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宣言
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翌日……
今日は、正式にこの里の精霊族に人間との交流を再開するっていうのを公言することになっている。けど!その前にアイツを連れてこないとな。そういう約束だったし。
「シーマルさん、ちょっと急なんだが……俺の幼なじみを連れて来てもいいか?精霊族に会いたいって言っててな。」
「もちろん大丈夫ですじゃ。むしろ、賑やかになって大歓迎ですじゃ!何人でも大丈夫ですじゃ!勇者様が話されていた異世界の幼なじみですじゃ?」
「ああ、この世界には精霊族や人間とは別の種族もあるって言えば「精霊族に会ってみたい!」って言われてな。人間が使う魔法とは違う魔法を使うってところに惹かれたみたいだ。」
「精霊族の魔法に興味がおありですじゃ?ワシらで良ければ魔法はいくらでもお見せできるですじゃ。いつでも言って下さいですじゃ。」
「おう!サンキュー!じゃ、ちょっと連れてくるわ。」
「いってらっしゃい、ですじゃ。」
俺は魔道具を起動して、自室に転移した。
……今日は父さんは仕事休みだったよな?どうせなら皆で行くか。後々、向こうで暮らすなら慣れていった方がいいだろうしな。
そんなことを考えながらリビングに移動した。
「よう!父さん、母さん。一週間ぶりくらいか?」
「勇輝の感覚はそうなのね~私達はいつもと変わらないわ~」
そういやそうだったな。
「美空は何してるか知ってるか?」
「多分、もうすぐ来ると思うぞ。」
ピンポーン
「夏菜姉~来たよ~」
……ホントに来た……
「あっ!勇輝!起きてたんだ!」
「起きてたも何もさっきまでフィティトで精霊族と一緒にいたぞ。」
「精霊族と!?どうなの!?会えそうなの!?」
めっちゃ興奮してるな。
「会えるから迎えに来たんだ。父さんと母さんも一緒にどうだ?」
「あら~楽しそうね~一緒に行くわ~♪」
「楽しみ~」
母さんと美空はノリノリだな。
「……行かないって言っても連れていかれるから初めから行くことにする。」
……賢明な判断だと思うぞ、父さん……
俺は再び魔道具を起動して、次はフィティトに戻ってきた。
「シーマルさん、戻ったぞ。」
「皆様、よくおいでくださいましたですじゃ。ワシはこの精霊族の里の長老のシーマルですじゃ。よろしくお願いいたしますですじゃ。」
「勇輝の幼なじみの美空です!よろしくお願いします!」
「私は勇輝の母です~夏菜っていいます~よろしくお願いします~♪」
「あー…勇輝の父の孝介です。よろしくお願いします。」
さて、自己紹介も済んだし、そろそろ里の皆に正式発表の時間だな。
「勇者様、そろそろ時間だよ。」
シーマルさんも含めて、リリア達や家族皆で話しているとスピカが知らせに来てくれた。
「おう。じゃあ、行くか。」
俺達が向かったのは里全体を眺めることが出来る、少し小高い場所だ。そこには、精霊族が魔法で造ったステージがある。ただ、ステージって言ってもそれなりに豪華だ。このステージで発表するからな。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。」
スピカがステージに立って場を仕切る。
「皆も知ってると思うけど、今私達の里には勇者様方がいらっしゃる。でも何故、勇者様方がお越しになられたか知らない人も多いと思う。今から、勇者様方がお越しなられた理由を勇者様ご本人に語っていただくよ。もちろん、精霊族にとって大切なことだからキチンと聞いてね。…では、勇者様。よろしくお願いします。」
俺はスピカがステージ袖に出たのを確認して、ステージの中心に立つ。ステージ自体も少し高くなっていて、ステージ付近に集まった精霊族が全員見渡せる。……スピカと同年代の人が多いな。
正式に交流を再開するには、どちらの立場でもない人が見届け人にならないといけないらしい。勇者は別の世界から来た人物で、王国でも精霊でもない、中立な立場になるから見届け人になれるらしい。精霊の代表はシーマルさんで、王国の代表はリリアだ。
「精霊族の皆、いきなり訪れた俺達を歓迎してくれてありがとう。今回、俺達は『精霊と人間の交流の再開』を考えてもらえないか、という打診をしに来たんだ。」
精霊族は静かに俺の言葉に耳を傾ける。
「過去に人間が精霊にした仕打ちは、俺も理解している。けど、人間は代わり続ける。人間より寿命の長い精霊にしたら『たった数百年』でも、人間の感覚では『大昔の話』なんだ。そんな『大昔の話』でも、人間は精霊族に罪悪感を忘れたことはなかった。人間は、精霊達に謝罪して、互いに有益になるような関係を築きたいと考えていた。」
俺は集まった精霊達を見渡す。
「ここに集まってくれた皆に聞く。……もう一度、人間との交流を考えてくれないだろうか?俺は、国関係者でもなく、ましてやこの世界の住人ではないから、精霊族がどんな選択をしても口を出すことはない。」
あえて、間を空ける。
「………人間と交流を再開してもいい…そんな風に思ってくれたなら、互いの交流の引率者であるシーマル長老と、人間の国フィアリー王国のリリア第一王女に拍手を!」
……パチパチ
小さな、手を叩く音がした……
パチパチッパチパチパチパチッ
その音は次第に大きくなっていき、最終的には歓声が上がった。俺は聖剣を掲げた。
「長い年月の間、互いに睨み合っていた精霊族と人間!その二つの種族が手を取り合い、友好関係になった!それを、女神から聖剣を授かりし勇者が宣言する!」
『ワアアアァァァァァ!!』
里中から、叫び声にも聞こえる歓声が聞こえた。
……この日、里が出来て史上最高の歓声が里中に響き渡ったのだった……
今日は、正式にこの里の精霊族に人間との交流を再開するっていうのを公言することになっている。けど!その前にアイツを連れてこないとな。そういう約束だったし。
「シーマルさん、ちょっと急なんだが……俺の幼なじみを連れて来てもいいか?精霊族に会いたいって言っててな。」
「もちろん大丈夫ですじゃ。むしろ、賑やかになって大歓迎ですじゃ!何人でも大丈夫ですじゃ!勇者様が話されていた異世界の幼なじみですじゃ?」
「ああ、この世界には精霊族や人間とは別の種族もあるって言えば「精霊族に会ってみたい!」って言われてな。人間が使う魔法とは違う魔法を使うってところに惹かれたみたいだ。」
「精霊族の魔法に興味がおありですじゃ?ワシらで良ければ魔法はいくらでもお見せできるですじゃ。いつでも言って下さいですじゃ。」
「おう!サンキュー!じゃ、ちょっと連れてくるわ。」
「いってらっしゃい、ですじゃ。」
俺は魔道具を起動して、自室に転移した。
……今日は父さんは仕事休みだったよな?どうせなら皆で行くか。後々、向こうで暮らすなら慣れていった方がいいだろうしな。
そんなことを考えながらリビングに移動した。
「よう!父さん、母さん。一週間ぶりくらいか?」
「勇輝の感覚はそうなのね~私達はいつもと変わらないわ~」
そういやそうだったな。
「美空は何してるか知ってるか?」
「多分、もうすぐ来ると思うぞ。」
ピンポーン
「夏菜姉~来たよ~」
……ホントに来た……
「あっ!勇輝!起きてたんだ!」
「起きてたも何もさっきまでフィティトで精霊族と一緒にいたぞ。」
「精霊族と!?どうなの!?会えそうなの!?」
めっちゃ興奮してるな。
「会えるから迎えに来たんだ。父さんと母さんも一緒にどうだ?」
「あら~楽しそうね~一緒に行くわ~♪」
「楽しみ~」
母さんと美空はノリノリだな。
「……行かないって言っても連れていかれるから初めから行くことにする。」
……賢明な判断だと思うぞ、父さん……
俺は再び魔道具を起動して、次はフィティトに戻ってきた。
「シーマルさん、戻ったぞ。」
「皆様、よくおいでくださいましたですじゃ。ワシはこの精霊族の里の長老のシーマルですじゃ。よろしくお願いいたしますですじゃ。」
「勇輝の幼なじみの美空です!よろしくお願いします!」
「私は勇輝の母です~夏菜っていいます~よろしくお願いします~♪」
「あー…勇輝の父の孝介です。よろしくお願いします。」
さて、自己紹介も済んだし、そろそろ里の皆に正式発表の時間だな。
「勇者様、そろそろ時間だよ。」
シーマルさんも含めて、リリア達や家族皆で話しているとスピカが知らせに来てくれた。
「おう。じゃあ、行くか。」
俺達が向かったのは里全体を眺めることが出来る、少し小高い場所だ。そこには、精霊族が魔法で造ったステージがある。ただ、ステージって言ってもそれなりに豪華だ。このステージで発表するからな。
「皆、今日は集まってくれてありがとう。」
スピカがステージに立って場を仕切る。
「皆も知ってると思うけど、今私達の里には勇者様方がいらっしゃる。でも何故、勇者様方がお越しになられたか知らない人も多いと思う。今から、勇者様方がお越しなられた理由を勇者様ご本人に語っていただくよ。もちろん、精霊族にとって大切なことだからキチンと聞いてね。…では、勇者様。よろしくお願いします。」
俺はスピカがステージ袖に出たのを確認して、ステージの中心に立つ。ステージ自体も少し高くなっていて、ステージ付近に集まった精霊族が全員見渡せる。……スピカと同年代の人が多いな。
正式に交流を再開するには、どちらの立場でもない人が見届け人にならないといけないらしい。勇者は別の世界から来た人物で、王国でも精霊でもない、中立な立場になるから見届け人になれるらしい。精霊の代表はシーマルさんで、王国の代表はリリアだ。
「精霊族の皆、いきなり訪れた俺達を歓迎してくれてありがとう。今回、俺達は『精霊と人間の交流の再開』を考えてもらえないか、という打診をしに来たんだ。」
精霊族は静かに俺の言葉に耳を傾ける。
「過去に人間が精霊にした仕打ちは、俺も理解している。けど、人間は代わり続ける。人間より寿命の長い精霊にしたら『たった数百年』でも、人間の感覚では『大昔の話』なんだ。そんな『大昔の話』でも、人間は精霊族に罪悪感を忘れたことはなかった。人間は、精霊達に謝罪して、互いに有益になるような関係を築きたいと考えていた。」
俺は集まった精霊達を見渡す。
「ここに集まってくれた皆に聞く。……もう一度、人間との交流を考えてくれないだろうか?俺は、国関係者でもなく、ましてやこの世界の住人ではないから、精霊族がどんな選択をしても口を出すことはない。」
あえて、間を空ける。
「………人間と交流を再開してもいい…そんな風に思ってくれたなら、互いの交流の引率者であるシーマル長老と、人間の国フィアリー王国のリリア第一王女に拍手を!」
……パチパチ
小さな、手を叩く音がした……
パチパチッパチパチパチパチッ
その音は次第に大きくなっていき、最終的には歓声が上がった。俺は聖剣を掲げた。
「長い年月の間、互いに睨み合っていた精霊族と人間!その二つの種族が手を取り合い、友好関係になった!それを、女神から聖剣を授かりし勇者が宣言する!」
『ワアアアァァァァァ!!』
里中から、叫び声にも聞こえる歓声が聞こえた。
……この日、里が出来て史上最高の歓声が里中に響き渡ったのだった……
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