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本編 最終部 ~運命の姫君はパーティーにて~
殿下、5回目の婚約者破棄はーーー
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「ーーー殿下!探しましたよ!」
サイラスと別れた私は、ゲストへの挨拶をそこそこに済ませると・・・とにかく、殿下を探していた。
(あんな目立つ人間そうそう居ないから、すぐに見付けられると思ったんだけどなぁ?あれぇ~?)
探す事に没頭出来ればもっと早く見付けられたのだろうが・・・今日この場では、私に限ってそういう訳にはいかないのだ。
何せ私の誕生パーティーな訳だからね・・・!
声を掛けられれば・・・シャンパン1杯分位の談笑には付き合わなくてはいけないし、
目線が合えば・・・その輪の中に飛び込んで挨拶位はしなくてはいけないのだ。
そんなこんなで・・・やっとの思いで見付けた殿下に声を掛けた時、少し声が大きめになってしまい人目を集めてしまったが・・・
まぁ、そういう経緯があったので見逃して貰いたい。
「どうしたんだ?フローラ、」
「・・・・・・ちょっと、こちらにーーー」
「・・・・・・え?あ、ちょ、」
私の掛け声に気付いた殿下が私の元へと来てくれたので、すぐにでも作戦の成功を伝えたかったのだが・・・
幾分人目が気になった私は、殿下の袖を引っ張って、強引に少し人気の少ない壁際まで移動した。
「どうしたって言うんだ?フローラ・・・」
「ふっふっふっ・・・殿下!やりましたよ!作戦成功ですっ!!」
ガッツポーズと小脇に決めながら目をキラキラと輝かせながら殿下を見上げてそう伝えるが・・・何故か殿下は喜んで下さらず、?マークを頭上に浮かべて私を見ていた。
「作戦・・・?フローラと俺で、何か作戦を遂行していたのか・・?」
「厳密に言えば・・・殿下の為に私が一肌脱いだという表現が正しいでしょうか?」
焦った様子の殿下を尻目に手の上に顎を置きながらそう呟く。
そんな私の様子に、殿下はますます分からなくなってしまったらしく、困り顔で私を凝視している。
「と・に・か・く・・・!作戦は成功しました!今すぐ王宮へとお帰り下さいませ!」
「ーーーは?何故だ・・・?」
相変わらず色恋沙汰となると察しの悪い殿下の姿に少しばかり溜息をつきたくなってしまったが・・・殿下の立場も分からないでもないので胸の内にしまっておいた。
くさっても私は婚約者で、今日はそんな私の誕生パーティーなのだーーー。
王族の人間である殿下がこれだけ大勢の貴族の目がある所で、婚約者を置いて帰るなど中々出来る事でも無いし・・・
要らぬ憶測を呼んでしまう事も容易に想像出来る。
(とは言え・・・殿下を見つけるのに手間取ってしまっている間にパーティーはもう終盤でお開き待ちという感じだし、殿下の様に公務で忙しい身の方であれば・・・今から帰ってしまったとしても、特段悪い様にも映らないと思うのだけれど・・・)
それでも、殿下は変な所で完璧主義な所が有るのだ。
別に私の事なんてどうも思っていないのだから、適当に済ませてしまえば良いと思う所が今日までも多々あったが・・・
きっちり役目を果たそうと頑張って下さって来た。
(そんな殿下を説得して王宮へ帰すのは・・・私の語彙力で無理ね。)
「ーーー分かりました。では、今から締めの挨拶をして来ますので・・・そしたら気兼ねなく殿下も帰れますよね?」
「ちょ・・・待ってくれ!フローラは、俺に帰って欲しいのか・・・?」
殿下の返事を待たずにホールへと戻ろうと歩みを進める私の腕を掴んで引き止める殿下の表情は・・・何故か狼狽えている様子で泣き出しそうな顔になってしまっていた。
「当たり前です!サイラスを引き止める事に成功したんですから・・・!殿下には王宮に帰って準備を進めて頂きませんと!」
思いの外力強く掴まれてしまっていた腕を、そう返事をして振り解いたが・・・何故か殿下の表情はますます暗くなってしまっている。
「そうかーーー。フローラは、サイラスが・・・好きなのかーーー。」
(・・・・・・・・・・・・・・・。)
「・・・・・・は?」
何を言っているのだ・・・この人は。
この話の流れで・・・いや今までの私の行動を見て来て・・・
何でサイラスの事が好きっていう結論に行き着くのだ・・・?
「で、殿下・・・?私は、別にサイラスの事は好きでは有りませんよ・・・?まぁ、数年来の付き合いになりますから・・・失恋したサイラスを慰めてあげる位の情は持ち合わせていますけど・・・。」
「・・・・・・え?」
「殿下もご存知でしょう・・・?殿下が結ばれたという事は、サイラスが失恋したという事なんですから・・・。」
「・・・・・え?!!」
私が言葉を続ける度に変わる殿下の表情はまるで・・・地獄の底に叩きつけられた人間が天使に救われて楽園へと来たかの様なアップダウンの仕方だ。
暗く涙を零してしまいそうな悲しそうな表情から・・・目を輝かせながら頬を赤くして口元からは笑みが隠せないという感じ。
こんなに表情がコロコロと変わる殿下の姿は私も見るのが初めてで、少し驚いてしまった。
「すまないフローラ、はっきりと言ってくれないか?ーーぬか喜びはしたく無いのでな・・・」
そうですかーーー。
私もずっと言いたくて仕方なかったですからね。
今、ここがきっと最良のタイミングだと過去4回繰り返して来た私の経験値もそう言っています!
そう決心した私は・・・とは言え少しばかり緊張してしまっているのか、
胸に手を当てて呼吸を整えた。
昨日までを何回も繰り返して来たーーー。
膨大な時間の中で感じて来た悲しみとか、悔しさとか、苦しみとか・・・
色んな感情が目蓋の裏に焼き付いているみたいで瞳を閉じれば走馬灯の様に駆け巡った。
同時に5回目の今世で助けてくれた殿下の優しさ、サイラスの笑顔、エレノアの言葉、お兄様の涙ーーー。
思い出せば胸が暖かくなる様な人たちに囲まれて、今世を過ごせた事に目頭が熱くなってしまった。
1人じゃきっと・・・駄目だった。
今世の私は、色んな人に助けられて・・・色んな人に守られて・・・だからきっと、一片の悔いなくこの言葉を言えるのだと思う。
(ーーー殿下。5回目の婚約破棄は私の方からさせて頂きます・・・!)
「殿下、私との婚約・・・本日をもって解消させて頂きたく存じます。」
サイラスと別れた私は、ゲストへの挨拶をそこそこに済ませると・・・とにかく、殿下を探していた。
(あんな目立つ人間そうそう居ないから、すぐに見付けられると思ったんだけどなぁ?あれぇ~?)
探す事に没頭出来ればもっと早く見付けられたのだろうが・・・今日この場では、私に限ってそういう訳にはいかないのだ。
何せ私の誕生パーティーな訳だからね・・・!
声を掛けられれば・・・シャンパン1杯分位の談笑には付き合わなくてはいけないし、
目線が合えば・・・その輪の中に飛び込んで挨拶位はしなくてはいけないのだ。
そんなこんなで・・・やっとの思いで見付けた殿下に声を掛けた時、少し声が大きめになってしまい人目を集めてしまったが・・・
まぁ、そういう経緯があったので見逃して貰いたい。
「どうしたんだ?フローラ、」
「・・・・・・ちょっと、こちらにーーー」
「・・・・・・え?あ、ちょ、」
私の掛け声に気付いた殿下が私の元へと来てくれたので、すぐにでも作戦の成功を伝えたかったのだが・・・
幾分人目が気になった私は、殿下の袖を引っ張って、強引に少し人気の少ない壁際まで移動した。
「どうしたって言うんだ?フローラ・・・」
「ふっふっふっ・・・殿下!やりましたよ!作戦成功ですっ!!」
ガッツポーズと小脇に決めながら目をキラキラと輝かせながら殿下を見上げてそう伝えるが・・・何故か殿下は喜んで下さらず、?マークを頭上に浮かべて私を見ていた。
「作戦・・・?フローラと俺で、何か作戦を遂行していたのか・・?」
「厳密に言えば・・・殿下の為に私が一肌脱いだという表現が正しいでしょうか?」
焦った様子の殿下を尻目に手の上に顎を置きながらそう呟く。
そんな私の様子に、殿下はますます分からなくなってしまったらしく、困り顔で私を凝視している。
「と・に・か・く・・・!作戦は成功しました!今すぐ王宮へとお帰り下さいませ!」
「ーーーは?何故だ・・・?」
相変わらず色恋沙汰となると察しの悪い殿下の姿に少しばかり溜息をつきたくなってしまったが・・・殿下の立場も分からないでもないので胸の内にしまっておいた。
くさっても私は婚約者で、今日はそんな私の誕生パーティーなのだーーー。
王族の人間である殿下がこれだけ大勢の貴族の目がある所で、婚約者を置いて帰るなど中々出来る事でも無いし・・・
要らぬ憶測を呼んでしまう事も容易に想像出来る。
(とは言え・・・殿下を見つけるのに手間取ってしまっている間にパーティーはもう終盤でお開き待ちという感じだし、殿下の様に公務で忙しい身の方であれば・・・今から帰ってしまったとしても、特段悪い様にも映らないと思うのだけれど・・・)
それでも、殿下は変な所で完璧主義な所が有るのだ。
別に私の事なんてどうも思っていないのだから、適当に済ませてしまえば良いと思う所が今日までも多々あったが・・・
きっちり役目を果たそうと頑張って下さって来た。
(そんな殿下を説得して王宮へ帰すのは・・・私の語彙力で無理ね。)
「ーーー分かりました。では、今から締めの挨拶をして来ますので・・・そしたら気兼ねなく殿下も帰れますよね?」
「ちょ・・・待ってくれ!フローラは、俺に帰って欲しいのか・・・?」
殿下の返事を待たずにホールへと戻ろうと歩みを進める私の腕を掴んで引き止める殿下の表情は・・・何故か狼狽えている様子で泣き出しそうな顔になってしまっていた。
「当たり前です!サイラスを引き止める事に成功したんですから・・・!殿下には王宮に帰って準備を進めて頂きませんと!」
思いの外力強く掴まれてしまっていた腕を、そう返事をして振り解いたが・・・何故か殿下の表情はますます暗くなってしまっている。
「そうかーーー。フローラは、サイラスが・・・好きなのかーーー。」
(・・・・・・・・・・・・・・・。)
「・・・・・・は?」
何を言っているのだ・・・この人は。
この話の流れで・・・いや今までの私の行動を見て来て・・・
何でサイラスの事が好きっていう結論に行き着くのだ・・・?
「で、殿下・・・?私は、別にサイラスの事は好きでは有りませんよ・・・?まぁ、数年来の付き合いになりますから・・・失恋したサイラスを慰めてあげる位の情は持ち合わせていますけど・・・。」
「・・・・・・え?」
「殿下もご存知でしょう・・・?殿下が結ばれたという事は、サイラスが失恋したという事なんですから・・・。」
「・・・・・え?!!」
私が言葉を続ける度に変わる殿下の表情はまるで・・・地獄の底に叩きつけられた人間が天使に救われて楽園へと来たかの様なアップダウンの仕方だ。
暗く涙を零してしまいそうな悲しそうな表情から・・・目を輝かせながら頬を赤くして口元からは笑みが隠せないという感じ。
こんなに表情がコロコロと変わる殿下の姿は私も見るのが初めてで、少し驚いてしまった。
「すまないフローラ、はっきりと言ってくれないか?ーーぬか喜びはしたく無いのでな・・・」
そうですかーーー。
私もずっと言いたくて仕方なかったですからね。
今、ここがきっと最良のタイミングだと過去4回繰り返して来た私の経験値もそう言っています!
そう決心した私は・・・とは言え少しばかり緊張してしまっているのか、
胸に手を当てて呼吸を整えた。
昨日までを何回も繰り返して来たーーー。
膨大な時間の中で感じて来た悲しみとか、悔しさとか、苦しみとか・・・
色んな感情が目蓋の裏に焼き付いているみたいで瞳を閉じれば走馬灯の様に駆け巡った。
同時に5回目の今世で助けてくれた殿下の優しさ、サイラスの笑顔、エレノアの言葉、お兄様の涙ーーー。
思い出せば胸が暖かくなる様な人たちに囲まれて、今世を過ごせた事に目頭が熱くなってしまった。
1人じゃきっと・・・駄目だった。
今世の私は、色んな人に助けられて・・・色んな人に守られて・・・だからきっと、一片の悔いなくこの言葉を言えるのだと思う。
(ーーー殿下。5回目の婚約破棄は私の方からさせて頂きます・・・!)
「殿下、私との婚約・・・本日をもって解消させて頂きたく存じます。」
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