~俺は人のスキルを『コピー』することでこの世界を生き抜く~

W.K

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サスの大砂漠編

introduction 

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  金持ちになりたい、かっこよく生きていきたい、甲子園で優勝したい、好きなあの子と付き合いたい。
誰しも大小関わらず自分の夢を持っている。
ただ、その夢を叶えれて、幸せに生きれてるやつは何人いるのだろうか。
大体のやつは夢を諦めてしまう。
これは一度夢を諦めて生きていた者の物語

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俺の名前は水下 留衣。 
名前が女子っぽいって言われるが、はっきり言っておく、俺は男だ。
 勉強も普通、運動神経も普通、顔も普通の奴だ。 
ただ人と唯一違うとこ、欠点だが、それはコミュニケーションが下手くそな、陰キャと言う事。
いや、みんなが俺のことをそう思っているってことを知ってしまった悲しき男だ。
ちな、運もすごく悪い…
ん、なんでこんな変なことを言い方してるんかだって。
そんなことどうだっていいじゃないか。
俺は残酷な現実を知ってしまったからだよ。
だから、それが何かっだって?
そんなプライバシーに関すること聞いてくるな。
いいか、人には一つくらい言いたくないような過去を持ってるものなんだ。
そして、人はそれを乗り越えて今を生きていってるんだ。
だから、今のことに全力を捧げろよ。
『あーねそこまで触れてほしくない過去なのね』とか考えたそこのあなた、覚悟しとけよ。
まあ、いい。
大事なのは今のことだ。
そう今が大事なのだ。
俺は少し前、現実を知り、落胆した。
なぜかって?
それは俺がアニメとかに出てくる特別な奴じゃないって気付かされたからだ。
俺は昔、自分はあまりと違ってすごい奴なんで自分で思っていた。
いや、思い込んでいたと言った方が正しいか。
ともかく、自分は中二病だったと言うことだ。
俺もこんな勇者だって勘違いしてしまった。
俺、カッケーとか本気で思っていたし…
はぁ、なぜ自分で言っときながらこの言葉にショックを受けているのだろうか… 
今でもこんなこと言っていたのかと思うと恥ずかしくなる。
ただその時は本気で俺は世界の頂点に君臨してて、いつかアニメで出てくるような、スッゲー魔法とか打てるようになるって考えてたんだよ。
そしてそれが、夢だったんだ。
勘違いするなよ。
これ考えてたん中学生の時までだからな。
そう、高校生の俺はこんなこと考えてないからな。
まあ、こんなこと考えてたら友達はだんだん離れていってー
おまけにコミュニケーションも下手くそでー
いつのまにか一人ぼっちになるのも当然でー
そして気づきました。
俺が間違っていたことに。
そう、この世界に魔法なんてなくてー
俺は普通の凡人でー
世間でこんなこと考えてる奴は頭がおかしい奴と認識されてしまうと言うことにー
そして俺は一念発起した。
よし、中二病を卒業しよう。
そして高校デビューするんだ。
そう決心した入学式から今日で一週間がすぎた。
手応えは上々だ。
既存のやつ一人を除いてクラスの男子とは全員に話しかけれた。
ただそれだけだが前のことを思えば大きな進歩だ。
しかも、既存の奴っていうのは

 「お前ももちろん剣道部に入るよな?」 

 不意に隣から声が聞こえてきた。
言葉に反応して横を向くと、俺の目には屈託のないスマイルのイケメンが映ってきた。 
こいつの名前は島本 健吾だ。
 こいつは頭脳明晰、運動神経バツグンとまさに文武両道を具現化したような奴だ。
 おまけに顔まで整っていて、コミュニケーション能力も高い。
さらにさらに、こいつ俺と違ってすごーーく運がいい。
 おそらく神様に愛されているのだろうと思えるほど完璧で非の打ち所が無い奴。
そしてこいつがさっき説明しようとした既存のやつだ。
 既存どころじゃない。俺と島本は幼い頃からの親友だ。
母親同士が仲がよくて物心がついたときから彼とはいつも一緒に遊んでいた。 
その頃から彼との腐れ縁はずっと続いてきた。
小学校から中学三年生までずっと同じクラス。 
おまけに中学の部活まで一緒。 
あっこれは関係ないか。
 俺が島本に誘われて入っただけだったもんな。
 とにかく昔からずっと一緒にいたからかこいつと俺の好みだって似てる。 
ただ、こいつはアニメが好きっていうところまでで、中二病ではなかったけど。
まあ、けど中二病を終わらせられた原因もこいつだった。
こいつがすごすぎて自分が平凡なんだと気付かされたのだ。
はあ、なんで一緒に行動してて、なんで生まれながらもっている能力はこんなに違うのだろうか。

「おいなんとか言えよ」

 いけない、また自分の世界へ入ってしまっていたようだ。 
島本の顔がいつの間にか不機嫌そうな顔になっていた。 

「ごめん、ごめん。ぼーっとしてた。んでなんだって」 

「お前はいつもそうだよな。まあいい、お前は剣道部に入るよな?」 

「うーん。今どうしようか悩んでる」 

「なんでだよ。中学校の頃のように俺と一緒に戦おうぜ」 

「お前は中学校でレギュラーだったけど、俺は補欠だったしな。剣道は好きだけどやっぱり補欠だったら楽しくないと思うんだよな」 

「そんなこと言わずにさ、ほら剣道部にレベルの高い先輩だっているらしいぞ」 

 「そんなの興味ないし」

 嘘だ。
 俺だって高校生なんだ。
 スタイルのいい女子に興味が無い訳ではない。
 ただそんなしょうもない言葉にのりたくなかっただけだった。

 「ちえ。つまんないの」

 「何とでもいえ」

 こんな馬鹿げたことを言って笑い合う。
こうするとなんで俺は自ら大切な友達を失っていっていたのかと疑問に思ってしまう。
全く、過去の自分に言ってやりたい。
現実を見ろと。

 そして俺らは横断歩道へとたどり着いた。
 その時、隣からいい匂いしてくる。
 隣を見ると、そこには見たことがある人がいた。 
彼女の名前は江良 風海。 
俺らのクラスメイトで学校一の美少女と言われているような人だ。 
その上高校入試では歴代初の満点で合格している、まさに才色兼備と言う言葉が似合っている人だ。
 そんな人を男子が逃すわけも無い。 
もちろん新学期が始まってから一週間で二桁以上の男子が告白して、撃沈した。 
その上、告白の返事はただ『すいません、あなたとは付き合いません』としか言われない、いわゆる塩対応。 
そういうわけで巷では氷姫と言われているのだ。
 まあ、それは振られた奴らだけなんだろうけど。
 その時反対側から島本が耳元で話しかけてくる。

 「おい、なに江良に見とれてるんだよ。なんだお前も好きなのか」 

さっきも少し言ったが、俺とこいつの好みは似ている。
おそらく俺が好きなのだったら、こいつも好きだろう。 

「そんなことないって。ただきれいだなと思っただけだ」

 ただ俺だって分かっている。
俺なんかとじゃ釣り合わない事なんて。 
おそらくこんなきれいな人は完璧超人の島本とかがお似合いなんだろう、と そんなことを考えていた矢先、交差点の奥の方から「キャー」っと叫び声が聞こえてくる。 

 その声に反応してそっちの方へ振る向いた俺の目には驚くべき光景が広がっていた。
 それはトラックが歩行者に向かって突進している姿だった。 
そしてそれは…………俺らの方へ突進してきた。 
もちろん俺は逃げようとする。
 ふと隣を見ると固まっている島本が居た。 

「おい、何やってんだ。早く逃げるぞ。動け」 

「無理だ。なぜが動けない」 

おそらく恐怖で腰が抜けてしまったのだろう。
ったく何してるんだよ、こいつ…
 ってそんなこと考えている場合じゃない。
振り返るとトラックは目の前まで来ていた。
 その時の俺は考えなしに動いていた。
 俺は島本の背中を目一杯押した。

「えっ」 

そんな声を出しながらトラックの影から出た島本。
 それを見届けた瞬間、背中に激痛が走った。
そしてそのまま俺は地面に叩きつけられた。 
ただ痛いだけの感覚しか無い。 
そこで俺は車にひかれたとわかった。
 そして同時に自分の死期が近いことも悟った。 

「水下ーーーーーー」 

島本の呼ぶ声が聞こえてくる。
 島本は助かったのだろう。 
その時、少し遠くでなっていたエンジン音が止まった。
 そしてそれと同時に『ドカーン』っと爆音が聞こえてくる。
 そしてその音と辺りに起きた爆風は弱っている俺の五感を刈り取るには十分だった。

  そして五感は消えたが意識はまだあった。 
しかしそれも残り数十秒だとわかっていた。
 その時真っ暗な世界の中の俺に自分の人生の思い出が見えてくる。
 おそらくこれが死ぬ前に見ると言われている走馬灯って言うやつだろうか?
俺は自分の人生を振り返る。
俺の思い、考え、しがらみ、夢…
  もしかしたら諦めたヒーローみたいになるって言うのもさっきので叶ったのかもしれない。
ただ、死ぬと言うこと、つまり俺が消えることをそんなポジティブに捉えられていない自分もいた。
 なぜそんなことをしてしまったのだろうか。
しかし、先ほど、人生を振り返った俺にその問いの答えを見つけるのは思いのほか簡単なことだった。
おそらくもう人が悲しむ姿や苦しむ姿を見たくなかっただろう。
なら満足だなと思い直そうとする。
 しかも、人生の最後なのだ。
満足してすっきり去った方がいい。 
そう、どっかの漫画のように。
かっこよく去ろう。
 しかし、そう思ってもどうしても言えなかった。 
その代わりの、自分に言えた言葉はただ一つの後悔だけだった。

 「死にたくない」

失ってからじゃ無いとそのものの本当の価値は分からない。
今の俺には今までの人生に後悔があるのだと思う。
そう考えると同時に涙が出てくる。 
 
 その時、俺はある事に気づいた。
不思議なことが起こっていることに。 
なぜ言葉が言えたと思ったんだ。
 なぜ涙が流れたって感じたんだ。 

《魔王の攻撃からの対抗者を発見。転移を開始します》

辺りにロボットのような声が響く。
なんなんだこの声は?
もしや某有名小説みたいだなと思った。
確かその後...
いや転生するのかな?
転生するんだったら今のような人生“繰り返さなければいいな“…
そう淡い、そして強い希望を持った瞬間、俺の意識は完全に闇へと落ちたのだった。 

 
 そうして、俺の人生は幕を閉じたのだ。
 しかしその時の魂は普通の方へ飛んでいかなかった。
 そしてそれは別の世界、『異世界』へ飛んでいった。 
それは理不尽で死んだ俺へくれた夢を叶えさせてくれるための神様からのチャンスだったのかもしれない。 
しかしその時の俺はそれがわからなかった。
 もうその時は意識なんかないんだから。

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