デッドエンドウォー シンフォニア

紅雪

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55.よく飛ぶなぁ、反撃

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-CAZH社 自社データセンター サーバールーム 管理室-

ディスプレイにはアリシアの眠る姿が映し出されている。それを無表情のまま眺める禍月は、一定のリズムを刻むようにプレッツェルを齧っていた。機械音だけが漂う管理室内で、その音は割り込むように室内に拡散される。
美馬津は禍月の行動を監視するように見ていたが、何かを思って椅子から立ち上がると、禍月に近づいた。

「あれからアリシア嬢は、特に変わりがないね。それとも、そう振舞っているだけなのか・・・」
美馬津は禍月と同じディスプレイを見ながら話しかけた。禍月は無表情のまま、ディスプレイからは目は離さずに新しいプレッツェルを箱から取り出し、口元まで運んで手を止める。
「さぁ、あたしにもわからん。」
それだけ言ってプレッツェルを再び齧り始める。
「ところで禍月。」
「んー?」
美馬津はここからが本題と話しかけるが、禍月の態度は素っ気ない。
「アリシア嬢に持たせているレイピア、かなり危険じゃないか?」
「そうかー?」
「ユアキスくんのHP、減ってたじゃないか。そんな危険なものがゲーム内に存在するのはどうかと思って。」
少し前に見ていた映像から、美馬津は懸念を口にするが、禍月は銜えたプレッツェルを上下に揺らしたあと、美馬津にやる気のない目を向ける。

「あっきーは、お姫様がプレイヤーを殺そうという発想に至ると思うかー?」
「それは、思わないけど。ただ、人の感情なんていう曖昧なものじゃなく、可能性の話しをしているんだ。」
「可能性ねー・・・」
禍月は腕を組んで考える素振りをすると、プレッツェルを飲み込んだ。
「そもそもあの武器はお姫さまにしか使えない。まぁ、メイドも使えるけどさ。寝込みでも襲えば話しは別だが、ゲーム内で寝るような奴は圀光のおっさんくらいだろー。ゼロじゃ無いにしろ、そこにどれほどの可能性がある?」
「それもそうだけど、要らぬ噂が立っても困るだろう。」
「そんなの、今更。これを始めた時点でなー。」
禍月にそう言われると、美馬津は苦い表情となって、この話しに関しては続けるのを止めた。結局、禍月の言う通り始めた時点で孕んでいた危険はいくらでもある。何もレイピアの話しに限った事ではないと。
「それにな、敵だけに効果があるように調整するなんて手間でしかない。」


「そだ、おっさんで思い出した。」
禍月は美馬津の苦悩などどうでもいいとばかりに、別のディスプレイに身体を向ける。
「あぁ、この前頼んでいたやつかい?」
「うむ。」
美馬津も気持ちを切り替えて、禍月が圀光に頼んでいた内容を思い出す。先ほどまで無表情だった禍月は、頷くとニヤリとして見せた。

「圀光のおっさん。」
禍月はディスプレイに向かって話しかけるが、圀光からの返事は返ってこない。
「おっさーん。」
「だぁぁぁぁっ!」
もう一度呼びかけると、ディスプレイから発せられた圀光の叫び声が、管理室内に響き渡った。
「うるさいぞー。」
「俺はな、寝てたんだよ。睡眠という快楽に溺れる直前だったんだ!」
「そうかぁ、それじゃ助けてやったあたしに感謝しろ。」
「うがぁぁっ。」
禍月の言葉に、圀光が発した二度目の叫びが室内に響く。

「うるさいなー、話しが進まんだろー。」
「誰の所為だと思ってんだよ!」
「おっさんに決まってんじゃん。」
「・・・」
圀光は禍月に言い切られると沈黙した。美馬津からみても、圀光が禍月に口で渡り合うのは無理だと以前から思っているが、何故止めないのか疑問だった。

「まぁ、それはそうと、話しを進めたら?」
「お、美馬津も居るのか。お前なぁ、ちゃんと教育しろよ。」
美馬津の声が聞こえると、圀光は矛先の向き先を変更した。
「いやぁ、僕はされる側なんで。」
「何ぃ!?調教される側って、いったいどんなプレイだ。」
「圀光さん・・・」
圀光の言葉に、美馬津が何かを言おうとしたが、禍月が片手を上げてそれを制したので止める。自分が何かを言うより、禍月の方が圀光には効果覿面だと思ったからだ。

「おっさん、システムデバイス開けー。」
「ん、なんだよ突然。」
「装備欄見とけ、今から1個ずつ消滅させてやるからなー。」
「わぁぁぁ、待て待て、待った!」
そのやり取りに美馬津は声を殺して笑う。結局こうなるんだから、余計な事を言わなければいいのにと思いながら。

「で、この前の話しだな。」
「うん、そう。」
「無理だ。」
圀光は一言だけはっきりと言った。暫し室内に沈黙が流れる。
「さて、装備を・・・」
「って話しを聞け!説明くらいさせろ。」
慌てる圀光に禍月は呆れた顔をする。
「実際に1個くらい消されないと身に沁みないのかなー?あたしがやらないとでも思ってんのかー?」
「悪かったって・・・」
これには先程まで騒いでいた圀光も消沈した声になった。

「それで?」
「通常、プレイヤーが他プレイヤーを認識するには、ある程度近づかなければならないよな?」
「そうだね。範囲に入れば、システムデバイスで認識され、プレイヤーの名前など確認出来るようになる。シンボルでも表示されるし、色によってフレンドなのかパーティなのか判別出来るようになってるね。」
真面目な声で話し出す圀光に、美馬津が応える。
「あぁ。俺もその認識だった。」
「それに何か問題でも?」
「そうだ。俺はその範囲外から確認していたんだ。だが、あいつは気付いて逃げて行ったんだよ。何度か試したし、距離も調整したんだが結果は同じだ。しかも俺の居場所を正確に把握している感じなんだよ。」
「たまたま・・・って事は無いんだよね?」
「あぁ。」
二人の会話を聞いていた禍月は、会話の途中から何かを考えるように腕を組んで、視線を上方へと向けていた。

「何か分かるかい?」
「まぁ・・・多分なー。」
美馬津の問い掛けに、禍月は歯切れの悪い返事をすると、ディスプレイに向き直る。
「だから、これ以上は多分無理だ。一体あのELINEAってのは何者なんだ?」
「超ベテランプレイヤー。ゲーム内でも気配を察する事が出来る。」
「あぁ、変態プレイヤーだな・・・って、そんなわけあるか。」
真面目な顔で言う禍月に、圀光は突っ込むが、禍月の表情は変わらない。
「それがな、そうでもないんだなー。まぁ、おっさんの仕事はここまでで十分だ。あたし的には収穫はあったからなー。」
「そ、そうか。ならいいんだが・・・」
「あとは短い余生でも楽しんでおけー。」
「余生言うなよ。」
禍月の説明に納得いかなさそうな圀光だが、そこは追及せずに会話を終了した。

「で、何が分かったんだい?」
「えりねあって、何の目的で作られたんだっけ?」
美馬津の問いには答えずに、禍月は逆に質問をする。未だに何かを考え続けているような態度に、美馬津は怪訝な顔をしながらも口を開いた。
「簡単に言うと、人間と同等の存在を目指しているプロジェクトかな。実際のプレイヤーと交流して、学んでいくんだよ。」
「だったら、当然えりねあ自身も一プレイヤーじゃん?」
「その筈だと思うけど。」
禍月は何を言いたいのか、美馬津は分からずに質問だけに答えていく。

「権限の範囲を超えていると思わないかー?」
「交流を目的としているなら、その部分だけ拡張していたって事もあるんじゃないか?」
もっともらしい理由を美馬津は言ってみたが、禍月は呆れた目を美馬津に向ける。
「差異ってのは違和感を生む。同等の機能だからこそ、意味があるんだろー。」
「そう言われると、そうだな。」
美馬津は納得すると、顎に手を当てて考える仕種をする。ただ、禍月が一体何を気にしているのか分からないため、答えに辿り着きそうにはないなと思った。
「嫌な感じだなー。」
小さく漏らした禍月の言葉は、すぐにサーバーの機械音の中に溶けていく。だが、はっきりと聞こえたその言葉は、美馬津の中にも不穏を生み出した。





「暗いね。」
「あぁ、暗い。」
その部屋は、天井にある灯りが少なく、今までの場所よりも暗かった。何の骨かは不明だが、円形状の部屋には、一周するように散らばっていた。ただ、頭蓋骨に関しては十中八九人間のものだろうと見てとれる。

「人だね。」
「あぁ、人だな。」
部屋の中央には、明らかに人間だろう思われる人影が座っていた。ただ、暗い所為かどんな人物かまでは分からない。またオルデラのような先遣隊なのか、それとも人に見えるだけなのか、今のところ判別はつかない。

「面倒だね。」
「あぁ。面倒だな。」
一度街に戻ったからアイテム不足とかは無い。ただ、連続でクエストをやるのは怠いんだ。前のクエストがゴミ掃除とかじゃなければ、もう少し続けるためのモチベーションもあっただろう。

「いいから早く入れ!」
「うわぁっ。」
「うぐ・・・」

部屋の前でタッキーと作戦会議をしていただけなのに、月下の蹴りを食らって部屋の中に押し込まれる。
「いきなり酷いよ。」
「作戦会議中だったんだぞ。」
「面倒って言ってたじゃん!」

クエストLV13-20 魔焔のシャウエクの討伐

LV13最後のクエストだ。ニベルレイス第6層から先に進むには、こいつを倒さなければならない。部屋の奥にうっすらと見える大扉が、第6層に進む扉。なんじゃないかなぁ。このボスの私室とかじゃないよな・・・

「次から次へと沸いて出てくるなど、鬱陶しい虫けら共だ。」
部屋の中央で言いながらシャウエクがこちらに身体を向ける。胸元あたりまである長い髪は黒色のストレートだ。艶があるのは手入れでもしているのだろうか?とかどうでもいい事を考えて振り払った。
顔も皮膚は紫がかり、目も紅いがそれを除けは人と変わらない。以前戦った獣人よりも遥かに人に近い。
耳先は多少尖って、爪も長いが、それだけだ。

「焼いても焼いてもきりがない・・・」
シャウエクはそう言って周囲にある白骨に目を向ける。つまり、この部屋で死んで言った人間と言いたいのだろう。

「焔の中で苦悶に顔を歪め、藻掻き、叫びながら息絶えろ。それが同胞へのせめてもの手向けだ。」
シャウエクがこちらに指先を向けると、その先端に身長と同程度の杖が具現化する。それを掴んだと同時に戦闘が開始された。

開幕と同時にアヤカ、月下、マリアが距離を詰める。シャウエクは後ろに飛び退りながら杖を振る。その時、俺の足元で赤い光が膨らみ始めた。
(げっ・・・)
慌てて横に飛ぶと、俺がさっきまで居た場所に火柱が立ち昇った。

シャウエクに追い縋ったアヤカと月下の一撃は、杖で受け止められる。その横からマリアが回り込んだが、杖から爆発するように炎が噴き出すと、3人とも吹き飛ばされた。

「あれは、カウンターね。杖で防がれるとこうなるって事ね。」
マリアが起き上がりつつ状況を分析した。
「うげ、イヤな奴。」
「防がれなければいいのですわ。」
アヤカは太刀を上段に構えると、そう言ってシャウエクへ走り出す。
ほう、今までの経験からい言うと、これから何回も吹き飛ばされる結果になるだろう。

ってか、俺も近接だから何か対策が必要に感じるな。問題は杖で攻撃を防がれた時に生じるカウンターだが、回り込んでいたマリアが吹き飛ばされるほど範囲が広い。
シャウエク本体に近づいていれば、例え背後でも食らう事になる。
やっかいだな。

「やっぱ氷か?」
「試してみないと何とも言えないです。」
姫に向かって聞いてみるが、当たり前の言葉が返ってくる。初見なんだから分かるわけないよな。
ただ、意図は察してくれたようで姫は頷くと、早速矢を番える。
俺もシャウエクに向かって走り出そうとしたが、それよりも早く同じ事を考え試そうとしている奴がいた。

タッキーの銃弾を受け、槍斧の先に巨大な氷塊を纏った月下の打ち下ろしが、シャウエクを襲う。シャウエクが杖の先端で氷塊を受け止めると、一瞬で蒸発して月下は先ほどと同様に吹き飛ばされた。

「他の方法を考えようか。」
「そうですね。」

ただ、月下の攻撃は無駄ではなく、カウンター直後にアヤカとマリアが斬り込んでいった。カウンター後は隙が出来るようで、二人の連撃は綺麗に入る。
俺も続こうと思ったが、態勢を立て直したシャウエクが、アヤカの太刀を受け止める。マリアはその動きを逸早く察して距離をとっていた。

アヤカがカウンターで吹き飛ばされると、マリアがまた距離を詰める。そこに月下が続き、攻撃に加わった。
犠牲を払わないと攻撃が出来ない、なんて事は無いだろう。盾持ちなら防げる可能性もあるが、生憎このパーティにそんな奴は居ない。それだと限定的過ぎて、面白味に欠ける。何かありそうな気はするが。

「姫、ちょっといいか?」
「はい、なんでも。」
俺はアヤカを回復しながら、姫に頼みごとをすると前線に向かう。

俺が攻撃に加わろうとすると、マリアが距離をとったので、俺は攻撃するのを一旦止めて様子を見る。重量武器の月下は、既に攻撃モーションに入ってるので、カウンターは確定だろう。
攻撃をキャンセルする事も可能だが、武器によってどのタイミングでどの攻撃がキャンセルになるのか、それは使ってないと分からない。

「8秒よ。」
月下が吹き飛ばされるのを見ながら、マリアがそう言った。主語も何にも無いから、何の話しかまったく分からなかったが、おそらくカウンター発動後から次のカウンターが可能になるまでの時間だろう。
「まさか、カウントしながら攻撃してたのか?」
「いつもの事。」
マリアは微笑んで言うが、変態だな。そんな事までしながら普段戦闘してるのか。それに加えて身体能力の高さ、俺とは動きが全然違うわけだ。

時間が分かっても、カウンター自体をどうにかしないと解決にならない。だが、カウンターが来るタイミングが分かったのは良いことだ。

「次は、ユアキスが吹き飛ぶ番?」
何故そんな期待した眼差しで聞いてくる。俺に吹き飛べって事か。
「失敗したらな。」
なんて会話をしていると、足元で赤い光が膨らみ始める。火柱を回避しながら俺は、姫に合図を送る。マリアの情報が正しいなら、シャウエクはもうカウンターが可能な状態になっている筈だ。

俺は単体でシャウエクに向かって斬り込む。まぁ、俺が斬り込んだ時点で誰も近寄って来ないと言った方が正解だが。
姫が放った炎矢を、片手剣の回転払い抜けで受けて炎の竜巻を起こす。しっかり杖でガードされ、カウンターの炎が吹き上がる。
俺が放ったSSSの炎と、シャウエクの炎が合わさって、爆発でも起きるんじゃないかと思ったが、シャウエクの杖がその場の炎を吸ったように朱く発光すると、砕け散った。

「すごいやユアキス!」
たまたまだが、そう言われると悪い気はしない。
「珍しく役に立ちましたわ。」
うるせぇよ。
「やるじゃんユアキス。」
お前は何で上から目線なんだ・・・

「虫けら共が、調子に乗るなよ。」

おぉ、そんなセリフがあるとは。杖を破壊するのは、やはり当たりだったか?

シャウエクはそう言うと、両手を軽く広げて掌を上に向ける。砕け散った杖は、火の粉となって舞っていたが、シャウエクの行動で身体の回りを漂い始めた。
火の粉は赤い発行体として輝きを増すと、シャウエクの身体が蜃気楼のように揺らめき出す。

「灰燼と化せ、塵虫共が!」
シャウエクが手を横に振ると、焔の衝撃波が発生し、それを避けると今度は火柱が上がる。しかもあちこちで、じゃなくメンバーそれぞれに火柱が発生していた。
杖を壊したら、攻撃が激化したな・・・

「凶悪になったじゃん!」
「顔がな。」
シャウエクの顔が先ほどとは違い、悪い面になったのは確かだ。俺に向かって言ってきた月下の文句も、シャウエクに押し付けておこう。
「違うよ、バカ!」

「でも、もうカウンターはありませんわ!」
「そうね、こっちの方が楽だわ。」
まぁ、カウンターを気にしなくて良くなったのは、攻撃のチャンスだ。俺もアヤカとマリアに続いて攻撃に加わる。

だがシャウエクは単に攻撃が激化しただけじゃなかった。
「火の粉が舞う範囲に入ると、体力が徐々に減るわね。」
「知ってりゃ耐火装備で来たんだがな。」
「今更言っても始まりませんわ。」
そうだけどさ。
そう思った時、体力の減りが止まった。
「念のため持ってきていて正解でした。」
どうやら姫が耐火のアイテムを持ってきていたらしい。
「助かったわ。」
「あぁ、だが時間制限がある。アイテムの効果があるうちに叩こうぜ。」

それから俺たちは、火柱を食らったりしながらも攻勢を崩さずにシャウエクを攻撃し続けていた。
だけど、気付いたら回っていた発行体が何時の間にか消えていて、気付いた時には全員吹っ飛ばされていた。

「一定時間で杖が復活するのか・・・」
「でも、攻略出来そうだよね。」
「よし、次はあたしが杖をぶっ壊す!」



その後なんとかシャウエクを倒した俺たちは、LV14のクエストが受けられるようになった。

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