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52.掻き乱される、思慮
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「アヤカ様?」
鍛冶屋で硬直したままのアヤカに、月下が声を掛けるも反応が無い。こんな鍛冶屋で一体何に驚くんだよ。
まさか、敵が異常行動する現象が、鍛冶屋でも起きたのか!?
「おいアヤカ、どうしたんだよ?」
不安を覚え、今度は声を大きくして問い掛ける。
「なんて事ですの、まさか、こんな・・・」
だが、態度は変わらずに同じような言葉を繰り返す。その状況を、メンバーも心配そうに見守っている。一体なんだってんだ。
「何があったんだよ。」
三度目の問い掛けで、アヤカが目を見開いたまま俺の方に顔を向けてきた。
「大典太がありますわ!!」
何を言っているのかさっぱりわからん。だが、アヤカは驚きの表情から、歓喜の表情に変わり声を大にして言った。
「おおでんた?」
「なんだよ、それ?人の名前か?」
タッキーが聞いた名前に首を傾げながら言う。俺も突っ込んでみるが、アヤカの態度から何となく予想はついていた。
「大典太を知らないんですの!?」
なんかもう、既にうざい予感・・・
「彼の名刀、大典太ですわ。太刀として後世にも名を馳せる名刀、それを知らないとは、ユアキスは本当に日本人ですの!?」
黙れアホカ。
心配した俺が馬鹿だったよ。
姫、月下、マリアは既に呆れ果て、装備の確認に戻っている。いやぁ、お前らこれ、俺に押し付ける気か・・・
だいたい、現代の日本人の大半が刀になんか興味ねぇよ。
「彼の有名な柳生十兵衛三厳の愛刀、典太くらいは知っていますわよね?」
「知るか!」
誰だよ柳生十兵衛なんとかって。
「まぁ、嘆かわしい。」
いや、憐みの目を向けられる意味が分からん。むしろ、それを向けられるのはアヤカの方だろう。
「あぁ、正国は無いのかしら。私、あの綺麗な直ぐ刃も好きなんですの。」
・・・
相手にしてられん。
恍惚とした目を上方に向けているアホカは放っておくとして、俺も装備の確認に戻ろうとする。別時代の変態は話しが通じそうにないからな。
「ユアキス、話しの途中ですわよ。」
が、肩を掴まれ引き戻される。
もう解放してくれ・・・
嫌気が差しながらもアヤカの方に向き直ると、その瞳は輝いているようだった。かつて、ここまで嬉しそうなアヤカを見たことがない。
どうやら嬉しさの限界でも突破したんじゃないだろうか。
「な、なんだよ・・・」
嫌な予感がしつつも、取り合えず話しの続きを聞こうとする。
「行きますわよ。」
えぇ・・・
来ると思ったけどさ、材料集め。
「何処にだよ。」
「オルデラですわ!」
「・・・」
「私、明日の仕事は朝が早いから、今日はこの辺でやめておくわ。」
会話を聞いていたのだろう、マリアが突然そんな事を言い出した。逃げやがったな。そもそもゲームするのが仕事だろう。と、突っ込んでやりたいが言えない、くそ。
「僕も宿題をやらないと。」
「今日はそんなものありませんわ!」
「う・・・」
鍛冶屋を出ていこうとしたタッキーを、アヤカが捕まえた。そもそも同じクラスなんだから、もう少し言い訳を考えろよ。
「私も眠いので、そろそろ落ちますね。」
あの顔は絶対嘘だ。姫の言動と表情は間違いなく合ってない、まるで嘲笑うかのように笑みを浮かべている。
「あ、姫が落ちるならあたしも。」
くそ、薄情者め。
どいつもこいつも体よく逃げやがって。
「さ、行きますわよ。」
メンバーが半減したにも関わらず、目を輝かせながらアヤカは言う。だめだ、止まってくれそうにねぇ・・・
「3人で勝てるわけねぇだろうが。」
「そんなの、やってみなければわかりませんわ。」
いや分かる。
絶対負ける。
分からない根拠が分からねぇよ。
「うぅ・・・」
「諦めてないでタッキーもなんか言えよ。」
「死んだ方が早いんじゃないかな。」
力ない笑みを浮かべながらタッキーはそう言った。完全に諦めモードだな、これは。
いや待て、その方法はありか。説得するのが難しいなら、行くだけ行ってさっさと全滅すればいい。ついでに、どの程度のものかの情報くらいは手に入る。
「手加減は許しませんわ。」
・・・
怖ぇよ、満面の笑み言われると。
「あ、そうだ。この前の子、呼んでみるのはどうかな?」
「この前の子?」
何かを思いついてタッキーは言うが、何のことか分からずに聞き返す。アヤカも同様に、疑問とばかりに首を傾げた。
「いやほら、あのELINEAって子。」
「ああ、そんな事もあったな。」
「誰ですの?」
・・・
そう言えばアヤカはこういう奴だった。興味の無い事に関しては概ね覚えようともしない。会ったところで容姿も記憶してないだろうから、同じ事を言いそうだな。
「流石に無理だろ。この状況で参加したいなんて言う奴の気が知れない。」
「だよね・・・」
察しつつも言ってみたんだろう、タッキーは苦笑いしながらそれだけ言った。
「ほら、早くしなさい。」
「この3人でクエストなんて、懐かしいね。」
「そうだな。」
諦めてクエストに向かっている途中、タッキーがそんな事を言った。言われてみればそうだ。最初は俺とアヤカだけだったが、わりと直ぐにタッキーが合流して3人になったんだよな。
まぁ、アヤカと始めたわけじゃなく、完全に巻き込まれただけなんだが。よく続いたもんだ。
そう思うと懐かしいな。
「そろそろですわ。」
サブクエストのオルデラは、ニベルレイスの第1層にいる事になっている。街から出てそんなに離れていない広場に、既に紅い闘気を纏って立っていた。
「予想通りだね・・・」
「だな。」
タッキーの言葉に相槌を打ちながら、俺は片手剣に手を掛ける。
「まったく、物好きな奴らだなぁ。」
オルデラはそう言うと、地面に突き立てていた大剣を掴んだ。
好きで来てんじゃねーよ!!
心の中でそう叫んで、俺はオルデラに向かって駆け出した。
案の定、あっさり返り討ちにあった俺たちは、今日は解散する事にした。二人がログアウトすると同時に、俺もしようと思ったが、ふと思い出して留まる。
(アリシアの様子でも見てから終わるか・・・)
そう思うと、スニエフにあるアリシアの家に向かった。街ごとに家が用意されてるなんて、贅沢なお嬢様だ。
出迎えてくれたエメラに案内され、寝室へと移動する。ベッドに横になっていたアリシアは、俺が部屋に入ると起き上がった。
「無理しなくていいって、様子を見に来ただけだから。」
「このくらい、大丈夫ですわ。」
アリシアはそう言って微笑んで見せた。いつもの調子ではなく、その笑みは何処か弱々しさを感じさせる。
「では、私は外にいますね。」
アリシアが目配せをすると、エメラが部屋から出て行った。俺はそんな長居をするつもりなんて無いんだが。
「ユアキス。」
「なんだよ?」
真面目な顔で何かを考えているような表情だが、顔はこちらに向けず俺の名前を呼ぶ。
「少し、お話しに付き合って頂けませんか?」
真面目と言うよりは、真剣な眼差しだった。いつもの調子に乗った態度もなく、何か大事な話しを切り出そうとしているかの様に。
いや、面倒なんだけどな・・・
「まぁ、少しくらいなら。」
その態度に、嫌だと断る事も出来ずに肯定する。椅子に座るように促され、俺が座るとアリシアは意を決したように口を開いた。
「この場所は、一体なんなのでしょう?」
寂しそうに聞いて来る質問に、俺は戸惑った。何かと聞かれても、ゲームとしか言いようがない。だが、そんな答えで納得するんだろうか。
「ゲームの中。」
「ゲーム?どんなゲームなんです?」
と聞かれてもなぁ・・・
「現実の俺が、機械を使って、このゲーム内、つまり仮想現実の中のキャラになって遊ぶもの・・・っても通じないか、俺もその辺の説明はうまく出来ない。」
「わたくしの世界では、考えられないような話しですわ。」
アリシアはそう言うと、寂しそうな笑みを浮かべた。どこか懐かしさも感じさせる表情は、見ていてなんとも言えない気分になった。
その弱々しい態度は、熱がある所為だけじゃない気が、俺はし始めていた。
「わたくし、薄々気付いていましたの。でも、何処かで認めたくなかったのですわ。」
何を言っているのかまったくわからん。アリシアはそこで喋るのを止めたが、俺はアリシアへの言葉が見つからずに沈黙が流れる。
「この世界に、わたくしが住んでいたリュステニア王国も、王国のあるイズ・クーレディア大陸が無い事も。」
あぁ、会った頃に言っていたやつか。その設定、まだ生きていたんだな。あの後、そんな話しも無かったんで忘れていたが。
しかし、こうして会話していると本当にNPCとは思えないな。やはり、かなり高度なAIなんだろうか。
まぁ、俺が勝手にNPCと思い込んでいるだけで、実際は特別なプレイヤーだったりするのかもしれない。こういうロールで、キャラに割り当てられるとか。そう考えると、プレイヤー全部に居るわけじゃないよな、少なくともうちのメンバーには何もついてないし。
「ユアキスは、わたくしがナイフで指を切った事を覚えていますか?」
指を切った?
あったか、そんな事。突然話しが変わった事に、頭が付いていかないが、思い出そうとしてもなかなか出てこない。
「メルフェアの街で、林檎の皮を剥こうとした時です。」
あぁ、あったな、そう言えば。
「あれは驚いたよ。そんな演出があるなんて思いもしなかったからな。」
林檎を剥いている時に、血が出て林檎が赤く染まったっけな。見る方にとっては、あまり気分のいいものじゃないが。
だが、アリシアは俺の言葉に、頭を左右に振る。
「そうでは、ありませんわ。」
アリシアはそれだけ口にすると、また沈黙が流れる。何が言いたいのか、俺にはさっぱり分からない。
「ユアキス達は、死にそうな攻撃を受けても、ずっと戦っていますわよね?」
いやまぁ、ゲームってそういうもんだからな。
「それは、身体がここに無いからですの?」
「あぁ。ゲームにもよるけど、このゲームは回復が出来るからな。」
アリシアから出て来る言葉の数々が、俺の心の中に波紋を広げていくようだった。言っている事、何を言いたいのか、未だに分からない。ただ、アリシアの態度を見ていると、とてもふざけている様には見えなかった。
「でも、生身の身体はそうはいきませんわよね?」
「そりゃそうだろう。怪我をすれば痛いし、血も出るし、治るのには時間もかかるし、もしかしたら死ぬ可能性だってある。」
あまり想像はしないが、ゲーム内での魔獣が実際に居て、あんな攻撃されたら現実の俺なんか一発で死ぬだろう。
だがそんな事は有り得はしない。
「そう、当たり前の事ですわ。」
「あぁ・・・」
何でそんな話しをするのか、疑問だらけの状態なので、それしか言葉が出なかった。
その俺の相槌の後、アリシアは左手の親指を口に持っていく。
アリシアは顔を歪めながら、その親指を噛んだ。
「おい、何してんだよ。」
見ているだけでも痛そうな光景だが、本人の顔は痛みに耐えるように歪んでいた。演技なら、迫真の演技だろう。
アリシアはその後、噛んだ部分を俺に見えるようにした。
白い親指の腹には、赤い色が滲んだかと思うと、ゆっくりと膨れ上がって、やがて赤い筋を引いてゆっくりと垂れ始める。
・・・
「わたくしは、生身なんです。」
何を言っているんだ?
ここは仮想世界だぞ?
データで構成された場所だぞ?
生身?
んな馬鹿な・・・
疑問だらけの思考がぐるぐるして、何が何なのか判別できない。俺はアリシアの方へ目を向けると、本人は至って真剣な表情で、瞳を潤ませていた。
一体なんなんだよ。
何でそんな話しをするんだよ。
それを信じろって?
何を馬鹿な事を!
そう言いたいが、アリシアの顔を見ると口に出せなかった。
「ユアキスと会った日、わたくしは新婦の衣装だったでしょう?」
思考が追いつかない中、アリシアが話しを続ける。だが、それに応えられるほど、今は冷静になれない。俺は、何を聞かされているんだ?
「結婚式当日でしたの・・・」
そんな事、言っていたか?言っていたかもしれない。血が流れる?痛みを感じる?ゲーム内なのに何を言っているんだ。生身?何を馬鹿な事を。
「わたくしはその結婚が嫌で嫌でたまりませんでしたわ。」
親指の血は止まっていた。何で消えないんだろうな、ゲーム内なんだから、消えるだろすぐに。アリシアは何を言っているんだ、結婚?
「いきなり別の場所になった瞬間、頭がおかしくなったと思いましたわ。同時に、不安が一気にこみあげて・・・」
何でそんな切なそうな声で喋るんだ?設定だろ?これも、何かのイベントだろ?早くその血を消せよ。なんでさっきより、目が潤んでんだよ。
「その後、落ち着いたら、嫌だった事から解放された喜びが押し寄せて来ましたわ。後は、家に帰るだけだと。」
何で、こんなに気持ちを掻き回されるんだ。俺は何を考えているんだ?嬉しかった?だったらその今にも零れ落ちそうな涙はなんなんだよ。何でその血は消えないんだよ。
「ですが、時間と共に冷静になると、おそらくこれは冷酷な現実なんだと思い知らされましたわ。」
冷酷な現実?ここは仮想世界だっての。なんだよ、この面倒な設定は。俺をどうしたいんだよ。いいから血を消せよ・・・
「こんな事なら、我儘なんて言わなければ良かったですわ・・・」
アリシアからついに零れ落ちた涙は、頬を伝って顎から落ちると、衣服に染みを作っていった。だが、アリシアは俺から視線を外さずにずっと見続けている。俺は、目を逸らしたかったが、何故か身体が拒絶するように動かせなかった。
「私が我儘を言わなければ、お父様にも、エメラにも、迷惑を掛けなくて済みましたのに・・・」
何で、ゲーム内でこんな思いをさせられなきゃならないんだ。
何の嫌がらせだよ。
アリシアが現実?
ここは仮想世界だろうが・・・
でも、俺の今の思いも、仮想?
ゲーム内で流れる血は、現実?
「誰かに話したかったの。わたくしの現状を、誰かに・・・」
「なんで・・・俺、だったんだよ・・・」
だったら俺じゃなくてもいいじゃないか。なんでこんな思いしてまで聞かなきゃならないんだよ。何でこんな嫌な気分にさせられなきゃならないんだよ。
「出会ってから、面倒そうにしても、いつも相手にしてくれたではありませんか。わたくしは、結構救われていましたわ。」
意味が分かんねぇよ。
ただのゲームキャラだろ。
きっと、現実にいる人間がキャラを操作しているんだ。
だとしたら、なんてふざけた真似しやがるんだ。
「この話し、エメラには内緒ですわ。彼女には、まだ話してないもの。」
別に話さなくたって、問題ないだろう。エメラもアリシア同様、俺には分からない存在じゃないのか?それとも、アリシアに合わせて作られたAI?もしかすると、特別なキャラで同じ場所からログインしている可能性だってある。俺が騙されていないなんて保証は、何処にもない。
だがアリシアの言っている事が、嘘だという証明も出来ない・・・
「ユアキス・・・」
まだ瞳は潤んでいたが、涙はもう流れていなかった。
「あぁ・・・」
暗い表情は、何も晴れていない。頭が混乱して、言葉が出てこない。
「聞いてくれて、ありがとう。」
何で、俺は礼を言われているんだ。
分からない。
取っ散らかった頭の中は、まったく整理が出来ない。どうしていいのか、全然分からない。
さっきまでよりは、少しましになったアリシアの表情、その後に続く言葉は無さそうなので、話しは終わったのかと思えた。
混乱する思考のまま、俺は部屋から出ようとする。だが、アリシアの事が気になり、振り向くと、変わらない表情のまま俺を見ていた。
「その、ゆっくり休んで、早く治せよ。」
「言われなくても、分かっていますわ。」
弱々しい笑みだが、いつもの口調でアリシアは言ってきた。アリシアの話しに、気の利いた言葉も出てこない。最後に、どうしようもなく出した言葉がそれだけだ。
でも、それ以外に何を言ったらいいのか分からない。言う意味があるのかすら、判断出来ない。
俺は複雑な気分のまま、家を出るとエメラの存在も忘れそのままログアウトした。
意識が部屋に戻った俺は、HMDを外す。そのHMDから水が滴り落ちた。何事かと思ったが、どうやら俺は泣いていたらしい。
ゲーム内のキャラでは出来ないが、現実の身体はアリシアの話しにも反応したんだろうか。
血を流し、涙を流したアリシアは、現実?
仮想空間に居る俺は、虚実?
でも、其処に在る精神は真実?
人の思いが人の存在価値ならば、アリシアの存在は現実なのか?
仮想世界にいるアリシアは、入れ物?本物?
何も分からない。
本物だったとして、どうやって仮想世界に存在しているんだ?
これは、俺の頭がおかしいのか?
誰か、教えてくれよ・・・
そう思った時、携帯に手が触れる。
そうだ、麻璃亜なら何か知っているかもしれない。管理者から依頼を受けてゲームをしているんだもんな。
俺は携帯を手にすると、麻璃亜にメッセージを送ろうして、止めた。
こんな話し、信じられるか?
俺は、頭のおかしい人間だと思われるだけじゃないのか?
だけど、一人で抱えるには重すぎる。
でも、やっぱり怖くて送れない・・・
そんな葛藤をしている間に、窓の外は明るくなっていた。
鍛冶屋で硬直したままのアヤカに、月下が声を掛けるも反応が無い。こんな鍛冶屋で一体何に驚くんだよ。
まさか、敵が異常行動する現象が、鍛冶屋でも起きたのか!?
「おいアヤカ、どうしたんだよ?」
不安を覚え、今度は声を大きくして問い掛ける。
「なんて事ですの、まさか、こんな・・・」
だが、態度は変わらずに同じような言葉を繰り返す。その状況を、メンバーも心配そうに見守っている。一体なんだってんだ。
「何があったんだよ。」
三度目の問い掛けで、アヤカが目を見開いたまま俺の方に顔を向けてきた。
「大典太がありますわ!!」
何を言っているのかさっぱりわからん。だが、アヤカは驚きの表情から、歓喜の表情に変わり声を大にして言った。
「おおでんた?」
「なんだよ、それ?人の名前か?」
タッキーが聞いた名前に首を傾げながら言う。俺も突っ込んでみるが、アヤカの態度から何となく予想はついていた。
「大典太を知らないんですの!?」
なんかもう、既にうざい予感・・・
「彼の名刀、大典太ですわ。太刀として後世にも名を馳せる名刀、それを知らないとは、ユアキスは本当に日本人ですの!?」
黙れアホカ。
心配した俺が馬鹿だったよ。
姫、月下、マリアは既に呆れ果て、装備の確認に戻っている。いやぁ、お前らこれ、俺に押し付ける気か・・・
だいたい、現代の日本人の大半が刀になんか興味ねぇよ。
「彼の有名な柳生十兵衛三厳の愛刀、典太くらいは知っていますわよね?」
「知るか!」
誰だよ柳生十兵衛なんとかって。
「まぁ、嘆かわしい。」
いや、憐みの目を向けられる意味が分からん。むしろ、それを向けられるのはアヤカの方だろう。
「あぁ、正国は無いのかしら。私、あの綺麗な直ぐ刃も好きなんですの。」
・・・
相手にしてられん。
恍惚とした目を上方に向けているアホカは放っておくとして、俺も装備の確認に戻ろうとする。別時代の変態は話しが通じそうにないからな。
「ユアキス、話しの途中ですわよ。」
が、肩を掴まれ引き戻される。
もう解放してくれ・・・
嫌気が差しながらもアヤカの方に向き直ると、その瞳は輝いているようだった。かつて、ここまで嬉しそうなアヤカを見たことがない。
どうやら嬉しさの限界でも突破したんじゃないだろうか。
「な、なんだよ・・・」
嫌な予感がしつつも、取り合えず話しの続きを聞こうとする。
「行きますわよ。」
えぇ・・・
来ると思ったけどさ、材料集め。
「何処にだよ。」
「オルデラですわ!」
「・・・」
「私、明日の仕事は朝が早いから、今日はこの辺でやめておくわ。」
会話を聞いていたのだろう、マリアが突然そんな事を言い出した。逃げやがったな。そもそもゲームするのが仕事だろう。と、突っ込んでやりたいが言えない、くそ。
「僕も宿題をやらないと。」
「今日はそんなものありませんわ!」
「う・・・」
鍛冶屋を出ていこうとしたタッキーを、アヤカが捕まえた。そもそも同じクラスなんだから、もう少し言い訳を考えろよ。
「私も眠いので、そろそろ落ちますね。」
あの顔は絶対嘘だ。姫の言動と表情は間違いなく合ってない、まるで嘲笑うかのように笑みを浮かべている。
「あ、姫が落ちるならあたしも。」
くそ、薄情者め。
どいつもこいつも体よく逃げやがって。
「さ、行きますわよ。」
メンバーが半減したにも関わらず、目を輝かせながらアヤカは言う。だめだ、止まってくれそうにねぇ・・・
「3人で勝てるわけねぇだろうが。」
「そんなの、やってみなければわかりませんわ。」
いや分かる。
絶対負ける。
分からない根拠が分からねぇよ。
「うぅ・・・」
「諦めてないでタッキーもなんか言えよ。」
「死んだ方が早いんじゃないかな。」
力ない笑みを浮かべながらタッキーはそう言った。完全に諦めモードだな、これは。
いや待て、その方法はありか。説得するのが難しいなら、行くだけ行ってさっさと全滅すればいい。ついでに、どの程度のものかの情報くらいは手に入る。
「手加減は許しませんわ。」
・・・
怖ぇよ、満面の笑み言われると。
「あ、そうだ。この前の子、呼んでみるのはどうかな?」
「この前の子?」
何かを思いついてタッキーは言うが、何のことか分からずに聞き返す。アヤカも同様に、疑問とばかりに首を傾げた。
「いやほら、あのELINEAって子。」
「ああ、そんな事もあったな。」
「誰ですの?」
・・・
そう言えばアヤカはこういう奴だった。興味の無い事に関しては概ね覚えようともしない。会ったところで容姿も記憶してないだろうから、同じ事を言いそうだな。
「流石に無理だろ。この状況で参加したいなんて言う奴の気が知れない。」
「だよね・・・」
察しつつも言ってみたんだろう、タッキーは苦笑いしながらそれだけ言った。
「ほら、早くしなさい。」
「この3人でクエストなんて、懐かしいね。」
「そうだな。」
諦めてクエストに向かっている途中、タッキーがそんな事を言った。言われてみればそうだ。最初は俺とアヤカだけだったが、わりと直ぐにタッキーが合流して3人になったんだよな。
まぁ、アヤカと始めたわけじゃなく、完全に巻き込まれただけなんだが。よく続いたもんだ。
そう思うと懐かしいな。
「そろそろですわ。」
サブクエストのオルデラは、ニベルレイスの第1層にいる事になっている。街から出てそんなに離れていない広場に、既に紅い闘気を纏って立っていた。
「予想通りだね・・・」
「だな。」
タッキーの言葉に相槌を打ちながら、俺は片手剣に手を掛ける。
「まったく、物好きな奴らだなぁ。」
オルデラはそう言うと、地面に突き立てていた大剣を掴んだ。
好きで来てんじゃねーよ!!
心の中でそう叫んで、俺はオルデラに向かって駆け出した。
案の定、あっさり返り討ちにあった俺たちは、今日は解散する事にした。二人がログアウトすると同時に、俺もしようと思ったが、ふと思い出して留まる。
(アリシアの様子でも見てから終わるか・・・)
そう思うと、スニエフにあるアリシアの家に向かった。街ごとに家が用意されてるなんて、贅沢なお嬢様だ。
出迎えてくれたエメラに案内され、寝室へと移動する。ベッドに横になっていたアリシアは、俺が部屋に入ると起き上がった。
「無理しなくていいって、様子を見に来ただけだから。」
「このくらい、大丈夫ですわ。」
アリシアはそう言って微笑んで見せた。いつもの調子ではなく、その笑みは何処か弱々しさを感じさせる。
「では、私は外にいますね。」
アリシアが目配せをすると、エメラが部屋から出て行った。俺はそんな長居をするつもりなんて無いんだが。
「ユアキス。」
「なんだよ?」
真面目な顔で何かを考えているような表情だが、顔はこちらに向けず俺の名前を呼ぶ。
「少し、お話しに付き合って頂けませんか?」
真面目と言うよりは、真剣な眼差しだった。いつもの調子に乗った態度もなく、何か大事な話しを切り出そうとしているかの様に。
いや、面倒なんだけどな・・・
「まぁ、少しくらいなら。」
その態度に、嫌だと断る事も出来ずに肯定する。椅子に座るように促され、俺が座るとアリシアは意を決したように口を開いた。
「この場所は、一体なんなのでしょう?」
寂しそうに聞いて来る質問に、俺は戸惑った。何かと聞かれても、ゲームとしか言いようがない。だが、そんな答えで納得するんだろうか。
「ゲームの中。」
「ゲーム?どんなゲームなんです?」
と聞かれてもなぁ・・・
「現実の俺が、機械を使って、このゲーム内、つまり仮想現実の中のキャラになって遊ぶもの・・・っても通じないか、俺もその辺の説明はうまく出来ない。」
「わたくしの世界では、考えられないような話しですわ。」
アリシアはそう言うと、寂しそうな笑みを浮かべた。どこか懐かしさも感じさせる表情は、見ていてなんとも言えない気分になった。
その弱々しい態度は、熱がある所為だけじゃない気が、俺はし始めていた。
「わたくし、薄々気付いていましたの。でも、何処かで認めたくなかったのですわ。」
何を言っているのかまったくわからん。アリシアはそこで喋るのを止めたが、俺はアリシアへの言葉が見つからずに沈黙が流れる。
「この世界に、わたくしが住んでいたリュステニア王国も、王国のあるイズ・クーレディア大陸が無い事も。」
あぁ、会った頃に言っていたやつか。その設定、まだ生きていたんだな。あの後、そんな話しも無かったんで忘れていたが。
しかし、こうして会話していると本当にNPCとは思えないな。やはり、かなり高度なAIなんだろうか。
まぁ、俺が勝手にNPCと思い込んでいるだけで、実際は特別なプレイヤーだったりするのかもしれない。こういうロールで、キャラに割り当てられるとか。そう考えると、プレイヤー全部に居るわけじゃないよな、少なくともうちのメンバーには何もついてないし。
「ユアキスは、わたくしがナイフで指を切った事を覚えていますか?」
指を切った?
あったか、そんな事。突然話しが変わった事に、頭が付いていかないが、思い出そうとしてもなかなか出てこない。
「メルフェアの街で、林檎の皮を剥こうとした時です。」
あぁ、あったな、そう言えば。
「あれは驚いたよ。そんな演出があるなんて思いもしなかったからな。」
林檎を剥いている時に、血が出て林檎が赤く染まったっけな。見る方にとっては、あまり気分のいいものじゃないが。
だが、アリシアは俺の言葉に、頭を左右に振る。
「そうでは、ありませんわ。」
アリシアはそれだけ口にすると、また沈黙が流れる。何が言いたいのか、俺にはさっぱり分からない。
「ユアキス達は、死にそうな攻撃を受けても、ずっと戦っていますわよね?」
いやまぁ、ゲームってそういうもんだからな。
「それは、身体がここに無いからですの?」
「あぁ。ゲームにもよるけど、このゲームは回復が出来るからな。」
アリシアから出て来る言葉の数々が、俺の心の中に波紋を広げていくようだった。言っている事、何を言いたいのか、未だに分からない。ただ、アリシアの態度を見ていると、とてもふざけている様には見えなかった。
「でも、生身の身体はそうはいきませんわよね?」
「そりゃそうだろう。怪我をすれば痛いし、血も出るし、治るのには時間もかかるし、もしかしたら死ぬ可能性だってある。」
あまり想像はしないが、ゲーム内での魔獣が実際に居て、あんな攻撃されたら現実の俺なんか一発で死ぬだろう。
だがそんな事は有り得はしない。
「そう、当たり前の事ですわ。」
「あぁ・・・」
何でそんな話しをするのか、疑問だらけの状態なので、それしか言葉が出なかった。
その俺の相槌の後、アリシアは左手の親指を口に持っていく。
アリシアは顔を歪めながら、その親指を噛んだ。
「おい、何してんだよ。」
見ているだけでも痛そうな光景だが、本人の顔は痛みに耐えるように歪んでいた。演技なら、迫真の演技だろう。
アリシアはその後、噛んだ部分を俺に見えるようにした。
白い親指の腹には、赤い色が滲んだかと思うと、ゆっくりと膨れ上がって、やがて赤い筋を引いてゆっくりと垂れ始める。
・・・
「わたくしは、生身なんです。」
何を言っているんだ?
ここは仮想世界だぞ?
データで構成された場所だぞ?
生身?
んな馬鹿な・・・
疑問だらけの思考がぐるぐるして、何が何なのか判別できない。俺はアリシアの方へ目を向けると、本人は至って真剣な表情で、瞳を潤ませていた。
一体なんなんだよ。
何でそんな話しをするんだよ。
それを信じろって?
何を馬鹿な事を!
そう言いたいが、アリシアの顔を見ると口に出せなかった。
「ユアキスと会った日、わたくしは新婦の衣装だったでしょう?」
思考が追いつかない中、アリシアが話しを続ける。だが、それに応えられるほど、今は冷静になれない。俺は、何を聞かされているんだ?
「結婚式当日でしたの・・・」
そんな事、言っていたか?言っていたかもしれない。血が流れる?痛みを感じる?ゲーム内なのに何を言っているんだ。生身?何を馬鹿な事を。
「わたくしはその結婚が嫌で嫌でたまりませんでしたわ。」
親指の血は止まっていた。何で消えないんだろうな、ゲーム内なんだから、消えるだろすぐに。アリシアは何を言っているんだ、結婚?
「いきなり別の場所になった瞬間、頭がおかしくなったと思いましたわ。同時に、不安が一気にこみあげて・・・」
何でそんな切なそうな声で喋るんだ?設定だろ?これも、何かのイベントだろ?早くその血を消せよ。なんでさっきより、目が潤んでんだよ。
「その後、落ち着いたら、嫌だった事から解放された喜びが押し寄せて来ましたわ。後は、家に帰るだけだと。」
何で、こんなに気持ちを掻き回されるんだ。俺は何を考えているんだ?嬉しかった?だったらその今にも零れ落ちそうな涙はなんなんだよ。何でその血は消えないんだよ。
「ですが、時間と共に冷静になると、おそらくこれは冷酷な現実なんだと思い知らされましたわ。」
冷酷な現実?ここは仮想世界だっての。なんだよ、この面倒な設定は。俺をどうしたいんだよ。いいから血を消せよ・・・
「こんな事なら、我儘なんて言わなければ良かったですわ・・・」
アリシアからついに零れ落ちた涙は、頬を伝って顎から落ちると、衣服に染みを作っていった。だが、アリシアは俺から視線を外さずにずっと見続けている。俺は、目を逸らしたかったが、何故か身体が拒絶するように動かせなかった。
「私が我儘を言わなければ、お父様にも、エメラにも、迷惑を掛けなくて済みましたのに・・・」
何で、ゲーム内でこんな思いをさせられなきゃならないんだ。
何の嫌がらせだよ。
アリシアが現実?
ここは仮想世界だろうが・・・
でも、俺の今の思いも、仮想?
ゲーム内で流れる血は、現実?
「誰かに話したかったの。わたくしの現状を、誰かに・・・」
「なんで・・・俺、だったんだよ・・・」
だったら俺じゃなくてもいいじゃないか。なんでこんな思いしてまで聞かなきゃならないんだよ。何でこんな嫌な気分にさせられなきゃならないんだよ。
「出会ってから、面倒そうにしても、いつも相手にしてくれたではありませんか。わたくしは、結構救われていましたわ。」
意味が分かんねぇよ。
ただのゲームキャラだろ。
きっと、現実にいる人間がキャラを操作しているんだ。
だとしたら、なんてふざけた真似しやがるんだ。
「この話し、エメラには内緒ですわ。彼女には、まだ話してないもの。」
別に話さなくたって、問題ないだろう。エメラもアリシア同様、俺には分からない存在じゃないのか?それとも、アリシアに合わせて作られたAI?もしかすると、特別なキャラで同じ場所からログインしている可能性だってある。俺が騙されていないなんて保証は、何処にもない。
だがアリシアの言っている事が、嘘だという証明も出来ない・・・
「ユアキス・・・」
まだ瞳は潤んでいたが、涙はもう流れていなかった。
「あぁ・・・」
暗い表情は、何も晴れていない。頭が混乱して、言葉が出てこない。
「聞いてくれて、ありがとう。」
何で、俺は礼を言われているんだ。
分からない。
取っ散らかった頭の中は、まったく整理が出来ない。どうしていいのか、全然分からない。
さっきまでよりは、少しましになったアリシアの表情、その後に続く言葉は無さそうなので、話しは終わったのかと思えた。
混乱する思考のまま、俺は部屋から出ようとする。だが、アリシアの事が気になり、振り向くと、変わらない表情のまま俺を見ていた。
「その、ゆっくり休んで、早く治せよ。」
「言われなくても、分かっていますわ。」
弱々しい笑みだが、いつもの口調でアリシアは言ってきた。アリシアの話しに、気の利いた言葉も出てこない。最後に、どうしようもなく出した言葉がそれだけだ。
でも、それ以外に何を言ったらいいのか分からない。言う意味があるのかすら、判断出来ない。
俺は複雑な気分のまま、家を出るとエメラの存在も忘れそのままログアウトした。
意識が部屋に戻った俺は、HMDを外す。そのHMDから水が滴り落ちた。何事かと思ったが、どうやら俺は泣いていたらしい。
ゲーム内のキャラでは出来ないが、現実の身体はアリシアの話しにも反応したんだろうか。
血を流し、涙を流したアリシアは、現実?
仮想空間に居る俺は、虚実?
でも、其処に在る精神は真実?
人の思いが人の存在価値ならば、アリシアの存在は現実なのか?
仮想世界にいるアリシアは、入れ物?本物?
何も分からない。
本物だったとして、どうやって仮想世界に存在しているんだ?
これは、俺の頭がおかしいのか?
誰か、教えてくれよ・・・
そう思った時、携帯に手が触れる。
そうだ、麻璃亜なら何か知っているかもしれない。管理者から依頼を受けてゲームをしているんだもんな。
俺は携帯を手にすると、麻璃亜にメッセージを送ろうして、止めた。
こんな話し、信じられるか?
俺は、頭のおかしい人間だと思われるだけじゃないのか?
だけど、一人で抱えるには重すぎる。
でも、やっぱり怖くて送れない・・・
そんな葛藤をしている間に、窓の外は明るくなっていた。
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