これがあたしの王道ファンタジー!〜愛と勇気と装備変更〜

プリティナスコ

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前略、成長と自己紹介と

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「そうだ、刀とかどうかな!」

「まだ言ってるんですか」

 呆れ気味のリリアンの声で、あたしの思いつきは今日も却下される、いつもの事だ。

 完璧に思えた答えもリリアンのお気に召さなかったらしく、あれから数日は追いかけ回された。

「諦めきれないんだよ、それに刀って珍しくない?」

 そう、今は剣しか使わせてもらえないので、その中で格好良くて強い武器が欲しいのである。

「あと、あたしの必殺技とも相性よさそう!『セツナドライブ』!近づいて、斬る!」

 頭の中のイメージを行動で見せてみる。
 飛ぶふり、刀を抜くふり、うん、格好良い。

「あなたはブーツで飛んでいるだけでしょう、抜刀は普通、むしろ遅いのでは?」

 いつものように、振り返らずに淡々と話すリリアン。
 確かにそうだ、あたしは速くなったつもりでも、その全てのスキルが足に集まってる。
 その副作用で、多少速く動けるに過ぎないのだ。

「そうでした……」

 うなだれる、いろいろあってあたしは、今なら少しだけ自分の力で飛べる。
 そんな必要はない、わかっていてもちょっとだけ焦る、早く自分だけで『セツナドライブ』をしたい。
 その方が、きっと誰かの為になる。

「まったく、少し力をつけても頭は弱いままですね」

「ちょっと失礼じゃないかな!?」

 急に罵倒されて傷つく、ガラスのハートが。
 
 ……ん?力をつけたって?
 なんだかんだいっても、少しはリリアンなりに認めてくれてるんだね。

「そうだ、あたしさ、いいペースで成長してると思わない?」

 実際そう思う、死にかけてばっかりだけど、その度に成長した自覚がある。
 答えが欲しくて身を乗り出す。

「近いです」

 グイッ、と押し戻される、顔にあたる手がひんやりしてて気持ちいい。
 あ、目に指が、あの、痛いです、前が見えないです。

「ふむ……」

 また考え込むリリアン、少し間をおいて。

「いいペースどころか、異常です、普通の人間はそんな簡単に、戦えるようにはなりません」

 意外な答えだ、てっきり調子にのるな、みたいな事を言われるものだと。

「う~ん?特訓のおかげかな?」

 背中のカゴ、8割ほどの石は今日もあたしを鍛える、体つきが変わった気はしない、というか変わってない。
 元の世界からここまで、特に太っても痩せてもないし、筋肉やらなんやらがついた気もしない。

「そもそも、それを背負って動けるのがおかしいです」

「え!?」

 あたしのカゴを指差して言う。
 このメイドは何を言っているんだ、自分で背負わせておいて。

「あなたは何なんですか?」

 なんだか前にも聞かれたような気がする。
 よし、仲良くなった今、改めて答えよう。

「名前は時浦刹那……セツナでいいよ。16歳、身長は3年前から156cmで、体重はプリン3個分。好きな食べ物もプリンだから、ネオスティアにもあってよかったよ、それから趣味は映画で特技は……」

 言ってる途中、自分の名前に違和感を覚える、ネオスティアにきてから『セツナ』と呼ばれすぎた。
 時浦家の長女にあるまじきだ、反省。

「そういう意味で聞いたのではありません、ですが……」

 まぁ、知ってたよ、言ってみただけだ。

「プリン以外の好物は?それと嫌いな食べ物、それから前に聞けなかった特技も聞いておきましょう、一応」

 おや、食いついた、なら話そうか、2人旅だし仲良く行こう。

 あたしは、甘いもの以外なら味の濃いものも好きだと伝えた、嫌いな食べ物は寒天、あと特技と言うのもあれだが身体が柔らかいと。

 友達のように、そんな他愛もない会話を続けながら、目的地を目指す。
 『アロロア』はもう遠くない。
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