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#side ヴァンス ~大切な妹は、僕の初恋の人~
初めての家族
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「ヴァンス・・・君さえ良ければ・・・俺と一緒に来て欲しんだ。」
瞳を閉じれば・・・真剣な顔で僕の前に跪く若き日の父上の姿を思い出す。
今思えば・・・俺の人生はあそこからスタートしたと言っても過言では無い。
僕の名はーーー ヴァンス・アナスタシア。
僕はヴェストリア王国の人間では無い。
ヴェストリア王国の隣にある、つい十数年前まで長きに渡り戦争していた隣国で産まれた人間だ。
だけど、産まれた時にたまたまその国に居たというだけで・・・僕自身は隣国に対して何の感情も持ち合わせていない。
元々、僕は戦争孤児というやつで・・・物心ついた時には一人ぼっちだった。
だけど別に珍しいって訳でも無くて、戦争に対してヴェストリアの様に騎士団任せでは無かった僕の国は、国民を巻き込んで戦争に臨んでいた為、年々貧しくなり、僕の様な孤児も多かった。
生きる為に必死だった僕は・・・ある日、根城にしていた森でヴェストリア騎士団を見かける。
殺されると疑わなかった僕はパニックを起こしてしまい・・・咄嗟に襲い掛かってしまったのだ。
それが・・・僕の恩人であり今は父である・・・オリナス・アナスタシアだった。
今だから思うが・・・あれが他の騎士だったら叩き斬られていたと思う。
僕の様な戦争孤児が多くいる現実に、敵国の騎士のくせに誰よりも心を痛めていた父上は、
孤児院の設立を隣国の王族に要求し、定期的に今も確認しに行っているらしい・・・。
僕なんかを養子に望んで・・・本当に養子縁組してしまう様なお人好しなんだから、そういう事を望んだと聞いて・・・周りはかなり驚いた様子だったが、僕は驚かなかった。
父上はとにかく優しく、僕を大切に扱ってくれた。
産まれて初めて向けられるその表情が・・・言葉が・・・視線が・・・〝愛情〟なのだと気づいたのは、もっと後の事だったが・・・分からないなりに感じていて・・・幸せな時間を過ごして来たと断言出来る。
だが・・・人生そう簡単には行かないものだーーー。
俺の黒い髪と赤い瞳は・・・隣国を象徴する様な見た目だったらしく・・・
ヴェストリアに来てからと言うもの・・・何処を歩いていても後ろ指を差された。
幼い僕は・・・とにかく落ち込んだ。
ヴェストリアという国に好意を持って来ていただけに・・・受け入れて貰えない絶望に打ち拉がれる毎日だった。
特に父上が戦争の報告の為に立ち寄った王城では・・・露骨に言われてしまい、心が完全に折れてしまった。
だから正直・・・父上の家に行くのは怖かった・・・。
だってそうだろ?他人に拒絶されるのも辛くて仕方ない僕が、
大好きな父上の家族にも嫌われてしまったら・・・
と考えたら逃げ出したい気持ちで押し潰されそうになってしまうのも無理はない。
それでも・・・逃げ出す事も逃げ出す術も持っていなかった俺は、父上と一緒に王都を離れた。
乗合馬車を降りると、父上の帰りを家の外で待っている2つの影を見付けた。
大きく笑顔で手を振り返す父上の後ろで、咄嗟に隠れてしまう僕。
(どうしよう・・・嫌われちゃったら・・・。気持ち悪い髪だって、目だって・・・きっと言われるーーー!)
そう顔を俯かせながら・・・思っていた。
だからーーーフローラの予想外の言葉に凄く救われたんだ・・・。
「とても綺麗な瞳ね!まるでルビーみたいだわ・・・。ねぇ、もっと近くで見ても良い?」
彼女は、キラキラした瞳で僕の近くまでやって来ると、僕がまだ「いいよ」と言っていないのに・・・本当に瞳をじーっと見て来たのだ。
そんな事をされたのは産まれて初めてだった為、僕は思わずそっぽを向いてしまう。
「本当は気持ち悪いんだろう?この黒い髪と赤い瞳が・・・!」
否定して欲しくて・・・放った言葉だった。
どうしてもフローラの言葉が信じられなくて・・・あまりにも王城に居た人たちと態度が違い過ぎてて・・・。
「こら!人が綺麗だって言ったものを汚いなんて言っちゃダメ・・・!失礼でしょうが!人それぞれなのよ?」
泣き出しそうな僕の頭にチョップを落としたかと思えば・・・腰に手を当てて「えっへん」と自慢げに胸を張っているフローラに驚きを隠せずに目が点になってしまう。
「こら!だからってチョップはしなくて良いでしょうが!・・・ごめんなさいね?でもね、貴方の髪も瞳も気持ち悪くなんて無いわよ?」
俺をチョップした事でフローラは母上からのチョップを喰らう羽目になってしまい、思わず「いたー!」と言って両手で頭を押さえていた。
「ヴァンス・・・俺達は今日から家族になるんだぞ?嘘なんかつく訳、無いだろう?」
僕の顔を覗き込んできた父上の優しい笑顔に・・・僕の糸は切れてしまった様で、僕はその後・・・晩ご飯を食べ終わるまで涙が止まらなかったーーー。
瞳を閉じれば・・・真剣な顔で僕の前に跪く若き日の父上の姿を思い出す。
今思えば・・・俺の人生はあそこからスタートしたと言っても過言では無い。
僕の名はーーー ヴァンス・アナスタシア。
僕はヴェストリア王国の人間では無い。
ヴェストリア王国の隣にある、つい十数年前まで長きに渡り戦争していた隣国で産まれた人間だ。
だけど、産まれた時にたまたまその国に居たというだけで・・・僕自身は隣国に対して何の感情も持ち合わせていない。
元々、僕は戦争孤児というやつで・・・物心ついた時には一人ぼっちだった。
だけど別に珍しいって訳でも無くて、戦争に対してヴェストリアの様に騎士団任せでは無かった僕の国は、国民を巻き込んで戦争に臨んでいた為、年々貧しくなり、僕の様な孤児も多かった。
生きる為に必死だった僕は・・・ある日、根城にしていた森でヴェストリア騎士団を見かける。
殺されると疑わなかった僕はパニックを起こしてしまい・・・咄嗟に襲い掛かってしまったのだ。
それが・・・僕の恩人であり今は父である・・・オリナス・アナスタシアだった。
今だから思うが・・・あれが他の騎士だったら叩き斬られていたと思う。
僕の様な戦争孤児が多くいる現実に、敵国の騎士のくせに誰よりも心を痛めていた父上は、
孤児院の設立を隣国の王族に要求し、定期的に今も確認しに行っているらしい・・・。
僕なんかを養子に望んで・・・本当に養子縁組してしまう様なお人好しなんだから、そういう事を望んだと聞いて・・・周りはかなり驚いた様子だったが、僕は驚かなかった。
父上はとにかく優しく、僕を大切に扱ってくれた。
産まれて初めて向けられるその表情が・・・言葉が・・・視線が・・・〝愛情〟なのだと気づいたのは、もっと後の事だったが・・・分からないなりに感じていて・・・幸せな時間を過ごして来たと断言出来る。
だが・・・人生そう簡単には行かないものだーーー。
俺の黒い髪と赤い瞳は・・・隣国を象徴する様な見た目だったらしく・・・
ヴェストリアに来てからと言うもの・・・何処を歩いていても後ろ指を差された。
幼い僕は・・・とにかく落ち込んだ。
ヴェストリアという国に好意を持って来ていただけに・・・受け入れて貰えない絶望に打ち拉がれる毎日だった。
特に父上が戦争の報告の為に立ち寄った王城では・・・露骨に言われてしまい、心が完全に折れてしまった。
だから正直・・・父上の家に行くのは怖かった・・・。
だってそうだろ?他人に拒絶されるのも辛くて仕方ない僕が、
大好きな父上の家族にも嫌われてしまったら・・・
と考えたら逃げ出したい気持ちで押し潰されそうになってしまうのも無理はない。
それでも・・・逃げ出す事も逃げ出す術も持っていなかった俺は、父上と一緒に王都を離れた。
乗合馬車を降りると、父上の帰りを家の外で待っている2つの影を見付けた。
大きく笑顔で手を振り返す父上の後ろで、咄嗟に隠れてしまう僕。
(どうしよう・・・嫌われちゃったら・・・。気持ち悪い髪だって、目だって・・・きっと言われるーーー!)
そう顔を俯かせながら・・・思っていた。
だからーーーフローラの予想外の言葉に凄く救われたんだ・・・。
「とても綺麗な瞳ね!まるでルビーみたいだわ・・・。ねぇ、もっと近くで見ても良い?」
彼女は、キラキラした瞳で僕の近くまでやって来ると、僕がまだ「いいよ」と言っていないのに・・・本当に瞳をじーっと見て来たのだ。
そんな事をされたのは産まれて初めてだった為、僕は思わずそっぽを向いてしまう。
「本当は気持ち悪いんだろう?この黒い髪と赤い瞳が・・・!」
否定して欲しくて・・・放った言葉だった。
どうしてもフローラの言葉が信じられなくて・・・あまりにも王城に居た人たちと態度が違い過ぎてて・・・。
「こら!人が綺麗だって言ったものを汚いなんて言っちゃダメ・・・!失礼でしょうが!人それぞれなのよ?」
泣き出しそうな僕の頭にチョップを落としたかと思えば・・・腰に手を当てて「えっへん」と自慢げに胸を張っているフローラに驚きを隠せずに目が点になってしまう。
「こら!だからってチョップはしなくて良いでしょうが!・・・ごめんなさいね?でもね、貴方の髪も瞳も気持ち悪くなんて無いわよ?」
俺をチョップした事でフローラは母上からのチョップを喰らう羽目になってしまい、思わず「いたー!」と言って両手で頭を押さえていた。
「ヴァンス・・・俺達は今日から家族になるんだぞ?嘘なんかつく訳、無いだろう?」
僕の顔を覗き込んできた父上の優しい笑顔に・・・僕の糸は切れてしまった様で、僕はその後・・・晩ご飯を食べ終わるまで涙が止まらなかったーーー。
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