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24話
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罪を裁く議場にて、リアは裁判官が告げる言葉を沈黙で聞き続けた。
連行されて約一か月、いよいよ彼女の罪が下る。
「被告人が犯した罪は重く。処罰として死罪が相当として判断する」
結局、なにも変わらないとリアは息を吐く。
「後悔して生きていく人生を歩め」
そうヴィオラから聞いていたが、死罪という罰を受けるならどうしてまた生き返らせたのか。
そんな疑問を抱いたまま、罪状を聞いていた時だった。
「だが、被告人には協力を強要されたという情状酌量の余地がある。またその特異な力には有益性があるのも事実」
「っ……」
「加えて今回の判決、被害者の一人でもあるヴィオラ・カトレア様より……王国に対して有益のある判決を望むとの言葉も頂いている」
(ヴィオラさんが……?)
戸惑い気味に顔を上げたリアに、裁判官は再び罪状を言い渡した。
「よって、被告人の死罪という裁定は保留とし。特例として一時的な酌量処置を下す」
「と、特例……ですか」
「被告人は拘留のまま、その力の有益性を示す事で死罪の保留状態を続ける事とする」
死罪を免れるため、この力を使うとはどうやって?
そう問いかけようと思ったリアへと、裁判官は無表情のまま言葉を告げる。
「しかしこれは決して、温情処置ではない。そのため……被告人の有益性が無いと判断された場合は、処罰の執行を直ぐに行う」
「っ……」
「償って生きる道も、死ぬ道も今は貴方の手にある。どうか……冷静に考えてくださる事を切に願っている」
裁判官が告げた言葉の後、リアは騎士達に連行されていく。
そして、自らに課せられた責務を……説明された。
◇◇◇
……一年が経ち、季節が幾つか過ぎた時。
ある農村にて、数人の騎士に連行されたリアが医療所へと入っていく。
「ごほっ……ごほっ……」
「今日の患者は二名、感染症の疑いがある。迅速に行え」
「……はい」
リアは騎士に言われるがまま、寝台で咳き込む人達の近くに歩む。
そして、集中して魔力を込めて……彼らを蝕む病魔を癒していった。
「ごほっ…………」
「……あ、あれ」
徐々に楽な呼吸になっていく二人は、やがて苦しげな表情を穏やかにする。
苦しみが消えて、確かに楽になったのだ。
「もう……大丈夫のはずです」
「たすかった……って、あんた」
「おい……こいつ確か」
一人の男性が身体を起こして、リアを見つめる。
すると表情を一変させて瞳を鋭くし、寝台近くの花瓶を彼女へと投げた。
ガシャンと割れて、額から血を流すリアは黙って俯く。
「けがれた力で癒されても、胸糞悪いんだよっ!」
「……」
「俺たちの農村は、元王妃だったヴィオラ様に手厚い庇護を受けて感謝しかない。なのにあの人を嵌めた人間に救われても礼なんて言うつもりはない!」
背後に控えていた騎士の一人が「止めますか?」と小声でもう一人の上官騎士に呟く。
だが上官騎士は首を横に振って黙ったままだった。
なぜなら……
「本当に……ごめんなさい。私はなにを言われても、弁明のしようがない罪を犯したのは事実です」
花瓶を当てられて、額から血を流すリアは……床に膝をついて頭を下げる。
その姿勢に、怒りを現していた男性の言葉は詰まった。
「……っ。そうやって見せかけで謝罪されても、響くものはない」
「それでも、誠意を見せて生きていくのが……私の務めであり、贖罪だと……ヴィオラさんに教わったんです」
「ちっ、もう出て行ってくれ」
男性の言葉を受け、リアは頷いて医療所を出て行く。
その胸に宿るのはドロドロとした後悔で、贖罪の気持ちと共に辛い気持ちが当然あった。
この苦しい日々に、何度も死のうと思っていた。
でも……
「あの……」
騎士に再び連行されるリアの元へと、一人の子供が駆け寄る。
そして、ペコリと頭を下げた。
「お父さんをたすけてくれて、ありがとう」
「っ!」
礼を告げられたリアは、目頭を熱くしながら護送馬車に乗り込む。
もし、あのままヴィオラを嵌めていれば……同じ歳の子供が犠牲になっていた。
そうなれば、こんな後悔じゃ、こんな罪悪感では済まなかったはずだ。
「それに比べれば……今の方が、きっと、きっといいはず」
もう少し……あと少し生きようと心に決める。
「ごめんなさい。ヴィオラさん、ルーク……」
まだ贖罪は終わっていない。
それでも惨めだと思っていた人生が、お礼を言われるものになるなら。
捨てるのは惜しいと、リアの心には変化が生まれ……明日も生きていく決意に満ちていた。
◇◇◇
同じ時間、王城のある一室。
厳重な鍵がかけられて部屋にて、質素な机と椅子に座ったルークはひたすらに筆を動かす。
「よくやるよな。あの人……」
外から聞こえてくるのは、監視の騎士の声。
聞こえないと思っているのだろうが、この静寂な部屋ではよく聞こえた。
「王位剝奪で、国外追放の罪だったが……政務作業で国益を上げる条件にて王城に拘留されるとはな」
「本当によくやるよ、国外追放ならそれなりの資産もあって生きていくのは楽だろうに」
騎士達の言葉通り、ルークは国外追放の罪ではなく……王国に尽くす選択をした。
だが王位剝奪という罪人が大手を振って暮らす訳にもいかず、こうして王城にて幽閉されている。
王国に尽くすため、毎日山のように訪れる政務作業。
他にもあらゆる業務を振り分けられて、寝る間も惜しむ作業量に手の筆ダコもクマも消えぬ日々。
それでも……
「だがよ、おかげで王家も貴族院もそれなりに助けになってるんだと。腐っても元王家の人間は学があるよ」
「今回の処置も、政務作業や法案への知識ある人間を国外追放して無駄にせず、有効活用したと思えば最良な判断だったのかもな」
ルークは外にいる騎士達の言葉に、ほっと胸をなで下ろす。
自らが、少しでも王国のために……この国に貢献できているのなら。
それならば、この贖罪にも意味があると感じるのだ……
「全て……僕の不純と、王としてあるまじき考えが原因だ。その贖罪になるなら、これぐらい……」
なにもない部屋で、ただ一心不乱に政務作業を続ける。
他に娯楽などあるはずもなく、最低限の食事と睡眠のみが彼の休憩時間だ。
死にたいと思う程に、この生活が苦しい時もある。
それでも……それでも……
自らが引き起こした事象、その運命に付き合わせたヴィオラへ苦労をかけぬための贖罪となるなら、手を止める訳にはいかない。
「……そろそろか」
ふと、外で話していた騎士の声が聞こえ出す。
近づいてくる足音と共に、ルークは執務を終えた書類をまとめる。
部屋の扉が開けば、甲冑を着込んだ騎士がトレイに乗せた食事を持って来る。
そして、トレイを置いた騎士は書類を受け取った。
「規定通り、三十分の休憩です。次の執務作業は後ほど持ってきます」
「あぁ……頼む」
騎士との短い会話、一日に人と話す時間はこれが限度だ。
出て行った彼の背を見送り、トレイに置かれた質素なパンをつまむ。
味もなく、ただ栄養補給のための食事。
悠久にも思えるような、いつも同じ日々と光景が続く事に苦しみに苛まれる。
それでも……
「贖罪はまだまだかかりそうだ……ヴィオラ」
呟く言葉は、自分などよりも遥かに悠久を過ごしていたヴィオラに向ける。
この時間の流れが苦しいと思う日々を過ごすからこそ、ルークには日々、罪悪感が集うのだ。
彼女の苦労を感じ取って、謝罪の言葉が尽きない。
「すまない……ほんとうに」
ここにはいない女性へと向けて、ひたすらに謝罪を繰り返す。
許されるとは思っていない。
それでも……苦しみながらも王国に貢献する人生が、きっと贖罪になればと願い続ける。
「……」
いつか、いつか。
自らのことはいい、それでも……いつかヴィオラへと贖罪を果たした先。
王国の民や、皆がこの罪を許した先。
リアが自由になれる日が来る事を願い……彼は生きていくと決意を胸に、再び筆を手に取る。
もう、人生に未練はない。
なぜなら、ヴィオラもリアも命がある今。
彼の悲願は、達成されている。
だから、せめて二人のために尽くし続ける人生に意義を感じて生きていくと決めていた。
連行されて約一か月、いよいよ彼女の罪が下る。
「被告人が犯した罪は重く。処罰として死罪が相当として判断する」
結局、なにも変わらないとリアは息を吐く。
「後悔して生きていく人生を歩め」
そうヴィオラから聞いていたが、死罪という罰を受けるならどうしてまた生き返らせたのか。
そんな疑問を抱いたまま、罪状を聞いていた時だった。
「だが、被告人には協力を強要されたという情状酌量の余地がある。またその特異な力には有益性があるのも事実」
「っ……」
「加えて今回の判決、被害者の一人でもあるヴィオラ・カトレア様より……王国に対して有益のある判決を望むとの言葉も頂いている」
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「よって、被告人の死罪という裁定は保留とし。特例として一時的な酌量処置を下す」
「と、特例……ですか」
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死罪を免れるため、この力を使うとはどうやって?
そう問いかけようと思ったリアへと、裁判官は無表情のまま言葉を告げる。
「しかしこれは決して、温情処置ではない。そのため……被告人の有益性が無いと判断された場合は、処罰の執行を直ぐに行う」
「っ……」
「償って生きる道も、死ぬ道も今は貴方の手にある。どうか……冷静に考えてくださる事を切に願っている」
裁判官が告げた言葉の後、リアは騎士達に連行されていく。
そして、自らに課せられた責務を……説明された。
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ある農村にて、数人の騎士に連行されたリアが医療所へと入っていく。
「ごほっ……ごほっ……」
「今日の患者は二名、感染症の疑いがある。迅速に行え」
「……はい」
リアは騎士に言われるがまま、寝台で咳き込む人達の近くに歩む。
そして、集中して魔力を込めて……彼らを蝕む病魔を癒していった。
「ごほっ…………」
「……あ、あれ」
徐々に楽な呼吸になっていく二人は、やがて苦しげな表情を穏やかにする。
苦しみが消えて、確かに楽になったのだ。
「もう……大丈夫のはずです」
「たすかった……って、あんた」
「おい……こいつ確か」
一人の男性が身体を起こして、リアを見つめる。
すると表情を一変させて瞳を鋭くし、寝台近くの花瓶を彼女へと投げた。
ガシャンと割れて、額から血を流すリアは黙って俯く。
「けがれた力で癒されても、胸糞悪いんだよっ!」
「……」
「俺たちの農村は、元王妃だったヴィオラ様に手厚い庇護を受けて感謝しかない。なのにあの人を嵌めた人間に救われても礼なんて言うつもりはない!」
背後に控えていた騎士の一人が「止めますか?」と小声でもう一人の上官騎士に呟く。
だが上官騎士は首を横に振って黙ったままだった。
なぜなら……
「本当に……ごめんなさい。私はなにを言われても、弁明のしようがない罪を犯したのは事実です」
花瓶を当てられて、額から血を流すリアは……床に膝をついて頭を下げる。
その姿勢に、怒りを現していた男性の言葉は詰まった。
「……っ。そうやって見せかけで謝罪されても、響くものはない」
「それでも、誠意を見せて生きていくのが……私の務めであり、贖罪だと……ヴィオラさんに教わったんです」
「ちっ、もう出て行ってくれ」
男性の言葉を受け、リアは頷いて医療所を出て行く。
その胸に宿るのはドロドロとした後悔で、贖罪の気持ちと共に辛い気持ちが当然あった。
この苦しい日々に、何度も死のうと思っていた。
でも……
「あの……」
騎士に再び連行されるリアの元へと、一人の子供が駆け寄る。
そして、ペコリと頭を下げた。
「お父さんをたすけてくれて、ありがとう」
「っ!」
礼を告げられたリアは、目頭を熱くしながら護送馬車に乗り込む。
もし、あのままヴィオラを嵌めていれば……同じ歳の子供が犠牲になっていた。
そうなれば、こんな後悔じゃ、こんな罪悪感では済まなかったはずだ。
「それに比べれば……今の方が、きっと、きっといいはず」
もう少し……あと少し生きようと心に決める。
「ごめんなさい。ヴィオラさん、ルーク……」
まだ贖罪は終わっていない。
それでも惨めだと思っていた人生が、お礼を言われるものになるなら。
捨てるのは惜しいと、リアの心には変化が生まれ……明日も生きていく決意に満ちていた。
◇◇◇
同じ時間、王城のある一室。
厳重な鍵がかけられて部屋にて、質素な机と椅子に座ったルークはひたすらに筆を動かす。
「よくやるよな。あの人……」
外から聞こえてくるのは、監視の騎士の声。
聞こえないと思っているのだろうが、この静寂な部屋ではよく聞こえた。
「王位剝奪で、国外追放の罪だったが……政務作業で国益を上げる条件にて王城に拘留されるとはな」
「本当によくやるよ、国外追放ならそれなりの資産もあって生きていくのは楽だろうに」
騎士達の言葉通り、ルークは国外追放の罪ではなく……王国に尽くす選択をした。
だが王位剝奪という罪人が大手を振って暮らす訳にもいかず、こうして王城にて幽閉されている。
王国に尽くすため、毎日山のように訪れる政務作業。
他にもあらゆる業務を振り分けられて、寝る間も惜しむ作業量に手の筆ダコもクマも消えぬ日々。
それでも……
「だがよ、おかげで王家も貴族院もそれなりに助けになってるんだと。腐っても元王家の人間は学があるよ」
「今回の処置も、政務作業や法案への知識ある人間を国外追放して無駄にせず、有効活用したと思えば最良な判断だったのかもな」
ルークは外にいる騎士達の言葉に、ほっと胸をなで下ろす。
自らが、少しでも王国のために……この国に貢献できているのなら。
それならば、この贖罪にも意味があると感じるのだ……
「全て……僕の不純と、王としてあるまじき考えが原因だ。その贖罪になるなら、これぐらい……」
なにもない部屋で、ただ一心不乱に政務作業を続ける。
他に娯楽などあるはずもなく、最低限の食事と睡眠のみが彼の休憩時間だ。
死にたいと思う程に、この生活が苦しい時もある。
それでも……それでも……
自らが引き起こした事象、その運命に付き合わせたヴィオラへ苦労をかけぬための贖罪となるなら、手を止める訳にはいかない。
「……そろそろか」
ふと、外で話していた騎士の声が聞こえ出す。
近づいてくる足音と共に、ルークは執務を終えた書類をまとめる。
部屋の扉が開けば、甲冑を着込んだ騎士がトレイに乗せた食事を持って来る。
そして、トレイを置いた騎士は書類を受け取った。
「規定通り、三十分の休憩です。次の執務作業は後ほど持ってきます」
「あぁ……頼む」
騎士との短い会話、一日に人と話す時間はこれが限度だ。
出て行った彼の背を見送り、トレイに置かれた質素なパンをつまむ。
味もなく、ただ栄養補給のための食事。
悠久にも思えるような、いつも同じ日々と光景が続く事に苦しみに苛まれる。
それでも……
「贖罪はまだまだかかりそうだ……ヴィオラ」
呟く言葉は、自分などよりも遥かに悠久を過ごしていたヴィオラに向ける。
この時間の流れが苦しいと思う日々を過ごすからこそ、ルークには日々、罪悪感が集うのだ。
彼女の苦労を感じ取って、謝罪の言葉が尽きない。
「すまない……ほんとうに」
ここにはいない女性へと向けて、ひたすらに謝罪を繰り返す。
許されるとは思っていない。
それでも……苦しみながらも王国に貢献する人生が、きっと贖罪になればと願い続ける。
「……」
いつか、いつか。
自らのことはいい、それでも……いつかヴィオラへと贖罪を果たした先。
王国の民や、皆がこの罪を許した先。
リアが自由になれる日が来る事を願い……彼は生きていくと決意を胸に、再び筆を手に取る。
もう、人生に未練はない。
なぜなら、ヴィオラもリアも命がある今。
彼の悲願は、達成されている。
だから、せめて二人のために尽くし続ける人生に意義を感じて生きていくと決めていた。
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