぁします♪
※ エブリスタさんの妄コン『変身』にて、大賞をいただきました……!!✨
※ 悪女視点と聖女視点があります。
※ 表紙絵は親友の朝美智晴さまに描いていただきました♪
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!
mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの?
ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。
力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる!
ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。
読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。
誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。
流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。
現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇
此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる