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6話
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夫から離れ、努力を重ねて三年。
私は三十の歳に講師資格を合格できた。
『教員として、これからは生徒を導く者として生きてくれ』
フルゴ様の言葉を受けた今日、晴れて教員としての道を歩みだす。
そのはずだったのだが……
さて、教員となってから最初の壁が今この瞬間に起こっていた。
「フルゴ学園長、俺は反対です! 誇りあるマグノリアス魔法学園に……教員適齢期を過ぎた者を入れる気ですか?」
今、私は先生たちがあつまる職員室の前、扉を挟んで立っているのだが。
先に入っていったフルゴ様と、他の先生とのやり取りが嫌でも聞こえてくるじゃないか。
「年齢で反対とはあまりに酷ではないか? 新任教員は教員試験をしかと合格している」
「とはいえ、一般的に教員となる平均年齢は二十二歳です。三十で新任でありながら我が学園の教員になるのは異例です!」
聞こえる先生の言葉通り。
私が教員を務める事になったこの学園は、このミルニア公国で最も大きな学びの園である。
名をマグノリアス魔法学園。
魔法に長けた者達を輩出する名門校。
この学園の卒業生は皆、貴族お抱えの魔法師、または災害時や戦争時に活躍する国家魔法師となる。
つまりだ––––
才能ある魔法師が輩出される名門校に、遅咲きの私が就任したという訳で反対意見があるのは当然だろう。
「フルゴ学園長、俺は今回の教員を選任した理由をお聞きしたいのです」
「資格があるのだから選ぶのは当然だ」
「厳しい試験を超えて教員資格を得たのは分かりますが、彼女を選んだ特別な理由が無ければ適任とは思えない」
もっともな意見だし、今からこの職員室に入って挨拶をしないといけないのは気が重い。
そう思う私に、フルゴ学園長が落ち着いた声で返答するのが聞こえた。
「今年の合格者の中で学科、実技共に一番での合格。加えて通常の教員試験は専門の学び舎で六年の準備をかけて試験を受けるのに対して、彼女は独学にて三年間で済ませた」
「な……」
「これで、適任と言えぬ理由があるというのなら申してみるといい」
ただ生きるために必死で勉学に励み続けた。
前の国で学園に通っていた頃も魔法ではそれなりの成績なので、魔法学も苦労はなかったけど。
三年間で合格できたのは、異例の事だったようだ。
「皆も、これから就任するレディア嬢に対して異論はあるか?」
フルゴ学園長の声に、もう反論する言葉はない。
すると職員室の扉が数度ノックされて、フルゴ学園長の声が聞こえた。
「入りたまえ。レディア嬢」
「え、来ているのですか? 今ここに?」
「当たり前だろう。新任の前で重圧を与えよって」
言い争っていた人との問答を聞きながら、扉を開いて入室する。
老若男女、名門マグノリアス魔法学園の先生達が一斉に目線を向けてきた。
「あんたが、新任の教員か。すまないな」
そう呟く声が聞こえて目線を向ければ、フルゴ学園長の近くに立つ男性が見える。
黒く長い茶髪を一つに結わえて、切れ長の蒼い瞳。
端正な顔立ちの彼は、きっと先ほどまで問答していた当事者だろう。
「俺はセルジュだ。聞こえていたなら申し訳ないが……俺達だって本学園に入る教員に対して意見する権利はある。理解してくれ」
セルジュと名乗った彼は、そう言いながら小さく頭を下げる。
そんな彼を置いて、フルゴ学園長は私の背を押した。
「さぁ、皆に挨拶をしてくれるか。新任教員として最初の仕事だ」
その言葉に押されるように、私は頭を下げた。
かつて夫と暮らしていた時に学んだカーテシー、品位を崩さぬ礼と共に名乗る。
「レディアと申します。齢三十となりますが、本学園の誇りを崩さぬよう……なにより学びの園に通う生徒により良き道を示せるように努めてまいります」
まばらに上がる拍手は、決して歓迎という訳ではあるまい。
三十という遅咲きの教員の道に、皆が口に出さぬまでも思うところはあるのは当然か。
「ではフルゴ学園長……俺は子供達の待つ教室に向かうので……」
セルジュさんは挨拶も程々に、職員室を出ようと歩む。
だが、そんな彼の肩を学園長が掴んだ。
「まぁ、待たれよ」
「どうしましたか。レディア殿が適任だというのは納得しました。俺は反対意見なのは変わりませんが、言いたい事はもうなにもありません」
「儂からはあるのだよ」
「なにが……」
「セルジュ、お主にはレディアの指導教員としての任を与える」
え……?
そんな声を、きっと私とセルジュさんは同時に出していたと思う。
だってまさに今、反対意見を述べていたセルジュさんに私の指導を任せるというのだ。
その場の空気が張り詰めていく。
「フルゴ学園長……それは俺が貴方の意見に反を示した処罰ですか?」
「そんな些事で判断するものか。これはお主と、レディアに必要だと判断したからこそだ、彼女には才能があるからこそ、この学園でも優秀な教員である君に指導を頼みたい」
「……才能が、レディア殿にですか?」
どうしようか、今にも舌打ちが聞こえてきそうな剣幕だ。
セルジュ講師は納得していない顔。
それに正直、職員室の皆が似たような表情で見守っている。
遅咲きの教員など務まらないと皆が思っている。
今の私自身の評価を一身に受けながら……
これでいいと、むしろ思える。
上等だ。
「セルジュ講師、では条件を付けてください」
「は? どういう事だ?」
「これより半年間、私が未熟だと判断した際は、貴方が私の解雇を申してください」
「なっ!」
これでいい、こうして始めよう。
ただでさえ遅咲きの教員の風当たりは冷たい。
こんなのは予想していた事だ。
ここでフルゴ様の擁護の中で過ごしていたって、庇護されているだけと評価されるのみ。
だからこそ、啖呵を切って皆の前に立つ。
「私に価値がないなどと、絶対に評価はさせませんから」
講師としての一日目。
私の言葉は響き渡った。
私は三十の歳に講師資格を合格できた。
『教員として、これからは生徒を導く者として生きてくれ』
フルゴ様の言葉を受けた今日、晴れて教員としての道を歩みだす。
そのはずだったのだが……
さて、教員となってから最初の壁が今この瞬間に起こっていた。
「フルゴ学園長、俺は反対です! 誇りあるマグノリアス魔法学園に……教員適齢期を過ぎた者を入れる気ですか?」
今、私は先生たちがあつまる職員室の前、扉を挟んで立っているのだが。
先に入っていったフルゴ様と、他の先生とのやり取りが嫌でも聞こえてくるじゃないか。
「年齢で反対とはあまりに酷ではないか? 新任教員は教員試験をしかと合格している」
「とはいえ、一般的に教員となる平均年齢は二十二歳です。三十で新任でありながら我が学園の教員になるのは異例です!」
聞こえる先生の言葉通り。
私が教員を務める事になったこの学園は、このミルニア公国で最も大きな学びの園である。
名をマグノリアス魔法学園。
魔法に長けた者達を輩出する名門校。
この学園の卒業生は皆、貴族お抱えの魔法師、または災害時や戦争時に活躍する国家魔法師となる。
つまりだ––––
才能ある魔法師が輩出される名門校に、遅咲きの私が就任したという訳で反対意見があるのは当然だろう。
「フルゴ学園長、俺は今回の教員を選任した理由をお聞きしたいのです」
「資格があるのだから選ぶのは当然だ」
「厳しい試験を超えて教員資格を得たのは分かりますが、彼女を選んだ特別な理由が無ければ適任とは思えない」
もっともな意見だし、今からこの職員室に入って挨拶をしないといけないのは気が重い。
そう思う私に、フルゴ学園長が落ち着いた声で返答するのが聞こえた。
「今年の合格者の中で学科、実技共に一番での合格。加えて通常の教員試験は専門の学び舎で六年の準備をかけて試験を受けるのに対して、彼女は独学にて三年間で済ませた」
「な……」
「これで、適任と言えぬ理由があるというのなら申してみるといい」
ただ生きるために必死で勉学に励み続けた。
前の国で学園に通っていた頃も魔法ではそれなりの成績なので、魔法学も苦労はなかったけど。
三年間で合格できたのは、異例の事だったようだ。
「皆も、これから就任するレディア嬢に対して異論はあるか?」
フルゴ学園長の声に、もう反論する言葉はない。
すると職員室の扉が数度ノックされて、フルゴ学園長の声が聞こえた。
「入りたまえ。レディア嬢」
「え、来ているのですか? 今ここに?」
「当たり前だろう。新任の前で重圧を与えよって」
言い争っていた人との問答を聞きながら、扉を開いて入室する。
老若男女、名門マグノリアス魔法学園の先生達が一斉に目線を向けてきた。
「あんたが、新任の教員か。すまないな」
そう呟く声が聞こえて目線を向ければ、フルゴ学園長の近くに立つ男性が見える。
黒く長い茶髪を一つに結わえて、切れ長の蒼い瞳。
端正な顔立ちの彼は、きっと先ほどまで問答していた当事者だろう。
「俺はセルジュだ。聞こえていたなら申し訳ないが……俺達だって本学園に入る教員に対して意見する権利はある。理解してくれ」
セルジュと名乗った彼は、そう言いながら小さく頭を下げる。
そんな彼を置いて、フルゴ学園長は私の背を押した。
「さぁ、皆に挨拶をしてくれるか。新任教員として最初の仕事だ」
その言葉に押されるように、私は頭を下げた。
かつて夫と暮らしていた時に学んだカーテシー、品位を崩さぬ礼と共に名乗る。
「レディアと申します。齢三十となりますが、本学園の誇りを崩さぬよう……なにより学びの園に通う生徒により良き道を示せるように努めてまいります」
まばらに上がる拍手は、決して歓迎という訳ではあるまい。
三十という遅咲きの教員の道に、皆が口に出さぬまでも思うところはあるのは当然か。
「ではフルゴ学園長……俺は子供達の待つ教室に向かうので……」
セルジュさんは挨拶も程々に、職員室を出ようと歩む。
だが、そんな彼の肩を学園長が掴んだ。
「まぁ、待たれよ」
「どうしましたか。レディア殿が適任だというのは納得しました。俺は反対意見なのは変わりませんが、言いたい事はもうなにもありません」
「儂からはあるのだよ」
「なにが……」
「セルジュ、お主にはレディアの指導教員としての任を与える」
え……?
そんな声を、きっと私とセルジュさんは同時に出していたと思う。
だってまさに今、反対意見を述べていたセルジュさんに私の指導を任せるというのだ。
その場の空気が張り詰めていく。
「フルゴ学園長……それは俺が貴方の意見に反を示した処罰ですか?」
「そんな些事で判断するものか。これはお主と、レディアに必要だと判断したからこそだ、彼女には才能があるからこそ、この学園でも優秀な教員である君に指導を頼みたい」
「……才能が、レディア殿にですか?」
どうしようか、今にも舌打ちが聞こえてきそうな剣幕だ。
セルジュ講師は納得していない顔。
それに正直、職員室の皆が似たような表情で見守っている。
遅咲きの教員など務まらないと皆が思っている。
今の私自身の評価を一身に受けながら……
これでいいと、むしろ思える。
上等だ。
「セルジュ講師、では条件を付けてください」
「は? どういう事だ?」
「これより半年間、私が未熟だと判断した際は、貴方が私の解雇を申してください」
「なっ!」
これでいい、こうして始めよう。
ただでさえ遅咲きの教員の風当たりは冷たい。
こんなのは予想していた事だ。
ここでフルゴ様の擁護の中で過ごしていたって、庇護されているだけと評価されるのみ。
だからこそ、啖呵を切って皆の前に立つ。
「私に価値がないなどと、絶対に評価はさせませんから」
講師としての一日目。
私の言葉は響き渡った。
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