【完結】殿下、自由にさせていただきます。

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「誰かの女になるのなら……お前は要らない」

　首筋から流れ落ちていく血液が地面に水面を作り出し、鮮血へと膝が落ちる。
　息が出来ない。
　意識が保つ事すら難しく、身体の感覚が抜けると同様に握っていた剣が力なく転がる。

　駄目だ…　意識を保てず、次々と感覚が途切れていく。
　滑り落ちた剣を手に取れない、膝から崩れ落ちた身体を起こすことができない。

　動けない。

　あぁ……私を呼ぶ声が頭に響く。
　その声に答え、再び立ち上がらないといけないのに。
　

　虚しく、落ちていく意識の中では返事が出来ない。


　駄目だ、私にはやるべき事が残っている。
　愛する人のために……私は。