呪いの忌子と祝福のつがい

しまっコ

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最愛のつがい※

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横たえたルクレツィアのドレスと剝ぎ取るように脱がせ覆いかぶさる。
小さく身震いするルクレツィアに「今温めてやる」と言い放ち、性急に胸をまさぐった。淡く色づいた頂を指先で転がすといつもは甘い声をあげるのに、今日は身を硬くして応えようとしない。そんなルクレツィアに苛立ちが募る。あのマリオという男を想っているのか。そう思ったら我慢できなかった。
快楽でおぼれさせ、自分なしでは生きていけない体にしてやる――狂暴な気持ちがむらむらと沸き起こる。
ラファエロはいったん身を起こし素早く服を脱ぎ捨てて、ベッドサイドのチェストを探った。
銀色のリングが3つ入った小箱を取り出す。それは以前ユリウスが渡してきた魔法で駆動する性具だ。
両腕で自分を抱くようにして身を硬くしているルクレツィアの両手首を持ち上げ頭上にひとくくりにして、リングのひとつをルクレツィアの左胸の頂に乗せる。リングは意志を持ったようにルクレツィアの軟肉にぴたりと張り付き乳輪を軽く締め付けるように密着した。
「な、に……」
呆然とするルクレツィアの右胸にも同じものを装着する。
それから今度はルクレツィアの両膝をすくい上げ、まだ濡れてもいない花芽に最後のリングを乗せる。ラファエロの魔力を帯びたリングは瞬時に大きさを変え、ルクレツィアの花芽に密着した。まだ薄皮を被った繊細な突起の根元が締め付けられ、可愛らしい先端が顔を出す。
最も敏感な器官に異物を装着され、ルクレツィアは泣き出した。
「いやぁっ、こんな、ひどい……」
嗚咽しながら泣きじゃくる姿を見れば、あっという間に憐憫の気持ちがわいてくる。愛しいつがいを痛めつけたいと思っているわけではないのだ。
「ルクレツィア、これは悪いものではない。快楽を高めるためのラブリングだ。決してひどいことをするわけではない」
「でも、怒ってらっしゃるわ」
しゃくりあげながらそう言われ、ラファエロはむっとする。つがいが他の男と抱き合っていたのだ。怒って当然ではないか。
「おまえは俺のつがいだ。他の男が触れるのを許すつもりはない。まして抱き合うなど」
「だき、あっ、て、ません」
嗚咽交じりに訴えられても、この目で見た事実は変えようがない。
「殿方、となど、抱き合って、ません」
「マリオという男がおまえを抱いているのを見た」
「彼女は、殿方では、ないのに」
とぎれとぎれに紡がれた言葉の意味を理解するのにしばし時間を要した。
「マリオは女なのか?」
ルクレツィアが頷く。
「だがそうは見えなかった」
「娼館に、売られる、と」
「娼館だと……」
「身目、のいい女の子は、娼館に、うられてしまう、から」
泣きじゃくりながら訴えられた内容は、なるほどと納得せざるを得ないものだった。確かにあれが女だというのなら、平民街では稀な美女という扱いを受けるだろう。
顔を覆う白い手をそっと掴み、濡れた頬を唇で拭う。
「悪かった」
そもそもつがいは浮気などできない。互いだけを求めるように作られているのだ。そんな当たり前のことも忘れ、嫉妬のままにルクレツィアを怯えさせたことが悔やまれる。
「泣かないでくれ。もうひどいことはしない」
顔じゅうに触れるだけのキスを繰り返すうち、ルクレツィアの瞼が持ち上がった。涙で濡れたヴィクトリアブルーの瞳が現れる。
「怒ってらっしゃらない?」
「ああ、怒っていない」
柔らかな頬を両手で包み込み、しっかりと目を合わせる。
「愛している。おまえを、誰よりも愛している」
思いを込めて告げると、ルクレツィアが微笑を浮かべた。
「わたくしもラファエロ様をお慕いしています。ラファエロ様だけです」
唇を重ね、今度は優しく舌を絡め合う。ほんのり甘いつがいの唾液を味わいながら、自分の唾液をルクレツィアの口腔に送り込む。
ルクレツィアの細腕がラファエロの背を抱き、二人の身体がぴたりと重なった。
「続きをしてもいいか」
ルクレツィアの瞳に脅えが残っていないか探りながら尋ねると、ルクレツィアが頷いた。
左手で腰を撫で、右手で胸をまさぐると、ルクレツィアの身体が勢いよく跳ねた。
「あぁぁっ」
あまりに過剰な反応に、ラファエロはハタと気づく。ルクレツィアにラブリングを装着したままだった。これは装着者が快楽を感じるとそれに反応してランダムに収縮と振動を繰り返すという、ユリウス自慢の性具だった。
「あっ、あっ、どう、して」
ルクレツィアは耳まで赤くなり、その瞳はとろんと潤んでいる。あまりにも可愛くて、リングを外す気は早々に失せた。
「大丈夫だ、何も心配するな。いつもより気持ちがいいだろう?」
身を起こし、柔らかな胸を両手で揉みしだくと、ルクレツィアは一層可愛らしく啼いた。
「あっ、あっ、んっ、やっ、あンっ」
胸から手を放しても、リングから与えられる刺激は収まらないらしい。つんと立ちあがった頂が赤く色づき、ぷるぷる震えている。
ラファエロはルクレツィアの両膝を掬い、もう一つのリングで戒められた小さな突起を見下ろした。花弁から蜜が溢れ、真っ赤に腫大した花芽がてらてらと輝いていた。花弁の奥に指を差し込み、花芽の先端を舌先でつつくと、ルクレツィアの身体が大きく跳ねた。
「あぁっ、ダメっ、ダメなのぉ」
涙声で訴えられるが、快楽に蕩けた駄目という言葉にどれほどの意味があるのか。ラファエロは蜜口の奥をまさぐりながら、花芽にしゃぶりついた。
「やっ、あぁっ、きちゃう、いやぁぁぁっ」
ひときわ甲高い啼き声をあげ、ルクレツィアの身体が細かく震え出す。ぷしゅ、ぷしゅ、と透明な液体が花弁の奥から噴き出した。初めての潮噴きだった。
「いや、って、言ったのに」
再びルクレツィアが泣きじゃくる。
ラファエロはいったん身を起こし、宥めるようにルクレツィアを抱きしめた。
「これは潮噴きといって、本当の快楽を知った時に起きる現象だ。何も恥ずかしいことではない」
「しおふき……?」
「おまえが大人の身体になった証だ」
「でも……」
お漏らしをしてしまったと思ったのか、ルクレツィアの涙は止まらない。
「とても愛らしかった。おまえの何もかもが愛おしくてならない」
唇で涙をぬぐってやると、ルクレツィアがまた啼き声をあげた。
「あっ、ダメっ、あっ、あンっ」
ラファエロの胸板にリングで戒められた胸の先端がこすれて強い刺激が加えられているのだ。
ラファエロはしとどに濡れた蜜口に欲望を押し当てた。
「あぁぁぁっ」
ぐっと圧を加え隘路に分け入る。
ルクレツィアの腰が雄芯の刺激を求めるように揺れて、ラファエロは興奮を抑えるのに必死だ。欲望のままにルクレツィアを蹂躙してしまいそうだ。
先端がこつんと最奥に到達しラファエロが動きを止めると、ルクレツィアが「あっ、あっ」と小さな声をあげながら腰を前後に揺すり始めた。そのあまりの愛らしさに、ラファエロの理性は根こそぎ崩壊した。
がつがつと音がしそうなほど激しく腰をたたきつけ、ルクレツィアを揺さぶる。同時に両の胸を鷲掴みにして揉みしだいた。
「あぅっ、だめ、だめなのっ」
「おまえのここは気持ちがいいと言っている」
つんととがった頂をつねるように摘まむと、ルクレツィアの蜜壺が激しく収縮した。
「あぁぁぁっ、だめぇ、ゆるして、もうっ、あぁん」
「ルクレツィア……?」
息も切れ切れの様子が苦し気で動きを止めると、ルクレツィアは必死に訴えた。
「きもちいぃの、よすぎて、しんじゃう」
舌足らずな言葉に、頭が沸騰しそうになる。ラファエロは律動を再開させた。
「やぁ、だめぇ」
「たくさん気持ちよくなれ。いくらでも愛してやる」
腰をグラインドさせ媚肉を抉り、最奥を突き上げる。
「っあぁ、きちゃう、んぁぁっ……!」
ルクレツィアの蜜壺がこれ以上にないほど強くラファエロを締め付ける。連続で中イキするルクレツィアの胎内で、ラファエロの欲望が爆ぜた。どくんどくんと脈打ちながら精を放つ剛直の先端をルクレツィアの子宮口に押し付ける。密着した下腹に、再びルクレツィアの潮噴きを感じた。
「おまえは最高のつがいだ」
「らふぁえろさま」
「俺の子を産んでくれ」
「御子を?」
「ああ。おまえに俺の子を産んでほしい」
ルクレツィアは大きな瞳をさらに見開き、それから花がほころぶように微笑んだ。
「嬉しい」
思いかえせば「おまえが産みたいなら子をもうけてもいい」とは言ったことがあるが、「俺の子を産んでくれ」と言ったのは初めてだった。
蜜口に精を注ぐと不安そうな顔をするのはそのせいだったに違いない。
腕の中で幸せそうに微笑むルクレツィアの瞳を見つめ、ラファエロはもう一度思いを告げた。
「愛している、ルクレツィア。俺の子を産んでくれ」
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