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関所の前で…

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翌日……

俺とエレンさん、ギルアスさんは関所の前でリンファさんを待っている。

「おっ!もう来とったんや!アタシより早いやん!」

「ヒビキが時間にうるさいからな。集合時間の十分前には着いてたぞ。」

いやいや……俺がおかしいみたいな言い方だけど……集合時間の十分前…最低でも五分前には集合場所に着くように出るって常識じゃないか?

「ヒビキはんは真面目なんやなぁ。」

リンファさんは感心したように言う。

「……で、ギルアスはん…アレ、伝えたん?」

「いや…まだだな。」

「そうかいな…伝えんでええんか?」

「伝えたら行かないって言いそうだからな……」

「そうなんや?とりあえず、アタシは関与せえへんで。ヒビキはんとエレンはんに嫌われたないねん。」

「……分かった。」

ギルアスさんとリンファさんが何かコソコソと話してるけど…何を話してるかは聞こえないな。まぁ…別に知らなくてもいいことだから話さないだけだろうしな。

「ギルド長~まだ行かないんですか?」

「あー……いや…実はな……後一人、一緒に行くヤツがいるんだよな……」

「そうなんですか?」

「ああ……来たな……」

ギルアスさんが向いた方を見ると、ダグラスさんが歩いてきた。俺は咄嗟にギルアスさんの後ろに隠れた。

……聞いてない…ダグラスさんが一緒とか、聞いてない……ヤバい…気まずいのに加えて怖い……

「……ギルド長…まさかあの人が一緒なんて言いわないよね?」

「……そのまさかだ。」

「……ギルド長…本気で言ってるんですか…?」

……エレンさん…なんか怒ってるような……?

「……あぁ。」

「ギルド長!昨日の今日でわざわざ一緒じゃなくても良かったでしょ!!人の気も知らずに!私はヒビキとルネの街に残ります!勝手に行ってください!」

あれ?…まさか俺のことで怒ってる…のか?てか、ここ『ルネ』って名前の街だったのか……

「ヒビキ、スイ、二人とも帰ろう?無理しなくていいから……」

「あの……俺は大丈夫…なので……」

ギルアスさんも何か理由があって誘ったんだろうし……

「……大丈夫じゃ、ないでしょ…?」

エレンさんが俺の片手を両手で包み込んだ。

……手…また震えてるのか……?

「……暖かい…です…」

「そ、そうかな?昔から体温高くて…」

エレンさんの顔がだんだんと赤くなっていく。

……どうしたんだ?熱があるわけじゃなさそうだけど……

「エ、エレンさん?大丈夫…ですか?顔赤いですよ?体調悪いんですか?」

念のために額に触れて体温を確かめた。

「ふぇっ!?う、ううん!そうじゃないよ!?」

……うん、ちょっと高いような気もするけど、熱があるって感じじゃないな。

「熱はなさそうですね。良かったです。」

「うん……あ、ありがとう……」

俺から目を逸らしたエレンさんの頬はまだ赤い。

……本当に大丈夫か?

「あの…さっきのなんですが……俺は大丈夫なので一緒に行きませんか?王都も気になりますし……」

「……ヒビキがそれでいいなら私はそれでもいいけど……無理しちゃダメだよ?」

「分かりました、エレンさん。」

安心してもらえるように、微笑んでみる。出来てるかは知らないけどな。

カァッとエレンさんの頬が赤く染まった。

「うん…わ、分かってるならいいよ。ほ、ほらギルド長!リンファさん!早く行くよ!」

エレンさんが走って街の門に向かう。

アレ…また転ける気がするな……

俺はエレンさんの後を追いかけた。

「わっ!?」

ほら!

「大丈夫ですか?」

俺がエレンさんの体を支えて、転けないようにした。

「あ…う、うん。だ、大丈夫…だよ。あ、ありがと!」

「どういたしまして。」

俺とエレンさんを先頭に、次は転けないように歩いて門まで向かい、皆で門を出たのだった……





「……なぁ、ギルアスはん。あの二人付き合ってるん?」

「いや、違うな。エレンは完全にヒビキに一目惚れだったんだけどな。ヒビキがさっきエレンが転けそうになって助けたのも、ただ単なる善意だな。」

「マジかいな……エレンはん、気の毒やなぁ……」

「ああ……アイツは自覚無しで女を口説いていくタイプだな。」

「ホンマに……ライバル多くなるなぁ…アタシも負けんようにせな!」

「……は?リンファ?お前、マジで?」

「アタシは本気や!頑張るでぇ~!」

「「はあ~~~~~!?」」

会話に入っていなかったダグラスもこの時ばかりはギルアスと叫んだのだった……

ヒビキ達は後ろでこんなことを話していたのを知るよしもない。


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