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……クッキー…?
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俺は今、自室にいる。
あれから、俺達は王国に戻り解散になった。世界樹に向かうのは一週間後だ。リリア達も貴族だから色々と調整をかけないとダメらしい。
この一週間はダラダラ過ごそうと思っている。……できればの話だけどな……俺はダラダラしたいんだけどな……周りがそうさせてくれないんだ……
「ねぇ!勇輝、買い物付き合って!」
ほらな……
「……またか?何を買いに行くんだよ?」
「んー…調理器具?」
「なんで疑問符ついてんだよ……」
結局、俺は美空の買い物に付き合うことになり、今は大型のショッピングモールに来た。
「ねぇ、勇輝はクッキーとマフィン、どっちがいい?」
キッチン用品を売っているフロアに来て、美空は商品を眺めながら問いかけた。
「クッキーとマフィン?……どちらかと言えばクッキーだな。」
「オッケー!」
美空は調理器具や製菓道具などなど……台所にありそうな物を『一式』買った。
「……なぁ、美空。」
「どうしたの?」
「……お前、料理したことあんのか?」
「あるわけないでしょ。」
当たり前のように美空が言う。
……だよな!そうだと思った!そうじゃないと器具を『一式』買わないよな!……俺が治療魔法を使わないことを願おう……
次は食材を売っているフロアに行き、買い物を終えバイクを止めた駐輪場に向かってる。ちなみに俺は美空が買った物を全部持たされてる。なかなかに重いぞ?調理器具があるからな……
「……で、俺はどんな毒物の実験に付き合わされるんだ?この材料は何に使うんだ?」
そう……何故かクッキーを作るはずの材料の中に醤油やら味噌やら……野菜も大量にある……野菜はいい。野菜クッキーなんてのもあるからな。けど……醤油や味噌は何にいるんだよ!?
「毒物の実験なんて人聞きの悪い!材料はクッキーを作るのに使うんだけど?」
「いつ!どこで!何のために!いるんだよ!」
「明日!家で!クッキーを作るために!いるんだよ!」
……回復魔法や治療魔法が得意なリリアはフィティトにいるし……俺の治療魔法で頑張るか……
翌日……
時間はちょうど三時半……母さんはどこかに出掛けていない。父さんは仕事だ。そして、リビングにある椅子に腰かけた俺の目の前には『ナニカ』がある。
「さ!私特製のクッキーを味わって!」
「ま、まず……感想を一ついいか?」
「うん!もちろん!」
「じゃあ、言わせてもらう。………これの…どこがクッキーだぁぁぁ!」
俺はテーブルにある『ナニカ』を指差して叫んだ。
「お前、クッキーがどんな食いもんか知ってるか!?クッキーは固形だろ!?なんでベトベトしてるんだ!?しかも食べようとは思わないいかにも毒って色だしな!?俺は今!魔王を討伐した時よりも命の危機を感じてる!」
冗談だと思うかもしれないが……マジで!本気だからな!?
「ちょっと失敗したからってそれは言い過ぎでしょ!せっかく作ったんだから食べてよ!」
「どこがちょっと失敗したんだよ!原型をとどめてないぞ!?こんなもん食ったら死ぬ!」
「はあ!?勇輝はもう少しオブラートに包むっていうことを覚えたら!?」
「包みたくても包めないくらいにお前のクッキーが酷いんだよ!いや!もはやクッキーでもない!食材が可哀想だ!」
「食材が可哀想なら勇輝が食べれば済む話でしょ!早く食べてよ!」
そんな攻防戦は父さんが帰ってくるまで続いた。
……で、今父さんは部屋で寝込んでる。
なんでかって?そんなの決まってんだろ?……美空の『クッキー』を食ったからだ……
父さんが仕事から帰ってきて……
「……それはなんだ?」
「私特製のクッキーだよ!良かったら食べて!」
「誰がこんなもん食うんだ!?」
「誰かが食べに来るかもしれないよね?孝介おじさん?」
「あ、あぁ……そうだな……ま、まぁ……見た目はあれでも意外と美味しい料理って結構あるだろ?試してみようぜ?」
「……マジで?やるなら父さん一人でな。」
「なっ!勇輝!?逃げるつもりか!?」
「当たり前だろ……」
ってな感じで父さんが『クッキー』の生け贄えになったのだった……
「うぅ……ヤバい……死にそう……勇輝……助けてくれ……」
「今、全力で治療魔法使ってる!」
俺はクッキーという名の毒を食べた父さんに全力で治療魔法を使っている。なのに全く効かない!なんでだよぉぉぉ!
結局、途中からはほとんど使い方を知らない『解毒魔法』を使った。
…………あのクッキー……毒物なんだな……まさか、『毒』扱いされるなんて……ハ、ハハハ……
あれから、俺達は王国に戻り解散になった。世界樹に向かうのは一週間後だ。リリア達も貴族だから色々と調整をかけないとダメらしい。
この一週間はダラダラ過ごそうと思っている。……できればの話だけどな……俺はダラダラしたいんだけどな……周りがそうさせてくれないんだ……
「ねぇ!勇輝、買い物付き合って!」
ほらな……
「……またか?何を買いに行くんだよ?」
「んー…調理器具?」
「なんで疑問符ついてんだよ……」
結局、俺は美空の買い物に付き合うことになり、今は大型のショッピングモールに来た。
「ねぇ、勇輝はクッキーとマフィン、どっちがいい?」
キッチン用品を売っているフロアに来て、美空は商品を眺めながら問いかけた。
「クッキーとマフィン?……どちらかと言えばクッキーだな。」
「オッケー!」
美空は調理器具や製菓道具などなど……台所にありそうな物を『一式』買った。
「……なぁ、美空。」
「どうしたの?」
「……お前、料理したことあんのか?」
「あるわけないでしょ。」
当たり前のように美空が言う。
……だよな!そうだと思った!そうじゃないと器具を『一式』買わないよな!……俺が治療魔法を使わないことを願おう……
次は食材を売っているフロアに行き、買い物を終えバイクを止めた駐輪場に向かってる。ちなみに俺は美空が買った物を全部持たされてる。なかなかに重いぞ?調理器具があるからな……
「……で、俺はどんな毒物の実験に付き合わされるんだ?この材料は何に使うんだ?」
そう……何故かクッキーを作るはずの材料の中に醤油やら味噌やら……野菜も大量にある……野菜はいい。野菜クッキーなんてのもあるからな。けど……醤油や味噌は何にいるんだよ!?
「毒物の実験なんて人聞きの悪い!材料はクッキーを作るのに使うんだけど?」
「いつ!どこで!何のために!いるんだよ!」
「明日!家で!クッキーを作るために!いるんだよ!」
……回復魔法や治療魔法が得意なリリアはフィティトにいるし……俺の治療魔法で頑張るか……
翌日……
時間はちょうど三時半……母さんはどこかに出掛けていない。父さんは仕事だ。そして、リビングにある椅子に腰かけた俺の目の前には『ナニカ』がある。
「さ!私特製のクッキーを味わって!」
「ま、まず……感想を一ついいか?」
「うん!もちろん!」
「じゃあ、言わせてもらう。………これの…どこがクッキーだぁぁぁ!」
俺はテーブルにある『ナニカ』を指差して叫んだ。
「お前、クッキーがどんな食いもんか知ってるか!?クッキーは固形だろ!?なんでベトベトしてるんだ!?しかも食べようとは思わないいかにも毒って色だしな!?俺は今!魔王を討伐した時よりも命の危機を感じてる!」
冗談だと思うかもしれないが……マジで!本気だからな!?
「ちょっと失敗したからってそれは言い過ぎでしょ!せっかく作ったんだから食べてよ!」
「どこがちょっと失敗したんだよ!原型をとどめてないぞ!?こんなもん食ったら死ぬ!」
「はあ!?勇輝はもう少しオブラートに包むっていうことを覚えたら!?」
「包みたくても包めないくらいにお前のクッキーが酷いんだよ!いや!もはやクッキーでもない!食材が可哀想だ!」
「食材が可哀想なら勇輝が食べれば済む話でしょ!早く食べてよ!」
そんな攻防戦は父さんが帰ってくるまで続いた。
……で、今父さんは部屋で寝込んでる。
なんでかって?そんなの決まってんだろ?……美空の『クッキー』を食ったからだ……
父さんが仕事から帰ってきて……
「……それはなんだ?」
「私特製のクッキーだよ!良かったら食べて!」
「誰がこんなもん食うんだ!?」
「誰かが食べに来るかもしれないよね?孝介おじさん?」
「あ、あぁ……そうだな……ま、まぁ……見た目はあれでも意外と美味しい料理って結構あるだろ?試してみようぜ?」
「……マジで?やるなら父さん一人でな。」
「なっ!勇輝!?逃げるつもりか!?」
「当たり前だろ……」
ってな感じで父さんが『クッキー』の生け贄えになったのだった……
「うぅ……ヤバい……死にそう……勇輝……助けてくれ……」
「今、全力で治療魔法使ってる!」
俺はクッキーという名の毒を食べた父さんに全力で治療魔法を使っている。なのに全く効かない!なんでだよぉぉぉ!
結局、途中からはほとんど使い方を知らない『解毒魔法』を使った。
…………あのクッキー……毒物なんだな……まさか、『毒』扱いされるなんて……ハ、ハハハ……
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