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本編 第一部 ~騎士の娘は茶会にて~
楽しい楽しいお茶会の始まり
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「殿下、準備が整いました。」
部屋に入ってきた殿下の侍従が耳打ちする声を微かに聞き取り、私も心の準備を整える。
(結局、今回は一度も退室されなかったわね・・・殿下。まぁ、最後位一緒に過ごせて良かったかな!)
「フローラ、では参りましょうか?」
(・・・ん?〝嬢〟が付いて無いけど、言い忘れたのかな?)
「えっ、ええ。宜しくお願い致しますわ。」
ソファーから立ち上がり、殿下から差し出された手に手を乗せると、そのまま優しく引かれ、殿下の腕へと誘われた。
まるで壊れ物を扱うかの様に優しくエスコートされて、擽ったくなってしまった・・・。
相変わらず無言のまま、私達二人は茶会の会場である王宮庭園へと歩き始めたーーー。
王宮庭園の入口である花のアーチの向こう側には、着飾った紳士淑女の皆様が既にお茶と軽食を楽しんでいた。
上位貴族と殿下が懇意にしている一部の人間のみが出席を許された、この茶会に相応しい絢爛豪華なテーブルと椅子に食器だった。
その周りで咲き誇る薔薇は、王宮でしか咲かないという黄色の薔薇が惜しげも無く、咲き誇っていて美しかった。
私達二人が花のアーチを抜けると、ゲストから割れんばかりの拍手が起こり、その拍手の中、上手にある私達の席までゆっくりと歩く。何となく視線を感じて横目で確認すると、そこには・・・
(見付けた・・・っ!キースランド伯爵令嬢!)
毎度の事なのですっかり慣れてしまったが、今回も凄い目で私を睨んでいた。
噂通りの美しい金色の髪にマリンブルーの大きな瞳、もしこれがロマンス小説だったのなら、彼女が間違いなく主人公ねっていう見目麗しさだ。
前回迄の私なら目を合わせない様に必死で避けていたが、今日の私は受けて立つ気満々なのだ!手始めに流し目で牽制してやった。
(かかって来なさい!4回分の恨み、今日ここで晴らしてやるわ・・・!)
私の不敵な笑みに気付いた殿下が、小さく笑っていた事に気付けないほど、私はキースランド伯爵令嬢に夢中だった。
席の前に立つと、殿下とタイミングを合わせて一礼をし、拍手が鳴り止んだ所で顔を上げる。殿下のスピーチ兼婚約発表が始まるので、皆こちらを見ている。
勿論、5回目の私は若干の言い回しの差は有るものの、何と言うか分かってしまっているので・・・不敬極まりないがキースランド伯爵令嬢と取り巻きズを探すのに必死だ。
「先ず、今日という日に私達二人の為に集まってくれた事・・・感謝する!」
(取り巻きズは、相変わらずキースランド伯爵令嬢の隣をしっかりキープしてるわね・・・!探す手間が省けて、丁度いいわ。)
「先日、16歳を迎えた私は最愛の乙女を婚約者として迎える事が出来た!」
(キースランド伯爵令嬢って、絶対にあのドレスで来るよね・・・?何か殿下との思い入れでも有るものなのかしら?)
「私の信用に足る君達に、是非、彼女を紹介させて欲しい!」
再度、拍手喝采が起こり王宮庭園に響き渡った。
私は、キースランド伯爵令嬢の観察に忙しく、全く殿下の話を聞いていなかったので、前回迄と同様、殿下のスピーチが終わったのだと思い、訓練の賜物である令嬢スマイルを殿下に向けて、拍手を送ろうと出した手を何故か殿下に握られてしまい、プチパニック状態だった。
「でっ・・・殿下?」
「フローラ・・・僕の初恋を君に捧げるよ。」
「・・・ーーーへっ?!」
握られた手は殿下に、それは優しくグローブを取られ、手の甲にキスが舞い降りて来た。
耳元で囁かれたその甘い言葉もキスも5回目にして初めての事で・・・思わず〝愛されている〟と勘違いしてしまいそうになる程だった。
殿下のキスを見た令嬢達の黄色い悲鳴が聞こえて来る。拍手が益々大きくなっていき、私は殿下の不敵な笑みを凝視する事しか出来なかったーーー。
部屋に入ってきた殿下の侍従が耳打ちする声を微かに聞き取り、私も心の準備を整える。
(結局、今回は一度も退室されなかったわね・・・殿下。まぁ、最後位一緒に過ごせて良かったかな!)
「フローラ、では参りましょうか?」
(・・・ん?〝嬢〟が付いて無いけど、言い忘れたのかな?)
「えっ、ええ。宜しくお願い致しますわ。」
ソファーから立ち上がり、殿下から差し出された手に手を乗せると、そのまま優しく引かれ、殿下の腕へと誘われた。
まるで壊れ物を扱うかの様に優しくエスコートされて、擽ったくなってしまった・・・。
相変わらず無言のまま、私達二人は茶会の会場である王宮庭園へと歩き始めたーーー。
王宮庭園の入口である花のアーチの向こう側には、着飾った紳士淑女の皆様が既にお茶と軽食を楽しんでいた。
上位貴族と殿下が懇意にしている一部の人間のみが出席を許された、この茶会に相応しい絢爛豪華なテーブルと椅子に食器だった。
その周りで咲き誇る薔薇は、王宮でしか咲かないという黄色の薔薇が惜しげも無く、咲き誇っていて美しかった。
私達二人が花のアーチを抜けると、ゲストから割れんばかりの拍手が起こり、その拍手の中、上手にある私達の席までゆっくりと歩く。何となく視線を感じて横目で確認すると、そこには・・・
(見付けた・・・っ!キースランド伯爵令嬢!)
毎度の事なのですっかり慣れてしまったが、今回も凄い目で私を睨んでいた。
噂通りの美しい金色の髪にマリンブルーの大きな瞳、もしこれがロマンス小説だったのなら、彼女が間違いなく主人公ねっていう見目麗しさだ。
前回迄の私なら目を合わせない様に必死で避けていたが、今日の私は受けて立つ気満々なのだ!手始めに流し目で牽制してやった。
(かかって来なさい!4回分の恨み、今日ここで晴らしてやるわ・・・!)
私の不敵な笑みに気付いた殿下が、小さく笑っていた事に気付けないほど、私はキースランド伯爵令嬢に夢中だった。
席の前に立つと、殿下とタイミングを合わせて一礼をし、拍手が鳴り止んだ所で顔を上げる。殿下のスピーチ兼婚約発表が始まるので、皆こちらを見ている。
勿論、5回目の私は若干の言い回しの差は有るものの、何と言うか分かってしまっているので・・・不敬極まりないがキースランド伯爵令嬢と取り巻きズを探すのに必死だ。
「先ず、今日という日に私達二人の為に集まってくれた事・・・感謝する!」
(取り巻きズは、相変わらずキースランド伯爵令嬢の隣をしっかりキープしてるわね・・・!探す手間が省けて、丁度いいわ。)
「先日、16歳を迎えた私は最愛の乙女を婚約者として迎える事が出来た!」
(キースランド伯爵令嬢って、絶対にあのドレスで来るよね・・・?何か殿下との思い入れでも有るものなのかしら?)
「私の信用に足る君達に、是非、彼女を紹介させて欲しい!」
再度、拍手喝采が起こり王宮庭園に響き渡った。
私は、キースランド伯爵令嬢の観察に忙しく、全く殿下の話を聞いていなかったので、前回迄と同様、殿下のスピーチが終わったのだと思い、訓練の賜物である令嬢スマイルを殿下に向けて、拍手を送ろうと出した手を何故か殿下に握られてしまい、プチパニック状態だった。
「でっ・・・殿下?」
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「・・・ーーーへっ?!」
握られた手は殿下に、それは優しくグローブを取られ、手の甲にキスが舞い降りて来た。
耳元で囁かれたその甘い言葉もキスも5回目にして初めての事で・・・思わず〝愛されている〟と勘違いしてしまいそうになる程だった。
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