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29.こんな事が起きるるのか?、動転
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-イズ・クーレディア大陸 リュステニア王国 ユーレリア地方 教会-
ルーデリオ・バートラントは、娘であるアリシア・バートラントが消失した教会を訪れていた。
教会の扉から新郎が新婦の手を取って現れると、教会の前に並んでいた参列者が歓声を上げた。二人の門出を祝うように上げられた歓声は、まるで歓喜の波のように広がっていく。
遠くから見ていたルーデリオにとっても、他人とは言え心地は悪く無かった。人の幸せを願う喜びは、見ている方も穏やかな気分になれる。
アリシアが消失して以来、ルーデリオは度々協会を訪れていた。今日の様に結婚式に出くわす日もあれば、何も催事が無い日も当然あった。
訪れる理由については、本人もはっきりとは認識できていない。アリシアが消失したのだからというのは前提だが、此処を訪れたら何か手掛かりがあるかも知れない、という淡い期待を持ってなのか、そう思い込もうとしているのかも分からない。
ふっと本人が何事も無かったように現れるかも知れない、そんな願いも持ってはいるが、叶うと思っている程楽観的でもない。それを考えているという事は、可能性として考えているのか、少しでも可能性に期待しているのか、それも分からない。
どの様な思いが在るにしろ、晴れない蟠りをいつまでも抱えているわけにもいかない。それは自分がバートラント家の主であり、従うものを導いていかなければならない立場だからだ。
アリシアはきっと生きている、ルーデリオはそう思う事にしていた。なんの情報も得られてはいないが、死んだという話しも聞かない。前に進むにしろ、その希望だけは持っておこうと。
「ルーデリオ様・・・」
教会をずっと見つめているルーデリオに、背後からエメラが心配そうに声を出す。別に主を呼んだわけではなく、何かを思い詰めている姿を見て、声が漏れただけだった。
「エメラには心配ばかり掛けているな。」
ルーデリオは振り向く事も無く言った。エメラにはその声が、いつも通りの優しさを含んでいるだけでなく、はっきりとした意思も混じっているように感じられた。
「いえ、そんな事は。」
「いや。」
エメラの言葉に、ルーデリオはそう言うと振り向く。柔らかい笑みがエメラに向けられた。
「これ以上心配は掛けはせぬ。エメラも自分を責めるのは今日限りにしないか?」
ルーデリオはそう言って、エメラの返答を待たずに協会に向き直った。
「今日を最後に、私も暫く此処を訪れないようにしようと思っている。」
「・・・」
エメラはそれを聞いて、何と言っていいか分からず無言で聞いていた。
「別にアリシアを諦めたわけではない。何処かで生きていて、そのうち戻って来ると思っている。その想いだけ残しておいて、前に進もうと決めたのだ。」
「ルーデリオ様・・・」
エメラはルーデリオの言葉を聞いて、主が前に進もうとしているのだから、自分だけが残るわけにはいかないと思わされた。自分はバートラント家の従者であり、主と共にあらねばならないと。
「はい。お嬢様の無事を願い、前を向きます。」
「ありがとう、エメラ。」
ルーデリオは優しく頷いた。それはエメラの決意により救われたのかも知れない。主である自分がまず、先に進む決意を見せねばならない。それに同調してくれた事に、安堵があるのは間違いなかった。
ルーデリオはもう一度しっかりと教会を目に焼き付ける。式中の新郎新婦は、参列者の中央に移動しており囲まれて笑顔を見せていた。
「さあ、屋敷に戻ろうか。」
ルーデリオはエメラに聞こえるように言うと振り向く。
「これは!?・・・エメラっ!!」
振り向いたルーデリオの眼に映ったのは、一部の景色が螺旋状に歪み、その中心にエメラが巻き込まれているところだった。
エメラの口が何かを伝えようと動いてはいるが、その声は一切聞こえない。
「エメラ!」
ルーデリオは慌てて近付いて手を差し伸べるが、エメラには触れられず空を凪いだ。
「エメラ!!」
それでも諦めず、ルーデリオは何度もエメラを掴もうと手を動かし続ける。
必死なルーデリオを嘲笑うかのように空間は歪み、収束していく。やがて螺旋状の歪みは小さくなり消滅した。ルーデリオの眼に映るのは、いつもの景色だけとなった。
「エメラーーーーーっ!!」
掴む事の出来なかった両手を地に着き、両膝で身体を支えるとルーデリオは叫びながら右拳を地面に叩きつける。
アリシアが消失した時の、エメラの証言のままだった。
信じられないような出来事だと思っていた。
エメラは嘘を付くような人間ではないが、その話しだけは疑念だった。
だが、エメラの証言は本当だったと思い知らされた。
エメラを失うという形で。
「アリシアだけでなく、エメラまで奪うというのか!?」
ルーデリオは叫ぶと更に地面を叩く。
「一体何処の誰だ!?」
空を仰ぎ問うが誰も答えてはくれない。
「何故・・・私の大切な者ばかり・・・」
弱々しくなる声と、地面を叩く力無い拳と、最後に目から溢れた水滴が落ちて、地面に染みを作った。
-CAZH社 自社データセンター 隔離サーバールーム管理室-
「あ、繋がった。ちゃんと守ってくれているようで何よりだよ。」
美馬津はディスプレイに向かって満足そうに言う。
「しょうがないだろ、そういう約束だからな。守らないと続けられないだろ・・・」
ディスプレイからは何処か不満そうな声が漏れてくる。
「弁えていてくれて良かったよ。」
「で、一体俺に何をさせようってんだ?」
「それについては禍月から説明するよ。」
美馬津はそう言いながら禍月の方に目を向ける。禍月は任せとけとばかりに親指を立ててみせた。
「よぉし圀光のおっさん、よく聞けよ。」
「ちょっと待ってくれ、その前に一ついいか?」
禍月が説明を始めようとすると、圀光が待ったをかけた。その瞬間、禍月は面倒くさそうな表情になる。
「なんだ?」
「圀光のおっさんはやめてくれよ、リュートって呼んでくれ。」
「嫌だ。」
「何でだよ、美馬津の事はアッキーって呼ぶくせに。」
「圀光のおっさんは名前がリュートだろー、そのままじゃん。だからつまらん。」
「なんだよそれ・・・」
明らかな落胆の声が聞こえてくるが、禍月は気にもしていない。それを聞いていた美馬津は、圀光と会話すると相変わらず話しが進みずらいと思っていた。
「いいからまず話しを進めろ。」
それまで黙って聞いていた八鍬が、苛立ち気味に言う。
「ほらぁ、しゅにんに怒られたじゃん。とりあえず用件を伝えるから聞いとけ。」
「へいへい。」
「間違ってなければ、メルフェアと静閑の森の間道に誰か居ると思うから、そいつを囲って。」
・・・
「いやわかんねー。何言ってるか全っ然わかんねーよ!」
暫しの沈黙の後、圀光が喚き始める。
「何だよそれ、せめて特徴とかねーのかよ、アホか。」
「と言われてもなー、時が来るまでわからん。その時が来れば特徴教えられるんだけど、今は無理。」
「無理とか意味わかんねぇ。会った事の無い奴か?男か女かくらい知ってんだろ?」
「うん、知らん。」
「はぁっ!?」
マイペースな禍月に説明をさせたのは正解だったかも知れないと、美馬津は考えていた。圀光もマイペースだが、それに左右されないのだから。
「特徴や性別もわかんねぇ奴を見つけ出して捕まえろとか、言ってておかしいと思わねぇのか。無茶振りにも程があんだろ。」
「だから時が来れば分かるっての。いいから現地で待機しとけ。」
・・・
「ちょ、まっ・・・これからかよっ!?」
(いつも僕が翻弄される方だが、禍月に掛かると圀光さんも変わらないな。)
「そうだ、今すぐ行っとけ。」
慌てる圀光に、禍月は間髪入れずに即答した。絶句でもしているのか、また沈黙が暫し流れる。
・・・
「圀光のおっさん、拒否権は無いからな、考えるだけ無駄だぞ。」
・・・
「いや、行くけどさ、今丁度アクセサリー作成が良いところの途中なんだよ。終わってからじゃダメか?」
相変わらずゲーム楽しんでるな。楽しんでいるのはいいが、それが原因で今この状況に陥っているのだと、理解してるのだろうかと美馬津は思っていた。
「なんだ、アカウントのバンが希望か?」
「わぁ、わぁ、ちょ、まてまてまて、行く、行きますから・・・」
圀光の慌てぶりに、苦笑している美馬津はともかく、普段からあまり笑う事の無い八鍬も少しばかり苦笑した。
クエストの9-4はボス2体のみか。それは集まってから行くとして、なかなか一人行動も少なくなってきた最近は、装備やアイテム作成がありものになってしまう。
ある程度強くはなって来たから、以前オルデラ戦に向けて作成した武器を上級まで鍛えようか悩んでいた。上になれば補正も強化されるうえ、SSSも発動する。そう考えると、種類を持っている方がいいんじゃないかと思って。
(ん、姫がログインしてきたか。)
通知を見てふと考える。
いや、何も無ければ一人の方が気楽か。手伝わせるのも悪いしな。
メンバーが揃わなければ好きにするだろう、こっちから何かを言う必要もない。
(とりあえず鍛冶屋を覗くか。)
白蒼剣アーズレイアを明蒼剣アーズミルダにするための材料を確認しておく事にする。
この武器はオルデラと戦うために作った武器だから、何となく思い入れというか、そういうものがある。感慨、という程でもないけど。だから強化はしておきたいと思うんだろうな。
「あ、ユアキス。」
俺が鍛冶屋に入ろうとすると、背後から声を掛けられる。姫だというのはすぐに分かったので、振り向いて挨拶をしようとした。
「・・・」
が、その後ろに控えているキャラを見て硬直する。どこかバツが悪そうに明後日の方向を見て、こっちに視線を向けようとはしないが、その容姿を見間違う筈はない。
「その、良ければクエストに行きませんか?」
つまり、俺にそいつの手伝いをしろって事か?青字で表示されているキャラ名がまた。
月下美人・・・
嘘つけ。
ってか大嘘じゃねぇか。
お前は花の咲かない孔雀サボテンだろうが。つまりトゲしかねぇよ。何大それた名前を付けてやがんだ。
「おねがい・・・します・・・」
面と向かって言うと逆襲が怖いので、内心で悪態をつきまくっていたところで、ヒナがそんな事を言った。あまりの出来事に思考が停止する。
今、お願いしますとか言ったか?
分かった。あれか、言いたくは無いが凄く我慢して何とか口にした感じか?
「ダメ、ですか?私からもお願いしたいのですが。」
「いや、大丈夫。」
選択権の無い選択肢。
分かってやっているのか、そうじゃないのか。この場合、断ったら姫の誘いを断った事で、後々俺が罵倒されるんじゃないかと。そう考えると、ヒナがそこに居る時点で選択肢は存在しない。
行くしかねぇ・・・
「ありがとうございます。」
姫が笑顔でお礼を言ってくれる。
「ほら、月下も。」
「その・・・ありがとう。」
姫に促され、ヒナは視線を少し下の方に向けて小さい声で言った。
どうも様子が変だ。さっきのお願いしますもだが、嫌々言っている感じではない気がする。このしおらしい感じは、俺にとって恐怖でしかないんだが。
「で、何から行くんだ?」
「次がLV5のクエスト開始です。駆け足で進めているので、ユアキスが加わってくれれば、ここからも早く進めるかなと思って。」
なるほど。クエストLVが上がれば当然敵の耐久力や、面倒さも増してくる。単純に人数多い方が楽になるよな。
「とりあえず、ダークウルフ20体から行こうと思ってます。」
「分かった。」
ミグセヌ平野での戦闘だ。ウゼンナ山に向かう必要があるので、俺たちメルフェアの街から外に出る。
それはいいが、ヒナが肩に担いでいる武器の方が気になる。
槍斧・・・
何故あんな重量武器を選んでいるのか、不明だ。
「とりあえず敵は私たちで倒して、クエストを先に進めつつ、作れるものは作っていくという方針で動いています。」
「了解、じゃぁ倒してしまっていいわけだ。」
「はい。」
ヒナは、姫とは話すが俺とはあれから口をきいていない。もともと家でもそんなに話さないが、それぞれ自分の部屋があるので大した問題じゃない。
ここでは解散するまで顔を突き合わせる事になる。
俺、意外と無言とかダメだな。
人がいる時に限るけど。
「着きました。では早速始めましょう。」
「あぁ。」
ミグセヌ平野に着き、目的の場所に移動すると、ダークウルフが屯っている。そいつらを片っ端から斬っていけばいい。
俺は片手剣に掌を添えると走り始める。姫は既に弓を抜いて構えていた。
ヒナは俺の横を低姿勢で駆け抜けていく。
(速いな・・・)
ハルバードを水平に構えると前方に振りながら跳躍。一回転しながら降りてくると、その遠心力で敵を薙ぎ払った。その一撃は範囲が広く、ダークウルフが5、6匹同時に吹っ飛んでいく。
(なかなか派手な技だな。決めたら気分が良さそうだ。)
と、俺も黙って見ているわけじゃない。姫と俺は武器のランクが高いから、ほぼ一撃で敵を葬っていく。
(たまにはこういうのもいいか。)
ふとそんな事を思って、ヒナが吹っ飛ばして起き上がろうとしている敵に、止めを刺すべく向かう。
(!?・・・いや、気のせいか?)
起き上がったダークウルフが一瞬霞んだように見え、横に結構移動していた。残像を残して移動したように。だがそんな動きをする雑魚は見た事がないし、その速さだったらクエストの難易度が跳ね上がるだろう。自分の錯覚か、阿保らしい。
と、思った瞬間、そのダークウルフは俺の目の前に居た。跳躍して口を開け、鋭い牙で俺の首を狙ってくる。
「!!」
慌てて右に跳ぶが、間に合わず左手の肘あたりにダークウルフが噛み付いた。ダークウルフはそのまま俺の左手の肘から先を咥えて通り過ぎる。
(え・・・?)
俺の視線は、肘から先が無い左腕に固定される。
視界に入って来る映像を、情報として脳が処理出来ていなんだろう。受け付けていないのか、ただただその一点に視線が固定されたまま、バランスを崩した身体が倒れていく。
(なんで、腕が?)
そう思った瞬間視界が真っ赤に染まる。
【emergency】
そんな文字が目の前にちらつく。意味、なんだっけ?
【メンタルパルスの乱れが危険域に達したため強制ログアウトします。】
何だよ、危険域って・・・
遠くからドタドタと音が聞こえ、だんだんと大きくなっている気がした。
部屋の扉が勢いよく開く音がする。
「おにぃ!大丈夫!?」
ルーデリオ・バートラントは、娘であるアリシア・バートラントが消失した教会を訪れていた。
教会の扉から新郎が新婦の手を取って現れると、教会の前に並んでいた参列者が歓声を上げた。二人の門出を祝うように上げられた歓声は、まるで歓喜の波のように広がっていく。
遠くから見ていたルーデリオにとっても、他人とは言え心地は悪く無かった。人の幸せを願う喜びは、見ている方も穏やかな気分になれる。
アリシアが消失して以来、ルーデリオは度々協会を訪れていた。今日の様に結婚式に出くわす日もあれば、何も催事が無い日も当然あった。
訪れる理由については、本人もはっきりとは認識できていない。アリシアが消失したのだからというのは前提だが、此処を訪れたら何か手掛かりがあるかも知れない、という淡い期待を持ってなのか、そう思い込もうとしているのかも分からない。
ふっと本人が何事も無かったように現れるかも知れない、そんな願いも持ってはいるが、叶うと思っている程楽観的でもない。それを考えているという事は、可能性として考えているのか、少しでも可能性に期待しているのか、それも分からない。
どの様な思いが在るにしろ、晴れない蟠りをいつまでも抱えているわけにもいかない。それは自分がバートラント家の主であり、従うものを導いていかなければならない立場だからだ。
アリシアはきっと生きている、ルーデリオはそう思う事にしていた。なんの情報も得られてはいないが、死んだという話しも聞かない。前に進むにしろ、その希望だけは持っておこうと。
「ルーデリオ様・・・」
教会をずっと見つめているルーデリオに、背後からエメラが心配そうに声を出す。別に主を呼んだわけではなく、何かを思い詰めている姿を見て、声が漏れただけだった。
「エメラには心配ばかり掛けているな。」
ルーデリオは振り向く事も無く言った。エメラにはその声が、いつも通りの優しさを含んでいるだけでなく、はっきりとした意思も混じっているように感じられた。
「いえ、そんな事は。」
「いや。」
エメラの言葉に、ルーデリオはそう言うと振り向く。柔らかい笑みがエメラに向けられた。
「これ以上心配は掛けはせぬ。エメラも自分を責めるのは今日限りにしないか?」
ルーデリオはそう言って、エメラの返答を待たずに協会に向き直った。
「今日を最後に、私も暫く此処を訪れないようにしようと思っている。」
「・・・」
エメラはそれを聞いて、何と言っていいか分からず無言で聞いていた。
「別にアリシアを諦めたわけではない。何処かで生きていて、そのうち戻って来ると思っている。その想いだけ残しておいて、前に進もうと決めたのだ。」
「ルーデリオ様・・・」
エメラはルーデリオの言葉を聞いて、主が前に進もうとしているのだから、自分だけが残るわけにはいかないと思わされた。自分はバートラント家の従者であり、主と共にあらねばならないと。
「はい。お嬢様の無事を願い、前を向きます。」
「ありがとう、エメラ。」
ルーデリオは優しく頷いた。それはエメラの決意により救われたのかも知れない。主である自分がまず、先に進む決意を見せねばならない。それに同調してくれた事に、安堵があるのは間違いなかった。
ルーデリオはもう一度しっかりと教会を目に焼き付ける。式中の新郎新婦は、参列者の中央に移動しており囲まれて笑顔を見せていた。
「さあ、屋敷に戻ろうか。」
ルーデリオはエメラに聞こえるように言うと振り向く。
「これは!?・・・エメラっ!!」
振り向いたルーデリオの眼に映ったのは、一部の景色が螺旋状に歪み、その中心にエメラが巻き込まれているところだった。
エメラの口が何かを伝えようと動いてはいるが、その声は一切聞こえない。
「エメラ!」
ルーデリオは慌てて近付いて手を差し伸べるが、エメラには触れられず空を凪いだ。
「エメラ!!」
それでも諦めず、ルーデリオは何度もエメラを掴もうと手を動かし続ける。
必死なルーデリオを嘲笑うかのように空間は歪み、収束していく。やがて螺旋状の歪みは小さくなり消滅した。ルーデリオの眼に映るのは、いつもの景色だけとなった。
「エメラーーーーーっ!!」
掴む事の出来なかった両手を地に着き、両膝で身体を支えるとルーデリオは叫びながら右拳を地面に叩きつける。
アリシアが消失した時の、エメラの証言のままだった。
信じられないような出来事だと思っていた。
エメラは嘘を付くような人間ではないが、その話しだけは疑念だった。
だが、エメラの証言は本当だったと思い知らされた。
エメラを失うという形で。
「アリシアだけでなく、エメラまで奪うというのか!?」
ルーデリオは叫ぶと更に地面を叩く。
「一体何処の誰だ!?」
空を仰ぎ問うが誰も答えてはくれない。
「何故・・・私の大切な者ばかり・・・」
弱々しくなる声と、地面を叩く力無い拳と、最後に目から溢れた水滴が落ちて、地面に染みを作った。
-CAZH社 自社データセンター 隔離サーバールーム管理室-
「あ、繋がった。ちゃんと守ってくれているようで何よりだよ。」
美馬津はディスプレイに向かって満足そうに言う。
「しょうがないだろ、そういう約束だからな。守らないと続けられないだろ・・・」
ディスプレイからは何処か不満そうな声が漏れてくる。
「弁えていてくれて良かったよ。」
「で、一体俺に何をさせようってんだ?」
「それについては禍月から説明するよ。」
美馬津はそう言いながら禍月の方に目を向ける。禍月は任せとけとばかりに親指を立ててみせた。
「よぉし圀光のおっさん、よく聞けよ。」
「ちょっと待ってくれ、その前に一ついいか?」
禍月が説明を始めようとすると、圀光が待ったをかけた。その瞬間、禍月は面倒くさそうな表情になる。
「なんだ?」
「圀光のおっさんはやめてくれよ、リュートって呼んでくれ。」
「嫌だ。」
「何でだよ、美馬津の事はアッキーって呼ぶくせに。」
「圀光のおっさんは名前がリュートだろー、そのままじゃん。だからつまらん。」
「なんだよそれ・・・」
明らかな落胆の声が聞こえてくるが、禍月は気にもしていない。それを聞いていた美馬津は、圀光と会話すると相変わらず話しが進みずらいと思っていた。
「いいからまず話しを進めろ。」
それまで黙って聞いていた八鍬が、苛立ち気味に言う。
「ほらぁ、しゅにんに怒られたじゃん。とりあえず用件を伝えるから聞いとけ。」
「へいへい。」
「間違ってなければ、メルフェアと静閑の森の間道に誰か居ると思うから、そいつを囲って。」
・・・
「いやわかんねー。何言ってるか全っ然わかんねーよ!」
暫しの沈黙の後、圀光が喚き始める。
「何だよそれ、せめて特徴とかねーのかよ、アホか。」
「と言われてもなー、時が来るまでわからん。その時が来れば特徴教えられるんだけど、今は無理。」
「無理とか意味わかんねぇ。会った事の無い奴か?男か女かくらい知ってんだろ?」
「うん、知らん。」
「はぁっ!?」
マイペースな禍月に説明をさせたのは正解だったかも知れないと、美馬津は考えていた。圀光もマイペースだが、それに左右されないのだから。
「特徴や性別もわかんねぇ奴を見つけ出して捕まえろとか、言ってておかしいと思わねぇのか。無茶振りにも程があんだろ。」
「だから時が来れば分かるっての。いいから現地で待機しとけ。」
・・・
「ちょ、まっ・・・これからかよっ!?」
(いつも僕が翻弄される方だが、禍月に掛かると圀光さんも変わらないな。)
「そうだ、今すぐ行っとけ。」
慌てる圀光に、禍月は間髪入れずに即答した。絶句でもしているのか、また沈黙が暫し流れる。
・・・
「圀光のおっさん、拒否権は無いからな、考えるだけ無駄だぞ。」
・・・
「いや、行くけどさ、今丁度アクセサリー作成が良いところの途中なんだよ。終わってからじゃダメか?」
相変わらずゲーム楽しんでるな。楽しんでいるのはいいが、それが原因で今この状況に陥っているのだと、理解してるのだろうかと美馬津は思っていた。
「なんだ、アカウントのバンが希望か?」
「わぁ、わぁ、ちょ、まてまてまて、行く、行きますから・・・」
圀光の慌てぶりに、苦笑している美馬津はともかく、普段からあまり笑う事の無い八鍬も少しばかり苦笑した。
クエストの9-4はボス2体のみか。それは集まってから行くとして、なかなか一人行動も少なくなってきた最近は、装備やアイテム作成がありものになってしまう。
ある程度強くはなって来たから、以前オルデラ戦に向けて作成した武器を上級まで鍛えようか悩んでいた。上になれば補正も強化されるうえ、SSSも発動する。そう考えると、種類を持っている方がいいんじゃないかと思って。
(ん、姫がログインしてきたか。)
通知を見てふと考える。
いや、何も無ければ一人の方が気楽か。手伝わせるのも悪いしな。
メンバーが揃わなければ好きにするだろう、こっちから何かを言う必要もない。
(とりあえず鍛冶屋を覗くか。)
白蒼剣アーズレイアを明蒼剣アーズミルダにするための材料を確認しておく事にする。
この武器はオルデラと戦うために作った武器だから、何となく思い入れというか、そういうものがある。感慨、という程でもないけど。だから強化はしておきたいと思うんだろうな。
「あ、ユアキス。」
俺が鍛冶屋に入ろうとすると、背後から声を掛けられる。姫だというのはすぐに分かったので、振り向いて挨拶をしようとした。
「・・・」
が、その後ろに控えているキャラを見て硬直する。どこかバツが悪そうに明後日の方向を見て、こっちに視線を向けようとはしないが、その容姿を見間違う筈はない。
「その、良ければクエストに行きませんか?」
つまり、俺にそいつの手伝いをしろって事か?青字で表示されているキャラ名がまた。
月下美人・・・
嘘つけ。
ってか大嘘じゃねぇか。
お前は花の咲かない孔雀サボテンだろうが。つまりトゲしかねぇよ。何大それた名前を付けてやがんだ。
「おねがい・・・します・・・」
面と向かって言うと逆襲が怖いので、内心で悪態をつきまくっていたところで、ヒナがそんな事を言った。あまりの出来事に思考が停止する。
今、お願いしますとか言ったか?
分かった。あれか、言いたくは無いが凄く我慢して何とか口にした感じか?
「ダメ、ですか?私からもお願いしたいのですが。」
「いや、大丈夫。」
選択権の無い選択肢。
分かってやっているのか、そうじゃないのか。この場合、断ったら姫の誘いを断った事で、後々俺が罵倒されるんじゃないかと。そう考えると、ヒナがそこに居る時点で選択肢は存在しない。
行くしかねぇ・・・
「ありがとうございます。」
姫が笑顔でお礼を言ってくれる。
「ほら、月下も。」
「その・・・ありがとう。」
姫に促され、ヒナは視線を少し下の方に向けて小さい声で言った。
どうも様子が変だ。さっきのお願いしますもだが、嫌々言っている感じではない気がする。このしおらしい感じは、俺にとって恐怖でしかないんだが。
「で、何から行くんだ?」
「次がLV5のクエスト開始です。駆け足で進めているので、ユアキスが加わってくれれば、ここからも早く進めるかなと思って。」
なるほど。クエストLVが上がれば当然敵の耐久力や、面倒さも増してくる。単純に人数多い方が楽になるよな。
「とりあえず、ダークウルフ20体から行こうと思ってます。」
「分かった。」
ミグセヌ平野での戦闘だ。ウゼンナ山に向かう必要があるので、俺たちメルフェアの街から外に出る。
それはいいが、ヒナが肩に担いでいる武器の方が気になる。
槍斧・・・
何故あんな重量武器を選んでいるのか、不明だ。
「とりあえず敵は私たちで倒して、クエストを先に進めつつ、作れるものは作っていくという方針で動いています。」
「了解、じゃぁ倒してしまっていいわけだ。」
「はい。」
ヒナは、姫とは話すが俺とはあれから口をきいていない。もともと家でもそんなに話さないが、それぞれ自分の部屋があるので大した問題じゃない。
ここでは解散するまで顔を突き合わせる事になる。
俺、意外と無言とかダメだな。
人がいる時に限るけど。
「着きました。では早速始めましょう。」
「あぁ。」
ミグセヌ平野に着き、目的の場所に移動すると、ダークウルフが屯っている。そいつらを片っ端から斬っていけばいい。
俺は片手剣に掌を添えると走り始める。姫は既に弓を抜いて構えていた。
ヒナは俺の横を低姿勢で駆け抜けていく。
(速いな・・・)
ハルバードを水平に構えると前方に振りながら跳躍。一回転しながら降りてくると、その遠心力で敵を薙ぎ払った。その一撃は範囲が広く、ダークウルフが5、6匹同時に吹っ飛んでいく。
(なかなか派手な技だな。決めたら気分が良さそうだ。)
と、俺も黙って見ているわけじゃない。姫と俺は武器のランクが高いから、ほぼ一撃で敵を葬っていく。
(たまにはこういうのもいいか。)
ふとそんな事を思って、ヒナが吹っ飛ばして起き上がろうとしている敵に、止めを刺すべく向かう。
(!?・・・いや、気のせいか?)
起き上がったダークウルフが一瞬霞んだように見え、横に結構移動していた。残像を残して移動したように。だがそんな動きをする雑魚は見た事がないし、その速さだったらクエストの難易度が跳ね上がるだろう。自分の錯覚か、阿保らしい。
と、思った瞬間、そのダークウルフは俺の目の前に居た。跳躍して口を開け、鋭い牙で俺の首を狙ってくる。
「!!」
慌てて右に跳ぶが、間に合わず左手の肘あたりにダークウルフが噛み付いた。ダークウルフはそのまま俺の左手の肘から先を咥えて通り過ぎる。
(え・・・?)
俺の視線は、肘から先が無い左腕に固定される。
視界に入って来る映像を、情報として脳が処理出来ていなんだろう。受け付けていないのか、ただただその一点に視線が固定されたまま、バランスを崩した身体が倒れていく。
(なんで、腕が?)
そう思った瞬間視界が真っ赤に染まる。
【emergency】
そんな文字が目の前にちらつく。意味、なんだっけ?
【メンタルパルスの乱れが危険域に達したため強制ログアウトします。】
何だよ、危険域って・・・
遠くからドタドタと音が聞こえ、だんだんと大きくなっている気がした。
部屋の扉が勢いよく開く音がする。
「おにぃ!大丈夫!?」
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