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50.味だけじゃない、苦味
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夕方、まだ気温が下がらない、熱気の漂う歩道を自転車を押して歩く。凄く面倒だ。というか怠い。
少し前まで自転車に乗って車道を走っていたのだが、目的地が近付いて来たため、降りて歩道を歩いている。降りて徒歩に切り替えた瞬間、一気に暑さを感じるようになったのが怠い原因の一つだ。
少し歩くと、もう一つの原因が見えて来る。その原因が俺に気付くと、笑顔で手を振ってきた。
「来てくれて、嬉しいな。」
麻璃亜はそう言って、嬉しそうに微笑んだ。
嬉しいなじゃなねぇ。
半分脅しじゃねぇか。
そう。
朝起きたら追加でメッセージが届いていたんだ。
『この前のカフェで待ってるね。晶社くんが来なくても、独りで。』
無視したい気分だった。が、嫌でもDEWS内で顔を合わせるんだ、その時俺は、どんな顔をして会えばいいのか分からない。
だから、来ざるを得なかった。
「断れないようなメッセージを送ってきて、何言ってんだよ。」
「晶社くんなら、来てくれと思ったんだ。優しいもんね。」
・・・
俺が優しい?
初めて言われたよ、そんな事。そもそも俺は人に対しての優しを持ってるとは思ってない。あるとも思えないし。
そこは相手の判断だから分からない部分だが、おそらく無い、が正解だ。
「で、わざわざ呼び出した理由は?」
「え?強制ログアウトについて聞かせてくれるんでしょ?」
あぁ・・・
俺はゲーム内でのつもりだったんだがな。なんでわざわざ外で会ってまで話さなきゃならないんだ。
「ゲーム内でいいだろ?」
「とりあえず、お店に入ろ。」
麻璃亜は俺の問いには答えず、カフェの中に入って行った。渋々俺も後に着いていく。
「今日はコーラじゃないんだね。」
頼んだアイスコーヒーに、付属の小瓶に入ったシロップとミルクを全投入して混ぜる俺に、麻璃亜は柔らかい笑みで言った。
別に、アイスコーヒーが飲みたかったわけじゃないが、なんとなく頼んでしまった。雰囲気に飲まれたからなのか、少し大人ぶってしまったからなのか、自分でも分からない。
「毎回コーラってわけじゃない、その時の気分だ。」
そう言いながら、掻き混ぜたアイスコーヒーを、ストローから吸い込む。
・・・
苦ぇ・・・
顔に出たのは自分でも分かっていたが、麻璃亜は何も言わずに微笑んでいただけだった。
「それで、どんなだったか教えて欲しいな。」
水を口に含んで、コーヒーの苦さを誤魔化すと、麻璃亜が聞いてきた。実は、それについては俺も気になっていたんだ。体験したのは俺と城之内だが、城之内の方からは詳しい話しは聞けていない。聞けないと言った方が正解だが。
「自分で体験したのが1回、友達が食らうのを見たのが1回。突然、敵が変な動きをしたんだ。ありえない速度で移動したというか、ワープしたみたいな感じだ。」
俺は当時の事を思い出しながら言葉にした。
「その直後かな、俺は雑魚だったけど、腕に噛みつかれたんだ。それで、腕が噛み千切られるように見えたんだ。それに驚いた所為か、強制ログアウト。」
「で、もう一人の方は?」
麻璃亜は城之内の方はどうだったのかも気になるようだった。
「あれはLV8のオルデラ戦だったんだが、やっぱり同じような感じだったな、始まりは。直後に大剣が頭部を貫通したんだ。それと同時にログアウトさせられたようだった。通常であれば吹き飛ばされるはずなんだが、その光景を見た瞬間、驚いたよ。」
「そう・・・」
麻璃亜はそれだけ言うと、紅茶を一口飲んで、真面目な表情になる。
「私もね、あの蜘蛛がダウン状態から、一瞬で場所が変わったのが見えたの。それで思わず身体が動いちゃったのよね。晶社くんと同じように、身体を蜘蛛の足が引き裂くようにすり抜けていった。」
似たような感じだな。しかし、あの蜘蛛も直前にそんな動きをしたのか。俺が姫の方を向いていた時だな。
まてよ・・・
「何故蜘蛛がその動きをしたとき、俺を庇った?」
俺は浮かんだ疑問を麻璃亜に投げ、睨むような視線で顔を見る。つまり、そういう事象があると分かっていたから俺を庇ったって事だろう、今の言いようじゃ。俺と麻璃亜が会ったのは、城之内が居なくなってからの話しだし、俺自身も麻璃亜に話したのは初めてだ。
「そう思うわよね。でもね、同じ体験をしている人が沢山いるのよ。CAZH社のカスタマーサービスは、対応に苦労しているみたいだけど。」
「なるほど。」
つまり事前情報があったわけだな。
そうなると、麻璃亜が管理者から依頼されてDEWSをプレイしているなら、その調査とかもしてそうだな。
「つまり、俺らが体験者だからパーティに入ったって事か?」
そうなると誰でも良かった事になる。こんな事を考えたくは無いが、思ってしまうとあまりいい気分じゃない。
「それは、違うの。知ったのはパーティに入ってからなの。」
口では何とでも言えるが、麻璃亜の真面目は顔は嘘を言っているようには思えなかった。俺自身が、見極められるのかと言われれば疑問だが。
俺は麻璃亜の態度から目を逸らすと、アイスコーヒーを口に含んだ。
この苦味は、未熟な自分に対してなのか、麻璃亜への思いなのか。
「ただ、共通点は分かったわ。」
「そうなのか?」
次に何を言えばいいのか分からず、残っている苦味をどう処理しようか考えていると、麻璃亜が話しを切り替えた。
「えぇ、前兆があるのね、敵の動きに。」
そういう事か。
「つまり、異常な動きか。」
「そういう事。」
確かに、言われてみれば、どの敵も高速で動いているようだ。高速かどうかは不明だが、明らかにおかしい動きをしている。
「となると、回避も可能という事になるな。」
「反応できれば、可能かもしれないわ。」
麻璃亜は浮かない顔で、俺の言った内容を肯定した。何故、浮かない顔で言ったのか。少し疑問だったが、考えてみればそうかと後から気付く。
敵の移動先が、プレイヤーの背後だった場合、避けられるか?という事だろう。必ずしも見える場所に移動してくれるとは限らないわけだ。
「そう言えば・・・異常な動きをする敵で思いだしたんだが。」
「うん?」
紅茶と一緒に頼んだチーズケーキを、口に運んだ麻璃亜が、フォークを銜えた状態で首を傾げる。
「ゲームを始めた頃、闇イノシシの素材を集めていた時なんだ。」
「それって、その時にもやられた?」
「いや、動きや攻撃力が異常だったんだ。別に、ログアウトさせられたわけじゃないんだが、関係あったりするのかと思っただけ。」
実際のところ関係ないかもしれないが、ふと思い出したので話してみる。もう、だいぶ前の事になるが。
「分からないわ。でも、一応伝えてみるね、ありがと。」
「いや。」
微笑んで言う麻璃亜の顔から、目を逸らしてそれだけ言った。どうも、苦手というか、自分でもどうしていいか分からない。
「ねぇ、晶社くん。」
「ん?」
さっきとは打って変わって、今度は浮かない表情で麻璃亜は話しかけて来る。
「私、パーティに居ても、いいのかな・・・」
自分の立場を話した上で、もう一度確認しているのだろうか。何故、こんな弱々しい表情、声で聞いて来るのだろう。今の麻璃亜は、そんな風に感じた。
「今更何言ってんだよ。麻璃亜はもう必要な存在だっての。」
「必要な存在・・・プロポーズ?」
「アホか!!」
麻璃亜のボケに思わず突っ込んでいた。大きな声で。
当然、店内に居た客の視線を集める結果になってしまった。恥ずかしいので誰か穴でも用意してくれないかな。そんな事を思いながら、アイスコーヒーを口いっぱいに吸い込む。
恥ずかしさと苦味で、今の俺は変な顔になっているだろうな。
「茶化してごめんね。でも、嬉しい。」
「そうですか。」
俺は顔を逸らしてそれだけ言う。横目で見た麻璃亜の笑顔は、本当に嬉しそうに見えた。
「今日はありがと。」
それから少しして店を出ると、麻璃亜がお礼を言ってきた。今回も奢ってもらうのは悪いと思って、払おうとしたんだが、払わせてはくれなかった。
「それは別に。ただ、ゲーム内でも良かったんじゃないか?」
「ゲーム内だと落ち着かないでしょう?」
ここも落ち着かねぇよ・・・
「そうか?」
「メンバーとか、お嬢様とか、居る中でだよ?」
あぁ・・・無理だ。
「確かに・・・」
「でしょ。」
麻璃亜はそこで笑って見せる。何が楽しいのか分からないが、未だに顔を直視出来ないので、俺は車道を通り過ぎる車を目で追っていた。
「それじゃ、次のデートも楽しみにしてる。」
だから、デートじゃねぇだろ。
「勝手にデートにすんなよ。」
「じゃぁ、何?」
「情報交換のために会ったんだろ・・・そうだな、打ち合わせとか?」
「ふふっ。」
俺の答えには何も言わず、麻璃亜はただ微笑んだだけだった。そのまま俺に背を向けて、帰ろうとする。
「あ、ごちそうさまでした。」
行ってしまうと思い、まだ言えてなかったお礼を慌てて言う。
「うん。」
足を止めた麻璃亜は、顔だけこちらに振り向くと、優しい微笑みでそれだけ言って帰って行った。
終わったかと思うと、身体がすごく重く感じた。予想以上に疲れたらしい。それは、肉体ではなく精神的になんだろうが、帰りの足取りは重かった。
-CAZH社 本社ビル13F 開発本部 ソリューション&テクノロジー部-
ディスプレイに視線を固定している水守の顔は、何処か満足そうにも見えた。机上にあるマグカップから珈琲を口にする際も、その視線は動かない。
「積極的に活動してるじゃない。」
珈琲を口にした後、水守はそう言って口元を綻ばせる。
水守はELINEAのログを確認しながら、この前の会話から少しは変化が出たのではないかと思っていた。
当然、あの程度の事で心境の変化が起こるとは思ってなかったが。
(AIに心境の変化なんて、あるのかしら?)
などと自問していると、部屋のドアが叩かれる。宇吏津ならばもう少し静かに叩くが、今回は強めのノックだったので、別の誰かかと思い水守は姿勢を整えてから返事をした。
「どうぞ。」
だが、水守の予想とは違い入って来たのは宇吏津だった。
「失礼します、チーフ。」
「どうしたの?」
入って来た宇吏津は、いつもの眠そうな顔ではなく、疲労が浮かぶも険しい顔をしていた。何の用か聞いた後に気付いた水守は、少しばかり身体を強張らせる。
「ELINEAのプロジェクト、凍結の許可を取って頂けませんか?」
「え・・・?」
予想外の言葉に、水守は口を半開きにしたまま硬直した。
このプロジェクトに力を入れていた宇吏津。ELINEAが成長してく様を、幸せそうに語る宇吏津。前回、凍結を話した時も寂しそうにしていた宇吏津。
まさか、その宇吏津自ら、プロジェクトの凍結をするという決断の言葉が出てくるとは思ってもみなかったからだ。
「どういう事なの?」
宇吏津は答えずに、水守の机の前まで移動する。
「今ログを見ていたのだけれど、凍結する理由は見つからないわよ。むしろ、以前より積極的に人との会話、パーティへの参加をしているように見えるわ。稼働ログも以前の様に戻っているし。」
水守は自分のディスプレイと宇吏津を交互に見ながら疑問を口にする。だが、宇吏津はゆっくりと首を左右に振った。
「説明して。」
「ELINEAのログはELINEA自身が稼働するサーバーに直接保存されています。」
「知っているわ。」
宇吏津の説明に、水守は今更何を当たり前の事を言っているんだという態度になる。だが、宇吏津は気にもせず話しを続ける。
「少し前に、そのログを分散コピーするようにしました。おそらくELINEAには気付かれてないと思いますが。」
「それで?」
バックアップも取っている中で、別に分散コピーをする理由は何か、水守は宇吏津の言いたい事がまだ不明のため続きを促す。
「他のサーバーログも同様にしています。」
「ちょっと待って、勝手にそんな事をしてどうなるか分かっているの?」
流石にその内容には、水守も眉間に皺を寄せて声を大きくした。サーバーの管理は水守のところでは関与していない。運用後は別の部署が担っているが、それを勝手に設定変更など、下手をすれば解雇になっても不思議じゃない。
「分かっています。その責については後でいくらでも負います。」
「そこまでする理由があったのね。」
「はい。」
水守は宇吏津の態度に、腹を決めて話しを聞くことにする。
「で、そこまでして何が分かったの?」
「チーフは、今なんのログを見ていますか?」
「今は会話ログだけど?」
それを聞いた宇吏津は、手に持っていた用紙から数枚を抜き出して水守に渡す。
「ここ数日の会話ログです。」
水守はその用紙を受け取ると、開いているログと見比べていく。その顔は、時間とともに険しい表情になっていった。
「これ・・・何?」
水守は見ながら疑問を口にする。自分が見ているログと、宇吏津から渡された内容に、明らかに食い違いがある。
「本当なの、これ?」
受け取った用紙を動かしながら、水守は宇吏津に確認する。
「はい。」
「まさか・・・ELINEAが自分で?」
「そうとしか思えません。ログが生成された直後から、それぞれ改竄していると思われます。おそらく、生成後に改竄しているため、コピーしている方は改竄前なんだと思います。」
「なんてこと・・・」
宇吏津の説明に、水守は驚きを隠せずにいた。吐き出した言葉には、驚愕もそうだが、落胆も含まれているようにも聞こえる。まるで、裏切られた者のように。
「行動ログには含まれていませんが、他のサーバーログでは居ない筈の場所に居ます。また、稼働ログに関しても同様です。ELINEAはあれ以来、一度も休んでいないようです。」
「一体、ELINEAは何をしようとしているのかしら。」
「それは、僕にもわかりません・・・。」
疑問だらけの内容に、水守も宇吏津も黙り込んでしまう。
「他にも、内容を確認しますか?」
その沈黙を破って、宇吏津が口を開いた。
「えぇ、当然よ。内容を確認して、それを以てプロジェクトの凍結許可を貰えるよう説明するわ。」
「分かりました。ですが、早い方がいいかもしれません。」
「そうね。」
宇吏津の懸念はログだけの話しでは無かった、それが水守に何処まで伝わったかは定かではない。ただ、自分が出来るのは此処までだと、急く気持ちを納得させるしかなかった。
「皮肉なものね。人間相手なら経験則から、ある程度予想は出来るのに・・・」
水守が溜息を吐くように漏らす。そこには、自嘲も混じっているように、宇吏津には聞こえた。
「僕は、引き続きELINEAの動向を確認したいと思います。」
「えぇ、お願い。行動の改竄を行った以上、会話をしたところで本当のところは話さないでしょうしね。」
「そうですね。」
水守の言葉に、宇吏津は同意して頷いた。宇吏津も、ログの改竄に気付いた時に同じ事を思ったからだ。
対話での解決はもう無理だと。だからこそ、忸怩たる思いで今回の決断に至ったのだ。
「では、失礼します。」
宇吏津は残りの資料を水守に渡すと、静かに部屋を後にした。
少し前まで自転車に乗って車道を走っていたのだが、目的地が近付いて来たため、降りて歩道を歩いている。降りて徒歩に切り替えた瞬間、一気に暑さを感じるようになったのが怠い原因の一つだ。
少し歩くと、もう一つの原因が見えて来る。その原因が俺に気付くと、笑顔で手を振ってきた。
「来てくれて、嬉しいな。」
麻璃亜はそう言って、嬉しそうに微笑んだ。
嬉しいなじゃなねぇ。
半分脅しじゃねぇか。
そう。
朝起きたら追加でメッセージが届いていたんだ。
『この前のカフェで待ってるね。晶社くんが来なくても、独りで。』
無視したい気分だった。が、嫌でもDEWS内で顔を合わせるんだ、その時俺は、どんな顔をして会えばいいのか分からない。
だから、来ざるを得なかった。
「断れないようなメッセージを送ってきて、何言ってんだよ。」
「晶社くんなら、来てくれと思ったんだ。優しいもんね。」
・・・
俺が優しい?
初めて言われたよ、そんな事。そもそも俺は人に対しての優しを持ってるとは思ってない。あるとも思えないし。
そこは相手の判断だから分からない部分だが、おそらく無い、が正解だ。
「で、わざわざ呼び出した理由は?」
「え?強制ログアウトについて聞かせてくれるんでしょ?」
あぁ・・・
俺はゲーム内でのつもりだったんだがな。なんでわざわざ外で会ってまで話さなきゃならないんだ。
「ゲーム内でいいだろ?」
「とりあえず、お店に入ろ。」
麻璃亜は俺の問いには答えず、カフェの中に入って行った。渋々俺も後に着いていく。
「今日はコーラじゃないんだね。」
頼んだアイスコーヒーに、付属の小瓶に入ったシロップとミルクを全投入して混ぜる俺に、麻璃亜は柔らかい笑みで言った。
別に、アイスコーヒーが飲みたかったわけじゃないが、なんとなく頼んでしまった。雰囲気に飲まれたからなのか、少し大人ぶってしまったからなのか、自分でも分からない。
「毎回コーラってわけじゃない、その時の気分だ。」
そう言いながら、掻き混ぜたアイスコーヒーを、ストローから吸い込む。
・・・
苦ぇ・・・
顔に出たのは自分でも分かっていたが、麻璃亜は何も言わずに微笑んでいただけだった。
「それで、どんなだったか教えて欲しいな。」
水を口に含んで、コーヒーの苦さを誤魔化すと、麻璃亜が聞いてきた。実は、それについては俺も気になっていたんだ。体験したのは俺と城之内だが、城之内の方からは詳しい話しは聞けていない。聞けないと言った方が正解だが。
「自分で体験したのが1回、友達が食らうのを見たのが1回。突然、敵が変な動きをしたんだ。ありえない速度で移動したというか、ワープしたみたいな感じだ。」
俺は当時の事を思い出しながら言葉にした。
「その直後かな、俺は雑魚だったけど、腕に噛みつかれたんだ。それで、腕が噛み千切られるように見えたんだ。それに驚いた所為か、強制ログアウト。」
「で、もう一人の方は?」
麻璃亜は城之内の方はどうだったのかも気になるようだった。
「あれはLV8のオルデラ戦だったんだが、やっぱり同じような感じだったな、始まりは。直後に大剣が頭部を貫通したんだ。それと同時にログアウトさせられたようだった。通常であれば吹き飛ばされるはずなんだが、その光景を見た瞬間、驚いたよ。」
「そう・・・」
麻璃亜はそれだけ言うと、紅茶を一口飲んで、真面目な表情になる。
「私もね、あの蜘蛛がダウン状態から、一瞬で場所が変わったのが見えたの。それで思わず身体が動いちゃったのよね。晶社くんと同じように、身体を蜘蛛の足が引き裂くようにすり抜けていった。」
似たような感じだな。しかし、あの蜘蛛も直前にそんな動きをしたのか。俺が姫の方を向いていた時だな。
まてよ・・・
「何故蜘蛛がその動きをしたとき、俺を庇った?」
俺は浮かんだ疑問を麻璃亜に投げ、睨むような視線で顔を見る。つまり、そういう事象があると分かっていたから俺を庇ったって事だろう、今の言いようじゃ。俺と麻璃亜が会ったのは、城之内が居なくなってからの話しだし、俺自身も麻璃亜に話したのは初めてだ。
「そう思うわよね。でもね、同じ体験をしている人が沢山いるのよ。CAZH社のカスタマーサービスは、対応に苦労しているみたいだけど。」
「なるほど。」
つまり事前情報があったわけだな。
そうなると、麻璃亜が管理者から依頼されてDEWSをプレイしているなら、その調査とかもしてそうだな。
「つまり、俺らが体験者だからパーティに入ったって事か?」
そうなると誰でも良かった事になる。こんな事を考えたくは無いが、思ってしまうとあまりいい気分じゃない。
「それは、違うの。知ったのはパーティに入ってからなの。」
口では何とでも言えるが、麻璃亜の真面目は顔は嘘を言っているようには思えなかった。俺自身が、見極められるのかと言われれば疑問だが。
俺は麻璃亜の態度から目を逸らすと、アイスコーヒーを口に含んだ。
この苦味は、未熟な自分に対してなのか、麻璃亜への思いなのか。
「ただ、共通点は分かったわ。」
「そうなのか?」
次に何を言えばいいのか分からず、残っている苦味をどう処理しようか考えていると、麻璃亜が話しを切り替えた。
「えぇ、前兆があるのね、敵の動きに。」
そういう事か。
「つまり、異常な動きか。」
「そういう事。」
確かに、言われてみれば、どの敵も高速で動いているようだ。高速かどうかは不明だが、明らかにおかしい動きをしている。
「となると、回避も可能という事になるな。」
「反応できれば、可能かもしれないわ。」
麻璃亜は浮かない顔で、俺の言った内容を肯定した。何故、浮かない顔で言ったのか。少し疑問だったが、考えてみればそうかと後から気付く。
敵の移動先が、プレイヤーの背後だった場合、避けられるか?という事だろう。必ずしも見える場所に移動してくれるとは限らないわけだ。
「そう言えば・・・異常な動きをする敵で思いだしたんだが。」
「うん?」
紅茶と一緒に頼んだチーズケーキを、口に運んだ麻璃亜が、フォークを銜えた状態で首を傾げる。
「ゲームを始めた頃、闇イノシシの素材を集めていた時なんだ。」
「それって、その時にもやられた?」
「いや、動きや攻撃力が異常だったんだ。別に、ログアウトさせられたわけじゃないんだが、関係あったりするのかと思っただけ。」
実際のところ関係ないかもしれないが、ふと思い出したので話してみる。もう、だいぶ前の事になるが。
「分からないわ。でも、一応伝えてみるね、ありがと。」
「いや。」
微笑んで言う麻璃亜の顔から、目を逸らしてそれだけ言った。どうも、苦手というか、自分でもどうしていいか分からない。
「ねぇ、晶社くん。」
「ん?」
さっきとは打って変わって、今度は浮かない表情で麻璃亜は話しかけて来る。
「私、パーティに居ても、いいのかな・・・」
自分の立場を話した上で、もう一度確認しているのだろうか。何故、こんな弱々しい表情、声で聞いて来るのだろう。今の麻璃亜は、そんな風に感じた。
「今更何言ってんだよ。麻璃亜はもう必要な存在だっての。」
「必要な存在・・・プロポーズ?」
「アホか!!」
麻璃亜のボケに思わず突っ込んでいた。大きな声で。
当然、店内に居た客の視線を集める結果になってしまった。恥ずかしいので誰か穴でも用意してくれないかな。そんな事を思いながら、アイスコーヒーを口いっぱいに吸い込む。
恥ずかしさと苦味で、今の俺は変な顔になっているだろうな。
「茶化してごめんね。でも、嬉しい。」
「そうですか。」
俺は顔を逸らしてそれだけ言う。横目で見た麻璃亜の笑顔は、本当に嬉しそうに見えた。
「今日はありがと。」
それから少しして店を出ると、麻璃亜がお礼を言ってきた。今回も奢ってもらうのは悪いと思って、払おうとしたんだが、払わせてはくれなかった。
「それは別に。ただ、ゲーム内でも良かったんじゃないか?」
「ゲーム内だと落ち着かないでしょう?」
ここも落ち着かねぇよ・・・
「そうか?」
「メンバーとか、お嬢様とか、居る中でだよ?」
あぁ・・・無理だ。
「確かに・・・」
「でしょ。」
麻璃亜はそこで笑って見せる。何が楽しいのか分からないが、未だに顔を直視出来ないので、俺は車道を通り過ぎる車を目で追っていた。
「それじゃ、次のデートも楽しみにしてる。」
だから、デートじゃねぇだろ。
「勝手にデートにすんなよ。」
「じゃぁ、何?」
「情報交換のために会ったんだろ・・・そうだな、打ち合わせとか?」
「ふふっ。」
俺の答えには何も言わず、麻璃亜はただ微笑んだだけだった。そのまま俺に背を向けて、帰ろうとする。
「あ、ごちそうさまでした。」
行ってしまうと思い、まだ言えてなかったお礼を慌てて言う。
「うん。」
足を止めた麻璃亜は、顔だけこちらに振り向くと、優しい微笑みでそれだけ言って帰って行った。
終わったかと思うと、身体がすごく重く感じた。予想以上に疲れたらしい。それは、肉体ではなく精神的になんだろうが、帰りの足取りは重かった。
-CAZH社 本社ビル13F 開発本部 ソリューション&テクノロジー部-
ディスプレイに視線を固定している水守の顔は、何処か満足そうにも見えた。机上にあるマグカップから珈琲を口にする際も、その視線は動かない。
「積極的に活動してるじゃない。」
珈琲を口にした後、水守はそう言って口元を綻ばせる。
水守はELINEAのログを確認しながら、この前の会話から少しは変化が出たのではないかと思っていた。
当然、あの程度の事で心境の変化が起こるとは思ってなかったが。
(AIに心境の変化なんて、あるのかしら?)
などと自問していると、部屋のドアが叩かれる。宇吏津ならばもう少し静かに叩くが、今回は強めのノックだったので、別の誰かかと思い水守は姿勢を整えてから返事をした。
「どうぞ。」
だが、水守の予想とは違い入って来たのは宇吏津だった。
「失礼します、チーフ。」
「どうしたの?」
入って来た宇吏津は、いつもの眠そうな顔ではなく、疲労が浮かぶも険しい顔をしていた。何の用か聞いた後に気付いた水守は、少しばかり身体を強張らせる。
「ELINEAのプロジェクト、凍結の許可を取って頂けませんか?」
「え・・・?」
予想外の言葉に、水守は口を半開きにしたまま硬直した。
このプロジェクトに力を入れていた宇吏津。ELINEAが成長してく様を、幸せそうに語る宇吏津。前回、凍結を話した時も寂しそうにしていた宇吏津。
まさか、その宇吏津自ら、プロジェクトの凍結をするという決断の言葉が出てくるとは思ってもみなかったからだ。
「どういう事なの?」
宇吏津は答えずに、水守の机の前まで移動する。
「今ログを見ていたのだけれど、凍結する理由は見つからないわよ。むしろ、以前より積極的に人との会話、パーティへの参加をしているように見えるわ。稼働ログも以前の様に戻っているし。」
水守は自分のディスプレイと宇吏津を交互に見ながら疑問を口にする。だが、宇吏津はゆっくりと首を左右に振った。
「説明して。」
「ELINEAのログはELINEA自身が稼働するサーバーに直接保存されています。」
「知っているわ。」
宇吏津の説明に、水守は今更何を当たり前の事を言っているんだという態度になる。だが、宇吏津は気にもせず話しを続ける。
「少し前に、そのログを分散コピーするようにしました。おそらくELINEAには気付かれてないと思いますが。」
「それで?」
バックアップも取っている中で、別に分散コピーをする理由は何か、水守は宇吏津の言いたい事がまだ不明のため続きを促す。
「他のサーバーログも同様にしています。」
「ちょっと待って、勝手にそんな事をしてどうなるか分かっているの?」
流石にその内容には、水守も眉間に皺を寄せて声を大きくした。サーバーの管理は水守のところでは関与していない。運用後は別の部署が担っているが、それを勝手に設定変更など、下手をすれば解雇になっても不思議じゃない。
「分かっています。その責については後でいくらでも負います。」
「そこまでする理由があったのね。」
「はい。」
水守は宇吏津の態度に、腹を決めて話しを聞くことにする。
「で、そこまでして何が分かったの?」
「チーフは、今なんのログを見ていますか?」
「今は会話ログだけど?」
それを聞いた宇吏津は、手に持っていた用紙から数枚を抜き出して水守に渡す。
「ここ数日の会話ログです。」
水守はその用紙を受け取ると、開いているログと見比べていく。その顔は、時間とともに険しい表情になっていった。
「これ・・・何?」
水守は見ながら疑問を口にする。自分が見ているログと、宇吏津から渡された内容に、明らかに食い違いがある。
「本当なの、これ?」
受け取った用紙を動かしながら、水守は宇吏津に確認する。
「はい。」
「まさか・・・ELINEAが自分で?」
「そうとしか思えません。ログが生成された直後から、それぞれ改竄していると思われます。おそらく、生成後に改竄しているため、コピーしている方は改竄前なんだと思います。」
「なんてこと・・・」
宇吏津の説明に、水守は驚きを隠せずにいた。吐き出した言葉には、驚愕もそうだが、落胆も含まれているようにも聞こえる。まるで、裏切られた者のように。
「行動ログには含まれていませんが、他のサーバーログでは居ない筈の場所に居ます。また、稼働ログに関しても同様です。ELINEAはあれ以来、一度も休んでいないようです。」
「一体、ELINEAは何をしようとしているのかしら。」
「それは、僕にもわかりません・・・。」
疑問だらけの内容に、水守も宇吏津も黙り込んでしまう。
「他にも、内容を確認しますか?」
その沈黙を破って、宇吏津が口を開いた。
「えぇ、当然よ。内容を確認して、それを以てプロジェクトの凍結許可を貰えるよう説明するわ。」
「分かりました。ですが、早い方がいいかもしれません。」
「そうね。」
宇吏津の懸念はログだけの話しでは無かった、それが水守に何処まで伝わったかは定かではない。ただ、自分が出来るのは此処までだと、急く気持ちを納得させるしかなかった。
「皮肉なものね。人間相手なら経験則から、ある程度予想は出来るのに・・・」
水守が溜息を吐くように漏らす。そこには、自嘲も混じっているように、宇吏津には聞こえた。
「僕は、引き続きELINEAの動向を確認したいと思います。」
「えぇ、お願い。行動の改竄を行った以上、会話をしたところで本当のところは話さないでしょうしね。」
「そうですね。」
水守の言葉に、宇吏津は同意して頷いた。宇吏津も、ログの改竄に気付いた時に同じ事を思ったからだ。
対話での解決はもう無理だと。だからこそ、忸怩たる思いで今回の決断に至ったのだ。
「では、失礼します。」
宇吏津は残りの資料を水守に渡すと、静かに部屋を後にした。
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【この作品は、別名義で投稿していたものを改題・加筆修正したものになります。ご了承ください】
【この作品は『小説家になろう』『カクヨム』にも掲載しています】
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怪我をした理咲の行動にいたく感心したという彼は、若くして近衛騎士隊を任される通称『銀鷹卿』。長身でガタイが良い上に銀髪蒼眼、整った容姿ながらやたらと威圧感のある彼だが、実は仲間想いで少々不器用、ついでに万年肩凝り頭痛持ちという、微笑ましい一面も持っていた。
世話になったお礼に、理咲の持ち込んだ趣味グッズでアロマテラピーをしたところ、何故か立ちどころに不調が癒えてしまう。その後に試したノルベルトの部下たちも同様で、ここに来て『じゃない方』の召喚者と思われた理咲の特技が判明することに。
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