27 / 98
26.俺はキモイので、却下
しおりを挟む
-CAZH社 自社データセンター 隔離サーバールーム管理室-
「主任・・・」
「うむ。」
美馬津が八鍬に伺うように声を掛けると、八鍬は頷いた。
「アリシア嬢の扱いか?」
「察しが良くて助かるよ。今後についての方針を話そうと思ってね。」
その様子を見た禍月が疑問を口にすると、美馬津が温和な笑みを浮かべて頷いた。
「3か月程様子を見るつもりだったんだけどね、今回の事があって少し早める事にしたんだ。つまり、計画の第二段階、フェーズ2への移行を。」
「ついにか・・・」
八鍬は無言で頷き、禍月は険しい表情で言葉を漏らした。
「って、あたしプロジェクトの詳細知らいんだった。」
「え?」
禍月は惚けた顔でプレッツェルを咥えると、疑問を浮かべた美馬津に視線を向ける。
「西園寺のじーさんからは概要しかい聞いていない。あたしなら現地に行けば理解すんだろって、放り込まれたからなぁ・・・」
「御大のいい加減さも困ったものだな。」
禍月の口にした内容に、八鍬が呆れて軽く頭を振った。
「まぁ丁度いいか、どのみち説明する予定だったからね。」
「フェーズ1で生存性を確かめていたこの計画だけど、フェーズ2は共存性の確認を行う予定になっているんだ。」
「そういう事なぁ。」
美馬津が計画の概要を伝えたところで、禍月が口の端を上げて笑みを浮かべる。
「本当に分かったのか?」
「当たり前だ。召喚プログラムを使って別のナマモノを入れるんだろ。複数の人間を同時に召喚して、適応出来るか確認、という事だな。」
禍月の説明に、美馬津は若干の驚きを見せる。しかしすぐに呆れた目を向けた。
「ナマモノって言い方・・・」
「今更何言ってんだ、あたしらは人の人生狂わせてんだ。言い方に気を使ったからといって、その業が軽減されるわけじゃないだろぅ?」
禍月は美馬津にビシッとプレッツェルを突き付けて言う。勢いで折れたプレッツェルが飛んで、美馬津の額に当たって落ちた。美馬津が苦い顔をして禍月から視線を逸らしたのは、プレッツェルが当たったからでは無い事くらい、八鍬にも伝わっていた。
「言い方云々はどうでもいい。話しを続けろ美馬津。」
「すいません、主任。」
禍月の言う事も、主任の態度も、自分が関わっている事も美馬津は分かっていた。ただ、理解していたとしても人である以上、感情が複雑な思いをさせてくる事は、どうしようも無かった。
「そういうわけで、準備が整い次第プログラムの実行をしようと考えているんだ。」
「あたしの認識では、どこから召喚されるか分からない。という認識なんだが、それだと困った事にならないか?今度もアリシア嬢の様に大人しい人間が来るとも限らないだろ?」
気を取り直して言う美馬津に、禍月が疑問を口にする。
「そう、その通りだが、プログラムの詳細までは確認していないか。」
美馬津は肯定しつつも、禍月の気付いていない部分を指摘する。
「ほう?」
「確かに、初回実行では何処から召喚してくるか分からない、その不安はどうしても拭えない。」
「だから、当たりなら同じ場所から召喚すればいい、だな?」
美馬津の説明を引き継ぐように、禍月はそう言いながらプレッツェルを美馬津に向けてニヤリとした。
「そう、逆アリアドネとでも言えばいいのかな。」
「本来は帰るための糸だろー、やれらる側としては嫌な糸だなぁ、それ。」
「それに縋らねば、我らとて生きてはおれんがな。」
嫌だという禍月以上に、八鍬は苦い表情で口にした。良い表情になれないのは、この部屋にいる三人ともだが。
「ま、それは言っても始まらんなぁ。とりあえず空間軸は固定されるわけだろー。」
「その筈、なんだけどね。運が良ければ知り合いを引っ張って来れる可能性もあるかな。」
「運がいいなんてレベルじゃないだろー。」
美馬津の言葉に、禍月はプレッツェルを咥えながら呆れた視線を送る。流石にそれは虫が良すぎるかと、美馬津も苦笑した。
「それでも、害の無い人間が召喚される事を祈るしかないかな。」
そうは思っても、それは願わずにはいられない事だと、美馬津は付け足しておいた。
「んで、準備はどんくらいかかんの?」
「プログラムの修正をしないといけないから、2、3日といったところかな。」
美馬津は考えながら答えると、八鍬も頷く。
「妥当なところだろうな。」
「その間にアリシア嬢に何かあったらどうすんのさ。今まで起きていないから大丈夫とはならいだろー。まして、プレイヤーに何故か着いていくからな。そろそろ危険なレベルだろ。風邪程度じゃすまんぞー。」
別にそれならそれでいい、と言わんばかりに禍月は椅子の背もたれに凭れ、頭の後ろで手を組みながらプレッツェルを齧る。
「そうは言ってもな、僕ではそこが限界だよ。」
美馬津は困った顔をして言う。禍月が言っている事も当然分かっている、何かあって計画が頓挫してしまえば、身の危険を孕んでいるのも承知だ。もちろん、八鍬もそれは重々分かっている。とは言え、漫画やアニメじゃないのだから、能力以上のスペックを引き出す事なんて出来る筈もない。
その美馬津を見て、禍月が椅子の背凭れから背中を離し、美馬津の方を向くと不敵な笑みを浮かべる。
「なら、あたしにやらせろ。」
「何を言っている?プログラムの内容すら見ていないのだろう。」
突然の禍月の言葉に、八鍬は険しい顔で問い詰める。
「やってみなきゃわからんだろぅ?その手の話しなら、あたしはアッキーより早い自身はあるぞ。」
自身満々の禍月に、美馬津は呆れて頭を振った。
「これは僕らが長年掛けて作ったものだぞ。当然、僕の癖だらけのプログラムだ。禍月だって分かっていることだろ、それを僕より早くだって?」
「そうだ。」
美馬津の言葉に対しても、禍月の態度は変わらない。
最初は冗談かと思い呆れていた美馬津だったが、どうやら本気らしい禍月に苛立ちを感じ始める。自分が作成したものを自分より早く修正出来ると言う禍月の言葉に。自負なんて大層なものでも無いが、言われて面白いものでもない。
「なんならするか?勝負。」
挑発するような笑みを浮かべで言う禍月に、温厚な美馬津も頬が引き攣るのを感じた。
「いいだろう、望むところだ。」
「そうこなくっちゃなー。あたしが一晩で終わらせられなかったら、アッキーの勝ちでいいぞー。」
「なっ!・・・一晩だって?」
「だってアッキーが2、3日だろー。それより早いと言ったんだから、一晩で出来なきゃ意味ないだろー。」
流石に馬鹿にしてるとも思ったが、美馬津はもう後に引けなかった。
「分かった。」
「勝負というからには何か賭けないとな、面白くない。」
「もし僕の方が早かったら、今後僕のプログラムに手を出すのはやめてもらう。」
「おぅ、それでいいよー。あたしが買ったらランチ奢ってもらう。」
禍月の条件に美馬津が頷くと、禍月はニヤリとした。
「金額は無制限なー。」
「・・・分かった、好きなものを食べるといい。」
美馬津は無制限という言葉に一瞬顔を顰めたが、この場所に居る限り高いものを食べに行く機会なんてまずない。データセンターに缶詰めもそうだが、何より周囲に飲食店等殆ど無いのだから。そう思うと、好きに食われたところで痛くはないと思った。
(それに、お金の使いどころも無いといえば無いしな。)
美馬津は内心で付け足しておく。
「やったー。」
「まだ決まってないだろ!」
だが禍月は既に勝った気でいるらしく、美馬津の発言に万歳の状態で喜んでいる。それを見た美馬津が、すかさず抗議の声を上げた。
「お前ら勝手に何を決めているんだ。本分を忘れているんじゃないだろうな。」
そんな二人に八鍬が苛立ちを隠さずに言った。
「分かってるよー。でも、早い方がいいだろー?」
「そこではない。お前らは二人揃ってそっちに集中して、監視を放棄するのかと言っているんだ。」
調子の良い禍月に、八鍬の声も大きくなる。
「よろしくー、しゅにん。」
「お願いします、主任。」
「待て、私も若くないんだぞ、少しは考えろ。」
美馬津は流石に考慮するだろうと思って八鍬は言ったのだが、既に禍月との勝負に熱を上げてしまっている事に若干狼狽える。
「しゅにんなら行けるって。あたしのプレッツェル分けてやるから。」
「そんなものはいらん。」
「ひどっ!」
チーズシチュー納豆味と書かれた箱を見て、八鍬は露骨に嫌そうな顔で言う。その言葉に禍月はしゅんとなってしまった。
「私が不在になる時は、両者一旦手を止め監視業務。やるならそれが条件だ。」
これ以上は譲らないとばかりに視線を鋭くして、八鍬は腕を組んで言った。
「しょうがないなー。」
「分かりました。」
-ゲーム内 イルセーヌの街 食堂-
木製の丸テーブルに、向かい合わせで二人の男性プレイヤーが座っている。テーブルには一応料理が並び、湯気の演出が出来立てに見せ、美味しそうに感じさせていた。
「こんな朝っぱらからなんの用?」
まだ眠そうな顔のタッキーが、向かいに座るミカエルに問い掛ける。タッキーは言った後、腹が膨らむわけじゃないが、テーブルに並んだ料理、からあげらしきものにフォークを挿して口に運んだ。
「いや、いくつか聞きたい事があってな。」
「うん?」
「アリシアって何者?あんなキャラ見た事ないんだけど。」
ミカエルの問いに、タッキーは考える素振りをしながら口を開く。
「僕も知らないんだよね。ユアキスとアヤカのパーティに加わった時、既に居たからさ。」
「ユアキスは教えてくれないのか?」
「空中に突然現れ降って来た、クエストらしいクエストが起きるわけでもなくただ着いてくる。それ以上は知らない。って言ってたんだけどさ、僕が入ってからもそれは変わらないなぁ。」
「なんだそりゃ。」
タッキーの説明にミカエルは呆れた顔をした。
「名前の色はプレイヤーと同じだけどさ、装備が見た事ねぇよな。」
「それ、みんな言ってるね。」
「もしかして運営とかか?」
「運営がわざわざ一つのパーティに付くとかないでしょ。」
「だよなぁ・・・」
言ってはみたが、そんなわけはないよなと、ミカエルも態度に出ていた。
「まぁでも、最初に説明したじゃんその辺は。それを改まって聞いてくるって、何か気付いたのかと思ったよ。」
少しそんな期待もあったタッキーだったが、ミカエルからはそんな気配を感じないので、また眠気が増してきていた。
「いや、気付いた事はある。」
「そうなの?」
タッキーは嘘くさいと思いながら、一応相槌を打っておく。
「女子が可愛い。」
「あぁ・・・そうだね。」
「お前の言った通りだよ、こっちに来て正解だったな。」
嬉しそうに言うミカエルを、タッキーは羨ましいと思った。同時に、それが一時の気の迷いだと思い知らされる事になると知っているので、その時も楽しみではあった。
太刀と試し斬りしか考えていない令嬢。
自分は言われてないが、存在自体を挫かれそうな言葉を吐く盾を持っている少女。
自由奔放な自称貴族の娘。
(僕は普通が良かったなぁ・・・)
タッキーは内心でそんな事を思う。姫に関してはごくごく普通の娘だと思ってはいる。問題はそれに附属している人の心を折る盾だ。それさえなければと今でも考えている。
「特に、アリシア嬢はいいよな。」
「は?」
(何を言い出してんだよ・・・ってかそう言う事か。それでアリシアの話しね。)
「アリシアが気になってる事を言うために、こんな朝早くから呼んだんだね・・・」
タッキーが呆れて言うと、ミカエルが顔を逸らす。
(あぁ、一気に面倒くさくなってきた。)
「まぁ、好みだ。」
「あっそう・・・」
正直なところ、タッキーにとって男の恋バナなんか興味は無かった。それもあるが、今の楽しめているこの環境を壊して欲しくないのもある。
(あ、でもアリシアならいっか。多分、NPCかなんかだし。)
「お前だって、姫が気になってんだろ?」
「んー、まぁ。最恐の盾が無ければね。」
「なんだそりゃ?」
「いや、なんでもないよ。」
「ふぅ、食った食った。さて、ゲームでもするかな。」
俺はリビングで朝飯を食い終わると片付けようとする。親父は既に仕事に行っているから、母さんも朝飯はとっくに済ませている。俺一人、遅めの朝食だ。
「ぉ、おにぃ・・・」
椅子から立とうとすると、部屋から出てきていたヒナが話しかけてくる。普段と比べて小さめの声だ。それはそれで嫌な予感がする。
「なんだよ?」
「キ・・・もうすぐDEWS始められそうなんだよね。」
キモって言おうとしたな、こいつ。俺が喋るとだいたい一発目はそれだからな、癖になっているんだとしたら、嫌な癖だ。
「ま、がんばれ。」
俺はそれだけ言うと椅子から立って、後片付けをする。
「待ってよ。」
「・・・」
が、まだ解放してくれないようだ。とりあえず立ち止まる。
「悠美が出来ない時とか、その、手伝ってよ。」
「いやだ。」
俺は即答すると容器を片付け、自室に戻ろうとする。ヒナはその場から動かずに床を見つめたままだった。
(少し冷たかったか?・・・ま、いいや。)
「可愛い妹がお願いしてるのに、何で手伝ってくれないのよっ!」
自分で言うな。
あと見た目がいいのは外見だけな。
しかし、てっきり落ち込んでいるかと思いきや、眼には怒りを含んでいるようだった。
「キモくもウザくもないやつにでも手伝ってもらえ。」
正直な話し、ゲーム内でもヒナが言うその手の言葉を聞きたくはない。俺は楽しむためにゲームをしているんだ、リアルで言われてる事をその場所でまで言われたくはない。
だから、それだけ言って俺は部屋に向かった。
「おにぃのバカっ!!」
その怒声と、床を踏みつけるように歩く音と、ドアが閉まる音が、俺が部屋に入る前に一連の音として、部屋の中に入っても耳に残っていた。
「主任・・・」
「うむ。」
美馬津が八鍬に伺うように声を掛けると、八鍬は頷いた。
「アリシア嬢の扱いか?」
「察しが良くて助かるよ。今後についての方針を話そうと思ってね。」
その様子を見た禍月が疑問を口にすると、美馬津が温和な笑みを浮かべて頷いた。
「3か月程様子を見るつもりだったんだけどね、今回の事があって少し早める事にしたんだ。つまり、計画の第二段階、フェーズ2への移行を。」
「ついにか・・・」
八鍬は無言で頷き、禍月は険しい表情で言葉を漏らした。
「って、あたしプロジェクトの詳細知らいんだった。」
「え?」
禍月は惚けた顔でプレッツェルを咥えると、疑問を浮かべた美馬津に視線を向ける。
「西園寺のじーさんからは概要しかい聞いていない。あたしなら現地に行けば理解すんだろって、放り込まれたからなぁ・・・」
「御大のいい加減さも困ったものだな。」
禍月の口にした内容に、八鍬が呆れて軽く頭を振った。
「まぁ丁度いいか、どのみち説明する予定だったからね。」
「フェーズ1で生存性を確かめていたこの計画だけど、フェーズ2は共存性の確認を行う予定になっているんだ。」
「そういう事なぁ。」
美馬津が計画の概要を伝えたところで、禍月が口の端を上げて笑みを浮かべる。
「本当に分かったのか?」
「当たり前だ。召喚プログラムを使って別のナマモノを入れるんだろ。複数の人間を同時に召喚して、適応出来るか確認、という事だな。」
禍月の説明に、美馬津は若干の驚きを見せる。しかしすぐに呆れた目を向けた。
「ナマモノって言い方・・・」
「今更何言ってんだ、あたしらは人の人生狂わせてんだ。言い方に気を使ったからといって、その業が軽減されるわけじゃないだろぅ?」
禍月は美馬津にビシッとプレッツェルを突き付けて言う。勢いで折れたプレッツェルが飛んで、美馬津の額に当たって落ちた。美馬津が苦い顔をして禍月から視線を逸らしたのは、プレッツェルが当たったからでは無い事くらい、八鍬にも伝わっていた。
「言い方云々はどうでもいい。話しを続けろ美馬津。」
「すいません、主任。」
禍月の言う事も、主任の態度も、自分が関わっている事も美馬津は分かっていた。ただ、理解していたとしても人である以上、感情が複雑な思いをさせてくる事は、どうしようも無かった。
「そういうわけで、準備が整い次第プログラムの実行をしようと考えているんだ。」
「あたしの認識では、どこから召喚されるか分からない。という認識なんだが、それだと困った事にならないか?今度もアリシア嬢の様に大人しい人間が来るとも限らないだろ?」
気を取り直して言う美馬津に、禍月が疑問を口にする。
「そう、その通りだが、プログラムの詳細までは確認していないか。」
美馬津は肯定しつつも、禍月の気付いていない部分を指摘する。
「ほう?」
「確かに、初回実行では何処から召喚してくるか分からない、その不安はどうしても拭えない。」
「だから、当たりなら同じ場所から召喚すればいい、だな?」
美馬津の説明を引き継ぐように、禍月はそう言いながらプレッツェルを美馬津に向けてニヤリとした。
「そう、逆アリアドネとでも言えばいいのかな。」
「本来は帰るための糸だろー、やれらる側としては嫌な糸だなぁ、それ。」
「それに縋らねば、我らとて生きてはおれんがな。」
嫌だという禍月以上に、八鍬は苦い表情で口にした。良い表情になれないのは、この部屋にいる三人ともだが。
「ま、それは言っても始まらんなぁ。とりあえず空間軸は固定されるわけだろー。」
「その筈、なんだけどね。運が良ければ知り合いを引っ張って来れる可能性もあるかな。」
「運がいいなんてレベルじゃないだろー。」
美馬津の言葉に、禍月はプレッツェルを咥えながら呆れた視線を送る。流石にそれは虫が良すぎるかと、美馬津も苦笑した。
「それでも、害の無い人間が召喚される事を祈るしかないかな。」
そうは思っても、それは願わずにはいられない事だと、美馬津は付け足しておいた。
「んで、準備はどんくらいかかんの?」
「プログラムの修正をしないといけないから、2、3日といったところかな。」
美馬津は考えながら答えると、八鍬も頷く。
「妥当なところだろうな。」
「その間にアリシア嬢に何かあったらどうすんのさ。今まで起きていないから大丈夫とはならいだろー。まして、プレイヤーに何故か着いていくからな。そろそろ危険なレベルだろ。風邪程度じゃすまんぞー。」
別にそれならそれでいい、と言わんばかりに禍月は椅子の背もたれに凭れ、頭の後ろで手を組みながらプレッツェルを齧る。
「そうは言ってもな、僕ではそこが限界だよ。」
美馬津は困った顔をして言う。禍月が言っている事も当然分かっている、何かあって計画が頓挫してしまえば、身の危険を孕んでいるのも承知だ。もちろん、八鍬もそれは重々分かっている。とは言え、漫画やアニメじゃないのだから、能力以上のスペックを引き出す事なんて出来る筈もない。
その美馬津を見て、禍月が椅子の背凭れから背中を離し、美馬津の方を向くと不敵な笑みを浮かべる。
「なら、あたしにやらせろ。」
「何を言っている?プログラムの内容すら見ていないのだろう。」
突然の禍月の言葉に、八鍬は険しい顔で問い詰める。
「やってみなきゃわからんだろぅ?その手の話しなら、あたしはアッキーより早い自身はあるぞ。」
自身満々の禍月に、美馬津は呆れて頭を振った。
「これは僕らが長年掛けて作ったものだぞ。当然、僕の癖だらけのプログラムだ。禍月だって分かっていることだろ、それを僕より早くだって?」
「そうだ。」
美馬津の言葉に対しても、禍月の態度は変わらない。
最初は冗談かと思い呆れていた美馬津だったが、どうやら本気らしい禍月に苛立ちを感じ始める。自分が作成したものを自分より早く修正出来ると言う禍月の言葉に。自負なんて大層なものでも無いが、言われて面白いものでもない。
「なんならするか?勝負。」
挑発するような笑みを浮かべで言う禍月に、温厚な美馬津も頬が引き攣るのを感じた。
「いいだろう、望むところだ。」
「そうこなくっちゃなー。あたしが一晩で終わらせられなかったら、アッキーの勝ちでいいぞー。」
「なっ!・・・一晩だって?」
「だってアッキーが2、3日だろー。それより早いと言ったんだから、一晩で出来なきゃ意味ないだろー。」
流石に馬鹿にしてるとも思ったが、美馬津はもう後に引けなかった。
「分かった。」
「勝負というからには何か賭けないとな、面白くない。」
「もし僕の方が早かったら、今後僕のプログラムに手を出すのはやめてもらう。」
「おぅ、それでいいよー。あたしが買ったらランチ奢ってもらう。」
禍月の条件に美馬津が頷くと、禍月はニヤリとした。
「金額は無制限なー。」
「・・・分かった、好きなものを食べるといい。」
美馬津は無制限という言葉に一瞬顔を顰めたが、この場所に居る限り高いものを食べに行く機会なんてまずない。データセンターに缶詰めもそうだが、何より周囲に飲食店等殆ど無いのだから。そう思うと、好きに食われたところで痛くはないと思った。
(それに、お金の使いどころも無いといえば無いしな。)
美馬津は内心で付け足しておく。
「やったー。」
「まだ決まってないだろ!」
だが禍月は既に勝った気でいるらしく、美馬津の発言に万歳の状態で喜んでいる。それを見た美馬津が、すかさず抗議の声を上げた。
「お前ら勝手に何を決めているんだ。本分を忘れているんじゃないだろうな。」
そんな二人に八鍬が苛立ちを隠さずに言った。
「分かってるよー。でも、早い方がいいだろー?」
「そこではない。お前らは二人揃ってそっちに集中して、監視を放棄するのかと言っているんだ。」
調子の良い禍月に、八鍬の声も大きくなる。
「よろしくー、しゅにん。」
「お願いします、主任。」
「待て、私も若くないんだぞ、少しは考えろ。」
美馬津は流石に考慮するだろうと思って八鍬は言ったのだが、既に禍月との勝負に熱を上げてしまっている事に若干狼狽える。
「しゅにんなら行けるって。あたしのプレッツェル分けてやるから。」
「そんなものはいらん。」
「ひどっ!」
チーズシチュー納豆味と書かれた箱を見て、八鍬は露骨に嫌そうな顔で言う。その言葉に禍月はしゅんとなってしまった。
「私が不在になる時は、両者一旦手を止め監視業務。やるならそれが条件だ。」
これ以上は譲らないとばかりに視線を鋭くして、八鍬は腕を組んで言った。
「しょうがないなー。」
「分かりました。」
-ゲーム内 イルセーヌの街 食堂-
木製の丸テーブルに、向かい合わせで二人の男性プレイヤーが座っている。テーブルには一応料理が並び、湯気の演出が出来立てに見せ、美味しそうに感じさせていた。
「こんな朝っぱらからなんの用?」
まだ眠そうな顔のタッキーが、向かいに座るミカエルに問い掛ける。タッキーは言った後、腹が膨らむわけじゃないが、テーブルに並んだ料理、からあげらしきものにフォークを挿して口に運んだ。
「いや、いくつか聞きたい事があってな。」
「うん?」
「アリシアって何者?あんなキャラ見た事ないんだけど。」
ミカエルの問いに、タッキーは考える素振りをしながら口を開く。
「僕も知らないんだよね。ユアキスとアヤカのパーティに加わった時、既に居たからさ。」
「ユアキスは教えてくれないのか?」
「空中に突然現れ降って来た、クエストらしいクエストが起きるわけでもなくただ着いてくる。それ以上は知らない。って言ってたんだけどさ、僕が入ってからもそれは変わらないなぁ。」
「なんだそりゃ。」
タッキーの説明にミカエルは呆れた顔をした。
「名前の色はプレイヤーと同じだけどさ、装備が見た事ねぇよな。」
「それ、みんな言ってるね。」
「もしかして運営とかか?」
「運営がわざわざ一つのパーティに付くとかないでしょ。」
「だよなぁ・・・」
言ってはみたが、そんなわけはないよなと、ミカエルも態度に出ていた。
「まぁでも、最初に説明したじゃんその辺は。それを改まって聞いてくるって、何か気付いたのかと思ったよ。」
少しそんな期待もあったタッキーだったが、ミカエルからはそんな気配を感じないので、また眠気が増してきていた。
「いや、気付いた事はある。」
「そうなの?」
タッキーは嘘くさいと思いながら、一応相槌を打っておく。
「女子が可愛い。」
「あぁ・・・そうだね。」
「お前の言った通りだよ、こっちに来て正解だったな。」
嬉しそうに言うミカエルを、タッキーは羨ましいと思った。同時に、それが一時の気の迷いだと思い知らされる事になると知っているので、その時も楽しみではあった。
太刀と試し斬りしか考えていない令嬢。
自分は言われてないが、存在自体を挫かれそうな言葉を吐く盾を持っている少女。
自由奔放な自称貴族の娘。
(僕は普通が良かったなぁ・・・)
タッキーは内心でそんな事を思う。姫に関してはごくごく普通の娘だと思ってはいる。問題はそれに附属している人の心を折る盾だ。それさえなければと今でも考えている。
「特に、アリシア嬢はいいよな。」
「は?」
(何を言い出してんだよ・・・ってかそう言う事か。それでアリシアの話しね。)
「アリシアが気になってる事を言うために、こんな朝早くから呼んだんだね・・・」
タッキーが呆れて言うと、ミカエルが顔を逸らす。
(あぁ、一気に面倒くさくなってきた。)
「まぁ、好みだ。」
「あっそう・・・」
正直なところ、タッキーにとって男の恋バナなんか興味は無かった。それもあるが、今の楽しめているこの環境を壊して欲しくないのもある。
(あ、でもアリシアならいっか。多分、NPCかなんかだし。)
「お前だって、姫が気になってんだろ?」
「んー、まぁ。最恐の盾が無ければね。」
「なんだそりゃ?」
「いや、なんでもないよ。」
「ふぅ、食った食った。さて、ゲームでもするかな。」
俺はリビングで朝飯を食い終わると片付けようとする。親父は既に仕事に行っているから、母さんも朝飯はとっくに済ませている。俺一人、遅めの朝食だ。
「ぉ、おにぃ・・・」
椅子から立とうとすると、部屋から出てきていたヒナが話しかけてくる。普段と比べて小さめの声だ。それはそれで嫌な予感がする。
「なんだよ?」
「キ・・・もうすぐDEWS始められそうなんだよね。」
キモって言おうとしたな、こいつ。俺が喋るとだいたい一発目はそれだからな、癖になっているんだとしたら、嫌な癖だ。
「ま、がんばれ。」
俺はそれだけ言うと椅子から立って、後片付けをする。
「待ってよ。」
「・・・」
が、まだ解放してくれないようだ。とりあえず立ち止まる。
「悠美が出来ない時とか、その、手伝ってよ。」
「いやだ。」
俺は即答すると容器を片付け、自室に戻ろうとする。ヒナはその場から動かずに床を見つめたままだった。
(少し冷たかったか?・・・ま、いいや。)
「可愛い妹がお願いしてるのに、何で手伝ってくれないのよっ!」
自分で言うな。
あと見た目がいいのは外見だけな。
しかし、てっきり落ち込んでいるかと思いきや、眼には怒りを含んでいるようだった。
「キモくもウザくもないやつにでも手伝ってもらえ。」
正直な話し、ゲーム内でもヒナが言うその手の言葉を聞きたくはない。俺は楽しむためにゲームをしているんだ、リアルで言われてる事をその場所でまで言われたくはない。
だから、それだけ言って俺は部屋に向かった。
「おにぃのバカっ!!」
その怒声と、床を踏みつけるように歩く音と、ドアが閉まる音が、俺が部屋に入る前に一連の音として、部屋の中に入っても耳に残っていた。
0
あなたにおすすめの小説
結婚して3年経っても子供ができないという理由で離縁されたエマは、前世の記憶を思い出して幸せになる。周りが勝手に復讐してくれました。
山田 バルス
恋愛
結婚三年目の春、エマは伯爵家の夫アンドレオから突然、側室を迎える話を告げられる。子をなせなかったことを理由に、彼女は僅かな補償のみで離縁された。妻として過ごした三年間は「無価値だった」と突きつけられ、エマは貴族社会から静かに切り捨てられる。
また実家の父母の墓参りに行くと、当主になっていた兄に離縁金を奪われてしまう。
大ピンチのエマには、秘密があった。なんと彼女は幼少期に前世の記憶を思い出していたのだ。
かつて観光地で石を磨き、アクセサリーを作り、人に喜ばれる仕事をしていた人生。何も持たない今だからこそ、もう一度「自分の手で生きる」ことを選び、あの人が住む商業国家スペイラ帝国へ向かう決意をする。
国境への道中、盗賊に襲われるが、護衛兵ロドリゲスの活躍で難を逃れる。彼の誠実な態度に、エマは「守られる価値のある存在」として扱われたことに胸を打たれた。
スペイラ帝国では身分に縛られず働ける。エマは前世の技術を活かし、石を磨いてアクセサリーを作る小さな露店を始める。石に意味を込めた腕輪やペンダントは人々の心を掴み、体験教室も開かれるようになる。伯爵夫人だった頃よりも、今の方がずっと「生きている」と実感していた。
ある朝、ロドリゲスが市場を訪れ、エマの作ったタイガーアイの腕輪を購入する。ところがその夜、彼は驚いた様子で戻り、腕輪が力を一・五倍に高める魔道具だと判明したと告げる。エマ自身は無意識だったが、彼女の作るアクセサリーには確かな力が宿っていた。
後日二人は食事に出かけ、エマは自分が貴族の妻として離縁された過去を打ち明ける。ロドリゲスは強く憤り、「最悪な貴族だ」と彼女と一緒になって怒ってくれた。その気持ちが、エマにとって何よりの救いだった。彼は次に防御力を高める腕輪を依頼し、冒険者ギルドで正式な鑑定を受けるよう勧める。
翌日、冒険者ギルドで鑑定を行った結果、エマの腕輪は高い防御効果を持つことが判明。さらに彼女自身を鑑定すると、なんと「付与特化型聖女」であることが明らかになる。聖女が付与した魔道具は現実の力として強く発現するのだ。
価値がないと切り捨てられた人生は、ここでは確かな力となった。スペイラ帝国で、聖女エマの新しい人生が、静かに、そして輝かしく始まる。
追放された悪役令嬢、農業チートと“もふもふ”で国を救い、いつの間にか騎士団長と宰相に溺愛されていました
黒崎隼人
ファンタジー
公爵令嬢のエリナは、婚約者である第一王子から「とんでもない悪役令嬢だ!」と罵られ、婚約破棄されてしまう。しかも、見知らぬ辺境の地に追放されることに。
絶望の淵に立たされたエリナだったが、彼女には誰にも知られていない秘密のスキルがあった。それは、植物を育て、その成長を何倍にも加速させる規格外の「農業チート」!
畑を耕し、作物を育て始めたエリナの周りには、なぜか不思議な生き物たちが集まってきて……。もふもふな魔物たちに囲まれ、マイペースに農業に勤しむエリナ。
はじめは彼女を蔑んでいた辺境の人々も、彼女が作る美味しくて不思議な作物に魅了されていく。そして、彼女を追放したはずの元婚約者や、彼女の力を狙う者たちも現れて……。
これは、追放された悪役令嬢が、農業の力と少しのもふもふに助けられ、世界の常識をひっくり返していく、痛快でハートフルな成り上がりストーリー!
黄金の魔族姫
風和ふわ
恋愛
「エレナ・フィンスターニス! お前との婚約を今ここで破棄する! そして今から僕の婚約者はこの現聖女のレイナ・リュミエミルだ!」
「エレナ様、婚約者と神の寵愛をもらっちゃってごめんね? 譲ってくれて本当にありがとう!」
とある出来事をきっかけに聖女の恩恵を受けれなくなったエレナは「罪人の元聖女」として婚約者の王太子にも婚約破棄され、処刑された──はずだった!
──え!? どうして魔王が私を助けてくれるの!? しかも娘になれだって!?
これは、婚約破棄された元聖女が人外魔王(※実はとっても優しい)の娘になって、チートな治癒魔法を極めたり、地味で落ちこぼれと馬鹿にされていたはずの王太子(※実は超絶美形)と恋に落ちたりして、周りに愛されながら幸せになっていくお話です。
──え? 婚約破棄を取り消したい? もう一度やり直そう? もう想い人がいるので無理です!
※拙作「皆さん、紹介します。こちら私を溺愛するパパの“魔王”です!」のリメイク版。
※表紙は自作ではありません。
異世界ママ、今日も元気に無双中!
チャチャ
ファンタジー
> 地球で5人の子どもを育てていた明るく元気な主婦・春子。
ある日、建設現場の事故で命を落としたと思ったら――なんと剣と魔法の異世界に転生!?
目が覚めたら村の片隅、魔法も戦闘知識もゼロ……でも家事スキルは超一流!
「洗濯魔法? お掃除召喚? いえいえ、ただの生活の知恵です!」
おせっかい上等! お節介で世界を変える異世界ママ、今日も笑顔で大奮闘!
魔法も剣もぶっ飛ばせ♪ ほんわかテンポの“無双系ほんわかファンタジー”開幕!
ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ハーレム系ギャルゲー『シックス・パレット』の捨てられヒロインである侯爵令嬢、ベルメ・ルビロスに転生した主人公、ベルメ。転生したギャルゲーの主人公キャラである第一王子、アインアルドの第一夫人になるはずだったはずが、次々にヒロインが第一王子と結ばれて行き、夫人の順番がどんどん後ろになって、ついには婚約破棄されてしまう。
しかし、それは、一夫多妻制度が嫌なベルメによるための長期に渡る計画によるもの。
無事に望む通りに婚約破棄され、自由に生きようとした矢先、ベルメは元婚約者から、新たな婚約者候補をあてがわれてしまう。それは、社交も公務もしない、引きこもりの第八王子のオクトールだった。
『おさがり』と揶揄されるベルメと出自をアインアルドにけなされたオクトール、アインアルドに見下された二人は、アインアルドにやり返すことを決め、互いに手を取ることとなり――。
【この作品は、別名義で投稿していたものを改題・加筆修正したものになります。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】
アロマおたくは銀鷹卿の羽根の中。~召喚されたらいきなり血みどろになったけど、知識を生かして楽しく暮らします!
古森真朝
ファンタジー
大学生の理咲(りさ)はある日、同期生・星蘭(せいら)の巻き添えで異世界に転移させられる。その際の着地にミスって頭を打ち、いきなり流血沙汰という散々な目に遭った……が、その場に居合わせた騎士・ノルベルトに助けられ、どうにか事なきを得る。
怪我をした理咲の行動にいたく感心したという彼は、若くして近衛騎士隊を任される通称『銀鷹卿』。長身でガタイが良い上に銀髪蒼眼、整った容姿ながらやたらと威圧感のある彼だが、実は仲間想いで少々不器用、ついでに万年肩凝り頭痛持ちという、微笑ましい一面も持っていた。
世話になったお礼に、理咲の持ち込んだ趣味グッズでアロマテラピーをしたところ、何故か立ちどころに不調が癒えてしまう。その後に試したノルベルトの部下たちも同様で、ここに来て『じゃない方』の召喚者と思われた理咲の特技が判明することに。
『この世界、アロマテラピーがめっっっっちゃ効くんだけど!?!』
趣味で極めた一芸は、異世界での活路を切り開けるのか。ついでに何かと手を貸してくれつつ、そこそこ付き合いの長い知人たちもびっくりの溺愛を見せるノルベルトの想いは伝わるのか。その背景で渦巻く、王宮を巻き込んだ陰謀の行方は?
元救急医クラリスの異世界診療録 ―今度こそ、自分本位に生き抜きます―
やまだ
ファンタジー
朝、昼、夜を超えてまた朝と昼を働いたあの日、救急医高梨は死んでしまった。比喩ではなく、死んだのだ。
次に目覚めたのは、魔法が存在する異世界・パストリア王国。
クラリスという少女として、救急医は“二度目の人生”を始めることになった。
この世界では、一人ひとりに魔法がひとつだけ授けられる。
クラリスが与えられたのは、《消去》の力――なんだそれ。
「今度こそ、過労死しない!」
そう決意したのに、見過ごせない。困っている人がいると、放っておけない。
街の診療所から始まった小さな行動は、やがて王城へ届き、王族までも巻き込む騒動に。
そして、ちょっと推してる王子にまで、なぜか気に入られてしまい……?
命を救う覚悟と、前世からの後悔を胸に――
クラリス、二度目の人生は“自分のために”生き抜きます。
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる