49 / 98
48.少しは懲りろ、色惚
しおりを挟む
「なんかさぁ、雰囲気が柔らかいというか、口調も穏やかでいいんだよねぇ。」
そうかい。
放課後、帰る準備をしていると中島がそんな事をほざき始めた。最初は裕美だったが、麻璃亜が現れてからずっとこんな感じだ。
中島の事はどうでもいいが、裕美から離れたのは良かったと思っている。ヒナの友達だから、俺にとばっちりが飛んでくるんじゃないかという不安もあったからだ。それが解消されただけでも良い事だよ。
「年上だし、癒される感じだよねぇ。」
癒されなきゃいけないようには見えないがな。今のお前は平和そのものだよ。
「雪待はどう思う?」
俺に聞くな、アホか。
「まぁ、普通じゃね。」
「えぇ、絶対嘘だろ。雰囲気も良くて綺麗なお姉さんだよ、気にならない方がおかしいって。きっとリアルも綺麗なんだろうなぁ。」
・・・
知っているだけに何とも言えない。むしろ何も言えない。これ以上、麻璃亜の話しは止めて欲しいな。
「どうかな。ムキムキのマッチョかもしれないぞ。」
「どうしてそう人の夢を壊すような事を言うかな。」
何がきっかけでボロが出るか分からない。だから話しをさっさと終わらせたいんだよ。
「雪待はさ、男として気にならないのは変だよ。」
いや、お前の物差しで語るなよ。好みは人それぞれだろうが。
「ゲーム内のキャラを?それこそ変だろ。」
「そう言われると、なんか夢がないなぁ。現実も綺麗かもしれないじゃん。」
「かもしれない、だけで後悔する結果にならなきゃいいけどな。」
「あぁ、なんか水を差された気分。」
差してんだよ!
素性も分からない奴に気を持って、現実を知った時に落胆するなんて事はあって当たり前の事だ。面倒だからそれくらいの意識は持ってくれ。
まぁ、他人事だからいいか、俺が気にするのも変な話しだな。
「随分と下らない話しをしていますこと。」
鳳隆院が近付いてくるなり、見下したように・・・いや、見下して言ってきた。あの目は確実に見下している。
俺は巻き込まれてるだけなんだが・・・
ってか聞いてたのかよ。
中島も目を逸らして硬直している。堂々していられないなら、話すなよ。
「ただ一つ言えることは、体形はゲーム内と同等かと思いますわ。」
「え?」
「何でそう思うんだ?」
俺は直接会って知っているが、なんで鳳隆院も知っているんだ?
「ゲームとは言え、身体の動作の再現性は高いと思いますわ。所作に至るまでを上手く伝達出来ている。だからこそ、私も太刀が扱いやすいのですわ。」
なるほど。
「それで?」
「つまり、マリアのゲーム内の動きを見る限り、筋肉質な人間ではないという事ですわ。」
「ほらみろ、適当な事を言うなよ雪待。」
「可能性の話しをしただけだろ。」
「そんな些事はどうでもいいですわ。本日からLV13、私の太刀制作に協力しなさい。」
お、おぅ。
随分とストレートに言って来たな。
まぁ中島の話しが些事というのは同感だが。ただそうだったとしても、お前の武器を作る理由にはならん。
「どっちにしろ、クエストを進めないと材料が集まらないだろ。」
「武器のランクを上げたいのはみんな一緒だよ。」
「私が先です、そこは譲れませんわ。」
「えぇ、ずるいよ。」
うん、俺は別にそれでいい。主力になるメンバーの武器強化が優先、それは正解だと思うし。
「俺はそれで構わない。」
「えぇ、雪待は早く新しい武器にしたくないの?」
「やってりゃそのうち出来るって。クエストをクリアするにも、主力の武器強化を先にした方が有利だろ。」
「その通りですわ。」
「そうか。じゃぁ僕はマリアに協力しようかな。」
お、考えが前向きにシフトした。そう言ったところで、鳳隆院が優先になることは変わらないだろうが。
「それじゃ、帰ってやりますか。」
「しょうがないな。」
クエストLV13-1 洞窟内のゴミ掃除2
おい・・
ふざけんな!
そう思った瞬間、俺はシステムデバイスを思いっきり投げつけた。まぁ、掌上に展開されるディスプレイは、手から離れる事は無かったが。
ニベルレイス。
その名前はこの場所全体を表す言葉だ。つまり、スニエフの街から地下全体がそう呼ばれている。
スニエフの街は地下空洞となっているが、位置としては地上と表現されている。そこから地下は層としてカウントされる。LV12のクエストは第1層~2層、LV13は第3層~5層らしい。今までは大陸で行ける場所が広がっていったが、LV12からはもくもくと地下に潜っていくだけなのだろうか・・・
もしそうなら気が萎える。何て事になる可能性もありそうだ。
それに加えてゴミ掃除2連続、そりゃシステムデバイスも投げたくなるわ。
「ユアキス、みっともないからやめなよ。」
うるせぇ。
「じゃぁタッキーはこのクエストに納得いってるのか?」
「え、嫌だけど。」
何をさらっと言ってやがる。冷静を装ってどういうつもりだ。あ、冷静じゃないか、やる気が無いのか。そう言ええばまだ、マリアがログインしてきてないもんな。
「だらしがないですわ。」
来たか・・・
「一番最初に力尽きたお嬢様が言える立場ではありませんよ。」
確かにそうだ。最初にへばって外道の端で休んでいたっけな。エメラがそれを指摘するように突っ込むと、アリシアはエメラを睨む。
「エメラ、わたくしに喧嘩を売っていますの?」
「いえとんでもない、失礼しました。」
エメラって、毎回突っ込みは的確なんだけど報われないな。まぁ、言い方はあれだけどな。
アリシア曰く、エメラは侍女と言っていたな。であれば、アリシアの家で雇っているのだから、あんまり出過ぎた事も言えないのだろう。
そういう設定なんだろうな。
「昨日の今日で、もう一度あの乱戦はモチベーションが下がりますね。」
「本当にな。」
姫も苦笑いで言う。俺もまったく同意見だ。
「それ以外で下がっている面倒な人もいますが。」
続けて微笑みながらそんな事を言った。まぁ確かに面倒だけどな。マリアだってそのうち来るだろうから、居る居ない程度で浮き沈みしないで欲しいものだ。
「お可哀そうに、報われない恋、ふふ。」
・・・
微笑みが嘲笑うような顔になってるぞ。
「姫ぇ~。」
「どうしました月下?」
そこへ月下が現れると、いつもの柔らかい微笑みに戻っていた。恐るべし・・・
面倒だがアヤカなんかは言う事がストレートだ。だが、姫の場合含みがある上に、たまに発言が黒い。メンバーの中では一番敵に回したくないな。
「あの、すいません。」
マリア待ちで、いつものくだらない会話をしていると、見知らぬ女性が声を掛けてくる。
青みがかった銀色の髪、歳は俺らと同じくらいに見える。普通に見ると美少女だ。実際は分からないが、ゲームの中でくらい好きな見た目になって楽しむのもありだと思う。
現実の事は知ったこっちゃないけど。他人に対する考えなんてそんなものだ。出会うごとに考えていたら疲れるだけだしな。
「ん、俺?」
「はい。」
「ユアキス~、いつの間にこんな可愛い娘と知り合ったんだよぉ。」
俺が見知らぬ女性に話しかけられていると、それを察知したタッキーが近付いてきて、恨みがましい目でそんな事を言った。
うぜぇ。
「今、初めて、声を掛けられたんだ。」
「あ、そうなの。」
話しが進まないから絡んでくんな。
「で、何の用?」
「先程、会話が少し聞こえてきたもので。よろしければ、クエストお手伝いしましょうか?」
なんて奇特な女性なんだ。こんなまとまりのないパーティに入りたいだなんて。とはいえ、初見なんだから、そんな事を知るわけないよな。
「いや・・・」
「一応、LV14の終わりまで進んでいるので、役には立てると思いますよ。」
断ろうとしたら、その女性は更にアピールまでしてきた。ってか凄いな、もうすぐ15って事か。
「すごいや!」
タッキーが驚きの声を上げると、それまで気にはしていたが参加してなかった他のメンバーも寄ってくる。
「確かに、そんな人が参加してくれたら楽になるよね。」
「そうですね。」
そこまで進んでいるなら、当然俺たちよりも装備は強いだろう。月下の言う通り、参加してもらったら楽に違いないが、俺にそのつもりはない。
「武器は何を使ってますの?」
聞くな。
でもまぁ、参考にはなるかもしれないか。
「はい、片手剣の二本使いです。」
俺と同じ片手剣で、火力重視の方か。俺は選ばなかったが。使いこなす自身もなかったし。
「ユアキス。」
それを聞いたアヤカが俺の肩に手をぽんと置くと、優しい顔になる。次に出る言葉はだいたい予想できた。
「短い付き合いでしたわ。」
「アホか!」
「まぁユアキス、後は僕に任せてよ。」
くそ、こいつら調子に乗りやがって。だったら外れてやろうじゃないか。
「おう、それじゃ頑張ってくれ。俺は俺で頑張るわ。」
「え?」
引くとは思わなかったんだろう、タッキーが驚きの顔で硬直する。
「ちょ、おに・・・ユアキス、何アホな事言ってんの。」
流石に月下もそんな事を言い出すと思わなかったのか、おにぃとか言いそうになりながら頬を膨らませて抗議をしてくる。
「私は、ユアキスに付いていきますよ。もともと、その為にこのパーティに入ったから。」
「あたしも、姫とユアキスが居ないとやる意味無いし。」
まさかこんな事になるとは。売り言葉に買い言葉ってのはよくないよな。それでも、姫と月下はこっちに付いてくれるようだし、それはちょっと嬉しかった。
「色惚け能天気と、猪突猛進刀馬鹿は仲良くおやりなさい。」
・・・
かなり小さく、ぼそりと言ったがようだが、俺にははっきりと姫がそう言ったのが聞こえた。
あれは、本音なんだろうか。
俺もどう思われているのか、想像すると怖くなってきた。
「私も、ユアキスだからパーティに入ったの。変える気はないわ。」
いつの間にかログインしてきたマリアが、俺の横に来てそう言った。うーん、俺は自分が好きなようにやってるだけだからなぁ。
まさか俺と組もうという酔狂なやつが居るとは思わなかったよ。
「い、いや、冗談ですよ、ね。」
マリアが現れた時から、バツの悪そうな顔をしていたタッキーが慌てて言い出した。狙ってはいなかったが、良い感じでやり返せたので悪くない。
「ユアキスが抜けたら、誰が私の材料集めをすると思ってますの。」
え、いや、自分でやれ。
アヤカのはおそらく冗談だったのだろうと思ってはいたが、持ち前の我儘っぷりには通用しなかったようだ。少しは言った冗談に懲りてくれるかと思ったけど、甘い考えだったな。
「あの、すいません。私、余計な事をしてしまったようで。」
「いや、あんたは悪くない。悪いのはこいつらだ。」
俺はそう言うとタッキーとアヤカを指さす。
「うぐぁっ・・・」
その直後、タッキーが月下の蹴りを食らって、変な悲鳴を上げる。
「まぁそういうわけで、俺らメンバー固定なんだ。助けるなら、他の奴を助けてやってくれ。」
「分かりました。でも、不足が出る日もあると思うんです。その時にでもお手伝いしますね。」
俺の言葉に、女性は丁寧に返してくれた。
なんてまともな人なんだ、久しぶりに普通の人に出会った気分だよ。でも、そこまでして助けたい理由は分からない。
俺らより進んでいるなら、決まったパーティでも居そうな気はするんだが。他人事なんで、詮索する気もないが。
「あぁ、ありがと。」
一応、礼は言っておく。
「その時のために、フレンド交換をお願いしてもいいですか?」
あぁ、確かにそうだな。
「良かったな、タッキー。」
「え、僕?」
面倒だから俺はいいや。そう思ってタッキーに振っておく。
「こういうのはタッキーの出番じゃん。」
「そうですね。」
「え、いや、いつ決まったの?」
月下と姫も冷ややかな目線で言いうと、タッキーが慌て始める。アヤカは既に興味が無いのか、システムデバイスで何かを見ている。
「僕、女子とみれば誰でもいいみたいに、思われてない?」
何を言ってるんだ。
「違うの?」
「違いました?」
「今更だろ。」
「そ、そんな事、無い、からね?」
タッキーはそう言って、終始微笑んで見守っているマリアの方に向かって言った。たがマリアは無言のまま表情を変えない。ある意味怖いな。
「うぅ・・・わかったよぉ。」
「あなただけですか?」
「うん、他のメンバーには僕から伝えるから。」
「分かりました。」
疑問を口にしながらシステムデバイスを操作する女性と、タッキーは渋々フレンド交換をした。
「もし助けが必要でしたら、いつでも声を掛けてくださいね。」
女性は笑顔でそう言うと、お辞儀をして去っていった。人としては丁寧で、まともそうな感じはするな。というか、あれが普通なのかもしれない。そう思いつつメンバーを一瞥だけする。
そう言えば名前、と思って去っていく女性の頭上を確認。
ELINEA。
(えりねあ?でいいのか?)
まぁ、何にせよ、今後会う事があるかどうかも分からない相手だ。覚えても仕方がない。
「何で僕が・・・」
何が不満なのか、タッキーはELINEAが居なくなった後もぶつくさ言っている。まぁ、自分で蒔いた種だ、放置でいいだろう。それよりも。
「そろそろ行くか。」
「面倒ですわ。」
お前なぁ・・・そりゃみんなそう思ってるけどさ、出鼻を挫くなよ。
「やらなきゃ太刀を作れないだろうが。」
「・・・そうですわ。」
今回のクエストは陽至の道に出る蜘蛛を討伐だそうだ。蜘蛛って時点でもう嫌だ。あの見た目は好きじゃない。
「居ましたわ。」
アヤカの声で、道のど真ん中に佇む大型の蜘蛛1匹。しかも、かなりでかい。
「あれだけか?」
「めっちゃ強いゴミなんじゃない?」
その可能性も否定出来ないが。
「わたくし、どうやら熱があるようなので、一度街に戻りますわ。」
「お嬢様、それは仮病という病気じゃないでしょうか。」
「エメラ・・・」
「あ、すいません、つい。」
まぁいい。前回の事もあるし、居ても役に立たないだろう。むしろ静かな分、戦闘に集中できそうだ。
「戻ってゆっくり休んでくれ、今後のために。」
「ユアキスがそういうのであれば、致し方ありませんわ。」
なんとなくアリシアの操作方法が分かってきた気がする。
「ではお嬢様、戻りましょう。」
「これで戦闘に集中できそうね。」
アリシアとエメラが居なくなり、マリアがそう言ったという事は、やはりうるさかったんだな。普段、文句の一つも言わないから、何を考えているのかよく分からないんだよな。
「とりあえず、遠くから撃ってみる?」
「それはありですね。」
タッキーの提案に、姫が同意して弓を構える。タッキーも銃を抜くと、俺たちはゆっくりと蜘蛛に向かって近付いて行った。
銃の間合いに入り、タッキーが銃を構えた瞬間、蜘蛛がこちらに目を向けてきた。怖ぇ・・・
「だめだ、気付かれてるよ。」
と、言いつつもタッキーは火炎弾を発射。その銃弾が蜘蛛に当たる直前、何かが飛び出してきて火炎弾を受ける。
「げぇぇっ!」
その何かはすぐに判別できた。月下が悲鳴を上げるのもわかる。大型の蜘蛛から、小さい蜘蛛がわらわらと排出される。
「気持ち悪いですわ。」
「夢に出てきたら嫌ですね。」
嫌な事を言うなよ。
くそ、今回は大型1体かと思ったが、こういう事だったんだな。だが、本体を倒せば終わるだろう。
「とりあえず、本体を倒そうぜ、きりが無さそうだ。」
「そうね。」
マリアが頷くと、俺と月下、マリアとアヤカは沸いてきた小蜘蛛を蹴散らしながら本体へと向かって行った。
そうかい。
放課後、帰る準備をしていると中島がそんな事をほざき始めた。最初は裕美だったが、麻璃亜が現れてからずっとこんな感じだ。
中島の事はどうでもいいが、裕美から離れたのは良かったと思っている。ヒナの友達だから、俺にとばっちりが飛んでくるんじゃないかという不安もあったからだ。それが解消されただけでも良い事だよ。
「年上だし、癒される感じだよねぇ。」
癒されなきゃいけないようには見えないがな。今のお前は平和そのものだよ。
「雪待はどう思う?」
俺に聞くな、アホか。
「まぁ、普通じゃね。」
「えぇ、絶対嘘だろ。雰囲気も良くて綺麗なお姉さんだよ、気にならない方がおかしいって。きっとリアルも綺麗なんだろうなぁ。」
・・・
知っているだけに何とも言えない。むしろ何も言えない。これ以上、麻璃亜の話しは止めて欲しいな。
「どうかな。ムキムキのマッチョかもしれないぞ。」
「どうしてそう人の夢を壊すような事を言うかな。」
何がきっかけでボロが出るか分からない。だから話しをさっさと終わらせたいんだよ。
「雪待はさ、男として気にならないのは変だよ。」
いや、お前の物差しで語るなよ。好みは人それぞれだろうが。
「ゲーム内のキャラを?それこそ変だろ。」
「そう言われると、なんか夢がないなぁ。現実も綺麗かもしれないじゃん。」
「かもしれない、だけで後悔する結果にならなきゃいいけどな。」
「あぁ、なんか水を差された気分。」
差してんだよ!
素性も分からない奴に気を持って、現実を知った時に落胆するなんて事はあって当たり前の事だ。面倒だからそれくらいの意識は持ってくれ。
まぁ、他人事だからいいか、俺が気にするのも変な話しだな。
「随分と下らない話しをしていますこと。」
鳳隆院が近付いてくるなり、見下したように・・・いや、見下して言ってきた。あの目は確実に見下している。
俺は巻き込まれてるだけなんだが・・・
ってか聞いてたのかよ。
中島も目を逸らして硬直している。堂々していられないなら、話すなよ。
「ただ一つ言えることは、体形はゲーム内と同等かと思いますわ。」
「え?」
「何でそう思うんだ?」
俺は直接会って知っているが、なんで鳳隆院も知っているんだ?
「ゲームとは言え、身体の動作の再現性は高いと思いますわ。所作に至るまでを上手く伝達出来ている。だからこそ、私も太刀が扱いやすいのですわ。」
なるほど。
「それで?」
「つまり、マリアのゲーム内の動きを見る限り、筋肉質な人間ではないという事ですわ。」
「ほらみろ、適当な事を言うなよ雪待。」
「可能性の話しをしただけだろ。」
「そんな些事はどうでもいいですわ。本日からLV13、私の太刀制作に協力しなさい。」
お、おぅ。
随分とストレートに言って来たな。
まぁ中島の話しが些事というのは同感だが。ただそうだったとしても、お前の武器を作る理由にはならん。
「どっちにしろ、クエストを進めないと材料が集まらないだろ。」
「武器のランクを上げたいのはみんな一緒だよ。」
「私が先です、そこは譲れませんわ。」
「えぇ、ずるいよ。」
うん、俺は別にそれでいい。主力になるメンバーの武器強化が優先、それは正解だと思うし。
「俺はそれで構わない。」
「えぇ、雪待は早く新しい武器にしたくないの?」
「やってりゃそのうち出来るって。クエストをクリアするにも、主力の武器強化を先にした方が有利だろ。」
「その通りですわ。」
「そうか。じゃぁ僕はマリアに協力しようかな。」
お、考えが前向きにシフトした。そう言ったところで、鳳隆院が優先になることは変わらないだろうが。
「それじゃ、帰ってやりますか。」
「しょうがないな。」
クエストLV13-1 洞窟内のゴミ掃除2
おい・・
ふざけんな!
そう思った瞬間、俺はシステムデバイスを思いっきり投げつけた。まぁ、掌上に展開されるディスプレイは、手から離れる事は無かったが。
ニベルレイス。
その名前はこの場所全体を表す言葉だ。つまり、スニエフの街から地下全体がそう呼ばれている。
スニエフの街は地下空洞となっているが、位置としては地上と表現されている。そこから地下は層としてカウントされる。LV12のクエストは第1層~2層、LV13は第3層~5層らしい。今までは大陸で行ける場所が広がっていったが、LV12からはもくもくと地下に潜っていくだけなのだろうか・・・
もしそうなら気が萎える。何て事になる可能性もありそうだ。
それに加えてゴミ掃除2連続、そりゃシステムデバイスも投げたくなるわ。
「ユアキス、みっともないからやめなよ。」
うるせぇ。
「じゃぁタッキーはこのクエストに納得いってるのか?」
「え、嫌だけど。」
何をさらっと言ってやがる。冷静を装ってどういうつもりだ。あ、冷静じゃないか、やる気が無いのか。そう言ええばまだ、マリアがログインしてきてないもんな。
「だらしがないですわ。」
来たか・・・
「一番最初に力尽きたお嬢様が言える立場ではありませんよ。」
確かにそうだ。最初にへばって外道の端で休んでいたっけな。エメラがそれを指摘するように突っ込むと、アリシアはエメラを睨む。
「エメラ、わたくしに喧嘩を売っていますの?」
「いえとんでもない、失礼しました。」
エメラって、毎回突っ込みは的確なんだけど報われないな。まぁ、言い方はあれだけどな。
アリシア曰く、エメラは侍女と言っていたな。であれば、アリシアの家で雇っているのだから、あんまり出過ぎた事も言えないのだろう。
そういう設定なんだろうな。
「昨日の今日で、もう一度あの乱戦はモチベーションが下がりますね。」
「本当にな。」
姫も苦笑いで言う。俺もまったく同意見だ。
「それ以外で下がっている面倒な人もいますが。」
続けて微笑みながらそんな事を言った。まぁ確かに面倒だけどな。マリアだってそのうち来るだろうから、居る居ない程度で浮き沈みしないで欲しいものだ。
「お可哀そうに、報われない恋、ふふ。」
・・・
微笑みが嘲笑うような顔になってるぞ。
「姫ぇ~。」
「どうしました月下?」
そこへ月下が現れると、いつもの柔らかい微笑みに戻っていた。恐るべし・・・
面倒だがアヤカなんかは言う事がストレートだ。だが、姫の場合含みがある上に、たまに発言が黒い。メンバーの中では一番敵に回したくないな。
「あの、すいません。」
マリア待ちで、いつものくだらない会話をしていると、見知らぬ女性が声を掛けてくる。
青みがかった銀色の髪、歳は俺らと同じくらいに見える。普通に見ると美少女だ。実際は分からないが、ゲームの中でくらい好きな見た目になって楽しむのもありだと思う。
現実の事は知ったこっちゃないけど。他人に対する考えなんてそんなものだ。出会うごとに考えていたら疲れるだけだしな。
「ん、俺?」
「はい。」
「ユアキス~、いつの間にこんな可愛い娘と知り合ったんだよぉ。」
俺が見知らぬ女性に話しかけられていると、それを察知したタッキーが近付いてきて、恨みがましい目でそんな事を言った。
うぜぇ。
「今、初めて、声を掛けられたんだ。」
「あ、そうなの。」
話しが進まないから絡んでくんな。
「で、何の用?」
「先程、会話が少し聞こえてきたもので。よろしければ、クエストお手伝いしましょうか?」
なんて奇特な女性なんだ。こんなまとまりのないパーティに入りたいだなんて。とはいえ、初見なんだから、そんな事を知るわけないよな。
「いや・・・」
「一応、LV14の終わりまで進んでいるので、役には立てると思いますよ。」
断ろうとしたら、その女性は更にアピールまでしてきた。ってか凄いな、もうすぐ15って事か。
「すごいや!」
タッキーが驚きの声を上げると、それまで気にはしていたが参加してなかった他のメンバーも寄ってくる。
「確かに、そんな人が参加してくれたら楽になるよね。」
「そうですね。」
そこまで進んでいるなら、当然俺たちよりも装備は強いだろう。月下の言う通り、参加してもらったら楽に違いないが、俺にそのつもりはない。
「武器は何を使ってますの?」
聞くな。
でもまぁ、参考にはなるかもしれないか。
「はい、片手剣の二本使いです。」
俺と同じ片手剣で、火力重視の方か。俺は選ばなかったが。使いこなす自身もなかったし。
「ユアキス。」
それを聞いたアヤカが俺の肩に手をぽんと置くと、優しい顔になる。次に出る言葉はだいたい予想できた。
「短い付き合いでしたわ。」
「アホか!」
「まぁユアキス、後は僕に任せてよ。」
くそ、こいつら調子に乗りやがって。だったら外れてやろうじゃないか。
「おう、それじゃ頑張ってくれ。俺は俺で頑張るわ。」
「え?」
引くとは思わなかったんだろう、タッキーが驚きの顔で硬直する。
「ちょ、おに・・・ユアキス、何アホな事言ってんの。」
流石に月下もそんな事を言い出すと思わなかったのか、おにぃとか言いそうになりながら頬を膨らませて抗議をしてくる。
「私は、ユアキスに付いていきますよ。もともと、その為にこのパーティに入ったから。」
「あたしも、姫とユアキスが居ないとやる意味無いし。」
まさかこんな事になるとは。売り言葉に買い言葉ってのはよくないよな。それでも、姫と月下はこっちに付いてくれるようだし、それはちょっと嬉しかった。
「色惚け能天気と、猪突猛進刀馬鹿は仲良くおやりなさい。」
・・・
かなり小さく、ぼそりと言ったがようだが、俺にははっきりと姫がそう言ったのが聞こえた。
あれは、本音なんだろうか。
俺もどう思われているのか、想像すると怖くなってきた。
「私も、ユアキスだからパーティに入ったの。変える気はないわ。」
いつの間にかログインしてきたマリアが、俺の横に来てそう言った。うーん、俺は自分が好きなようにやってるだけだからなぁ。
まさか俺と組もうという酔狂なやつが居るとは思わなかったよ。
「い、いや、冗談ですよ、ね。」
マリアが現れた時から、バツの悪そうな顔をしていたタッキーが慌てて言い出した。狙ってはいなかったが、良い感じでやり返せたので悪くない。
「ユアキスが抜けたら、誰が私の材料集めをすると思ってますの。」
え、いや、自分でやれ。
アヤカのはおそらく冗談だったのだろうと思ってはいたが、持ち前の我儘っぷりには通用しなかったようだ。少しは言った冗談に懲りてくれるかと思ったけど、甘い考えだったな。
「あの、すいません。私、余計な事をしてしまったようで。」
「いや、あんたは悪くない。悪いのはこいつらだ。」
俺はそう言うとタッキーとアヤカを指さす。
「うぐぁっ・・・」
その直後、タッキーが月下の蹴りを食らって、変な悲鳴を上げる。
「まぁそういうわけで、俺らメンバー固定なんだ。助けるなら、他の奴を助けてやってくれ。」
「分かりました。でも、不足が出る日もあると思うんです。その時にでもお手伝いしますね。」
俺の言葉に、女性は丁寧に返してくれた。
なんてまともな人なんだ、久しぶりに普通の人に出会った気分だよ。でも、そこまでして助けたい理由は分からない。
俺らより進んでいるなら、決まったパーティでも居そうな気はするんだが。他人事なんで、詮索する気もないが。
「あぁ、ありがと。」
一応、礼は言っておく。
「その時のために、フレンド交換をお願いしてもいいですか?」
あぁ、確かにそうだな。
「良かったな、タッキー。」
「え、僕?」
面倒だから俺はいいや。そう思ってタッキーに振っておく。
「こういうのはタッキーの出番じゃん。」
「そうですね。」
「え、いや、いつ決まったの?」
月下と姫も冷ややかな目線で言いうと、タッキーが慌て始める。アヤカは既に興味が無いのか、システムデバイスで何かを見ている。
「僕、女子とみれば誰でもいいみたいに、思われてない?」
何を言ってるんだ。
「違うの?」
「違いました?」
「今更だろ。」
「そ、そんな事、無い、からね?」
タッキーはそう言って、終始微笑んで見守っているマリアの方に向かって言った。たがマリアは無言のまま表情を変えない。ある意味怖いな。
「うぅ・・・わかったよぉ。」
「あなただけですか?」
「うん、他のメンバーには僕から伝えるから。」
「分かりました。」
疑問を口にしながらシステムデバイスを操作する女性と、タッキーは渋々フレンド交換をした。
「もし助けが必要でしたら、いつでも声を掛けてくださいね。」
女性は笑顔でそう言うと、お辞儀をして去っていった。人としては丁寧で、まともそうな感じはするな。というか、あれが普通なのかもしれない。そう思いつつメンバーを一瞥だけする。
そう言えば名前、と思って去っていく女性の頭上を確認。
ELINEA。
(えりねあ?でいいのか?)
まぁ、何にせよ、今後会う事があるかどうかも分からない相手だ。覚えても仕方がない。
「何で僕が・・・」
何が不満なのか、タッキーはELINEAが居なくなった後もぶつくさ言っている。まぁ、自分で蒔いた種だ、放置でいいだろう。それよりも。
「そろそろ行くか。」
「面倒ですわ。」
お前なぁ・・・そりゃみんなそう思ってるけどさ、出鼻を挫くなよ。
「やらなきゃ太刀を作れないだろうが。」
「・・・そうですわ。」
今回のクエストは陽至の道に出る蜘蛛を討伐だそうだ。蜘蛛って時点でもう嫌だ。あの見た目は好きじゃない。
「居ましたわ。」
アヤカの声で、道のど真ん中に佇む大型の蜘蛛1匹。しかも、かなりでかい。
「あれだけか?」
「めっちゃ強いゴミなんじゃない?」
その可能性も否定出来ないが。
「わたくし、どうやら熱があるようなので、一度街に戻りますわ。」
「お嬢様、それは仮病という病気じゃないでしょうか。」
「エメラ・・・」
「あ、すいません、つい。」
まぁいい。前回の事もあるし、居ても役に立たないだろう。むしろ静かな分、戦闘に集中できそうだ。
「戻ってゆっくり休んでくれ、今後のために。」
「ユアキスがそういうのであれば、致し方ありませんわ。」
なんとなくアリシアの操作方法が分かってきた気がする。
「ではお嬢様、戻りましょう。」
「これで戦闘に集中できそうね。」
アリシアとエメラが居なくなり、マリアがそう言ったという事は、やはりうるさかったんだな。普段、文句の一つも言わないから、何を考えているのかよく分からないんだよな。
「とりあえず、遠くから撃ってみる?」
「それはありですね。」
タッキーの提案に、姫が同意して弓を構える。タッキーも銃を抜くと、俺たちはゆっくりと蜘蛛に向かって近付いて行った。
銃の間合いに入り、タッキーが銃を構えた瞬間、蜘蛛がこちらに目を向けてきた。怖ぇ・・・
「だめだ、気付かれてるよ。」
と、言いつつもタッキーは火炎弾を発射。その銃弾が蜘蛛に当たる直前、何かが飛び出してきて火炎弾を受ける。
「げぇぇっ!」
その何かはすぐに判別できた。月下が悲鳴を上げるのもわかる。大型の蜘蛛から、小さい蜘蛛がわらわらと排出される。
「気持ち悪いですわ。」
「夢に出てきたら嫌ですね。」
嫌な事を言うなよ。
くそ、今回は大型1体かと思ったが、こういう事だったんだな。だが、本体を倒せば終わるだろう。
「とりあえず、本体を倒そうぜ、きりが無さそうだ。」
「そうね。」
マリアが頷くと、俺と月下、マリアとアヤカは沸いてきた小蜘蛛を蹴散らしながら本体へと向かって行った。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】転生したら断罪イベントの真っ最中。聖女の嘘を暴いたら、王太子が真っ青になりました
丸顔ちゃん。
恋愛
王太子は私――エリシアに婚約破棄を宣言し、
隣では甘ったるい声の“聖女”が「こわかったんですぅ♡」と泣き真似をしている。
だが私は知っている。
原作では、この聖女こそが禁術で王太子の魔力を吸い取り、
私に冤罪を着せて処刑へ追い込んだ張本人だ。
優しい家族を守るためにも、同じ結末は絶対に許さない。
私は転生者としての知識を武器に、
聖女の嘘と禁術の証拠を次々に暴き、
王太子の依存と愚かさを白日の下に晒す。
「婚約は……こちらから願い下げです」
土下座する王太子も、泣き叫ぶ聖女も、もう関係ない。
私は新しい未来を選ぶ。
ハーレム系ギャルゲの捨てられヒロインに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!
ゴルゴンゾーラ三国
恋愛
ハーレム系ギャルゲー『シックス・パレット』の捨てられヒロインである侯爵令嬢、ベルメ・ルビロスに転生した主人公、ベルメ。転生したギャルゲーの主人公キャラである第一王子、アインアルドの第一夫人になるはずだったはずが、次々にヒロインが第一王子と結ばれて行き、夫人の順番がどんどん後ろになって、ついには婚約破棄されてしまう。
しかし、それは、一夫多妻制度が嫌なベルメによるための長期に渡る計画によるもの。
無事に望む通りに婚約破棄され、自由に生きようとした矢先、ベルメは元婚約者から、新たな婚約者候補をあてがわれてしまう。それは、社交も公務もしない、引きこもりの第八王子のオクトールだった。
『おさがり』と揶揄されるベルメと出自をアインアルドにけなされたオクトール、アインアルドに見下された二人は、アインアルドにやり返すことを決め、互いに手を取ることとなり――。
【この作品は、別名義で投稿していたものを改題・加筆修正したものになります。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】
アロマおたくは銀鷹卿の羽根の中。~召喚されたらいきなり血みどろになったけど、知識を生かして楽しく暮らします!
古森真朝
ファンタジー
大学生の理咲(りさ)はある日、同期生・星蘭(せいら)の巻き添えで異世界に転移させられる。その際の着地にミスって頭を打ち、いきなり流血沙汰という散々な目に遭った……が、その場に居合わせた騎士・ノルベルトに助けられ、どうにか事なきを得る。
怪我をした理咲の行動にいたく感心したという彼は、若くして近衛騎士隊を任される通称『銀鷹卿』。長身でガタイが良い上に銀髪蒼眼、整った容姿ながらやたらと威圧感のある彼だが、実は仲間想いで少々不器用、ついでに万年肩凝り頭痛持ちという、微笑ましい一面も持っていた。
世話になったお礼に、理咲の持ち込んだ趣味グッズでアロマテラピーをしたところ、何故か立ちどころに不調が癒えてしまう。その後に試したノルベルトの部下たちも同様で、ここに来て『じゃない方』の召喚者と思われた理咲の特技が判明することに。
『この世界、アロマテラピーがめっっっっちゃ効くんだけど!?!』
趣味で極めた一芸は、異世界での活路を切り開けるのか。ついでに何かと手を貸してくれつつ、そこそこ付き合いの長い知人たちもびっくりの溺愛を見せるノルベルトの想いは伝わるのか。その背景で渦巻く、王宮を巻き込んだ陰謀の行方は?
『無能な聖女』と婚約破棄された私、実は伝説の竜を唯一従える『真の守護者』でした。~今さら国に戻れと言われても、もう遅いです~
スカッと文庫
ファンタジー
「魔力値たったの5だと? 貴様のような偽聖女、この国には不要だ!」
聖女として国を支えてきたエルナは、第一王子カイルから非情な婚約破棄を言い渡される。隣には、魔力値を偽装して聖女の座を奪った男爵令嬢の姿が。
実家からも見捨てられ、生きては戻れぬ『死の森』へ追放されたエルナ。しかし、絶望の中で彼女が目覚めさせたのは、人間には測定不能な【神聖魔力】だった。
森の奥で封印されていた伝説の銀竜を解き放ち、隣国の冷徹皇帝にその才能を見出された時、エルナを捨てた王国は滅びの危機に直面する――。
「今さら謝っても、私の結界はもうあなたたちのために張ることはありません」
捨てられた聖女が真の幸せを掴む、逆転劇がいま幕を開ける!
『まて』をやめました【完結】
かみい
恋愛
私、クラウディアという名前らしい。
朧気にある記憶は、ニホンジンという意識だけ。でも名前もな~んにも憶えていない。でもここはニホンじゃないよね。記憶がない私に周りは優しく、なくなった記憶なら新しく作ればいい。なんてポジティブな家族。そ~ねそ~よねと過ごしているうちに見たクラウディアが以前に付けていた日記。
時代錯誤な傲慢な婚約者に我慢ばかりを強いられていた生活。え~っ、そんな最低男のどこがよかったの?顔?顔なの?
超絶美形婚約者からの『まて』はもう嫌!
恋心も忘れてしまった私は、新しい人生を歩みます。
貴方以上の美人と出会って、私の今、充実、幸せです。
だから、もう縋って来ないでね。
本編、番外編含め完結しました。ありがとうございます
※小説になろうさんにも、別名で載せています
<完結>溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
本編完結済み。
続きのお話を、掲載中です。
続きのお話も、完結しました。
気弱令嬢の悪役令嬢化計画
みおな
ファンタジー
事故で死んだ私が転生した先は、前世の小説の世界?
しかも、婚約者に不当に扱われても、家族から冷たくされても、反論ひとつ出来ない気弱令嬢?
いやいやいや。
そんなことだから、冤罪で処刑されるんでしょ!
せっかく生まれ変わったんだから、処刑ルートなんて真っ平ごめん。
屑な婚約者も冷たい家族も要らないと思っていたのに・・・?
感情の贈与税 〜光の加護より、確かな契約。没落令嬢による国家再生録〜
しょくぱん
恋愛
「君のような地味な女、僕の隣にふさわしくない」
魔王軍を討伐し、凱旋した公爵令息カシアンが放ったのは、婚約者エレナへの冷酷な決別だった。
彼の傍らには、可憐な「救国の聖女」レティシア。
だがカシアンは忘れていた。彼の眩い金髪も、魔王を圧倒した剣技も、すべてはエレナが十年間「愛の贈与」として捧げ続けた魔力の賜物であることを。
「……承知いたしました。では、滞納分を含め、全魔力を今この場で『徴収』いたします」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる