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本編 第一部 ~騎士の娘は茶会にて~
今日の想い人、キースランド伯爵令嬢
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大喝采の中、殿下のスピーチは終わった。
プチパニック状態だった私はと言うと・・・すっかり落ち着きを取り戻していた。それは喝采の中、キースランド伯爵令嬢が、見た事も無い程顔を醜く歪ませて、私を睨んでいたからだ。
(それにしても・・・今日の殿下はおかしいわ。体調でも優れないのかしら?それとも、私との茶会が嫌過ぎて影武者でも寄越したのかしら・・・?)
それならば、控え室での一連のやり取りも合点が行く・・・!見た目だけで言うと〝まるで本物〟だが、4回も繰り返している私は騙されないわよ・・・っ!
チラリと殿下の方に視線を投げると、にこりと優しく笑い返してくれた。
(ーーー決まりだ。こりゃ影武者だ!)
私は過去4回に渡る膨大なデータに基き、隣の男性は殿下の影武者だと暴いた。途端、腹の底から怒りが込み上げる。
(何だ!私に4回も偉そうに婚約破棄しておきながら・・・何が『そんな不埒な事は~』だ!自分は大事な茶会を影武者なんかに任せて・・・!!!)
「許せないわ・・・っ」
今回ばかりは心の声を留めておけず、誰にも聞こえない程度の小声では有ったが、口から漏れてしまった。
(この影武者も影武者よ・・・!今日の茶会に来た事を後悔させてやるわ・・・っ!)
私の怒りがピークになっている時に、タイミングが良いんだか、悪いんだか・・・今日の想い人キースランド伯爵令嬢が取り巻きズを連れて、私の席へとやって来た。
「この度はご婚約おめでとうございます。フローラ嬢?・・・本当にまぁ、殿下をどう誑かしたのだか・・・っ!」
口元ではためかせていた、綺麗な扇子を「パシンっ」と音を鳴らして閉じた伯爵令嬢の手は、ワナワナと震えていた。私も席を立ち淑女の礼をとると・・・開始のゴングを鳴らした。
「本日はご出席頂き有難うございます、キースランド伯爵令嬢。フローラ嬢なんて砕けた呼び方は良して下さい。アナスタシア公爵令嬢とお呼びして頂いてかまいませんのよ?おほほっ、」
私達二人の間には、目には見えない火花がバチバチと散っていた。私の反撃に取り巻きズはタジタジで、伯爵令嬢は更に顔を赤く染め上げ、握られている扇子が可哀想になる位にミシミシと言っていた。
「まぁ・・・!殿下の寵愛を得たからって図に乗らない事でしてよ?貴女のような歴史の無いお家は、没落するのがセオリーなのですからっ・・・!」
(別に殿下の寵愛なんて得てないし、あそこに居るのは言わば〝そっくりさん〟なのだけれど・・・)
「キースランド伯爵令嬢・・・あなた、間違っていますよ?」
「んな・・・っ?!」
「貴女がそこに居る御令嬢達と〝私のドレスが派手ではしたない〟〝アクセサリーが可哀想〟と言って私を笑い者にしていた事は知っています。」
「なっ、何の事ですの?!言いがかりは良して下さい!これだから・・・」
「これだから・・・庶民出の女は!貴族が何たるかを全く分かっていないですわ!・・・と、言いたいのですか?」
私は満面の令嬢スマイルでキースランド伯爵令嬢の言いたかった言葉の先を代弁して見せる。
(何回、貴女に言われたと思っているの?貴女が思い付く言葉なんて最初の一言さえ聞けば、ぜ~んぶ、分かるのよ・・・っ!!!)
「殿下を好いていらっしゃるなら、私から奪えば宜しいでは無いですか・・・、私に嫉妬を寄せるなど、時間の無駄ですよ?」
「はぁ?・・・・・・貴女、何を仰っているの?」
おぞましい物でも見るかの様な目で私を見る、キースランド伯爵令嬢の顔を見て少しスッキリした私は、その横にへばりついて離れない癖に静観者を貫いている、周りの御令嬢達にターゲットを変える。
「それに、貴女がいつも侍らせているご令嬢達ですが・・・万が一、私を辱めた事で殿下の怒りをかった時に全て貴女のせいにしますよ?きっと・・・。現に私の前では何も発言しませんし・・・?」
私に図星をつかれたご令嬢達は、焦ってキースランド伯爵令嬢に擦り寄り、私の忠告を〝戯言ですわ!〟〝耳を貸さないで下さいませ!〟と言っていた。
その浅ましい姿に嫌悪感を覚えた私は、とっても良い事を閃いてしまい、思わず口角がニヤリと上がってしまう。
「ルーク!・・・ルーク、こちらへ!」
呼ばれたのが自分だと咄嗟に判断出来なかった影武者は、私と視線が合ったのをきっかけに、談笑を切り上げてこちらへ歩いて来る・・・。
(さぁ・・・二回戦の幕開けよ・・・っ!)
プチパニック状態だった私はと言うと・・・すっかり落ち着きを取り戻していた。それは喝采の中、キースランド伯爵令嬢が、見た事も無い程顔を醜く歪ませて、私を睨んでいたからだ。
(それにしても・・・今日の殿下はおかしいわ。体調でも優れないのかしら?それとも、私との茶会が嫌過ぎて影武者でも寄越したのかしら・・・?)
それならば、控え室での一連のやり取りも合点が行く・・・!見た目だけで言うと〝まるで本物〟だが、4回も繰り返している私は騙されないわよ・・・っ!
チラリと殿下の方に視線を投げると、にこりと優しく笑い返してくれた。
(ーーー決まりだ。こりゃ影武者だ!)
私は過去4回に渡る膨大なデータに基き、隣の男性は殿下の影武者だと暴いた。途端、腹の底から怒りが込み上げる。
(何だ!私に4回も偉そうに婚約破棄しておきながら・・・何が『そんな不埒な事は~』だ!自分は大事な茶会を影武者なんかに任せて・・・!!!)
「許せないわ・・・っ」
今回ばかりは心の声を留めておけず、誰にも聞こえない程度の小声では有ったが、口から漏れてしまった。
(この影武者も影武者よ・・・!今日の茶会に来た事を後悔させてやるわ・・・っ!)
私の怒りがピークになっている時に、タイミングが良いんだか、悪いんだか・・・今日の想い人キースランド伯爵令嬢が取り巻きズを連れて、私の席へとやって来た。
「この度はご婚約おめでとうございます。フローラ嬢?・・・本当にまぁ、殿下をどう誑かしたのだか・・・っ!」
口元ではためかせていた、綺麗な扇子を「パシンっ」と音を鳴らして閉じた伯爵令嬢の手は、ワナワナと震えていた。私も席を立ち淑女の礼をとると・・・開始のゴングを鳴らした。
「本日はご出席頂き有難うございます、キースランド伯爵令嬢。フローラ嬢なんて砕けた呼び方は良して下さい。アナスタシア公爵令嬢とお呼びして頂いてかまいませんのよ?おほほっ、」
私達二人の間には、目には見えない火花がバチバチと散っていた。私の反撃に取り巻きズはタジタジで、伯爵令嬢は更に顔を赤く染め上げ、握られている扇子が可哀想になる位にミシミシと言っていた。
「まぁ・・・!殿下の寵愛を得たからって図に乗らない事でしてよ?貴女のような歴史の無いお家は、没落するのがセオリーなのですからっ・・・!」
(別に殿下の寵愛なんて得てないし、あそこに居るのは言わば〝そっくりさん〟なのだけれど・・・)
「キースランド伯爵令嬢・・・あなた、間違っていますよ?」
「んな・・・っ?!」
「貴女がそこに居る御令嬢達と〝私のドレスが派手ではしたない〟〝アクセサリーが可哀想〟と言って私を笑い者にしていた事は知っています。」
「なっ、何の事ですの?!言いがかりは良して下さい!これだから・・・」
「これだから・・・庶民出の女は!貴族が何たるかを全く分かっていないですわ!・・・と、言いたいのですか?」
私は満面の令嬢スマイルでキースランド伯爵令嬢の言いたかった言葉の先を代弁して見せる。
(何回、貴女に言われたと思っているの?貴女が思い付く言葉なんて最初の一言さえ聞けば、ぜ~んぶ、分かるのよ・・・っ!!!)
「殿下を好いていらっしゃるなら、私から奪えば宜しいでは無いですか・・・、私に嫉妬を寄せるなど、時間の無駄ですよ?」
「はぁ?・・・・・・貴女、何を仰っているの?」
おぞましい物でも見るかの様な目で私を見る、キースランド伯爵令嬢の顔を見て少しスッキリした私は、その横にへばりついて離れない癖に静観者を貫いている、周りの御令嬢達にターゲットを変える。
「それに、貴女がいつも侍らせているご令嬢達ですが・・・万が一、私を辱めた事で殿下の怒りをかった時に全て貴女のせいにしますよ?きっと・・・。現に私の前では何も発言しませんし・・・?」
私に図星をつかれたご令嬢達は、焦ってキースランド伯爵令嬢に擦り寄り、私の忠告を〝戯言ですわ!〟〝耳を貸さないで下さいませ!〟と言っていた。
その浅ましい姿に嫌悪感を覚えた私は、とっても良い事を閃いてしまい、思わず口角がニヤリと上がってしまう。
「ルーク!・・・ルーク、こちらへ!」
呼ばれたのが自分だと咄嗟に判断出来なかった影武者は、私と視線が合ったのをきっかけに、談笑を切り上げてこちらへ歩いて来る・・・。
(さぁ・・・二回戦の幕開けよ・・・っ!)
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