【完結】殿下、5回目の婚約破棄は私の方からさせて頂きます!~やりたい放題していたら、いつの間にか逆ハー状態でした~

ゆきのこ

文字の大きさ
59 / 66
本編 最終部 ~運命の姫君はパーティーにて~

いつでも言って下さいませね

しおりを挟む
(殿下ってば・・・サイラスと奪い合っていた想い人の女性との婚約が上手くいってないのですね・・・?)

そう考えれば・・・全ての辻褄が合うというものだ・・・!

本命のその子と上手くいってないので有れば・・・私を必死に繋ぎ止めておく必要が有る。
殿下は王族なのだから・・・婚約者が居ないイコールお世継ぎ問題へと発展し国民や陛下からの非難は免れない。

殿下は第二王子という肩書でこそ有るが・・・正妻である王妃様と陛下の間に生まれた、正統な王位継承権を持つ唯一無二のお方なのだから・・・。
そういう柵があるのは、至極当然の事であるとも言える。

もっと言うと・・・何故、今世に限って殿下がその本命の女性とうまくいってないのかという事も察しがつく。
サイラスをやたらと私のデートの際に引っ張り出した事と・・・学園で生徒会長という大役をしたからであろう。
サイラスを引っ張り出した事により、恐らくメイドで有る彼女は殿下にサイラスが振り回されていると感じた筈だし・・・
あの王立学園で生徒会長なんていう大役に就いてしまえば、必然的に自分の時間は減る為・・・アプローチも出来なくなる。
おまけに同じ生徒会メンバーにエレノアなんていうスーパー美女が居れば・・・想い人のメイドが嫉妬するのは仕方ない事であろう・・・。

「・・・はぁ。分かりました。殿下には私も散々、我儘を聞いて頂きましたからね・・・。」

「さっきからの何の話をしているんだ?フローラ・・・?」

私が溜息混じりにそう言うと、私が真相に気付いてしまった事が恐ろしいのか、恥ずかしいのか・・・とにかく心配そうな表情を私に向けて、真意を確かめようと問い掛けて来る。

だけど・・・私も悪魔では無いのだ。
殿方たるもの・・・こういう事は女性にバレたく無いだろうし・・・知らないフリをして欲しいものだろう。

「いえ、別に。明後日の誕生パーティー・・・是非、エスコートをお願い致しますわ。」

「あ、あぁ・・・勿論だよ?」

私が満面の笑みでそう答えると、疑問符だらけの殿下も一先ずそう返事をしてくれた。

(仕方無い・・・。殿下の恋が実る様に、そして婚約破棄がスムーズに進む様に・・・私がひと肌脱いで差し上げましょう!!)

「そうそう!サイラスも招待したいのですけれど・・・宜しいでしょうか?」

「あ、あぁ・・・。アナスタシア公爵から招待状が届いていたから・・・来るとは思うが・・・?」

(・・・え。お父様とサイラスって・・・そんなに親密な仲だったの・・・?!!5回目にして初めて知ったわ・・・!!)

「そ、それでもですわ・・・!必ず来る様にと殿下からも伝えておいて下さいませ!!」

予想外の関係性に少し驚いた私は、思わず紅茶に手を伸ばし焦りを隠す。
私のそんな様子を怪訝そうに見つめる殿下は・・・どうやら私の援護攻撃が分かっていないらしい。

「殿下・・・私は応援致しますから。明後日は出来る限り、サイラスを引き留めておきますから・・・ね?」

「いや・・・フローラ、意味が分からないんだが・・・。」

やはりあくまでもシラを切るつもりの殿下の様子に・・・殿方とは見栄を張りたい生き物なのだな、と深く思いを馳せる。

「まぁまぁ、分かりましたわ。これ以上は無粋ですものね。でも・・・これだけははっきりと伝えておきます。」

「な、何だ・・・?」



「私はいつでも婚約破棄を受け入れますから・・・!ええ、ご遠慮なさらずに、すぐにお申し付け下さいませね!!」



私は満面の笑みで殿下が一番欲しいであろう言葉を告げたのに・・・
何故か殿下は頭を抱えたまま、その後、体調不良を訴えてすぐに帰ってしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

夫に顧みられない王妃は、人間をやめることにしました~もふもふ自由なセカンドライフを謳歌するつもりだったのに、何故かペットにされています!~

狭山ひびき
恋愛
もう耐えられない! 隣国から嫁いで五年。一度も国王である夫から関心を示されず白い結婚を続けていた王妃フィリエルはついに決断した。 わたし、もう王妃やめる! 政略結婚だから、ある程度の覚悟はしていた。けれども幼い日に淡い恋心を抱いて以来、ずっと片思いをしていた相手から冷たくされる日々に、フィリエルの心はもう限界に達していた。政略結婚である以上、王妃の意思で離婚はできない。しかしもうこれ以上、好きな人に無視される日々は送りたくないのだ。 離婚できないなら人間をやめるわ! 王妃で、そして隣国の王女であるフィリエルは、この先生きていてもきっと幸せにはなれないだろう。生まれた時から政治の駒。それがフィリエルの人生だ。ならばそんな「人生」を捨てて、人間以外として生きたほうがましだと、フィリエルは思った。 これからは自由気ままな「猫生」を送るのよ! フィリエルは少し前に知り合いになった、「廃墟の塔の魔女」に頼み込み、猫の姿に変えてもらう。 よし!楽しいセカンドラウフのはじまりよ!――のはずが、何故か夫(国王)に拾われ、ペットにされてしまって……。 「ふふ、君はふわふわで可愛いなぁ」 やめてえ!そんなところ撫でないで~! 夫(人間)妻(猫)の奇妙な共同生活がはじまる――

処理中です...