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人生の岐路⑤ スネイルside
ミランダが俺と離婚をすると告げた瞬間……地面が崩れていくのを感じた。
公爵家の威光で保ってきた騎士団での副団長の地位を失うと理解して手先が震える。
「ミランダ、私を呼び出したと思えば……離婚をしたいというわけか」
しわがれた声に怒気を混ぜているのは、ミランダに呼ばれた彼女の父。
シモア公爵家当主だ。
ミランダと同じ金色の髪には白髪が交じり、その瞳は俺を睨んでいた。
「お父様、私はもう……スネイルとは一緒にはいられないの」
「黙っていなさい、ミランダ。お前の意見など聞いていない」
「っ!」
一蹴されるミランダの意見、シモア公爵は俺を睨みつけて怒声を響かせた。
「離婚だなどと、そんな話をしている場合ではない! スネイル……お前、この私にミランダが虐待をしていた事実を伏せていたな?」
「っ! ど、どうしてそれを知って」
「お前からミランダの失踪を聞き、私も伝手を頼って探させていた。するとどうだ……娘は隣国の学園に赴いて、カルーの退学を迫っていたというではないか」
「……」
「だが学園はそれを拒否した。あまりに過剰な保護と感じて調べてみれば……使用人が虐待について口を割ったよ」
カルーが虐待されていた事実。
学園に入学する際に公爵家に伏せていたが、まさかそれを今になって知られるなんて。
「お前が早く報告をしていれば問題はなかった。公爵家の力で揉み消せただろう。だがミランダは我が国を離れて、隣国まで出向いた事で事態は大きく変わった」
「な、なにが変わったというのですか?」
「あの学園の学園長が本格的に虐待を確信し、隣国の有力家にまで協力を願っている。今や我が公爵家の力で隠し通すのは難しい事態だ」
シモア公爵は机を蹴り、怒りを示す。
俺の髪を掴んで、その老いた拳を打ち付けた。
「っ!」
「お前がミランダを管理していれば、こんな事態にならなかったはずだ!」
「し、しかし……」
「……ミランダの姉もそうだ。私の手を煩わせて、その息子とミランダが揃って公爵家の威光を貶めている! こんな事で私が積み上げてきた功績は失えんのだよ!!」
面倒だとカルーを押し付けたのはシモア公爵、貴方ではないか。
そのせいでミランダはさらに壊れて、虐待という罪を……
いや、俺も見て見ぬふりの同罪か。
「離婚などと協議している場合ではないと分かったか?」
深いため息を吐き、シモア公爵は椅子に座る。
そして再び口を開いた。
「ひとまず、私の雇った者達を向かわせた。レディア……過去にも因縁のある女性の口封じのためだ」
「レ、レディアを!?」
思わず立ち上がれば、そんな俺にミランダは喰ってかかった。
「やっぱり、やっぱり貴方はレディアしか心配してないのね?」
「っ!」
「私は……私は、私は、私は愛されていなかった。やっぱり、やっぱり。貴方が心配するのは私じゃなくて、あの女で……」
泣き叫び、しゃがみ込んだミランダ。
その娘を見つめるシモア公爵の瞳は冷たく、背筋が凍った。
父が見せる瞳ではない。
「精神が壊れ、使い物にならなくなった娘。それが離婚しようがしまいが、もはやどうでもいい。だがスネイル……お前には使い道はある」
「俺に、なにをさせようというのですか?」
「話が早くて助かる。此度の事はお前にだって責任がある。だからこそ……事態の収束させる義務があるはずだ。そうだろう?」
なにをさせようというんだ。
俺に、いったいなにを……
「襲撃が失敗だとしても公爵家の依頼という物的証拠はない。だが念を押して行動せねばならない。だからスネイル……お前はレディアの口封じが完了したのか確認せよ」
「っ!」
「もし生きていれば女を連れて来るんだ、カルーもだ」
「で、できません。相手は学園に守られており……」
シモア公爵はその瞳を細め、俺へとゆっくりと語った。
「見つからずに攫う、説得する。方法はいくらでもあるだろう? 出来ぬ言い訳を考える気か?」
「っ!」
「私に歯向かって守ってきた立場も失いたいのか? お前の騎士団で鍛錬してきた力なら多少の荒事は可能なはずだ。裏社会の人間よりはお前の正当な力の方が役に立つ」
命令に背いて、全ての地位を失って生きていくか。
ここで公爵家に従い、また保身のために生きるのか。
二択を迫ったシモア公爵は、笑みを浮かべて肩を叩いた。
「ここまで公爵家に迷惑をかけたのだ。もし失敗すればお前の親族関係の安否も保障せんぞ? スネイル……」
俺の……俺の選択は。
たった一つだった。
◇◇◇
シモア公爵が俺に向かわせたのは、分かっていたからだろう。
俺は副団長となれたのは、今まで鍛えてきた肉体によって積み上げた功績のおかげ。
ゆえに守衛たちを振り払い、容易にレディアへと迫っていける。
「レディア!」
どんな状況でもレディアに迫る力があり、公爵家の意向である『レディアの口封じ』という結果に導ける。
しかし、俺の答えはシモア公爵の求めたものとは違う。
「俺と逃げよう、レディア!」
どうせレディアの口封じをしたとて、罪を犯した俺を公爵家が見逃すはずがない。
彼女とカルーを連れ戻しても、これほどの失態を重ねた俺が無事で済むと思えない。
だから、だからこそ……
シモア公爵の狙いを説明し、レディアに分かってもらうんだ。
「話を聞いて分かっただろう? 君は狙われているんだレディア! だが俺の力なら君を守れる! だから一緒に……きっとまたやり直せる!」
「……嫌よ」
「どうしてだ! 俺は……俺は君のために覚悟を決めたんだ。この誠意を感じてほしい!」
手を伸ばし、レディアへと迫る。
少しでも分かってほしくて。
「っ!」
だがレディアの前に立つ男の教員が魔法を放った。
眼前に迫る魔法の風、しかし以前のように油断していなければ、俺は避けられる。
副団長になるために幾度も死線を潜り抜けてきた、こんな状況も幾度だって超えてきた……
「レディア!! お願いだ!」
魔法を避けて、レディアの眼前まで迫る。
どうにか俺の気持ちを伝えたい。
分かってほしい、君を守って、俺も生きていくにはこれしかないんだ!
「かつてのように共に支え合おう。過去の罪は誠心誠意謝罪して君を守る……だからまた、以前のように俺と一緒にやり直そう。俺は君となら全てを失ってでも––––っ!」
「……るさい」
「え?」
「うるさい!」
レディアがなにかの呟きを漏らした瞬間。
俺の頬へと、固い拳が叩きつけられた。
それは他でもない、目の前の彼女が放った拳であり……今まで受けたどんな拳よりも重く感じた。
「ぐっ! レディ……」
「かつて大義を抱き、夢を目指していた貴方はどこにもいないのね」
「は、話を聞いてほしい。俺はただ君との生活を」
気付いてしまう。
レディアの瞳が冷たくて、もうそこにかつての愛情は微塵もない。
「今の貴方は、情けないだけの人間だわ」
情けない。俺が?
かつて君が支えてくれて、愛してくれていたはず……
なのに君の瞳にはもうかつての面影はない。
今の軽蔑する瞳に、酷く胸が痛んだ。
公爵家の威光で保ってきた騎士団での副団長の地位を失うと理解して手先が震える。
「ミランダ、私を呼び出したと思えば……離婚をしたいというわけか」
しわがれた声に怒気を混ぜているのは、ミランダに呼ばれた彼女の父。
シモア公爵家当主だ。
ミランダと同じ金色の髪には白髪が交じり、その瞳は俺を睨んでいた。
「お父様、私はもう……スネイルとは一緒にはいられないの」
「黙っていなさい、ミランダ。お前の意見など聞いていない」
「っ!」
一蹴されるミランダの意見、シモア公爵は俺を睨みつけて怒声を響かせた。
「離婚だなどと、そんな話をしている場合ではない! スネイル……お前、この私にミランダが虐待をしていた事実を伏せていたな?」
「っ! ど、どうしてそれを知って」
「お前からミランダの失踪を聞き、私も伝手を頼って探させていた。するとどうだ……娘は隣国の学園に赴いて、カルーの退学を迫っていたというではないか」
「……」
「だが学園はそれを拒否した。あまりに過剰な保護と感じて調べてみれば……使用人が虐待について口を割ったよ」
カルーが虐待されていた事実。
学園に入学する際に公爵家に伏せていたが、まさかそれを今になって知られるなんて。
「お前が早く報告をしていれば問題はなかった。公爵家の力で揉み消せただろう。だがミランダは我が国を離れて、隣国まで出向いた事で事態は大きく変わった」
「な、なにが変わったというのですか?」
「あの学園の学園長が本格的に虐待を確信し、隣国の有力家にまで協力を願っている。今や我が公爵家の力で隠し通すのは難しい事態だ」
シモア公爵は机を蹴り、怒りを示す。
俺の髪を掴んで、その老いた拳を打ち付けた。
「っ!」
「お前がミランダを管理していれば、こんな事態にならなかったはずだ!」
「し、しかし……」
「……ミランダの姉もそうだ。私の手を煩わせて、その息子とミランダが揃って公爵家の威光を貶めている! こんな事で私が積み上げてきた功績は失えんのだよ!!」
面倒だとカルーを押し付けたのはシモア公爵、貴方ではないか。
そのせいでミランダはさらに壊れて、虐待という罪を……
いや、俺も見て見ぬふりの同罪か。
「離婚などと協議している場合ではないと分かったか?」
深いため息を吐き、シモア公爵は椅子に座る。
そして再び口を開いた。
「ひとまず、私の雇った者達を向かわせた。レディア……過去にも因縁のある女性の口封じのためだ」
「レ、レディアを!?」
思わず立ち上がれば、そんな俺にミランダは喰ってかかった。
「やっぱり、やっぱり貴方はレディアしか心配してないのね?」
「っ!」
「私は……私は、私は、私は愛されていなかった。やっぱり、やっぱり。貴方が心配するのは私じゃなくて、あの女で……」
泣き叫び、しゃがみ込んだミランダ。
その娘を見つめるシモア公爵の瞳は冷たく、背筋が凍った。
父が見せる瞳ではない。
「精神が壊れ、使い物にならなくなった娘。それが離婚しようがしまいが、もはやどうでもいい。だがスネイル……お前には使い道はある」
「俺に、なにをさせようというのですか?」
「話が早くて助かる。此度の事はお前にだって責任がある。だからこそ……事態の収束させる義務があるはずだ。そうだろう?」
なにをさせようというんだ。
俺に、いったいなにを……
「襲撃が失敗だとしても公爵家の依頼という物的証拠はない。だが念を押して行動せねばならない。だからスネイル……お前はレディアの口封じが完了したのか確認せよ」
「っ!」
「もし生きていれば女を連れて来るんだ、カルーもだ」
「で、できません。相手は学園に守られており……」
シモア公爵はその瞳を細め、俺へとゆっくりと語った。
「見つからずに攫う、説得する。方法はいくらでもあるだろう? 出来ぬ言い訳を考える気か?」
「っ!」
「私に歯向かって守ってきた立場も失いたいのか? お前の騎士団で鍛錬してきた力なら多少の荒事は可能なはずだ。裏社会の人間よりはお前の正当な力の方が役に立つ」
命令に背いて、全ての地位を失って生きていくか。
ここで公爵家に従い、また保身のために生きるのか。
二択を迫ったシモア公爵は、笑みを浮かべて肩を叩いた。
「ここまで公爵家に迷惑をかけたのだ。もし失敗すればお前の親族関係の安否も保障せんぞ? スネイル……」
俺の……俺の選択は。
たった一つだった。
◇◇◇
シモア公爵が俺に向かわせたのは、分かっていたからだろう。
俺は副団長となれたのは、今まで鍛えてきた肉体によって積み上げた功績のおかげ。
ゆえに守衛たちを振り払い、容易にレディアへと迫っていける。
「レディア!」
どんな状況でもレディアに迫る力があり、公爵家の意向である『レディアの口封じ』という結果に導ける。
しかし、俺の答えはシモア公爵の求めたものとは違う。
「俺と逃げよう、レディア!」
どうせレディアの口封じをしたとて、罪を犯した俺を公爵家が見逃すはずがない。
彼女とカルーを連れ戻しても、これほどの失態を重ねた俺が無事で済むと思えない。
だから、だからこそ……
シモア公爵の狙いを説明し、レディアに分かってもらうんだ。
「話を聞いて分かっただろう? 君は狙われているんだレディア! だが俺の力なら君を守れる! だから一緒に……きっとまたやり直せる!」
「……嫌よ」
「どうしてだ! 俺は……俺は君のために覚悟を決めたんだ。この誠意を感じてほしい!」
手を伸ばし、レディアへと迫る。
少しでも分かってほしくて。
「っ!」
だがレディアの前に立つ男の教員が魔法を放った。
眼前に迫る魔法の風、しかし以前のように油断していなければ、俺は避けられる。
副団長になるために幾度も死線を潜り抜けてきた、こんな状況も幾度だって超えてきた……
「レディア!! お願いだ!」
魔法を避けて、レディアの眼前まで迫る。
どうにか俺の気持ちを伝えたい。
分かってほしい、君を守って、俺も生きていくにはこれしかないんだ!
「かつてのように共に支え合おう。過去の罪は誠心誠意謝罪して君を守る……だからまた、以前のように俺と一緒にやり直そう。俺は君となら全てを失ってでも––––っ!」
「……るさい」
「え?」
「うるさい!」
レディアがなにかの呟きを漏らした瞬間。
俺の頬へと、固い拳が叩きつけられた。
それは他でもない、目の前の彼女が放った拳であり……今まで受けたどんな拳よりも重く感じた。
「ぐっ! レディ……」
「かつて大義を抱き、夢を目指していた貴方はどこにもいないのね」
「は、話を聞いてほしい。俺はただ君との生活を」
気付いてしまう。
レディアの瞳が冷たくて、もうそこにかつての愛情は微塵もない。
「今の貴方は、情けないだけの人間だわ」
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かつて君が支えてくれて、愛してくれていたはず……
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