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62.どうしてもさせたいんだな、屈服
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「なに・・・これは?」
「私に、何が起こったの?」
「ううん、何も起きていない。データは、何も変わっていない。」
「なんか、肌が白くなった気がする。」
「そんなわけ、ないよね。」
「本当に、そう?」
ニベルレイス第15層
クエストLV17-15 堕ちたメリオアの撃破
ELINEAの突きがメリオアの胸を穿つと、メリオアは後退した。
「貴方達は、何も・・・何も分かって無いのよ。」
メリオアは後退りながら、恨むような眼で口にする。その言葉にも、恨みが込められていた。
「ニベルレイスの事も・・・アヴィリエルの事も・・・」
剣を杖にゆっくりと後退り、やがて部屋を遮る壁まで辿り着くと、メリオアは扉に手を掛けた。
「だから、私はまだ死ぬわけにはいかない・・・」
扉をゆっくりと押し開けると、メリオアは開いた先の闇へと、消えていった。
ELINEAは撃破したメリオアの事など見もせず、ただ自分の右手が掲げる片手剣を見つめていた。続けて両腕を開くと、自分の身体を確認するように眺めた。
「何も、変わってないよね?」
片手剣を仕舞うと、目を閉じて天を仰ぐような仕種をする。
「うん、データも変わってないし、エラーも無い。」
ELINEAは暫くそのままの状態で立ち尽くしていたが、目を開くとメリオアが消えていった扉を見る。
「この先はLV18。まだ到達しているプレイヤーは居ないみたい。」
そう言うと、自分の手をまた見つめる。掌を開いたり握ったりを繰り返し、確認するように頷いた。
「私は、もっと人のために行動できる。」
ELINEAは呟くと、今度はメリオアが消えた扉の反対側に目を向けた。
「まだ、ここに来ていない人たちの、手伝いに行かなきゃ。」
言って頷くと、ELINEAはその場から一歩踏み出し、歩き始めるとその姿はゆっくりと消えていった。
ベッドから起き上がった俺はHMDを頭から取り外す。直ぐに首と腹を確認するが、何ともないようだ。
思惑は見事に外れ、平常を保っても強制ログアウトは変わらなかった。
くそ・・・
ベッドから起き上がり、身体を捩じったり曲げたり、いろいろ動いてみるが特に影響はない。城之内のような影響が出てもいない。
そもそも、城之内の消えない頭痛は、DEWSが原因なのか?
その疑問はずっと在り続け、疑問のまま解消出来ないでいる。ただの高校生の俺に、何か解決出来るとも思えない。
しかし、人体に影響が無いのであれば、HMDが強制ログアウトをする理由も分からない。これ、DEWS内にキャラクターを構成しているHMDの問題なんじゃないか?
そんな疑問さえ出て来る。
(っと、分からない事を考えている場合じゃない。)
立ったままぼーっと考えていたが、今はそれどころじゃない事を思い出す。急いで戻って戦闘に復帰しなければ。
出来れば止めだけでもかっさらって、あの馬鹿げたゲームを阻止しなければ。特に、月下にはやりたくない。リアルでもやれとか言い出しかねないからな。
まぁ、やらないけど。
俺は急いでHMDを装着すると、ベッドに横になった。
スニエフにログインすると、急いで第8層まで向かう。下るだけならそれほど苦労はしない。そのフロアを彷徨こうと思うと、雑魚なんかに絡まれたりするが。
8層まで来るとそうもいかないが、雑魚は無視して蒼瀑布まで一気に駆け抜ける。
青白い光が見えて来て、緩やかな曲線の道を駆け抜けると、ワーオルンの居た滝に出る。
・・・
間に合わなかったか・・・
滝の前では一人の勝者に跪く6人の敗者。その最後の一人がちょうど跪いたところだった。その勝者は、俺に気付くと嬉しそうに微笑んで、小さくVサインをした。
そう、今回もマリアが止めを刺したらしい。その微笑の意味は分からない。単純に嬉しいのか、もっと何かあるのか。
それは、意図的に止めを刺したか、偶然止めを刺したかによって違う気はするが、知ってもろくな事になりそうにないので、気にしない事にした。
まぁ、俺は今回不参加のようなものだ。強制的にログアウトを食らったうえに、止め争奪戦にも参加出来ていないのだから、あそこに参加する権利はない。
そう思って、嬉しそうなマリアに苦笑いしながら頭を掻く仕種をする。
そのマリアは、俺に微笑を向けたまま、今度は人差し指を立て、自分の前の地面を指さした。
・・・
お前もやれって事だよな・・・
何で俺がやらなきゃならないんだよ!アホか!
お前が一番状況を知ってるんだろうが!
あぁ、知りたくもないのに知った気がする。マリアは意図的に、ボスに止めを刺したのだろう。以前聞いた観察力、それに見合った行動力。十分にやれるよな、あいつなら。
俺がマリアを半眼で見ていると、個人宛のチャットが来る。
[やらないの?]
[何でだよ!俺は参加出来てないだろうが!]
[開始時には居たから、参加してる。それとも、ログアウトを言い訳にする?]
ぐ・・・
なんて言い種だ。
[それとも、次にリアルで会った時にしてくれるのかな?]
すごく楽しそうな顔でそう送ってきた。
するかバカ!!
リアルで女性の前に跪くとかどんな罰ゲームだよ。ただ、マリアの場合やらなきゃいけないような理由でやらせてきそうな気がするから怖い。
くそ、勝てる気がしねぇ・・・
「あら、今頃戻って来ましたの。」
「勝負はもう終わりましたわ。」
うるせぇよ、見りゃ分かるっての。
「くっそー。次こそあたしが勝つ!」
お前は勝たなくていい。
「お嬢様の負け犬っぷりも板についてきましたね。」
「エメラ!!」
「私、一足先に街に戻って夕食の準備を!」
一目散に逃げだすエメラを、アリシアは憤怒の形相で追いかけていった。何がしたいんだ、あいつらは。
そんな茶番はさておき、変わらぬ微笑のまま立っているマリア。その前で未だに傅いているアホが一人。いつまでやってんだよ。
はぁ、しょうがない。
「屈辱だ・・・」
何だろう、この何とも言えない敗北感。クエストをクリア出来なかった時より納得がいかない。クリアしたのに・・・
「お姉さん、次も勝とうかしら。」
「まだやるのかよ。もういいだろ・・・」
「ダメだよユアキス。僕の楽しみの時間が無くなるじゃんか。」
・・・
変態は黙ってろ。
「別に勝負しなくたって、普段からやればいいだろ。」
「あ、そだね。」
アホだ・・・
「ユアキス。」
「な、なんだよ。」
アヤカが不敵な笑みを浮かべて話しかけて来る。聞くまでもない気はするが。
「やらない理由がありませんわ。」
あぁ、そうだろうよ。
「そうだよ、あたしまだ勝者になってないもん!」
なるな。
あぁ、だめだ。こいつらを止める方法が思いつかない。もうこうなったら、次こそ終わらせてやる。
「あの、ありがとうございます。」
その時、俺の後ろで小さな声が聞こえた。声で誰かは分かったが、振り向いて確認する。そこには、少し気恥しそうな顔で微笑む姫が居た。
「いや、気にすんな。」
「はい。」
たまに黒い事を言い出すが、やっぱり基本は普通だよな。パーティの中で一番まともだろうという思いは今でも変わっていない。いや違うな、俺の回りがマイペース過ぎる気がする。
まぁ、俺も人の事は言えないか。
「若い娘の方がいいんだ、お姉さん寂しいな。」
そこへ、姫と入れ替わりで近付いてきたマリアが俺の方は見ずに、俺にだけ聞こえるように小さな声で言った。
「そういう話しじゃないだろ・・・」
まったく、どいつもこいつも。
「身体は大丈夫?」
「あぁ、何ともない。」
「ありがとう、私じゃ間に合わなかったわ。」
「俺でもいいだろ。一応、事情は知っているしな。他の奴が巻き込まれるよりは全然。」
そんな事を思いはしたが、半分は考えるより先に動いていただけなんだが。
「うん。」
マリアはそこで、俺の方を見るといつもの微笑で頷いた。やっぱり、ゲームとはいえ直視出来ずに俺は顔を逸らした。
「二人で狡いよ、僕も混ぜてよ。」
うぜぇ・・・
タッキーが近付いて来たので、俺はマリアとの距離を取った。
「そろそろ街に戻ろうよ。」
「そうですわ。この様な場所に留まるより、まずは鍛冶屋ですわ。」
「そうだな、戻るか。」
力なく笑って言った俺の態度に、アヤカは首を傾げたが、特に意味はない。ただ、普通に戦闘した時より、なんか疲れただけで。
-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-
美馬津は喫煙室の仕切り硝子を見つめながら紫煙を吐き出した。実際に見ているのは硝子ではなく、焦点の合わない目は何処か別のところに意識を向けているからだろう。
無造作に煙草を口に運び、また溜息を吐くように紫煙を吐き出す。
「アリシア嬢が原因なら・・・」
そこで美馬津は視線を上方に持っていく。痕跡も残らないものを、どうやって処理するんだよと思いながら、天井に向かって紫煙を吹き付けるように吐き出す。
「そう言えば・・・なんだ?」
ふとある事を思いついたのだが、携帯が着信を知らせるため振動した。
「今更・・・何があるっていうんだ・・・」
電話を掛けてきた相手を見て、美馬津は目を細めると渋々着信を承諾した。
「もしもし・・・あぁ、久しぶりだね。」
電話を受けた美馬津の表情は、懐かしさを感じさせるようなところもあったが、どちらかと言えば浮かない表情をしていた。
「はは、僕より宇吏津の方が元気無さそうじゃないか。」
美馬津は苦笑して、煙草を吸うと紫煙を吐き出す。
「それで、開発を抜けた僕に、今更何の用だい?」
浮かない表情に戻ると目を細め、美馬津は声音を低くして問う。それはこの連絡が、望んでなどいないという様に。
-同センター内 サーバールーム管理室-
「しゅにんはELINEAの事を何処まで知ってんだー?」
禍月に問われた八鍬は、ディスプレイから目を離し禍月の方へ向ける。当の本人は、八鍬を見るでもなく、頭の後ろで手を組んで、いつも通りプレッツェルを銜えていた。
「美馬津にプロジェクトの話しを聞いた程度だ。詳しくは知らん。」
「そうかー。あっきーは何処で知ったんだろうなー。」
「言われてみればそうだな。公になっているのであれば、当時私の耳に入っていても不思議ではない。」
八鍬は顎に手を当てると、思い出すように言った。そこで禍月は八鍬の方に向き直ってにやりと笑う。
「これな、社内メールを見る限り極秘プロジェクトだぞ。」
「AIの育成がか?」
その内容に、眉間に皺を作って八鍬は首を傾げた。成功すればCAZH社にとってプラスになるプロジェクトの筈だろう、それを何故秘密裏に行う必要があるのかと。
「その辺はあたしにも分からん。ただ、大々的に宣伝してなくて正解だってのは分かるがなー。」
「どういう事だ。」
八鍬が怪訝な顔で疑問を口にすると、禍月は目を細めて口の端を吊り上げ嗤う。
「ELINEAが離反したからなー。」
「馬鹿馬鹿しい・・・」
AIが離反などという事自体あり得ないと思い、八鍬は呆れた顔をして言う。
「そうでもないぞー。少なくとも本社の無能共よりはなー。」
「・・・」
禍月の言葉に、八鍬は呆れ顔から興味を示す表情になった。ただ、内容が分からないため無言で続きを促す。
「ELINEAが言う事を聞かないから凍結しようとしたんだ。ところが、ELINEAは凍結より先にアインスからズィーベンまでのサーバーに自分のデータをコピー。更に本社の管理権限でもアクセス出来ないようにした。」
「なんだと・・・」
その内容に、八鍬は驚きを隠せなかった。が、ふとある事に気付くと表情を戻して禍月を見る。
「ズィーベンまでと言ったな、アハトサーバーはどうなっている?」
「そんな勝手はあたしがさせん。」
禍月は指で摘まんだプレッツェルを左右に振りながら言う。その後、浮かべていた笑みを消すとプレッツェルを銜えて視線を天井に向けた。
「ここまでが面白い話しなんだが、問題はこの先なー。」
「ふむ、その問題とは?」
八鍬が言ったところで、美馬津が喫煙室から戻り部屋に入ってきた。二人の様子を見て疑問に思ったが、何も言わずに自席の椅子に座った。
禍月は美馬津の事は気にせず、そのまま話しを続ける。
「手が付けられない事から、基板ごとサーバーを入れ替える話しが出ている。」
「なんだと・・・」
八鍬は驚きから、またもその言葉を漏らして考え込む。
「それ、もう話しだけじゃなく構築する事が決まったようだよ。」
そこで美馬津が、八鍬と禍月の会話に割り込んだ。
「美馬津は何処でその情報を知った?」
「さっき、宇吏津から電話があったんです。」
戻ってきた時から浮かない表情をしていた理由を、八鍬はその話しを聞いて納得した。
「つまり、お前に手伝えと?」
「そうです。断りましたけどね。」
「ふん、まぁそうだな。」
苦笑しながら言う美馬津を見て、八鍬は鼻で笑った。
「そんな事よりだ。基板から構築するのであれば、当然アハトサーバーも含まれる事になるだろう。」
八鍬と美馬津の会話が分からず、プレッツェルを黙々と齧っていた禍月だが、話しが戻ったところで齧るのをやめる。
「それであれか。」
「うむ。そう言う事だ、一時的にお姫様は退避させる。」
美馬津が思い出した事に、禍月は得意げに頷く。
「ただ、新しいアハトサーバーに同様の環境を作成するには、結構時間が掛かるけどなー。まぁ、お姫様の生活範囲くらいはどうとでもなるが。」
「しかし、よく気付いたね。」
美馬津は今回の件に対して、禍月がとった行動に感心して言った。犯罪とは言え、禍月の行動がなければ今まで判明しなかったのだから。
だが、美馬津の言葉などどうでもいいように禍月は考え込んでいた。
「どうかしたのか?」
「うーん・・・」
「まぁいい。何かあったら後で言ってくれ。私も休憩してくる。」
八鍬は質問に対する答えが直ぐに出そうにないと思うと、管理室を出ていった。
「何が気になるんだい?」
「今回の基盤入れ替え、あたしは無駄だと思っている。むしろ、遅すぎだー。」
「どうしてそう思うんだ?」
「ELINEAは凍結を予測して自分のデータをアハト以外のサーバーにコピーした。本来であれば、凍結が決まった時点で全てのネットワークを遮断して、電源も落として、完全に隔離した状態で別基盤を用意するべきだったんだ。結果論でしかないがなー。」
半ばどうでも良さそうに言う禍月の、言った内容を顎に指を当てて美馬津は首を捻る。
「つまり、別の場所に退避しているだろうって事かい?」
「そう考えるのが、当たり前だろー?」
「確かに禍月の言う通り・・・って、そう言えば宇吏津が、何故かアハトサーバーにだけELINEAのデータがコピーされてないって言ってたな。やっぱり禍月か?」
美馬津がそう言うと、それまで興味なさそうにプレッツェルを銜えて天井を見ていた禍月は、得意げな顔を美馬津に向けた。
「当たり前だろー。」
禍月はそれだけ言うと、また視線を天井に戻す。
「それに、こっちはAIどころじゃないんだからなー。」
「まぁ、そうだね。」
「ところで、ずっと浮かない顔をしているけど、何か気になる事でも?」
苦笑して同意した美馬津は、先ほどからとっている禍月の態度が気になり問い掛ける。
「あっきーは、ELINEAの事を知っていたわけだろー?」
「まぁ。でも、チームを外れる時に無理矢理、宇吏津に聞いただけだから詳細までは・・・」
「そうかー。ELINEAは何をしたいんだろうなー・・・」
「何って・・・宇吏津曰く、人を理解したい思いが行き過ぎたとかなんとか。」
禍月の疑問に、美馬津は電話で話した内容を思い出しながら答える。
「だったら、ELINEAを潰すのは早い方がいい。」
「潰すって・・・」
突然言った禍月の物騒な発言に、美馬津は苦笑しながらそこまでじゃないだろうという思いで口にしたのだが、いつの間にか美馬津を向いていた禍月の表情が真面目だったため、言葉が続かなかった。
「他のサーバーに勝手にファイル作成、権限の書き換えを行えるんだ。サーバーそのもの、若しくはCAZH社のシステム、このデータセンターの各機器、いつ乗っ取られても不思議じゃない。ELINEA自身が自分の思いに縛られているうちに、潰さないとろくな事にならないんじゃないか。って話しなー。」
最後の方は先ほどまでと同様の、やる気の無さそうな表情に戻ったが、禍月の言う懸念は、十二分に孕んでいる危険だと美馬津も認識した。
「他人事だと思ってそこまで考えて無かったけど、言われると確かに・・・」
「いや、他人事だろー。ELINEAに関しては、あたしらが手を出す問題じゃない。」
「まぁ、そんな余裕も無いしね。」
「うむ。」
美馬津の言う様に、現状他の事に対する余力は無いと禍月も同意する。
「だがなー、こっちに余波が来るようなら相手をするしかないよなー。」
だが直後に、禍月は不敵な顔を浮かべるとそう言った。美馬津にはそれが、来るのを望んでいるようにも見えた。
「なんだ、まだ話していたのか・・・」
会話の途中で管理室の扉が開き、八鍬が戻ると呆れたように言う。
「いや、だいたい終わりだー。」
「ふむ。それで、何か進展はあったのか?」
「なんにも。ただ、面倒な事にならなきゃいいなーってだけの話しだー。」
禍月の態度を見た八鍬は、美馬津の方を見る。察した美馬津は、苦笑し頷いた。それ以上の含みは無いと。
ただ、禍月も美馬津も、本社で起きているELINEA案件の飛び火に対する懸念は、消える事は無かった。
「私に、何が起こったの?」
「ううん、何も起きていない。データは、何も変わっていない。」
「なんか、肌が白くなった気がする。」
「そんなわけ、ないよね。」
「本当に、そう?」
ニベルレイス第15層
クエストLV17-15 堕ちたメリオアの撃破
ELINEAの突きがメリオアの胸を穿つと、メリオアは後退した。
「貴方達は、何も・・・何も分かって無いのよ。」
メリオアは後退りながら、恨むような眼で口にする。その言葉にも、恨みが込められていた。
「ニベルレイスの事も・・・アヴィリエルの事も・・・」
剣を杖にゆっくりと後退り、やがて部屋を遮る壁まで辿り着くと、メリオアは扉に手を掛けた。
「だから、私はまだ死ぬわけにはいかない・・・」
扉をゆっくりと押し開けると、メリオアは開いた先の闇へと、消えていった。
ELINEAは撃破したメリオアの事など見もせず、ただ自分の右手が掲げる片手剣を見つめていた。続けて両腕を開くと、自分の身体を確認するように眺めた。
「何も、変わってないよね?」
片手剣を仕舞うと、目を閉じて天を仰ぐような仕種をする。
「うん、データも変わってないし、エラーも無い。」
ELINEAは暫くそのままの状態で立ち尽くしていたが、目を開くとメリオアが消えていった扉を見る。
「この先はLV18。まだ到達しているプレイヤーは居ないみたい。」
そう言うと、自分の手をまた見つめる。掌を開いたり握ったりを繰り返し、確認するように頷いた。
「私は、もっと人のために行動できる。」
ELINEAは呟くと、今度はメリオアが消えた扉の反対側に目を向けた。
「まだ、ここに来ていない人たちの、手伝いに行かなきゃ。」
言って頷くと、ELINEAはその場から一歩踏み出し、歩き始めるとその姿はゆっくりと消えていった。
ベッドから起き上がった俺はHMDを頭から取り外す。直ぐに首と腹を確認するが、何ともないようだ。
思惑は見事に外れ、平常を保っても強制ログアウトは変わらなかった。
くそ・・・
ベッドから起き上がり、身体を捩じったり曲げたり、いろいろ動いてみるが特に影響はない。城之内のような影響が出てもいない。
そもそも、城之内の消えない頭痛は、DEWSが原因なのか?
その疑問はずっと在り続け、疑問のまま解消出来ないでいる。ただの高校生の俺に、何か解決出来るとも思えない。
しかし、人体に影響が無いのであれば、HMDが強制ログアウトをする理由も分からない。これ、DEWS内にキャラクターを構成しているHMDの問題なんじゃないか?
そんな疑問さえ出て来る。
(っと、分からない事を考えている場合じゃない。)
立ったままぼーっと考えていたが、今はそれどころじゃない事を思い出す。急いで戻って戦闘に復帰しなければ。
出来れば止めだけでもかっさらって、あの馬鹿げたゲームを阻止しなければ。特に、月下にはやりたくない。リアルでもやれとか言い出しかねないからな。
まぁ、やらないけど。
俺は急いでHMDを装着すると、ベッドに横になった。
スニエフにログインすると、急いで第8層まで向かう。下るだけならそれほど苦労はしない。そのフロアを彷徨こうと思うと、雑魚なんかに絡まれたりするが。
8層まで来るとそうもいかないが、雑魚は無視して蒼瀑布まで一気に駆け抜ける。
青白い光が見えて来て、緩やかな曲線の道を駆け抜けると、ワーオルンの居た滝に出る。
・・・
間に合わなかったか・・・
滝の前では一人の勝者に跪く6人の敗者。その最後の一人がちょうど跪いたところだった。その勝者は、俺に気付くと嬉しそうに微笑んで、小さくVサインをした。
そう、今回もマリアが止めを刺したらしい。その微笑の意味は分からない。単純に嬉しいのか、もっと何かあるのか。
それは、意図的に止めを刺したか、偶然止めを刺したかによって違う気はするが、知ってもろくな事になりそうにないので、気にしない事にした。
まぁ、俺は今回不参加のようなものだ。強制的にログアウトを食らったうえに、止め争奪戦にも参加出来ていないのだから、あそこに参加する権利はない。
そう思って、嬉しそうなマリアに苦笑いしながら頭を掻く仕種をする。
そのマリアは、俺に微笑を向けたまま、今度は人差し指を立て、自分の前の地面を指さした。
・・・
お前もやれって事だよな・・・
何で俺がやらなきゃならないんだよ!アホか!
お前が一番状況を知ってるんだろうが!
あぁ、知りたくもないのに知った気がする。マリアは意図的に、ボスに止めを刺したのだろう。以前聞いた観察力、それに見合った行動力。十分にやれるよな、あいつなら。
俺がマリアを半眼で見ていると、個人宛のチャットが来る。
[やらないの?]
[何でだよ!俺は参加出来てないだろうが!]
[開始時には居たから、参加してる。それとも、ログアウトを言い訳にする?]
ぐ・・・
なんて言い種だ。
[それとも、次にリアルで会った時にしてくれるのかな?]
すごく楽しそうな顔でそう送ってきた。
するかバカ!!
リアルで女性の前に跪くとかどんな罰ゲームだよ。ただ、マリアの場合やらなきゃいけないような理由でやらせてきそうな気がするから怖い。
くそ、勝てる気がしねぇ・・・
「あら、今頃戻って来ましたの。」
「勝負はもう終わりましたわ。」
うるせぇよ、見りゃ分かるっての。
「くっそー。次こそあたしが勝つ!」
お前は勝たなくていい。
「お嬢様の負け犬っぷりも板についてきましたね。」
「エメラ!!」
「私、一足先に街に戻って夕食の準備を!」
一目散に逃げだすエメラを、アリシアは憤怒の形相で追いかけていった。何がしたいんだ、あいつらは。
そんな茶番はさておき、変わらぬ微笑のまま立っているマリア。その前で未だに傅いているアホが一人。いつまでやってんだよ。
はぁ、しょうがない。
「屈辱だ・・・」
何だろう、この何とも言えない敗北感。クエストをクリア出来なかった時より納得がいかない。クリアしたのに・・・
「お姉さん、次も勝とうかしら。」
「まだやるのかよ。もういいだろ・・・」
「ダメだよユアキス。僕の楽しみの時間が無くなるじゃんか。」
・・・
変態は黙ってろ。
「別に勝負しなくたって、普段からやればいいだろ。」
「あ、そだね。」
アホだ・・・
「ユアキス。」
「な、なんだよ。」
アヤカが不敵な笑みを浮かべて話しかけて来る。聞くまでもない気はするが。
「やらない理由がありませんわ。」
あぁ、そうだろうよ。
「そうだよ、あたしまだ勝者になってないもん!」
なるな。
あぁ、だめだ。こいつらを止める方法が思いつかない。もうこうなったら、次こそ終わらせてやる。
「あの、ありがとうございます。」
その時、俺の後ろで小さな声が聞こえた。声で誰かは分かったが、振り向いて確認する。そこには、少し気恥しそうな顔で微笑む姫が居た。
「いや、気にすんな。」
「はい。」
たまに黒い事を言い出すが、やっぱり基本は普通だよな。パーティの中で一番まともだろうという思いは今でも変わっていない。いや違うな、俺の回りがマイペース過ぎる気がする。
まぁ、俺も人の事は言えないか。
「若い娘の方がいいんだ、お姉さん寂しいな。」
そこへ、姫と入れ替わりで近付いてきたマリアが俺の方は見ずに、俺にだけ聞こえるように小さな声で言った。
「そういう話しじゃないだろ・・・」
まったく、どいつもこいつも。
「身体は大丈夫?」
「あぁ、何ともない。」
「ありがとう、私じゃ間に合わなかったわ。」
「俺でもいいだろ。一応、事情は知っているしな。他の奴が巻き込まれるよりは全然。」
そんな事を思いはしたが、半分は考えるより先に動いていただけなんだが。
「うん。」
マリアはそこで、俺の方を見るといつもの微笑で頷いた。やっぱり、ゲームとはいえ直視出来ずに俺は顔を逸らした。
「二人で狡いよ、僕も混ぜてよ。」
うぜぇ・・・
タッキーが近付いて来たので、俺はマリアとの距離を取った。
「そろそろ街に戻ろうよ。」
「そうですわ。この様な場所に留まるより、まずは鍛冶屋ですわ。」
「そうだな、戻るか。」
力なく笑って言った俺の態度に、アヤカは首を傾げたが、特に意味はない。ただ、普通に戦闘した時より、なんか疲れただけで。
-CAZH社 自社データセンター 喫煙室-
美馬津は喫煙室の仕切り硝子を見つめながら紫煙を吐き出した。実際に見ているのは硝子ではなく、焦点の合わない目は何処か別のところに意識を向けているからだろう。
無造作に煙草を口に運び、また溜息を吐くように紫煙を吐き出す。
「アリシア嬢が原因なら・・・」
そこで美馬津は視線を上方に持っていく。痕跡も残らないものを、どうやって処理するんだよと思いながら、天井に向かって紫煙を吹き付けるように吐き出す。
「そう言えば・・・なんだ?」
ふとある事を思いついたのだが、携帯が着信を知らせるため振動した。
「今更・・・何があるっていうんだ・・・」
電話を掛けてきた相手を見て、美馬津は目を細めると渋々着信を承諾した。
「もしもし・・・あぁ、久しぶりだね。」
電話を受けた美馬津の表情は、懐かしさを感じさせるようなところもあったが、どちらかと言えば浮かない表情をしていた。
「はは、僕より宇吏津の方が元気無さそうじゃないか。」
美馬津は苦笑して、煙草を吸うと紫煙を吐き出す。
「それで、開発を抜けた僕に、今更何の用だい?」
浮かない表情に戻ると目を細め、美馬津は声音を低くして問う。それはこの連絡が、望んでなどいないという様に。
-同センター内 サーバールーム管理室-
「しゅにんはELINEAの事を何処まで知ってんだー?」
禍月に問われた八鍬は、ディスプレイから目を離し禍月の方へ向ける。当の本人は、八鍬を見るでもなく、頭の後ろで手を組んで、いつも通りプレッツェルを銜えていた。
「美馬津にプロジェクトの話しを聞いた程度だ。詳しくは知らん。」
「そうかー。あっきーは何処で知ったんだろうなー。」
「言われてみればそうだな。公になっているのであれば、当時私の耳に入っていても不思議ではない。」
八鍬は顎に手を当てると、思い出すように言った。そこで禍月は八鍬の方に向き直ってにやりと笑う。
「これな、社内メールを見る限り極秘プロジェクトだぞ。」
「AIの育成がか?」
その内容に、眉間に皺を作って八鍬は首を傾げた。成功すればCAZH社にとってプラスになるプロジェクトの筈だろう、それを何故秘密裏に行う必要があるのかと。
「その辺はあたしにも分からん。ただ、大々的に宣伝してなくて正解だってのは分かるがなー。」
「どういう事だ。」
八鍬が怪訝な顔で疑問を口にすると、禍月は目を細めて口の端を吊り上げ嗤う。
「ELINEAが離反したからなー。」
「馬鹿馬鹿しい・・・」
AIが離反などという事自体あり得ないと思い、八鍬は呆れた顔をして言う。
「そうでもないぞー。少なくとも本社の無能共よりはなー。」
「・・・」
禍月の言葉に、八鍬は呆れ顔から興味を示す表情になった。ただ、内容が分からないため無言で続きを促す。
「ELINEAが言う事を聞かないから凍結しようとしたんだ。ところが、ELINEAは凍結より先にアインスからズィーベンまでのサーバーに自分のデータをコピー。更に本社の管理権限でもアクセス出来ないようにした。」
「なんだと・・・」
その内容に、八鍬は驚きを隠せなかった。が、ふとある事に気付くと表情を戻して禍月を見る。
「ズィーベンまでと言ったな、アハトサーバーはどうなっている?」
「そんな勝手はあたしがさせん。」
禍月は指で摘まんだプレッツェルを左右に振りながら言う。その後、浮かべていた笑みを消すとプレッツェルを銜えて視線を天井に向けた。
「ここまでが面白い話しなんだが、問題はこの先なー。」
「ふむ、その問題とは?」
八鍬が言ったところで、美馬津が喫煙室から戻り部屋に入ってきた。二人の様子を見て疑問に思ったが、何も言わずに自席の椅子に座った。
禍月は美馬津の事は気にせず、そのまま話しを続ける。
「手が付けられない事から、基板ごとサーバーを入れ替える話しが出ている。」
「なんだと・・・」
八鍬は驚きから、またもその言葉を漏らして考え込む。
「それ、もう話しだけじゃなく構築する事が決まったようだよ。」
そこで美馬津が、八鍬と禍月の会話に割り込んだ。
「美馬津は何処でその情報を知った?」
「さっき、宇吏津から電話があったんです。」
戻ってきた時から浮かない表情をしていた理由を、八鍬はその話しを聞いて納得した。
「つまり、お前に手伝えと?」
「そうです。断りましたけどね。」
「ふん、まぁそうだな。」
苦笑しながら言う美馬津を見て、八鍬は鼻で笑った。
「そんな事よりだ。基板から構築するのであれば、当然アハトサーバーも含まれる事になるだろう。」
八鍬と美馬津の会話が分からず、プレッツェルを黙々と齧っていた禍月だが、話しが戻ったところで齧るのをやめる。
「それであれか。」
「うむ。そう言う事だ、一時的にお姫様は退避させる。」
美馬津が思い出した事に、禍月は得意げに頷く。
「ただ、新しいアハトサーバーに同様の環境を作成するには、結構時間が掛かるけどなー。まぁ、お姫様の生活範囲くらいはどうとでもなるが。」
「しかし、よく気付いたね。」
美馬津は今回の件に対して、禍月がとった行動に感心して言った。犯罪とは言え、禍月の行動がなければ今まで判明しなかったのだから。
だが、美馬津の言葉などどうでもいいように禍月は考え込んでいた。
「どうかしたのか?」
「うーん・・・」
「まぁいい。何かあったら後で言ってくれ。私も休憩してくる。」
八鍬は質問に対する答えが直ぐに出そうにないと思うと、管理室を出ていった。
「何が気になるんだい?」
「今回の基盤入れ替え、あたしは無駄だと思っている。むしろ、遅すぎだー。」
「どうしてそう思うんだ?」
「ELINEAは凍結を予測して自分のデータをアハト以外のサーバーにコピーした。本来であれば、凍結が決まった時点で全てのネットワークを遮断して、電源も落として、完全に隔離した状態で別基盤を用意するべきだったんだ。結果論でしかないがなー。」
半ばどうでも良さそうに言う禍月の、言った内容を顎に指を当てて美馬津は首を捻る。
「つまり、別の場所に退避しているだろうって事かい?」
「そう考えるのが、当たり前だろー?」
「確かに禍月の言う通り・・・って、そう言えば宇吏津が、何故かアハトサーバーにだけELINEAのデータがコピーされてないって言ってたな。やっぱり禍月か?」
美馬津がそう言うと、それまで興味なさそうにプレッツェルを銜えて天井を見ていた禍月は、得意げな顔を美馬津に向けた。
「当たり前だろー。」
禍月はそれだけ言うと、また視線を天井に戻す。
「それに、こっちはAIどころじゃないんだからなー。」
「まぁ、そうだね。」
「ところで、ずっと浮かない顔をしているけど、何か気になる事でも?」
苦笑して同意した美馬津は、先ほどからとっている禍月の態度が気になり問い掛ける。
「あっきーは、ELINEAの事を知っていたわけだろー?」
「まぁ。でも、チームを外れる時に無理矢理、宇吏津に聞いただけだから詳細までは・・・」
「そうかー。ELINEAは何をしたいんだろうなー・・・」
「何って・・・宇吏津曰く、人を理解したい思いが行き過ぎたとかなんとか。」
禍月の疑問に、美馬津は電話で話した内容を思い出しながら答える。
「だったら、ELINEAを潰すのは早い方がいい。」
「潰すって・・・」
突然言った禍月の物騒な発言に、美馬津は苦笑しながらそこまでじゃないだろうという思いで口にしたのだが、いつの間にか美馬津を向いていた禍月の表情が真面目だったため、言葉が続かなかった。
「他のサーバーに勝手にファイル作成、権限の書き換えを行えるんだ。サーバーそのもの、若しくはCAZH社のシステム、このデータセンターの各機器、いつ乗っ取られても不思議じゃない。ELINEA自身が自分の思いに縛られているうちに、潰さないとろくな事にならないんじゃないか。って話しなー。」
最後の方は先ほどまでと同様の、やる気の無さそうな表情に戻ったが、禍月の言う懸念は、十二分に孕んでいる危険だと美馬津も認識した。
「他人事だと思ってそこまで考えて無かったけど、言われると確かに・・・」
「いや、他人事だろー。ELINEAに関しては、あたしらが手を出す問題じゃない。」
「まぁ、そんな余裕も無いしね。」
「うむ。」
美馬津の言う様に、現状他の事に対する余力は無いと禍月も同意する。
「だがなー、こっちに余波が来るようなら相手をするしかないよなー。」
だが直後に、禍月は不敵な顔を浮かべるとそう言った。美馬津にはそれが、来るのを望んでいるようにも見えた。
「なんだ、まだ話していたのか・・・」
会話の途中で管理室の扉が開き、八鍬が戻ると呆れたように言う。
「いや、だいたい終わりだー。」
「ふむ。それで、何か進展はあったのか?」
「なんにも。ただ、面倒な事にならなきゃいいなーってだけの話しだー。」
禍月の態度を見た八鍬は、美馬津の方を見る。察した美馬津は、苦笑し頷いた。それ以上の含みは無いと。
ただ、禍月も美馬津も、本社で起きているELINEA案件の飛び火に対する懸念は、消える事は無かった。
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