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18.再会
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応接間に行くと、レイノルドと連れてきた若い部下とダラスが揃っていた。
外套を脱いでタオルを被り、濡れたまま遠慮なく座るレイノルドの後ろで部下は直立している。
体を温めるお茶が出され、部下にも座るように促す。
向かい合って座ると、ダラスが口を開いた。
「屋敷全て検めましたが、鍵を壊された場所などはありませんでした。屋敷内に侵入者も現在確認できません。
荒らされていたのは、旦那様の書斎のみです」
ちらりと部下に目をやると、視線の意味が分かったのか、強張った表情で口を開いた。
「逃走した方角を探しましたが、東の通用門が開いており、出たところに新しめの馬車の車輪の跡がありました。
奥方様の近くに剣が落ちていましたので、回収しています。それ以外の手掛かりは見つけられませんでした。申し訳ありません」
「いやいや、ほんとご苦労様。
どうも、警備の者たち怪しい香か薬を使われてたみたいだね。特に外傷はなく無事だけど、しびれが残ってるから休ませてるよ。
まあ、簡単に侵入を許しているし、警備から外さざるを得ないね。さらに元気になったら鍛えなおしだね」
レイノルドはいつの間にか警備の者たちの安否を確認してくれていたらしい。
この若い部下は何度か見たことはあるが、言葉を交わすのはこれが初めてだ。すらりとした体躯に金に近い薄茶色の髪、瞳の色は淡青色。まだ幼さを残すが人懐っこさと爽やかさが印象に残る整った顔。
「名は」
「少尉のラスティン・ワイナールです!昨年、将軍の団に配属され、光栄に思っております!」
「ラスティンか、今日はご苦労だったな。感謝する」
「とんでもありません!あ、憧れのワーズナース将軍の少しでもお役に立てば!光栄です!」
突然、ラスティンは飛び上がって敬礼する。若い部下の自分に対する印象は分かっているつもりだが、そうも畏まらなくてもよいのだが。
横でレイノルドがくすくす笑って、座らせている。
「ラスティン君は若手では一番の期待の星で成長株だけど、お前を尊敬してやまないのも一番みたいなんだよねー。わんこみたいだよねー」
訝し気な表情になっていただろう俺に、レイノルドがおかしそうに説明してくれる。その言葉に、何故かラスティンは恐縮している。
そこにノックの音がして、ガウンを羽織ったシェリルノーラが入ってきた。立ち上がり、自分の隣に誘導する。入浴して温まったのか、ほんのり頬が上気している。
「シェリルノーラです。お二方とも、このような深夜に駆けつけてくださり、感謝申し上げます」
固い顔でそう述べると、2人に頭を下げる。向かいに座る二人に目をやると、ラスティンでシェリルノーラの視線が止まる。
「……ラス?」
「はい。ご無沙汰しております、シェリルノーラ様。昨年、念願叶って将軍の団に配属されました。ご無事でなによりです」
笑顔で答えたラスティンに、驚いた顔をしたシェリルノーラも緊張の溶けた、嬉しそうな初めて見る表情になる。
「彼とは父の屋敷で顔見知りでして」
隣でその変化を見ていた俺の視線に気づいたのか、簡単に説明してくれる。
今は侵入者の情報を聞き、早く休ませなければならない。そのため、それ以上は追求できなかった。
外套を脱いでタオルを被り、濡れたまま遠慮なく座るレイノルドの後ろで部下は直立している。
体を温めるお茶が出され、部下にも座るように促す。
向かい合って座ると、ダラスが口を開いた。
「屋敷全て検めましたが、鍵を壊された場所などはありませんでした。屋敷内に侵入者も現在確認できません。
荒らされていたのは、旦那様の書斎のみです」
ちらりと部下に目をやると、視線の意味が分かったのか、強張った表情で口を開いた。
「逃走した方角を探しましたが、東の通用門が開いており、出たところに新しめの馬車の車輪の跡がありました。
奥方様の近くに剣が落ちていましたので、回収しています。それ以外の手掛かりは見つけられませんでした。申し訳ありません」
「いやいや、ほんとご苦労様。
どうも、警備の者たち怪しい香か薬を使われてたみたいだね。特に外傷はなく無事だけど、しびれが残ってるから休ませてるよ。
まあ、簡単に侵入を許しているし、警備から外さざるを得ないね。さらに元気になったら鍛えなおしだね」
レイノルドはいつの間にか警備の者たちの安否を確認してくれていたらしい。
この若い部下は何度か見たことはあるが、言葉を交わすのはこれが初めてだ。すらりとした体躯に金に近い薄茶色の髪、瞳の色は淡青色。まだ幼さを残すが人懐っこさと爽やかさが印象に残る整った顔。
「名は」
「少尉のラスティン・ワイナールです!昨年、将軍の団に配属され、光栄に思っております!」
「ラスティンか、今日はご苦労だったな。感謝する」
「とんでもありません!あ、憧れのワーズナース将軍の少しでもお役に立てば!光栄です!」
突然、ラスティンは飛び上がって敬礼する。若い部下の自分に対する印象は分かっているつもりだが、そうも畏まらなくてもよいのだが。
横でレイノルドがくすくす笑って、座らせている。
「ラスティン君は若手では一番の期待の星で成長株だけど、お前を尊敬してやまないのも一番みたいなんだよねー。わんこみたいだよねー」
訝し気な表情になっていただろう俺に、レイノルドがおかしそうに説明してくれる。その言葉に、何故かラスティンは恐縮している。
そこにノックの音がして、ガウンを羽織ったシェリルノーラが入ってきた。立ち上がり、自分の隣に誘導する。入浴して温まったのか、ほんのり頬が上気している。
「シェリルノーラです。お二方とも、このような深夜に駆けつけてくださり、感謝申し上げます」
固い顔でそう述べると、2人に頭を下げる。向かいに座る二人に目をやると、ラスティンでシェリルノーラの視線が止まる。
「……ラス?」
「はい。ご無沙汰しております、シェリルノーラ様。昨年、念願叶って将軍の団に配属されました。ご無事でなによりです」
笑顔で答えたラスティンに、驚いた顔をしたシェリルノーラも緊張の溶けた、嬉しそうな初めて見る表情になる。
「彼とは父の屋敷で顔見知りでして」
隣でその変化を見ていた俺の視線に気づいたのか、簡単に説明してくれる。
今は侵入者の情報を聞き、早く休ませなければならない。そのため、それ以上は追求できなかった。
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