拾われた後は

なか

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1.出会いました

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   夏休みの補講を終えた僕は炎天下の中、駅から家までの道を歩いていた。今日は猛暑日になりますと朝のニュースで言ってた。冷やし中華だな。夕飯は冷やし中華一択だ。

   あまりの暑さにくらくらすると思ったことは覚えてるんだけど、



   ここどこ?


   住宅街ではなく、森だ。
樹々のいい匂いがする。森林浴なんて久しぶりだなぁと現実逃避気味に考えていた。

   ガサガサッと音がした方をみる。
血の気が引くってこのことか、僕の目の前には紅い目の大蛇がいた。

   これ夢だよね。
日本昔ばなしじゃないんだから、こんな大きな蛇、日本にはいないよね。

   にしても、怖い!!

   逃げなくては、と頭では分かっても、全く動けない。僕に向かい、ゆっくりと蛇が近づいてくる。
   蛇が鎌首をもたげた。飛びかかってくる。

   その瞬間、僕は強く目をつぶった。


   風とズザッという音。その後に、何かがボトリと落ちる気配がした。

   おそるおそる目を開けると大きな背中。
足元に血塗れの蛇の頭が落ちていた。


「ひぃっ」


   思わず目の前の背中にすがりつく。
背中といってもほぼ腰だ。
フサっと尻尾が当たる。

   がちがちの筋肉。
うらやましい……。
   ん?尻尾?


「大丈夫か?」


   そう振り返った男性。
逆光で顔がよく見えない。
しかしその頭に見慣れない三角の耳が見えた。そこで僕の意識は途絶えた。

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