【完結】殿下、5回目の婚約破棄は私の方からさせて頂きます!~やりたい放題していたら、いつの間にか逆ハー状態でした~

ゆきのこ

文字の大きさ
65 / 66
本編 最終部 ~運命の姫君はパーティーにて~

最終回 誰か私をもう一度戻してぇぇぇ

しおりを挟む
そう、そうなのだーーー。
殿下は確かに私との婚約関係に終止符は打ってくれたのだがーーー

  それはまさかの婚約関係から・・・正式な夫婦になるという終止符の打ち方だった。

書面を受け取った私は慌てて、王宮へと出向きサイラスを訪ねたがーーー



『ーーーは?そんなメイドはこの世の何処にも存在しませんが?』



と言われてしまったのだ・・・。
つまり、私の推理はものの見事に外れてしまっていたのであるーーー。

そして本格的に、今非常に不味い事になってしまっている・・・と、頭を抱えながら屋敷へと帰った私を待ち受けていたのがお兄様だった。

お兄様は・・・もう20歳である。婚約適齢期はとっくの昔に過ぎているのだ。
急にお嫁さんを貰ってくるという可能性が十分にあった為、その前に早急に私が家を出ていくつもりが無いことを伝えておくべきだろう・・・と思い、殿下との婚約破棄の事を誕生パーティーの翌日には伝えてしまっていたのだ。

「きっとこの書面は何かの手違いだと思うのですが・・・あ!そうだ!殿下とお話しさえさせて頂ければ、すぐにでー」



「俺ならここに居るがーーー?」

聞き覚えのある声にまさか・・・?!と思いながらも視線を向けると、そこにはーーー
誰が呼んだのだが知らないが・・・いつの間にか屋敷へと来ていたらしい殿下とサイラスの姿が扉の前にあった。

「で、殿下・・・!それに、サイラスまで・・・!」

「先ほどはどうも・・・フローラ様。」

「フローラにがあってね・・・!執事のセバスチャンがこの部屋まで案内してくれたんだ。」



良い報告ーーーつまり、私との婚約破棄の事ですね?!殿下・・・!!!


「ただーーー急いだのだが・・・やはり手続きなんかの都合で一ヶ月はかかってしまうらしんだ・・・。すまない、フローラ」

(何だ・・・!なぁんだ!やっぱり・・・そうですよね?!婚約破棄するんですよね?!んもー!びっくりさせないで下さいよ!)

やはりあの書面は手違いで発行されてしまったものだったんだ・・・!と、
ほっと胸を撫で下ろした私とは対照的に・・・何故かサイラスもお兄様も信じられないという顔で私を見ている。

「フローラ様・・・パーティーの日の夜、散々期待させる様な事をしておきながら・・・。どうやら、貴女の事を見縊っていた様ですね・・・。」
「フローラ・・・君の幸せの為だと今まで我慢していた僕を弄ぶだなんてひどいじゃないか・・・。」

「な、なんの事ですか・・・?お兄様もサイラスもーーー私は2人を弄んだ記憶は御座いませんし、不埒な事をした覚えも有りませんよ?」

ひどい言われ様に少し頭に来てしまった私は、そう言い返すが2人は疑惑の目を止めず私をずっと凝視している。

「まぁまぁ・・・負け犬の遠吠えだ。気にするな!フローラ!ーーーフローラは何も悪くないぞ?俺のことが好きだった・・・ただそれだけだ!ハハハ!」

(ーーーーーは?)

殿下まで何を言っているのですか・・・?

私が殿下を好き・・・?

好きな相手と婚約破棄する訳ないでしょうが?何を言っているのだがーーー




「いや・・・別に私、殿下の事が好きって訳でも有りませんけど・・・?」



私の肩を寄せて高笑いをしている殿下を怪訝そうに見上げながらそう伝えると・・・
何か不味い発言だったのか・・・場の空気が一瞬で凍り付いた様に重くなってしまった。

「そんな・・・?だってーーーサイラスの事は好きでは無いとーーーでは、ヴァンス殿が好きなのか・・・?」

狼狽えながらもそう途切れ途切れで私に問いかけて来た殿下に私は、ほとほと呆れ果ててしまう。

「そんな訳ないでしょう?お兄様は家族なのですよ?!それ以上でも以下でも有りませんし・・・第一、お兄様が私を好いて下さっていたのは、もう何年も前の話でーーー今はこの通り仲の良い兄妹なんですから!!・・・ね?お兄様?」

そう返事をしてお兄様の方を見るが、何故かお兄様は頭を抱えながらやれやれと首を横に振ってしまっていた。
同調してくれないお兄様にガクっとしてしまっている私に、続いて質問を投げかけて来たのはお兄様の近くで意を決した様子のサイラスだ。

「じゃ、じゃあーーー!フローラ様は、一体・・・誰がお好きなのですか?!」








「ーーー私、別に誰も好いておりませんけれど?何か?」






「そ、そんなーーー!」

私の返答を聞くや否や膝から崩れ落ちてしまったのは殿下だ。
その拍子に握り締めていた紙が殿下の手から擦り抜けて私の足元へとひらひら舞い落ちた。

(・・・・?)

別に深く考えずにその紙を拾いあげた私は、チラッと見えた文字があまりにも有り得なかった為、
殿下の許可も取らずにその丸めていた紙を広げると・・・驚愕の事実に次は私の方が膝から崩れ落ちる事となってしまった。



「わ、私と殿下の結婚式ーーー?!!それも一ヶ月後ーーー?!!!」



まさかーーー!
殿下の言っていた良い知らせって・・・これの事だったの?!!!



「ふふ・・・はは・・・あははは!!」

「ぷっ・・・ハハハ」

「あぁ~私達三人、相手にもされていなかったという訳ですか・・・!ハハハ!」

横で崩れ落ちていた殿下が何故か天を仰ぎながら高笑いを始めると・・・何故か、お兄様もサイラスもつられて笑い始める。
唯一ついていけていない私は・・・その異様な光景にただ、眉を潜める事しか出来ない。



「な、何が・・・そんなに可笑しいのですか・・・?」



私の質問に答えてくれる訳でも無くひたすら、笑い合っている三人の姿に困惑を隠せない。
そんな困り果てている私に向かって、優しく笑いかけてくれたお兄様は私へと手を差し出してくれる。

「ーーー?!!」

その手を取れば、何故かお兄様にそのまま強く引き寄せられてしまい、抱き締められてしまった。
益々、訳が分からなくなってしまった私は、もう目も頭もグルグル回してしまっている。

「お、お兄様・・・?」



「フローラ・・・僕の気持ちはあの時からずっと変わってないよ?ーーー叶うのであれば、君だけの騎士になりたいと思っている」



眼前でそんな事を言うお兄様に顔が熱を持ち始めてしまう。
恥ずかしくて死んでしまいそうな私を助けるかの様に、私の肩を掴んで後ろに引き寄せたのはサイラスだ。



「フローラ様?ルークの事が好きでないのなら・・・私と一緒に逃げてしまいませんか?何処までもお供致しますからーーー」



「ひょへ・・・?!は・・・?!ななな、」

私を後ろ抱きしながら耳元でそう囁くサイラスに・・・ついに私は限界値を突破してしまった様で、
ボンっと音が出る勢いで顔を赤く染めあげると・・・呂律もうまく回らなくなってしまった。
そんな私をサイラスの腕の中から引っ張り出すかの様に強引に腕を掴んで抱き寄せて来たのは、殿下だ。



「フローラ・・・君に好いて貰える様に今後は更に努力を重ねると誓う。だからーーーとりあえず一ヶ月後、私と結婚しようじゃないか・・・な?」



「そ、そ、そんな馬鹿な話があるかあああああ!!!」



前言撤回させて欲しいーーー!

誰か私をもう一度、14歳のあの日に戻して下さぁぁぁい!!!




~お終い~
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!

gacchi(がっち)
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ? 王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。 国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから! 12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。

まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ
恋愛
 政略結婚で愛することもなかった旦那様が魔物討伐中の事故で亡くなったのが1年前。  喪が明け、子供がいない私はこの家を出て行くことに決めました。  そんな時でした。高額報酬の良い仕事があると声を掛けて頂いたのです。  その仕事内容とは高貴な身分の方の閨指導のようでした。非常に悩みましたが、家を出るのにお金が必要な私は、その仕事を受けることに決めたのです。  閨指導って、そんなに何度も会う必要ないですよね?しかも、指導が必要には見えませんでしたが…。  でも、高額な報酬なので文句は言いませんわ。  家を出る資金を得た私は、今度こそ自由に好きなことをして生きていきたいと考えて旅立つことに決めました。  その後、新しい生活を楽しんでいる私の所に現れたのは……。    まずは亡くなったはずの旦那様との話から。      ご都合主義です。  設定は緩いです。  誤字脱字申し訳ありません。  主人公の名前を途中から間違えていました。  アメリアです。すみません。    

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

【完結】愛したあなたは本当に愛する人と幸せになって下さい

高瀬船
恋愛
伯爵家のティアーリア・クランディアは公爵家嫡男、クライヴ・ディー・アウサンドラと婚約秒読みの段階であった。 だが、ティアーリアはある日クライヴと彼の従者二人が話している所に出くわし、聞いてしまう。 クライヴが本当に婚約したかったのはティアーリアの妹のラティリナであったと。 ショックを受けるティアーリアだったが、愛する彼の為自分は身を引く事を決意した。 【誤字脱字のご報告ありがとうございます!小っ恥ずかしい誤字のご報告ありがとうございます!個別にご返信出来ておらず申し訳ございません( •́ •̀ )】

処理中です...