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つがいの秘密3
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それからユリウスは、魔力とその器についての仮説を話してくれた。
全属性の魔力持ちのつがいは魔力を持たずに生まれてくる。体内で魔力を作れないが、魔力の器は持っている。だからつがいの魔力を注がれてもそれを吸収して、魔力反発も拒絶反応も起きないのだと――…。
「ユリウス・レントラー、それは確かな話なのか」
公爵が真剣な面持ちで問いただす。
「さぁ。千年以上前の出来事を証明しろと言われても難しいです。けれど、ラファエロ殿下とルクレツィア様のケースについては実証できると思いますよ」
眼鏡の奥の瞳が生き生きと輝く。
やはりこの方たちはルクレツィアの秘密をご存じなのだ。ルクレツィアは確信した。
公爵が身を乗り出して尋ねた。
「どうすれば実証できる?」
「簡単です。ラファエロ様の体液をルクレツィア様に注ぐだけ、んぐっ」
ラファエロが襟元をつかんでユリウスを黙らせた。ルクレツィアはびっくり眼で二人を見比べた。
「あの、殿下、お話の続きをうかがいたいです」
ルクレツィアは恐る恐る懇願した。ルクレツィアにとっては、とても重要な話だ。何の確信も持てぬまま王子殿下に嫁ぐのは怖い。
殿下にはつがい紋が現れたというけれど、公爵家の娘はルクレツィアだけではない。もしかしたら王子のつがいはオクタヴィアの可能性もある。
不承不承の態でラファエロがユリウスを解放した。
「えー、コホン、そういうわけで、ラファエロ様の魔力、つまり体液をルクレツィア様に注いでみましょう。ルクレツィア様の『器』が魔力を受け止めたら、つがい紋が現れるかもしれません」
「魔力を注ぐというが、魔石や魔道具に魔力装填する要領ではいけないのか?」
「それではおそらく意味がありません。体の組織から出た後の魔力は作用することはあっても人体に取り込めませんよ。あくまで魔力を含んだ体液ごとルクレツィア様に注がなければ。婚姻に関する魔力適合だって直接注がなければ意味がないでしょう」
魔力適合とは互いの魔力を馴染ませる行為のことで、婚姻が成立するかどうかは魔力適合時の魔力の融合次第といわれている。
ルクレツィアは王子を見上げた。
しかし、オクタヴィアが待ったをかけた。
「ダメだよ、ルクレツィア。危険すぎる」
「危険なのですか?」
「ああ。彼の説が間違っていたら、君の体が保たない。普通の人間は触れるだけで失神する。殿下の強力な魔力を含んだ体液を注ぐなんてありえないよ。無責任な提案はやめてもらおう」
険しい表情でオクタヴィアが反論するが、ユリウスは飄々とした口調で言い募った。
「普通の人間なら触れるだけで失神するのに、ルクレツィア様は手に口づけを受けても平気なご様子。先ほどはお口にも触れましたよね」
ユリウスの楽し気な様子を見て、ルクレツィアは何となくその人柄を察した気がした。このチャレンジ精神が偉大な発明を生み出しているに違いない。
「確かめる方法があるというのなら、わたくしは試してみたいです。確信のないまま殿下に嫁ぐことはできません。教えてください、レントラー様。わたくしはどうすればよろしいのですか」
ごほん、と公爵が咳払いをした。
「殿下、万が一に備え、我々の前でお願いいたします」
「……!?」
王子はぎょっとした様子で目を見開いた。切れ長の瞳は漆黒でラファエロの精悍さを際立たせていた。
「はじめは唾液から少量ずつ始めれば問題ないのでは?」
「……なるほど……」
王子の肩から力が抜ける。
「ラファエロ様、貴方いったい何を考えていたんですか」
くつくつと肩を揺らすユリウスをギロリと睨んでから、ラファエロはルクレツィアと向きなおった。
「恐怖や苦痛を感じたら、すぐに左手をあげなさい」
医師のようなことを告げられ戸惑うルクレツィアの顎を硬い指先がすくいあげた直後、王子の秀麗な顔が目の前に迫ってきて思わずぎゅっと目を瞑る。唇に自分より高い温度の粘膜が触れた。
キスされている。王子殿下に――…。
しかし、すぐに驚きや戸惑いよりも別のものがルクレツィアの意識をとらえた。
先ほどとは比べ物にならない大量のエネルギーが体内に押し寄せてくる。唇をノックされ、王子の熱い舌がルクレツィアのそれを捕らえ翻弄する。ルクレツィアは小さく身を震わせた。全身の細胞が歓喜している。恍惚と酔いしれていると、いきなり後ろから体を引きはがされた。
「いつまでやってるんですか! ルクレツィア、どこも異常はない?」
オクタヴィアに抱き寄せられ顔を覗き込まれた瞬間、今の状況を思い出し、ルクレツィアは急激に顔がほてるのを感じた。胸もドキドキする。
「ルクレツィア?」
「あの、胸がドキドキします」
消え入るような声で答えると、王子の向こう側からユリウスに問いかけられた。
「胸の痛みはありますか」
「いいえ」
「息は苦しいですか」
「いいえ」
「動悸の他に症状は?」
「顔が熱いです」
「ふむ、それは初めての接吻直後によくある症状ですね」
笑いをにじませた声でそう告げられ、ルクレツィアは一層頬を上気させた。
「ルクレツィア、左の手首を見せてごらん」
諦念を感じさせる声音で父に促され、ルクレツィアは手を差し出した。
体内を駆け巡っていた熱が徐々に引いていく中で、左腕は未だ熱い。
恐る恐る手首を上向けるとうっすらと青っぽい班状の色がついていた。
「つがい紋だ。ルクレツィアが俺のつがいであることが証明された」
ラファエロの声が弾む。
「そう言われても、王家の紋章には見えませんが」
オクタヴィアは不満げだ。
「しかし、もともとはなかったものです。繰り返し魔力を注ぎ続ければ、必ずしっかりとしたつがい紋になりますよ」
ユリウスに断言されると、本当にそうなりそうに思えるから不思議だ。
「ルクレツィア、殿下に嫁ぐことを命じる。いいね」
「はい、お父様」
覚悟を決めた父にそう告げられ、ルクレツィアは小さく頷いた。
貴族として生まれた以上、本来であれば家のために婚約するのは当然のことだ。お相手があまりに高貴で恐れ多くても。つがいの確信が持てなくても――。
この日、魔力を持たない忌子として生きてきたルクレツィアが王子に嫁すことが決まったのだった。
全属性の魔力持ちのつがいは魔力を持たずに生まれてくる。体内で魔力を作れないが、魔力の器は持っている。だからつがいの魔力を注がれてもそれを吸収して、魔力反発も拒絶反応も起きないのだと――…。
「ユリウス・レントラー、それは確かな話なのか」
公爵が真剣な面持ちで問いただす。
「さぁ。千年以上前の出来事を証明しろと言われても難しいです。けれど、ラファエロ殿下とルクレツィア様のケースについては実証できると思いますよ」
眼鏡の奥の瞳が生き生きと輝く。
やはりこの方たちはルクレツィアの秘密をご存じなのだ。ルクレツィアは確信した。
公爵が身を乗り出して尋ねた。
「どうすれば実証できる?」
「簡単です。ラファエロ様の体液をルクレツィア様に注ぐだけ、んぐっ」
ラファエロが襟元をつかんでユリウスを黙らせた。ルクレツィアはびっくり眼で二人を見比べた。
「あの、殿下、お話の続きをうかがいたいです」
ルクレツィアは恐る恐る懇願した。ルクレツィアにとっては、とても重要な話だ。何の確信も持てぬまま王子殿下に嫁ぐのは怖い。
殿下にはつがい紋が現れたというけれど、公爵家の娘はルクレツィアだけではない。もしかしたら王子のつがいはオクタヴィアの可能性もある。
不承不承の態でラファエロがユリウスを解放した。
「えー、コホン、そういうわけで、ラファエロ様の魔力、つまり体液をルクレツィア様に注いでみましょう。ルクレツィア様の『器』が魔力を受け止めたら、つがい紋が現れるかもしれません」
「魔力を注ぐというが、魔石や魔道具に魔力装填する要領ではいけないのか?」
「それではおそらく意味がありません。体の組織から出た後の魔力は作用することはあっても人体に取り込めませんよ。あくまで魔力を含んだ体液ごとルクレツィア様に注がなければ。婚姻に関する魔力適合だって直接注がなければ意味がないでしょう」
魔力適合とは互いの魔力を馴染ませる行為のことで、婚姻が成立するかどうかは魔力適合時の魔力の融合次第といわれている。
ルクレツィアは王子を見上げた。
しかし、オクタヴィアが待ったをかけた。
「ダメだよ、ルクレツィア。危険すぎる」
「危険なのですか?」
「ああ。彼の説が間違っていたら、君の体が保たない。普通の人間は触れるだけで失神する。殿下の強力な魔力を含んだ体液を注ぐなんてありえないよ。無責任な提案はやめてもらおう」
険しい表情でオクタヴィアが反論するが、ユリウスは飄々とした口調で言い募った。
「普通の人間なら触れるだけで失神するのに、ルクレツィア様は手に口づけを受けても平気なご様子。先ほどはお口にも触れましたよね」
ユリウスの楽し気な様子を見て、ルクレツィアは何となくその人柄を察した気がした。このチャレンジ精神が偉大な発明を生み出しているに違いない。
「確かめる方法があるというのなら、わたくしは試してみたいです。確信のないまま殿下に嫁ぐことはできません。教えてください、レントラー様。わたくしはどうすればよろしいのですか」
ごほん、と公爵が咳払いをした。
「殿下、万が一に備え、我々の前でお願いいたします」
「……!?」
王子はぎょっとした様子で目を見開いた。切れ長の瞳は漆黒でラファエロの精悍さを際立たせていた。
「はじめは唾液から少量ずつ始めれば問題ないのでは?」
「……なるほど……」
王子の肩から力が抜ける。
「ラファエロ様、貴方いったい何を考えていたんですか」
くつくつと肩を揺らすユリウスをギロリと睨んでから、ラファエロはルクレツィアと向きなおった。
「恐怖や苦痛を感じたら、すぐに左手をあげなさい」
医師のようなことを告げられ戸惑うルクレツィアの顎を硬い指先がすくいあげた直後、王子の秀麗な顔が目の前に迫ってきて思わずぎゅっと目を瞑る。唇に自分より高い温度の粘膜が触れた。
キスされている。王子殿下に――…。
しかし、すぐに驚きや戸惑いよりも別のものがルクレツィアの意識をとらえた。
先ほどとは比べ物にならない大量のエネルギーが体内に押し寄せてくる。唇をノックされ、王子の熱い舌がルクレツィアのそれを捕らえ翻弄する。ルクレツィアは小さく身を震わせた。全身の細胞が歓喜している。恍惚と酔いしれていると、いきなり後ろから体を引きはがされた。
「いつまでやってるんですか! ルクレツィア、どこも異常はない?」
オクタヴィアに抱き寄せられ顔を覗き込まれた瞬間、今の状況を思い出し、ルクレツィアは急激に顔がほてるのを感じた。胸もドキドキする。
「ルクレツィア?」
「あの、胸がドキドキします」
消え入るような声で答えると、王子の向こう側からユリウスに問いかけられた。
「胸の痛みはありますか」
「いいえ」
「息は苦しいですか」
「いいえ」
「動悸の他に症状は?」
「顔が熱いです」
「ふむ、それは初めての接吻直後によくある症状ですね」
笑いをにじませた声でそう告げられ、ルクレツィアは一層頬を上気させた。
「ルクレツィア、左の手首を見せてごらん」
諦念を感じさせる声音で父に促され、ルクレツィアは手を差し出した。
体内を駆け巡っていた熱が徐々に引いていく中で、左腕は未だ熱い。
恐る恐る手首を上向けるとうっすらと青っぽい班状の色がついていた。
「つがい紋だ。ルクレツィアが俺のつがいであることが証明された」
ラファエロの声が弾む。
「そう言われても、王家の紋章には見えませんが」
オクタヴィアは不満げだ。
「しかし、もともとはなかったものです。繰り返し魔力を注ぎ続ければ、必ずしっかりとしたつがい紋になりますよ」
ユリウスに断言されると、本当にそうなりそうに思えるから不思議だ。
「ルクレツィア、殿下に嫁ぐことを命じる。いいね」
「はい、お父様」
覚悟を決めた父にそう告げられ、ルクレツィアは小さく頷いた。
貴族として生まれた以上、本来であれば家のために婚約するのは当然のことだ。お相手があまりに高貴で恐れ多くても。つがいの確信が持てなくても――。
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