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エピローグ
しおりを挟むリディアが目を覚ましてから、七年が経ち。
王国では大きな変化が起こった。
王国中に管轄を広げた騎士団のおかげで、治安の向上は著しい。
さらには、他国から医療技術向上のために招致した医者のおかげで、目覚ましい医療の発展も遂げた。
今やこの国は他国と比べても群を抜いて発展しており、いまだそれは途上であるのだから驚きだ。
それも現騎士団長であるラルフや、騎士の皆が邁進し続けたおかげだろう。
だというのに、世間は俺––レイクスを、此度の功績の立役者として称賛しようとしていた。
貴族家の仲を紡ぎ、法案の立案などをしたからと……
俺からすれば、全てリディアの治療のために必死だっただけだ。
本当に現場で頑張っていたラルフや騎士の苦労に比べれば、何も貢献などしていない。
だから……
「ラルフ。陛下からの表彰は辞退すると伝えてくれ。真にこの国に貢献したのは、お前や騎士団の皆だ」
そう言って、俺は陛下からの表彰を辞退した。
なにより必要なかったからだ。
俺にとって今、もっとも重要な事は名声や、称賛ではない。
ただ、ただ一人の傍に居れれば……それでいい。
◇◇◇◇
王都の中心に建てられたのは、騎士団の功績を祝う記念碑。
それを見ていると、刻まれた功績者には俺の名が刻まれていた。
「ラルフ……俺の名は要らぬと言ったのに……」
「ふふ。いいじゃないですか」
不満の声を漏らせば、隣に立つリディアが笑う。
「功績者などと言われても、やり遂げたのは俺ではなく騎士達だ。称賛されるべきは皆の方がいい」
煌びやかな名声などもう求めていない。
そう伝えるように愚痴をこぼすと、リディアは首を横に振った。
「いえ、これは貴方がしっかりと『英雄』として称賛された証です」
「っ……」
「皆の平和の立役者。その一人となった貴方を、私は誇らしく思いますよ」
リディアはそう言ってくれるが、俺からすれば彼女の言葉だけで充分だった。
『英雄』でなくてもいい、称賛などいらない。
俺はただ、彼女の『夫』であればいいのだから。
「俺は、君の夫であればいい。それ以外はいらない」
「ありがとう。レイクス」
記念碑を見終え、再び俺たちは歩き出す。
リディアは長年の昏睡状態、そして病気の後遺症で足が少しだけ不自由となった。
歩行に少しだけ影響がある。
だから、支えるように彼女の手を握る。
ギュッと手を結べば、彼女は心の底から嬉しそうに笑うのだ。
「充分、貴方は私の夫ですよ」
「リディア……」
「それに、お父さんにもなりますからね」
リディアはそう言って、そっとお腹を撫でる。
まだ膨らみもないが、その中には確かに俺達の家族が芽吹く。
諦めていたリディアの夫として生きる道。
それを取り戻し、父となれる。
やはり、名声などは必要ない。
俺には、これ以上の幸せなどないのだから。
私が貴方の元を去ったわけ
~fin~
◇◇◇あとがき◇◇◇
本作を読んでくださり、本当にありがとうございます。
元サヤにすべきか迷って書いていた物語でしたが、
このラストを描くと決めて書き始めた物語ですので、元サヤにて完結をいたしました。
多くのご意見、非常に参考になっておりました。
許せぬ方、許せる方。
どちらのご意見も今後の執筆に活かせると思います。
なので、今まで閉じていた感想欄を開いております。
正直なご感想を頂ければ幸いです。
最後に、本作を見つけてくださった方に改めて感謝しております!!
7,477
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みんなの感想(96件)
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neko様
こんにちは!
読んで下さり、ご感想を頂けて嬉しいです⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
私の作品を沢山読んでくださり、好きだと言って貰えるのは本当に励みになります!(*´˘`*)♡
私も元サヤを初めて挑戦してみて、書きながら、気付けよ!と言いたいほどに、主人公には苛立ちますよね(∩∀<`。)
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素敵だと言ってくださり、ありがとうございます(*^^*)
こちらこそ、読んでくださって嬉しいです!!
ものがたりだいすきみかん様
ご感想ありがとうございます🌼*・
一気読みして下さりありがとうございます(≧∇≦)
本作を最後まで読み、彼らの最後に感動して下ることは書いた私として、とても嬉しいです⸜(* ॑꒳ ॑* )⸝
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