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27.勝手に決めてんな、従者
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大きく開いた口腔に橙色の光が収束すると、薙ぎ払うように首を振ってその光を吐き出す。その間にもう一つの口には青白い光が収束、追い掛けるように橙色の光をなぞっていく。
地面に吐きつけられた橙色の光は、上空へ向かって火柱を上げ、煌めく火の粉を散らしていく。そこへ追い掛けて吐かれた青白い光が、橙色の光に触れた瞬間、眩い白光ととも爆発、閃光と爆音が連鎖していく。
(ち、近付けねぇだろ!)
爆炎が煙り、敵がろくに見えもしないのに、太刀を横に構えたアヤカが突っ込んいく。確かに、大技使った後は隙が出来やすい。ってか無かったらゲームとして面白くないだろうけど。
(あ、舞った・・・)
煙の上方にアヤカが舞っていくのが見える。攻撃を食らって吹っ飛んだんだろう。そのアヤカが地面に落下する前に、緑色の光が追い掛けてアヤカを包み込んでいく。ミカエルが放った回復技が、アヤカの減った体力を回復していった。
(あのブレス、かなりやっかいだな。)
クエストLV9-3のボス、双頭の炎大狼
ブレスは必ず二段階で吐かれる。橙色の次に青白いブレス、順番も決まっている。直線で吐けば、交差した場所で爆発が起きる。そのものに当たってもダメージは大きいが、爆発の方がダメージがでかい。一番は直撃だが、爆心に居なくても巻き込まれただけでも痛いし吹っ飛ばされる。
質が悪い。
しかも、狼だけあってか動きが早く、捉えるのも大変だ。頭の高さが俺の身長の倍以上の位置にある程の巨体だが、その巨体が目の前から霞んで移動しやがる。
落下したアヤカに向かい、双頭の炎大狼が一足飛びで間合いを詰めると、前脚を振りかぶってからの薙ぎ払い。アヤカは落下後、起き上がりと同時に後方へ跳んでそれを避ける。
その隙に距離を詰めていた俺は、跳躍から胴体へ斬り下ろし。双頭の炎大狼がこっちを見た隙に、アヤカが着地から距離を詰めての袈裟斬り。
が、厄介な事に頭が二つあるんだよな、アヤカの攻撃も見えていたようで前足で止められる。同時に俺の方を向いた頭部の口が、オレンジ色の光を放ち始める。
(げっ・・・)
「総攻撃の準備を!」
そう思った直後、姫が大きな声で言った。何故このタイミングで?と思わないでもないが、姫の合図にしたがって準備をする。
もう一つの頭部の口が青白い光を放ち始めた直後、姫の放った閃光矢が双頭の炎大狼の頭部付近で弾けた。眩しさで仰け反った頭部から上空に向かいブレスが発動、追い掛けて青白いブレスも発動するが、眩暈の所為か隣の頭部付近に向かって放たれた。
結果、双頭の炎大狼の頭部付近で閃光、爆発が起こり、巨体がよろめいて横倒しになる。
「行きますわよ、ユアキス!」
「任せろ。」
倒れる方向に距離を詰めていた俺とアヤカが連撃に入る。当然、タッキーと姫もSSSを発動。ミカエルが掛けた攻撃力上昇のバフを盛った総攻撃が、双頭の炎大狼に叩き込まれた。
「半分切ったね。」
銃弾を撃つ動作をしながら言ったタッキーの言葉で、双頭の炎大狼のHPゲージを確認すると、確かに4割くらいになっていた。順調ではあるが、まだ4割もあるのか、とも思う。
双頭の炎大狼との間合いを詰めるが、気付かれて前脚で薙ぎ払われる。
「俺はまだ余力があるから、回復は頼ってくれていい。」
「当然ですわ。」
ミカエルの言葉に、アヤカは不敵な笑みを浮かべて双頭の炎大狼の噛み付きを躱して、頭部に薙ぎ払いを叩き込む。
アヤカの当然は、回復を頼って攻撃するじゃなく、回復するのが当たり前だろ、の当然だろうな。
アヤカの斬りで怯んだところへ俺も跳躍から頭部を狙う。が、双頭の炎大狼が後方へ大きく跳躍。
(俺の攻撃だけかわすなよ!)
双頭の炎大狼は着地と同時に上空へ高く跳躍、頭部の口は眩いばかりの光を収束していた。
(なんかやらかす気だ。)
「逃げてください!」
姫の言葉で急いで双頭の炎大狼から離れる。が、アヤカはむしろ距離を詰めだした。
(アホか!)
双頭の炎大狼が空中から大砲のようにオレンジ色の光球を吐き出して、反動で一回転。今までの線状のブレスではない。その光球が地面に当たると弾け、同心円状に広範囲を包む炎が立ち上がる。一回転した双頭の炎大狼は、さらにもう一発放って、今度の反動で後方へ落下。追撃の青白い光球が着弾すると、一瞬の閃光の後、超広範囲の大爆発が起きた。
(なんつー危ない技を持ってやがんだ。ってか、アヤカ死んだんじゃね?)
確認してみるが、瀕死で生きてやがった。瀕死と言っても2割程か。ミカエルのダメージ軽減のシールドで助かったんだろうな。
(ってかそれ、シールド無しの直撃は即死じゃねーか・・・)
「次に使われる前に、倒しましょう。」
大分距離が離れた双頭の炎大狼に向かって走り出し、姫がそう言った。つまり、頻繁には使ってこないって事だな。
既に斬り込んでいるアヤカを目指し、俺も走っていく。
「いやぁ、強かったね。」
イルセーヌの街に戻ると、タッキーが苦笑しながら言う。確かに、あのブレスはかなり厄介だった。
「俺もこんなに回復技使用したの、オルデラ以来だ。」
オルデラは確かに強敵だったな、あれ以上のボスキャラは今のところ出会ってない。というか、頻繁に出てこられても困る。
「猪突猛進な奴が居るからだろ。」
ミカエルの回復は主に、アヤカに対してだったからな。お陰で倒せたとも言える。やっぱヒーラーが居ると、生存率が違うな。
「今私の悪口を言いましたわね?」
俺の言葉に反応してアヤカが睨んでくる。
「いや、悪口じゃなく事実だ。」
「ユアキス、貴方がそんなに三途の川辺に咲いている花が見たいと思いませんでしたわ。」
「まぁまぁ、新しい素材が手に入ったんですから、早く鍛冶屋に向かいましょう。」
「そうでしたわ、新しい太刀を見に行くんですわ。」
姫の窘めで即態度が変化するアヤカ。姫はアヤカを上手い事誘導するよな。いや、アヤカが単純なのか。
「大変な戦闘でしたが、新しいレイピアのためですもの、楽しみですわ。」
・・・
「お前は戦ってないだろ。」
いつの間にか合流しているアリシアに半眼を向けて言う。
「アリシア嬢、お怪我はありませんでしたか?」
おいミカエル・・・
「ええ、問題ありません。ところで貴方は、どちらの出ですの?」
まんざらでもなさそうなアリシアが、ミカエルに問う。聞き方からして、家柄とか聞いてんじゃないだろうか。まぁ、ミカエルも俺と同じ下民だがな。
そういや、ミカエルとアリシアの絡みは、今までほぼ無かったな。イルセーヌまでの道中も会話らしい会話もしてなかった気がするし。ってか、ミカエルの奴どうしたんだ突然。
「あぁ、ミカエルは僕やユアキスと同じだよ。」
タッキーがアリシアに説明すると、ミカエルが頷く。そこでアリシアの表情が冷たく変化した。んなこったろうと思ったよ。
「あらそうでしたの。わたくしはバートラント子爵家当主、ルーデリオ・バートラントの娘ですわ。下民が貴族に気安く話しかけるなど、許されると思っていますの?」
出たよ。
タッキーは慣れたのか苦笑しているが、アヤカと姫に関してはもう無視して鍛冶屋に向かっている。
当のミカエルは鳩が豆鉄砲食らったような顔しているが。
(おい、どういう事だ?)
(だから僕も知らないんだってば。)
ミカエルがタッキーに小声で聞いているが、タッキーは困っているどころか、何処か楽しそうだ。まぁ俺も、アリシアの素性に関してはまったく分からないが。
「アリシア嬢、同じ下民でもユアキスとは普通に会話しているように思えますが。」
俺を出すな!
ってかやけにミカエルの奴はアリシアに絡むな。
「ユアキスはいいのです、彼はわたくしの従者ですから。」
おい待て・・・
俺がいつお前の従者になったんだ。
「聞き捨てなりませんわね。」
そして何故お前が反応する。
声のした方を見ると、アヤカが立ち止まってアリシアに鋭い眼を向ける。
「貴女と出会う前から、ユアキスは私の太刀を集める随伴者。適当な事を言わないで欲しいですわ。」
誰がだ・・・
俺がいつお前に付き従ったよ。
「出会ったのが後か先かなんて関係ありませんわ。」
それ以前の問題だがな。
「本人に聞いてみれば分かりますわ。」
睨み合っていたアヤカとアリシアが急に俺の方を向く。おい、俺を巻き込むなよ。
「私の随伴者ですわね?」
「わたくしの従者ですわね?」
向くと同時に二人が聞いて来る。
「どっちもちげぇーよっ!!アホか!」
アホくさいんで全力で否定すると、さっさと鍛冶屋に向かう事にした。相手にしてられるかっての。
「戦闘となれば逃げまわっている田舎娘の従者に、ユアキスがなるなんてありえませんわ。」
「太刀と戦闘に猪突猛進な辺境娘こそ、独りで邁進していればいいんですわ。」
なんか後ろの方から聞こえてくるが、もう俺には関係ないな。
アホ二人は放置でとりあえず、新しい片手剣を見よう。
(なぁタッキー。)
(何?)
(こうなる事、知ってたな。)
(あぁ、まぁ。僕がどうこう言うより、実際に経験してもらった方が早いかなって思って。)
(・・・そう言われるとな、確かにそうだが。)
(僕にはついていけない。)
(なるほど、それで姫か。)
俺の後ろに着いて来ているタッキーとミカエルが何やら話しているが、聞こえないので何を話しているか分からない。大方、さっきのやりとりの事でも話しているんだろう。
ってかボス戦が終わって疲れているところに、余計な労力を使わせないで欲しい。
そんな事を考えている間に鍛冶屋に着いたので入ろうとする。
「おわっ・・・」
が、突き飛ばされてバランスを崩した。
「抜け駆けは許しませんわ。」
と言って、いつの間にか追い付いて来ていたアヤカが、真っ先に鍛冶屋に乗り込んでいく。ま、それに関してはいいや、アヤカだし。
とりあえず俺も鍛冶屋に入り武器を確認する。基本的に防具やアクセサリーは後回しだ。武器が作れない、無い時に相性とか考えだすくらいだからな。
それじゃダメなのかもしれないが、楽しみ方は俺の自由だし。
狼刃エクスフィリオ・・・
!!
溜め攻撃が付いている。今まで作った中では、溜め攻撃が付いている武器は無い。作っていない中では存在しているかもしれないが。しかもこの武器、溜め攻撃の後に追加で爆発。これが攻撃力2倍分の追加ダメージ。
(いや、凄くないかこれ?)
と思ったが、よくよく考えれば、単発の溜め攻撃より連撃の方がダメージ出るんじゃないか?
違うな、連撃程の隙が無い時に当てるからこそ生きるのか?つまり使い分けろって事だな。そう考えると、強いのかもしれない。
悩む。
「ユアキス。」
と、俺が悩んでいると、肩に手を置かれて名前を呼ばれる。
「なんだよ・・・」
声の方を向くと、真面目な顔でアヤカがこちらを見ていた。嫌な予感がするが、多分的中だろう。きっとろくでもない事を言ってくるに違いない。
「私、頭が二つくらいついている大きな狼と戦ってみたいですわ。」
・・・
死ね。
単に材料が足らないんだろ。そんな事だろう思ったけどさ。
よし、俺だけ先に作って双頭の炎大狼と戦うときに見せびらかしてやろう。そうと決まったらこっそり作るか。
「しょうがねーな。一応他のメンバーに確認してからな。」
「分かりましたわ。」
だけど、アヤカにしては珍しく、ストレートじゃなく面白い言い回しをしたな。もしかすると、俺やタッキーに看過された所為だろうか。まぁどうでもいいけど。
ん、こいつはすげぇ。
こっそり作った狼刃エクスフィリオだが、もう一段階上が作れる。運良く高純度原石が足りているじゃないか。攻撃速度のオプションは無くなるが、火力のオプションが手厚い。
これはちょっと楽しそうだ。
・・・
よし、狼天牙エクスメヴィアの完成だ。
タッキーとミカエルも素材が足りないって事で、双頭の炎大狼を倒すことはあっさりと決まった。俺としても防具やアクセサリーにも使うだろうから問題ない。
なにより、試し斬りがしたいってのもある。
フィールドに出ると武器が表示されるが、誰も俺の武器が変わっていることに気付いてはくれなかった。実際、いちいち見ないよな。それに、自分が使っている武器でもないのに、デザインが変わっているとか、気付かないんだろう。
「さて、そろそろだな。」
「そうだな。」
「一回戦うと、動きが分かってるから戦いやすいよね。」
「そうですね、でも油断しないように行きましょう。」
目的地に着いた事で、それぞれが声を上げる。
「来ましたわ。」
アヤカの合図で俺は抜剣。抜刀攻撃から入るのが基本だから、わざわざここで抜剣する必要も無いがいい加減気付いて欲しいので抜いてみた。って俺は小学生か。
「あ、ユアキス武器作ったの?」
「本当だ。しかも上級の方まで作ってやがる。」
タッキーが気付いて、ミカエルが羨ましそうに見てくる。
「ふっふぅん。」
アヤカの方に向いて、得意げにしてやるが反応がいまいちだ。
「よかったですわね。」
思ったほどの反応じゃない、つまらん。ただ、声のトーンは下がったので、悔しいか羨ましいってのはあるんだろうな。少しは反応したようだから、まぁよしとするか。
「射程圏内です。」
「よし、行くか。」
姫の合図で、俺は片手剣を鞘に戻して、双頭の炎大狼に向かって走り始める。
「あら、手が滑りましたわ!」
「ぶほっ・・・」
アヤカの声が聞こえたからその方向を見たが、既に抜刀して構えたアヤカが目の前に踏み込んで来ていた。なんの対処も出来ず、俺はアヤカの払い抜けで吹っ飛ばされた。
やっかみじゃねーか。
効果があって良かったのか悪かったのか・・・俺は宙を舞いながらそんな疑問を考えていた。
地面に吐きつけられた橙色の光は、上空へ向かって火柱を上げ、煌めく火の粉を散らしていく。そこへ追い掛けて吐かれた青白い光が、橙色の光に触れた瞬間、眩い白光ととも爆発、閃光と爆音が連鎖していく。
(ち、近付けねぇだろ!)
爆炎が煙り、敵がろくに見えもしないのに、太刀を横に構えたアヤカが突っ込んいく。確かに、大技使った後は隙が出来やすい。ってか無かったらゲームとして面白くないだろうけど。
(あ、舞った・・・)
煙の上方にアヤカが舞っていくのが見える。攻撃を食らって吹っ飛んだんだろう。そのアヤカが地面に落下する前に、緑色の光が追い掛けてアヤカを包み込んでいく。ミカエルが放った回復技が、アヤカの減った体力を回復していった。
(あのブレス、かなりやっかいだな。)
クエストLV9-3のボス、双頭の炎大狼
ブレスは必ず二段階で吐かれる。橙色の次に青白いブレス、順番も決まっている。直線で吐けば、交差した場所で爆発が起きる。そのものに当たってもダメージは大きいが、爆発の方がダメージがでかい。一番は直撃だが、爆心に居なくても巻き込まれただけでも痛いし吹っ飛ばされる。
質が悪い。
しかも、狼だけあってか動きが早く、捉えるのも大変だ。頭の高さが俺の身長の倍以上の位置にある程の巨体だが、その巨体が目の前から霞んで移動しやがる。
落下したアヤカに向かい、双頭の炎大狼が一足飛びで間合いを詰めると、前脚を振りかぶってからの薙ぎ払い。アヤカは落下後、起き上がりと同時に後方へ跳んでそれを避ける。
その隙に距離を詰めていた俺は、跳躍から胴体へ斬り下ろし。双頭の炎大狼がこっちを見た隙に、アヤカが着地から距離を詰めての袈裟斬り。
が、厄介な事に頭が二つあるんだよな、アヤカの攻撃も見えていたようで前足で止められる。同時に俺の方を向いた頭部の口が、オレンジ色の光を放ち始める。
(げっ・・・)
「総攻撃の準備を!」
そう思った直後、姫が大きな声で言った。何故このタイミングで?と思わないでもないが、姫の合図にしたがって準備をする。
もう一つの頭部の口が青白い光を放ち始めた直後、姫の放った閃光矢が双頭の炎大狼の頭部付近で弾けた。眩しさで仰け反った頭部から上空に向かいブレスが発動、追い掛けて青白いブレスも発動するが、眩暈の所為か隣の頭部付近に向かって放たれた。
結果、双頭の炎大狼の頭部付近で閃光、爆発が起こり、巨体がよろめいて横倒しになる。
「行きますわよ、ユアキス!」
「任せろ。」
倒れる方向に距離を詰めていた俺とアヤカが連撃に入る。当然、タッキーと姫もSSSを発動。ミカエルが掛けた攻撃力上昇のバフを盛った総攻撃が、双頭の炎大狼に叩き込まれた。
「半分切ったね。」
銃弾を撃つ動作をしながら言ったタッキーの言葉で、双頭の炎大狼のHPゲージを確認すると、確かに4割くらいになっていた。順調ではあるが、まだ4割もあるのか、とも思う。
双頭の炎大狼との間合いを詰めるが、気付かれて前脚で薙ぎ払われる。
「俺はまだ余力があるから、回復は頼ってくれていい。」
「当然ですわ。」
ミカエルの言葉に、アヤカは不敵な笑みを浮かべて双頭の炎大狼の噛み付きを躱して、頭部に薙ぎ払いを叩き込む。
アヤカの当然は、回復を頼って攻撃するじゃなく、回復するのが当たり前だろ、の当然だろうな。
アヤカの斬りで怯んだところへ俺も跳躍から頭部を狙う。が、双頭の炎大狼が後方へ大きく跳躍。
(俺の攻撃だけかわすなよ!)
双頭の炎大狼は着地と同時に上空へ高く跳躍、頭部の口は眩いばかりの光を収束していた。
(なんかやらかす気だ。)
「逃げてください!」
姫の言葉で急いで双頭の炎大狼から離れる。が、アヤカはむしろ距離を詰めだした。
(アホか!)
双頭の炎大狼が空中から大砲のようにオレンジ色の光球を吐き出して、反動で一回転。今までの線状のブレスではない。その光球が地面に当たると弾け、同心円状に広範囲を包む炎が立ち上がる。一回転した双頭の炎大狼は、さらにもう一発放って、今度の反動で後方へ落下。追撃の青白い光球が着弾すると、一瞬の閃光の後、超広範囲の大爆発が起きた。
(なんつー危ない技を持ってやがんだ。ってか、アヤカ死んだんじゃね?)
確認してみるが、瀕死で生きてやがった。瀕死と言っても2割程か。ミカエルのダメージ軽減のシールドで助かったんだろうな。
(ってかそれ、シールド無しの直撃は即死じゃねーか・・・)
「次に使われる前に、倒しましょう。」
大分距離が離れた双頭の炎大狼に向かって走り出し、姫がそう言った。つまり、頻繁には使ってこないって事だな。
既に斬り込んでいるアヤカを目指し、俺も走っていく。
「いやぁ、強かったね。」
イルセーヌの街に戻ると、タッキーが苦笑しながら言う。確かに、あのブレスはかなり厄介だった。
「俺もこんなに回復技使用したの、オルデラ以来だ。」
オルデラは確かに強敵だったな、あれ以上のボスキャラは今のところ出会ってない。というか、頻繁に出てこられても困る。
「猪突猛進な奴が居るからだろ。」
ミカエルの回復は主に、アヤカに対してだったからな。お陰で倒せたとも言える。やっぱヒーラーが居ると、生存率が違うな。
「今私の悪口を言いましたわね?」
俺の言葉に反応してアヤカが睨んでくる。
「いや、悪口じゃなく事実だ。」
「ユアキス、貴方がそんなに三途の川辺に咲いている花が見たいと思いませんでしたわ。」
「まぁまぁ、新しい素材が手に入ったんですから、早く鍛冶屋に向かいましょう。」
「そうでしたわ、新しい太刀を見に行くんですわ。」
姫の窘めで即態度が変化するアヤカ。姫はアヤカを上手い事誘導するよな。いや、アヤカが単純なのか。
「大変な戦闘でしたが、新しいレイピアのためですもの、楽しみですわ。」
・・・
「お前は戦ってないだろ。」
いつの間にか合流しているアリシアに半眼を向けて言う。
「アリシア嬢、お怪我はありませんでしたか?」
おいミカエル・・・
「ええ、問題ありません。ところで貴方は、どちらの出ですの?」
まんざらでもなさそうなアリシアが、ミカエルに問う。聞き方からして、家柄とか聞いてんじゃないだろうか。まぁ、ミカエルも俺と同じ下民だがな。
そういや、ミカエルとアリシアの絡みは、今までほぼ無かったな。イルセーヌまでの道中も会話らしい会話もしてなかった気がするし。ってか、ミカエルの奴どうしたんだ突然。
「あぁ、ミカエルは僕やユアキスと同じだよ。」
タッキーがアリシアに説明すると、ミカエルが頷く。そこでアリシアの表情が冷たく変化した。んなこったろうと思ったよ。
「あらそうでしたの。わたくしはバートラント子爵家当主、ルーデリオ・バートラントの娘ですわ。下民が貴族に気安く話しかけるなど、許されると思っていますの?」
出たよ。
タッキーは慣れたのか苦笑しているが、アヤカと姫に関してはもう無視して鍛冶屋に向かっている。
当のミカエルは鳩が豆鉄砲食らったような顔しているが。
(おい、どういう事だ?)
(だから僕も知らないんだってば。)
ミカエルがタッキーに小声で聞いているが、タッキーは困っているどころか、何処か楽しそうだ。まぁ俺も、アリシアの素性に関してはまったく分からないが。
「アリシア嬢、同じ下民でもユアキスとは普通に会話しているように思えますが。」
俺を出すな!
ってかやけにミカエルの奴はアリシアに絡むな。
「ユアキスはいいのです、彼はわたくしの従者ですから。」
おい待て・・・
俺がいつお前の従者になったんだ。
「聞き捨てなりませんわね。」
そして何故お前が反応する。
声のした方を見ると、アヤカが立ち止まってアリシアに鋭い眼を向ける。
「貴女と出会う前から、ユアキスは私の太刀を集める随伴者。適当な事を言わないで欲しいですわ。」
誰がだ・・・
俺がいつお前に付き従ったよ。
「出会ったのが後か先かなんて関係ありませんわ。」
それ以前の問題だがな。
「本人に聞いてみれば分かりますわ。」
睨み合っていたアヤカとアリシアが急に俺の方を向く。おい、俺を巻き込むなよ。
「私の随伴者ですわね?」
「わたくしの従者ですわね?」
向くと同時に二人が聞いて来る。
「どっちもちげぇーよっ!!アホか!」
アホくさいんで全力で否定すると、さっさと鍛冶屋に向かう事にした。相手にしてられるかっての。
「戦闘となれば逃げまわっている田舎娘の従者に、ユアキスがなるなんてありえませんわ。」
「太刀と戦闘に猪突猛進な辺境娘こそ、独りで邁進していればいいんですわ。」
なんか後ろの方から聞こえてくるが、もう俺には関係ないな。
アホ二人は放置でとりあえず、新しい片手剣を見よう。
(なぁタッキー。)
(何?)
(こうなる事、知ってたな。)
(あぁ、まぁ。僕がどうこう言うより、実際に経験してもらった方が早いかなって思って。)
(・・・そう言われるとな、確かにそうだが。)
(僕にはついていけない。)
(なるほど、それで姫か。)
俺の後ろに着いて来ているタッキーとミカエルが何やら話しているが、聞こえないので何を話しているか分からない。大方、さっきのやりとりの事でも話しているんだろう。
ってかボス戦が終わって疲れているところに、余計な労力を使わせないで欲しい。
そんな事を考えている間に鍛冶屋に着いたので入ろうとする。
「おわっ・・・」
が、突き飛ばされてバランスを崩した。
「抜け駆けは許しませんわ。」
と言って、いつの間にか追い付いて来ていたアヤカが、真っ先に鍛冶屋に乗り込んでいく。ま、それに関してはいいや、アヤカだし。
とりあえず俺も鍛冶屋に入り武器を確認する。基本的に防具やアクセサリーは後回しだ。武器が作れない、無い時に相性とか考えだすくらいだからな。
それじゃダメなのかもしれないが、楽しみ方は俺の自由だし。
狼刃エクスフィリオ・・・
!!
溜め攻撃が付いている。今まで作った中では、溜め攻撃が付いている武器は無い。作っていない中では存在しているかもしれないが。しかもこの武器、溜め攻撃の後に追加で爆発。これが攻撃力2倍分の追加ダメージ。
(いや、凄くないかこれ?)
と思ったが、よくよく考えれば、単発の溜め攻撃より連撃の方がダメージ出るんじゃないか?
違うな、連撃程の隙が無い時に当てるからこそ生きるのか?つまり使い分けろって事だな。そう考えると、強いのかもしれない。
悩む。
「ユアキス。」
と、俺が悩んでいると、肩に手を置かれて名前を呼ばれる。
「なんだよ・・・」
声の方を向くと、真面目な顔でアヤカがこちらを見ていた。嫌な予感がするが、多分的中だろう。きっとろくでもない事を言ってくるに違いない。
「私、頭が二つくらいついている大きな狼と戦ってみたいですわ。」
・・・
死ね。
単に材料が足らないんだろ。そんな事だろう思ったけどさ。
よし、俺だけ先に作って双頭の炎大狼と戦うときに見せびらかしてやろう。そうと決まったらこっそり作るか。
「しょうがねーな。一応他のメンバーに確認してからな。」
「分かりましたわ。」
だけど、アヤカにしては珍しく、ストレートじゃなく面白い言い回しをしたな。もしかすると、俺やタッキーに看過された所為だろうか。まぁどうでもいいけど。
ん、こいつはすげぇ。
こっそり作った狼刃エクスフィリオだが、もう一段階上が作れる。運良く高純度原石が足りているじゃないか。攻撃速度のオプションは無くなるが、火力のオプションが手厚い。
これはちょっと楽しそうだ。
・・・
よし、狼天牙エクスメヴィアの完成だ。
タッキーとミカエルも素材が足りないって事で、双頭の炎大狼を倒すことはあっさりと決まった。俺としても防具やアクセサリーにも使うだろうから問題ない。
なにより、試し斬りがしたいってのもある。
フィールドに出ると武器が表示されるが、誰も俺の武器が変わっていることに気付いてはくれなかった。実際、いちいち見ないよな。それに、自分が使っている武器でもないのに、デザインが変わっているとか、気付かないんだろう。
「さて、そろそろだな。」
「そうだな。」
「一回戦うと、動きが分かってるから戦いやすいよね。」
「そうですね、でも油断しないように行きましょう。」
目的地に着いた事で、それぞれが声を上げる。
「来ましたわ。」
アヤカの合図で俺は抜剣。抜刀攻撃から入るのが基本だから、わざわざここで抜剣する必要も無いがいい加減気付いて欲しいので抜いてみた。って俺は小学生か。
「あ、ユアキス武器作ったの?」
「本当だ。しかも上級の方まで作ってやがる。」
タッキーが気付いて、ミカエルが羨ましそうに見てくる。
「ふっふぅん。」
アヤカの方に向いて、得意げにしてやるが反応がいまいちだ。
「よかったですわね。」
思ったほどの反応じゃない、つまらん。ただ、声のトーンは下がったので、悔しいか羨ましいってのはあるんだろうな。少しは反応したようだから、まぁよしとするか。
「射程圏内です。」
「よし、行くか。」
姫の合図で、俺は片手剣を鞘に戻して、双頭の炎大狼に向かって走り始める。
「あら、手が滑りましたわ!」
「ぶほっ・・・」
アヤカの声が聞こえたからその方向を見たが、既に抜刀して構えたアヤカが目の前に踏み込んで来ていた。なんの対処も出来ず、俺はアヤカの払い抜けで吹っ飛ばされた。
やっかみじゃねーか。
効果があって良かったのか悪かったのか・・・俺は宙を舞いながらそんな疑問を考えていた。
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