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51.避けて通れない、考察
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-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-
「痩せましたね。」
美馬津は喫煙室のカウンターに肘を付き、独り言のように紫煙を吐きながら言う。
「当たり前の事を言うな。生命維持や、生体のメンテナンスを行っているからとは言え、必要な栄養だけじゃ足りないし、生体メンテっつったって、筋力は落ちていくんだ。」
逆に圀光は背を預ける形で、カウンターに両肘を乗せながら、やる気が無さそうに答えた。
「やっぱり、生身の方は生かすのが難しいですかね。」
「そんな事はないだろう。脳死だって、肉体の劣化は避けられないが何年も生かされるだろ?ここは設備が整ってないだけさ。」
圀光は苦笑しながら、細くなった自分の身体を見ながら煙を吹き出す。
「まぁ、病院じゃないですからね。あくまで家庭用の簡易生命維持装置なので、この辺が限界でしょうか。」
「そっか、もうすぐ半年か・・・」
そう呟いて天井を仰ぐと、圀光は力無く笑った。
「しかし、ひでぇ人体実験だったな。」
「そうです、僕らは人体実験のために此処に詰め込まれてるんですよ。」
圀光は皮肉のつもりで言ったのだが、美馬津は思いつめたような表情でその言葉を肯定した。
「ま、そう言うな。俺は結構、満足しているんだぜ。」
圀光は言いながら煙草の火を消すと、美馬津の肩をぽんと叩いて喫煙室を出て行った。
「圀光さんだけだったなら、良かったんですけどね・・・」
独り喫煙室に残った美馬津は、小さく漏らすと自嘲した。
-同センター内 サーバールーム 管理室-
「圀光のおっさん、リフレッシュできたかー?」
禍月がディスプレイを見ながら語り掛ける。
「戻ってくるなりなんだよ・・・」
その禍月の声に、ゲーム内に戻った圀光は明らかに不満そうな声を上げた。
「うん、仕事だ。」
「嫌だ!」
「断れる立場に無いだろー。」
はっきりと即答した圀光に、禍月はやる気なさそうに半笑いしながら言う。
「そもそも受ける義務は無い。楽しく装備くらい作らせろよ。」
「確かになー。契約には無いもんなー。」
嫌がる圀光に、禍月は態度を変えることなく淡々と話す。
「その通りだ。もう面倒ごとは勘弁してくれ。」
「あたしは良いんだけどなー。朝起きたら武器が全部消えてましたとか、バグが発生するかもしれないなー。」
「・・・」
変わらず続ける禍月の言葉に、沈黙が流れる。ディスプレイからは、暫しの間何も聞こえなくなった。
「そんな脅しには・・・」
「あぁ、気にするな、あたしのは独り言だからなー。」
「脅しなんかに・・・」
小さくだが、葛藤するように圀光の声が聞こえる。
「あぁ、くそ!美馬津、そこの悪魔をなんとかしろ!」
「無理ですよ。僕はただの人間ですから。」
堪えきれず声を大きく、美馬津を頼ってみた圀光だったが、反応は冷たかった。
「はぁ・・・それで、何をすりゃいいんだ・・・」
またも暫しの沈黙が流れると、諦めたように圀光が折れた。
「ほんとか?流石圀光のおっさん、なんて良い人なんだー。」
「棒読み過ぎだろ・・・」
禍月の態度に呆れながら、圀光は溜息のように力なく突っ込んだ。
「その前に、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「俺の契約も、もうすぐ終わるだろ・・・」
「そうだなー。」
「このデータ、どうなるんだ?」
圀光は声音に不安を混じえながら聞いた。データセンターで使用している機器は、基本持ち出し禁止になっている。たとえそれが、ただのゲーム機、HMDだったとしても。
「HMDと本社データベースサーバーはリンクしているからなー。」
禍月は思わせ振りに一旦言葉を切るが、圀光は黙って続きを待った。
「新しいHMDを用意したら、本社のサーバーからデータ移行はしてやる。」
「・・・はぁ、そりゃありがたい。」
禍月の言葉を聞いた圀光は、安堵ともに吐き出した。
「ところでおっさんは、何で未だにメルフェアに居るんだー?」
「俺が用意された家は此処しかないからだよ。他の街には用意されてなかったんだ・・・」
いじける様な声で言う圀光に、禍月はくだらない理由だと思い呆れる。
「そりゃ、あたしの所為じゃないぞー。文句があるならあっきーに言え。」
「いや、どうせもうすぐ終わりだし、この家も無くなって普通のプレイヤーになるんだから今更だ。」
「そうかー。」
圀光の言う通り、検証期間が終われば契約も終了し、今使っているキャラも使えなくなる。一般プレイヤーとして再開したとしても、今の家には入ることは出来ない。当たり前の事だが、やはり禍月にはどうでもよかった。
「そんじゃ改めて、俺は何をするんだ?」
腹を括ったのか、圀光は禍月が何を押し付けて来るのか、確認する。
「なに、大した事じゃない。」
やりたくないな・・・クエスト名からしてもう嫌だ。
実際、やらなくても先には進めるサブクエストなんだが、報酬はかなり良い。今後武器作成には必須になってくる神石がクリア報酬として入っているんだ。
ただなぁ・・・
サブクエスト 全開のオルデラで腕試し。
アホか。
どれだけ戦わせたいんだよ。こっちはもう戦いたくないっての。
「見なかった事にするか。」
「全開ってあれでしょ、最初から紅い闘気を纏ってるよね、きっと。」
嫌そうに言うタッキーに、俺も同意見だ。全開と書いてあるからには、最初からその状態だろう。
それに、クリアしなくてもいいサブクエストとして用意されているって事は、明らかにこの前より強いと想像できる。
誰がやるか。
「やるとしても、先に進んで装備を強化してからが無難ですね。」
「あたしも、今はやだ。」
姫の言う通りだ。何も、今無理して戦闘する必要はない。先に進んで揃えられる装備を揃えてからの方がいいだろう。それでも、強い事には変わりないだろうが。
「私もパスしたいわ。疲れるもの。」
「何をオルデラ如きに臆していますの。やりますわよ。」
アホカは黙れ。
「今苦労する必要はないだろうが。」
「嫌ですわ。」
こいつ、なんでそんなにオルデラと戦いたいんだよ。
「誰も行きたがってないだろうが。」
「一つだけCLEARマークが付かないのが、納得できませんわ。」
・・・
お、おぅ。
「立派なゲーマーになったな。」
「そうですね。」
俺と姫は、遠い目を空に向けた。ゲームをした事も無かったお嬢様が、今では立派なゲーマーになったんだ。
「私はゲーマーではありませんわ。」
まあ、認めたくない気持ちも分かるが、概ねそう言う奴には言っても無駄なんだよな。
「そうか。」
だが、本人が認める認めないに関わらず、周りの認識はゲーマーだからな。
「後からでもマークは付くのだから、今は進んだ方がいいと思うわ。」
「・・・そこまで言うなら、仕方ありませんわね。」
凄い口惜しそうな顔でアヤカが言う。
「あの、ユアキス・・・」
煩いのが来たか。そう思って声のした方に目を向けると、エメラ一人だった。
「何処に隠れている?」
「違うんです。お嬢様、本当に熱があったようで、今は寝ています。」
俺が周囲を見渡しながら聞くと、エメラは困ったようにそう言った。
アリシアが熱?
そう言えば、以前もそんな事があったな。あれはまだ、メルフェアの街に居た時で、俺が与えられていた部屋を貸していた時だ。そう思うと、随分昔のような気がした。
「薬は?」
聞いた後に後悔する。NPCに薬もくそも無いよな。
「以前は食事と一緒に用意されたみたいですが、今回はまだ。この街に薬や薬草を売っているお店はあっても、熱に効く薬は無いようですし。」
エメラは困った顔をしながら状況を話す。ゲーム内の薬屋に、風邪薬なんか売っているわけがない。
風邪かどうかわからないけど。
俺は今まで、考えないようにしてきた事が、今になってまた疑問として浮かんでくる。
考えないようにというか、考えても結論が出ないので、いつしか考える事をしなくなっただけなんだが。
それは、アリシアやエメラの事だ。NPCにしては言動も、行動もおかしい。高度なAIの可能性はあるが、一体どういう存在なんだろうか。その事を思い出させられた。
まぁ、答えは出ないが。
「俺らではどうしようも出来ないしな、様子をみるしかないんじゃないか?」
「そうですか・・・」
残念そうにエメラは言うが、そんな顔をされたところで、本当にどうしようもない。
「良ければ、後でお見舞いでもしてもらえませんか?」
「ん、ああ。」
「では、私はお嬢様のところに戻ります。」
俺の返事を聞くと、エメラはそれだけ言って戻って行った。
お見舞いねぇ。前の時は、数日見かけなかったから様子を見に行っただけで、お見舞いに行ったわけじゃない。まぁ、一度くらい顔を出してもいいか。
そういうイベントの可能性・・・は、無さそうだな。
「ね、そろそろクエストに行こうよ。」
アリシアの事を考えていると、タッキーが急かしてくる。
「あぁ、そうだな。」
「死を呼ぶネヴィラだって、どんな敵だろうね。」
「名前からしていい予感はしないですね。」
月下が討伐対象の名前を言うと、姫が苦笑しながら言う。それに関しては俺も同感だ。きっとろくなもんじゃないだろう。
「死を招いてやるのは私の方ですわ。」
そりゃすげぇな、一緒に果ててしまえ。そんな事を思った瞬間、アヤカが俺の方を振り向く。
「今私の悪口を考えませんでした?」
・・・
相変わらず鋭いな。
「そんなわけ、ないだろ。」
とりあえず誤魔化しておく。
「じゃ、行ってみましょう。」
マリアの言葉で、俺たちはクエストLV13-13、死を呼ぶネヴィラの討伐へと向かった。
スニエフの街から始界先道を通り、ニベルレイス第5層へと俺たちは移動した。クエスト情報に記載のある場所まで来ると、そこは大きな広間になっており、部屋には蝋燭が囲むように部屋の灯りとなっていた。
魂葬の間
クエスト情報に、この場所はそう記載されている。魂を送るとか、死よ呼ぶとか、本当に嫌な予感しかしねぇ。
「こんな所まで来るとはな・・・」
「!?」
部屋の中央に居る魔獣が喋った!?
「あいつ、今喋ったよね。」
「獣のくせに、人語を操るとは捨ておけませんわ。」
別にそこはいいだろう、ゲームなんだから。
部屋の中央に居た魔獣、ネヴィラは起き上がる。起き上がると言うより、立ち上がったと言った方が正解だ。
ネヴィラは人型をした魔獣だった。立ち上がった時は一瞬、人間かとも思ったが、紫がかった肌に、赤い獣の瞳、並んだ歯はどれも尖って、横に伸びた尖った耳、鋭く伸びた爪、身体に所々残っている体毛。
その姿を見ると、よく空想に出て来る獣人のようだ。
今まで見なかった魔獣に、メンバーも目を奪われているのか、黙ったまま立ち尽くしている。
なんて事は無かった。アヤカは既に太刀の柄に手を掛けているし、マリアはもう抜剣している。
「うわぁ、獣人ってちょっときもいよね。」
「そうですね。」
と言っている月下と姫の後ろで、タッキーは欠伸をしていた。
緊張感ねぇな・・・
「侵略する者に手加減は無用・・・」
ネヴィラはそう言うと、右手を水平に伸ばす。床からは剣が生えるように現れた。その柄を掴むと、剣先をこちらに向ける。
「ここニベルレイスは、我々アヴィリエルの土地。これ以上人間の好きにはさせん。」
ネヴィラのその台詞が開戦の合図となり、戦闘が開始された。ネヴィラは開始と同時に高く跳躍。下手に近付くのは危険とみんな判断したのか、様子を見守る。
ネヴィラは何処に移動するでもなく、垂直に飛んでそのまま落下した。剣を床に突き立てるように着地すると、同心円状に衝撃波が発生する。
その手の攻撃は今までもあったので、俺たちはそれぞれ跳躍で回避しながらネヴィラを目指す。
だが、そんな行動も空しく、全員壁に叩きつけられた。
「いや、これ酷いよ。」
「ジャンプで避けるのは無理だわ。」
起き上がりながら文句を言うタッキーはどうでもいいが、一番高く飛んでいたマリアが頬を膨らませて言う。
あれで避けられないのなら、おそらく飛んで避けるのは無理なんだろう。
「んじゃ、させなきゃいいじゃん。」
「そうですわ。」
起き上がった月下とアヤカが、言いながら直ぐにネヴィラとの間合いを詰めに動き、俺もそれに続いた。
「雑魚でしたわ。」
ほぅ。
HPが赤く明滅しているくせにどの口が言ってんだ。
「苦労を考えると、オルデラに比べればね。」
まぁ、タッキーの言う通りで、オルデラに比べれば大した事はなかった。だが決して雑魚ではない。
質が悪いと思ったのは剣先が跳ぶところだ。どういう原理か不明だが・・・いや、ゲームだから原理もくそもないか。
実際に剣先が伸びるように飛びはするのだが、軌道上に障害物があると跳ねるんだよ。当然、跳ねた衝撃波にも当たり判定があるわけで、やりずらかったのは確かだ。
「独特な攻撃だったわ。避けるのが難しかったもの。」
「はい。まさかあんな方向から飛んで来るとは思いませんでした。」
「あたしなんか空中で、背中に食らったからね。」
そんな事もあったな。
「壁に顔からぶつかる奴は初めて見たよ。」
「うっさい!」
「んぐっ・・・」
だから蹴るなっての・・・
「しかし、1戦1戦が厳しくなってきましたね。」
「あぁ、装備が整えばもっと楽になるんだろうが。」
姫の言う通り、戦闘はニベルレイスに来てからかなり難しくなった。装備を整えれば楽になるだろうし、上のクエストレベルでの装備を作ればもっと楽になるだろう。
ただ、その為には現状の苦労は必須なわけだが。
「とりあえず街に戻ろうよ。」
「うん、あたしも疲れたぁ。」
とはいえ、前LVの装備をしっかり強化したところで、たかが知れている。だったら、このLVの装備を苦労してでも作った方が早い。
「計画的に装備を作成した方がよさそうね。」
「俺もそう思う。」
「その通りですわ。」
アヤカが珍しくまともな事を言った。今まではオルデラの様な敵にでも当たらない限り、そこまで考えなくても良かった。
一応、敵に合わせて武器は変えたりしているが、そこまでちゃんと考えていない。パーティ戦が基本だから、ある程度はメンバーがカバーもしてくれる。当然、誰とは言わないが自分が気に入った武器しか使わない奴もいるわけで。
「やはり、太刀の作成が最優先事項ですわね。」
黙れ。
まったく、一瞬感心した俺が馬鹿だったよ。そう思いながらアヤカに呆れた視線を向けるが、本人は気にもせず得意げな顔をしていた。
街に戻ると、みんなで鍛冶屋に向かう事になった。まぁ、見たところで直ぐにどうこうなるものでもないが、計画を立てる事は無駄じゃない。
「現状、作れるものは必要性が低いな。」
「やはり、後半にならないと材料が揃ってこないよね。」
誰に言ったわけでもないが、俺の言葉にタッキーが同意する。他のメンバーも悩んでいるようだが、同様だろう。
「な・・・なんて事・・・ですの・・・」
その時、アヤカが頭を抱えて驚愕の表情をした。
「なんだ、何があった?」
その反応に、俺は思わず聞いてしまった。他のメンバーも成り行きを見守る。そりゃそうだろう、アヤカがそんな反応をする事なんて、今まで無かったのだから。
「痩せましたね。」
美馬津は喫煙室のカウンターに肘を付き、独り言のように紫煙を吐きながら言う。
「当たり前の事を言うな。生命維持や、生体のメンテナンスを行っているからとは言え、必要な栄養だけじゃ足りないし、生体メンテっつったって、筋力は落ちていくんだ。」
逆に圀光は背を預ける形で、カウンターに両肘を乗せながら、やる気が無さそうに答えた。
「やっぱり、生身の方は生かすのが難しいですかね。」
「そんな事はないだろう。脳死だって、肉体の劣化は避けられないが何年も生かされるだろ?ここは設備が整ってないだけさ。」
圀光は苦笑しながら、細くなった自分の身体を見ながら煙を吹き出す。
「まぁ、病院じゃないですからね。あくまで家庭用の簡易生命維持装置なので、この辺が限界でしょうか。」
「そっか、もうすぐ半年か・・・」
そう呟いて天井を仰ぐと、圀光は力無く笑った。
「しかし、ひでぇ人体実験だったな。」
「そうです、僕らは人体実験のために此処に詰め込まれてるんですよ。」
圀光は皮肉のつもりで言ったのだが、美馬津は思いつめたような表情でその言葉を肯定した。
「ま、そう言うな。俺は結構、満足しているんだぜ。」
圀光は言いながら煙草の火を消すと、美馬津の肩をぽんと叩いて喫煙室を出て行った。
「圀光さんだけだったなら、良かったんですけどね・・・」
独り喫煙室に残った美馬津は、小さく漏らすと自嘲した。
-同センター内 サーバールーム 管理室-
「圀光のおっさん、リフレッシュできたかー?」
禍月がディスプレイを見ながら語り掛ける。
「戻ってくるなりなんだよ・・・」
その禍月の声に、ゲーム内に戻った圀光は明らかに不満そうな声を上げた。
「うん、仕事だ。」
「嫌だ!」
「断れる立場に無いだろー。」
はっきりと即答した圀光に、禍月はやる気なさそうに半笑いしながら言う。
「そもそも受ける義務は無い。楽しく装備くらい作らせろよ。」
「確かになー。契約には無いもんなー。」
嫌がる圀光に、禍月は態度を変えることなく淡々と話す。
「その通りだ。もう面倒ごとは勘弁してくれ。」
「あたしは良いんだけどなー。朝起きたら武器が全部消えてましたとか、バグが発生するかもしれないなー。」
「・・・」
変わらず続ける禍月の言葉に、沈黙が流れる。ディスプレイからは、暫しの間何も聞こえなくなった。
「そんな脅しには・・・」
「あぁ、気にするな、あたしのは独り言だからなー。」
「脅しなんかに・・・」
小さくだが、葛藤するように圀光の声が聞こえる。
「あぁ、くそ!美馬津、そこの悪魔をなんとかしろ!」
「無理ですよ。僕はただの人間ですから。」
堪えきれず声を大きく、美馬津を頼ってみた圀光だったが、反応は冷たかった。
「はぁ・・・それで、何をすりゃいいんだ・・・」
またも暫しの沈黙が流れると、諦めたように圀光が折れた。
「ほんとか?流石圀光のおっさん、なんて良い人なんだー。」
「棒読み過ぎだろ・・・」
禍月の態度に呆れながら、圀光は溜息のように力なく突っ込んだ。
「その前に、一つ聞いていいか?」
「なんだ?」
「俺の契約も、もうすぐ終わるだろ・・・」
「そうだなー。」
「このデータ、どうなるんだ?」
圀光は声音に不安を混じえながら聞いた。データセンターで使用している機器は、基本持ち出し禁止になっている。たとえそれが、ただのゲーム機、HMDだったとしても。
「HMDと本社データベースサーバーはリンクしているからなー。」
禍月は思わせ振りに一旦言葉を切るが、圀光は黙って続きを待った。
「新しいHMDを用意したら、本社のサーバーからデータ移行はしてやる。」
「・・・はぁ、そりゃありがたい。」
禍月の言葉を聞いた圀光は、安堵ともに吐き出した。
「ところでおっさんは、何で未だにメルフェアに居るんだー?」
「俺が用意された家は此処しかないからだよ。他の街には用意されてなかったんだ・・・」
いじける様な声で言う圀光に、禍月はくだらない理由だと思い呆れる。
「そりゃ、あたしの所為じゃないぞー。文句があるならあっきーに言え。」
「いや、どうせもうすぐ終わりだし、この家も無くなって普通のプレイヤーになるんだから今更だ。」
「そうかー。」
圀光の言う通り、検証期間が終われば契約も終了し、今使っているキャラも使えなくなる。一般プレイヤーとして再開したとしても、今の家には入ることは出来ない。当たり前の事だが、やはり禍月にはどうでもよかった。
「そんじゃ改めて、俺は何をするんだ?」
腹を括ったのか、圀光は禍月が何を押し付けて来るのか、確認する。
「なに、大した事じゃない。」
やりたくないな・・・クエスト名からしてもう嫌だ。
実際、やらなくても先には進めるサブクエストなんだが、報酬はかなり良い。今後武器作成には必須になってくる神石がクリア報酬として入っているんだ。
ただなぁ・・・
サブクエスト 全開のオルデラで腕試し。
アホか。
どれだけ戦わせたいんだよ。こっちはもう戦いたくないっての。
「見なかった事にするか。」
「全開ってあれでしょ、最初から紅い闘気を纏ってるよね、きっと。」
嫌そうに言うタッキーに、俺も同意見だ。全開と書いてあるからには、最初からその状態だろう。
それに、クリアしなくてもいいサブクエストとして用意されているって事は、明らかにこの前より強いと想像できる。
誰がやるか。
「やるとしても、先に進んで装備を強化してからが無難ですね。」
「あたしも、今はやだ。」
姫の言う通りだ。何も、今無理して戦闘する必要はない。先に進んで揃えられる装備を揃えてからの方がいいだろう。それでも、強い事には変わりないだろうが。
「私もパスしたいわ。疲れるもの。」
「何をオルデラ如きに臆していますの。やりますわよ。」
アホカは黙れ。
「今苦労する必要はないだろうが。」
「嫌ですわ。」
こいつ、なんでそんなにオルデラと戦いたいんだよ。
「誰も行きたがってないだろうが。」
「一つだけCLEARマークが付かないのが、納得できませんわ。」
・・・
お、おぅ。
「立派なゲーマーになったな。」
「そうですね。」
俺と姫は、遠い目を空に向けた。ゲームをした事も無かったお嬢様が、今では立派なゲーマーになったんだ。
「私はゲーマーではありませんわ。」
まあ、認めたくない気持ちも分かるが、概ねそう言う奴には言っても無駄なんだよな。
「そうか。」
だが、本人が認める認めないに関わらず、周りの認識はゲーマーだからな。
「後からでもマークは付くのだから、今は進んだ方がいいと思うわ。」
「・・・そこまで言うなら、仕方ありませんわね。」
凄い口惜しそうな顔でアヤカが言う。
「あの、ユアキス・・・」
煩いのが来たか。そう思って声のした方に目を向けると、エメラ一人だった。
「何処に隠れている?」
「違うんです。お嬢様、本当に熱があったようで、今は寝ています。」
俺が周囲を見渡しながら聞くと、エメラは困ったようにそう言った。
アリシアが熱?
そう言えば、以前もそんな事があったな。あれはまだ、メルフェアの街に居た時で、俺が与えられていた部屋を貸していた時だ。そう思うと、随分昔のような気がした。
「薬は?」
聞いた後に後悔する。NPCに薬もくそも無いよな。
「以前は食事と一緒に用意されたみたいですが、今回はまだ。この街に薬や薬草を売っているお店はあっても、熱に効く薬は無いようですし。」
エメラは困った顔をしながら状況を話す。ゲーム内の薬屋に、風邪薬なんか売っているわけがない。
風邪かどうかわからないけど。
俺は今まで、考えないようにしてきた事が、今になってまた疑問として浮かんでくる。
考えないようにというか、考えても結論が出ないので、いつしか考える事をしなくなっただけなんだが。
それは、アリシアやエメラの事だ。NPCにしては言動も、行動もおかしい。高度なAIの可能性はあるが、一体どういう存在なんだろうか。その事を思い出させられた。
まぁ、答えは出ないが。
「俺らではどうしようも出来ないしな、様子をみるしかないんじゃないか?」
「そうですか・・・」
残念そうにエメラは言うが、そんな顔をされたところで、本当にどうしようもない。
「良ければ、後でお見舞いでもしてもらえませんか?」
「ん、ああ。」
「では、私はお嬢様のところに戻ります。」
俺の返事を聞くと、エメラはそれだけ言って戻って行った。
お見舞いねぇ。前の時は、数日見かけなかったから様子を見に行っただけで、お見舞いに行ったわけじゃない。まぁ、一度くらい顔を出してもいいか。
そういうイベントの可能性・・・は、無さそうだな。
「ね、そろそろクエストに行こうよ。」
アリシアの事を考えていると、タッキーが急かしてくる。
「あぁ、そうだな。」
「死を呼ぶネヴィラだって、どんな敵だろうね。」
「名前からしていい予感はしないですね。」
月下が討伐対象の名前を言うと、姫が苦笑しながら言う。それに関しては俺も同感だ。きっとろくなもんじゃないだろう。
「死を招いてやるのは私の方ですわ。」
そりゃすげぇな、一緒に果ててしまえ。そんな事を思った瞬間、アヤカが俺の方を振り向く。
「今私の悪口を考えませんでした?」
・・・
相変わらず鋭いな。
「そんなわけ、ないだろ。」
とりあえず誤魔化しておく。
「じゃ、行ってみましょう。」
マリアの言葉で、俺たちはクエストLV13-13、死を呼ぶネヴィラの討伐へと向かった。
スニエフの街から始界先道を通り、ニベルレイス第5層へと俺たちは移動した。クエスト情報に記載のある場所まで来ると、そこは大きな広間になっており、部屋には蝋燭が囲むように部屋の灯りとなっていた。
魂葬の間
クエスト情報に、この場所はそう記載されている。魂を送るとか、死よ呼ぶとか、本当に嫌な予感しかしねぇ。
「こんな所まで来るとはな・・・」
「!?」
部屋の中央に居る魔獣が喋った!?
「あいつ、今喋ったよね。」
「獣のくせに、人語を操るとは捨ておけませんわ。」
別にそこはいいだろう、ゲームなんだから。
部屋の中央に居た魔獣、ネヴィラは起き上がる。起き上がると言うより、立ち上がったと言った方が正解だ。
ネヴィラは人型をした魔獣だった。立ち上がった時は一瞬、人間かとも思ったが、紫がかった肌に、赤い獣の瞳、並んだ歯はどれも尖って、横に伸びた尖った耳、鋭く伸びた爪、身体に所々残っている体毛。
その姿を見ると、よく空想に出て来る獣人のようだ。
今まで見なかった魔獣に、メンバーも目を奪われているのか、黙ったまま立ち尽くしている。
なんて事は無かった。アヤカは既に太刀の柄に手を掛けているし、マリアはもう抜剣している。
「うわぁ、獣人ってちょっときもいよね。」
「そうですね。」
と言っている月下と姫の後ろで、タッキーは欠伸をしていた。
緊張感ねぇな・・・
「侵略する者に手加減は無用・・・」
ネヴィラはそう言うと、右手を水平に伸ばす。床からは剣が生えるように現れた。その柄を掴むと、剣先をこちらに向ける。
「ここニベルレイスは、我々アヴィリエルの土地。これ以上人間の好きにはさせん。」
ネヴィラのその台詞が開戦の合図となり、戦闘が開始された。ネヴィラは開始と同時に高く跳躍。下手に近付くのは危険とみんな判断したのか、様子を見守る。
ネヴィラは何処に移動するでもなく、垂直に飛んでそのまま落下した。剣を床に突き立てるように着地すると、同心円状に衝撃波が発生する。
その手の攻撃は今までもあったので、俺たちはそれぞれ跳躍で回避しながらネヴィラを目指す。
だが、そんな行動も空しく、全員壁に叩きつけられた。
「いや、これ酷いよ。」
「ジャンプで避けるのは無理だわ。」
起き上がりながら文句を言うタッキーはどうでもいいが、一番高く飛んでいたマリアが頬を膨らませて言う。
あれで避けられないのなら、おそらく飛んで避けるのは無理なんだろう。
「んじゃ、させなきゃいいじゃん。」
「そうですわ。」
起き上がった月下とアヤカが、言いながら直ぐにネヴィラとの間合いを詰めに動き、俺もそれに続いた。
「雑魚でしたわ。」
ほぅ。
HPが赤く明滅しているくせにどの口が言ってんだ。
「苦労を考えると、オルデラに比べればね。」
まぁ、タッキーの言う通りで、オルデラに比べれば大した事はなかった。だが決して雑魚ではない。
質が悪いと思ったのは剣先が跳ぶところだ。どういう原理か不明だが・・・いや、ゲームだから原理もくそもないか。
実際に剣先が伸びるように飛びはするのだが、軌道上に障害物があると跳ねるんだよ。当然、跳ねた衝撃波にも当たり判定があるわけで、やりずらかったのは確かだ。
「独特な攻撃だったわ。避けるのが難しかったもの。」
「はい。まさかあんな方向から飛んで来るとは思いませんでした。」
「あたしなんか空中で、背中に食らったからね。」
そんな事もあったな。
「壁に顔からぶつかる奴は初めて見たよ。」
「うっさい!」
「んぐっ・・・」
だから蹴るなっての・・・
「しかし、1戦1戦が厳しくなってきましたね。」
「あぁ、装備が整えばもっと楽になるんだろうが。」
姫の言う通り、戦闘はニベルレイスに来てからかなり難しくなった。装備を整えれば楽になるだろうし、上のクエストレベルでの装備を作ればもっと楽になるだろう。
ただ、その為には現状の苦労は必須なわけだが。
「とりあえず街に戻ろうよ。」
「うん、あたしも疲れたぁ。」
とはいえ、前LVの装備をしっかり強化したところで、たかが知れている。だったら、このLVの装備を苦労してでも作った方が早い。
「計画的に装備を作成した方がよさそうね。」
「俺もそう思う。」
「その通りですわ。」
アヤカが珍しくまともな事を言った。今まではオルデラの様な敵にでも当たらない限り、そこまで考えなくても良かった。
一応、敵に合わせて武器は変えたりしているが、そこまでちゃんと考えていない。パーティ戦が基本だから、ある程度はメンバーがカバーもしてくれる。当然、誰とは言わないが自分が気に入った武器しか使わない奴もいるわけで。
「やはり、太刀の作成が最優先事項ですわね。」
黙れ。
まったく、一瞬感心した俺が馬鹿だったよ。そう思いながらアヤカに呆れた視線を向けるが、本人は気にもせず得意げな顔をしていた。
街に戻ると、みんなで鍛冶屋に向かう事になった。まぁ、見たところで直ぐにどうこうなるものでもないが、計画を立てる事は無駄じゃない。
「現状、作れるものは必要性が低いな。」
「やはり、後半にならないと材料が揃ってこないよね。」
誰に言ったわけでもないが、俺の言葉にタッキーが同意する。他のメンバーも悩んでいるようだが、同様だろう。
「な・・・なんて事・・・ですの・・・」
その時、アヤカが頭を抱えて驚愕の表情をした。
「なんだ、何があった?」
その反応に、俺は思わず聞いてしまった。他のメンバーも成り行きを見守る。そりゃそうだろう、アヤカがそんな反応をする事なんて、今まで無かったのだから。
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