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【第1話】自称モブ男は、恋愛フラグを回避する
回避しても諦めない親友。
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俺の休みは交代制。だから、この日が休みとかは決まっていない。それなのに、なぜかコイツは俺と合わせて非番をもぎ取ってくる……。
俺もコイツの恋心を知った上で、フラグをへし折ってる負い目があるから毎回付き合っていた。
今日はコイツに付き合って、なぜか宝石店へ来ている。
宝石店に男二人で来る奴はいないだろう……なんて普通なら思うかもしれない。だが、俺の生まれた世界は違う。
俺達以外でも男同士が二組もいた。
此処はこの町で唯一の宝石店で、鉱山の仕事として原石を取ってくる奴が売りに来たりもする。
「それで、今日はどうして此処に……」
「ああ、いつも世話になっている人へ贈りたいんだ。それで、君の意見も聞きたいと思って」
勘ぐるのは良くないが……俺じゃないよな。
これはフラグの中だとあまりない。恋人同士ならありえるが、好きな相手を連れて行って本人に選ばせるなんて……。
まぁ、残念ながらそもそも俺は宝石に興味ないけどな。
「んー……世話になってても、相手が貴族とかじゃなかったら高価な物はやめたほうがいいだろうな」
「なるほどね。宝石に興味ない相手だとどうかな?」
「あー……俺も興味ないけど。そしたら、主張しない方が良いんじゃないか?」
コイツは素直だから俺の言葉をすんなり受け取って、いくつかの宝石が出てくる。
どれも庶民な俺から見ても、この店で一番価値は低そうだし光ってない。これなら俺でも持てる――フラグじゃないよな?
青なのに、くすんだ色をした宝石へ吸い込まれる。
「すみません、これをください」
「え……お前も、それを気に入ったのか?」
「うん……。なんか、惹きつけられるよね」
視線は感じなかった。まさか、俺の瞳の色に近いからとかじゃないだろうけど……。
店主は「曇青」と言う宝石だと教えてくれる。磨いても曇り目のように輝かず、宝石として価値は低いが「曇った場所でも青く輝く」と言う意味を持つらしい。
しかも、コイツ……指輪を購入している。サイズ調整があるから、後日受け取りらしいけど……指のサイズなんて分かるのか。
思わず疑いの眼差しを向けていると、急に手を握られる。
ドクン……。
いやいや、なんだドクンって。コイツが男前だからって、俺は異性なんだよ。
「えっと……何?」
「ああ、すまない。渡す相手も男性でね。君の指に近いから思わず触ってしまった」
「えっ……男に渡すのか? 指輪とか重くないか……」
「うーん……その人は気にしないと思う。僕が指輪で贈りたいから。それに、これは付与効果のある宝石だからさ」
あー……。付与効果。魔法具の一つだ。指輪は定番で、宝石は魔法を付与しやすくて重宝されている。
主に防護魔法を付与したり、属性強化なんかで使用者の力を増幅してくれる優れものだ。
俺とコイツも魔法は得意で、魔法学校では優秀な成績を収めた。それによって、貴族だったコイツは騎士団へ所属して、庶民の俺は堅いのが嫌いで自警団に入ったわけ。
まぁ、指を触られたくらいでサイズなんて分からないだろうし。
宝石店を出た俺達は場所を移動して、昼食を取ることにした。当然、室内じゃなくテラス席だ。此処なら開放感もあって、逃げられる。
日差し避けもあって悪くない。行きつけの店だから、お勧めを頼んで待つだけだ。
「今日は君のお陰で良い物が買えたよ。だから、奢らせて欲しい」
「ああ、それなら良かった。いや、奢られる筋合いはないから。昨日、給金が入って潤っているしな」
笑う俺に対して目を下げるソラティオは分かりやすい。これは、しょんぼり顔だ。
本当、絵になる色男で嫉妬する……。モブの俺には勿体ない。
「分かったよ。君は一度決めたら揺るがないからね。――そう言うところも、好きだけど……」
「え……? あー、うん……悪かったな強情で」
今微かに小さな声が聞こえたような……? 気のせいか。
まぁ、コイツが納得したのならそれで良い。
俺達は飯を食べてから最後に魔法学校へ向かう。実は、卒業生として今日は呼ばれていたんだ。
俺はコイツと違って子供を相手するのも苦手だし、教えるのも下手だけど。見せるだけで良いって言うから……自警団に所属している手前断れなかった。
「懐かしいな……」
「まぁ、お前はな? 俺はいつも巡回してるからさ」
赤い煉瓦の屋根しかない町の中で、唯一風変わりな見た目をした城に似た三角帽子の塔がある。危険な魔法を使用する際に使われる場所で、実験のための地下室もあった。
基本は赤い煉瓦と同じ色をした屋根に小麦色の壁で出来ている。学生は、同じローブを着用していてリボンタイの色で学年が分かるようになっていた。
「今日は、1年生相手だったか……なんの魔法が受けると思う?」
「うーん……やっぱり若い子なら、派手なのとか? でも、危険じゃないものね」
「言われなくても、そんな危険な魔法使うわけないだろう」
「そうかな。1年の時に雷を呼び寄せて綺麗だろうって、見せてくれたよね?」
それは俺の黒歴史……。
コイツは幼馴染だから、黒歴史の全てを知っている危険人物だと言うことを忘れていた――。
思わず唾を飲み込んで視線を向ける。それなのに、コイツは昔を懐かしんで爽やかな笑みを浮かべていた。
ああ……コイツにとっては大事な思い出で、黒歴史なんて微塵も思っていない。
「……恥ずかしいからやめてくれ」
「そうなの? すまない。でも、照れた顔が見れたのは役得かな」
コイツ……平然とした顔で凄い恥ずかしいことを。これが、色男のやり方か!
俺はモブ男で、可愛い女の子と恋をして結婚するんだ……。双子の兄が男に走って俺までなんて、一族は終わりを迎えてしまう。まぁ、可愛い幼馴染で当然女の子と良い感じの弟がいるから最悪は……。
いやいや、絆されてどうする。25年間を無駄にする気か。コイツも今更俺に好意を持たれても……。
「ん……どうかした?」
目が合って嬉しそうな笑顔を向けられると、いつでも受け入れ態勢を感じる。
自然の流れで目線をそらして正門へ向かった。
俺もコイツの恋心を知った上で、フラグをへし折ってる負い目があるから毎回付き合っていた。
今日はコイツに付き合って、なぜか宝石店へ来ている。
宝石店に男二人で来る奴はいないだろう……なんて普通なら思うかもしれない。だが、俺の生まれた世界は違う。
俺達以外でも男同士が二組もいた。
此処はこの町で唯一の宝石店で、鉱山の仕事として原石を取ってくる奴が売りに来たりもする。
「それで、今日はどうして此処に……」
「ああ、いつも世話になっている人へ贈りたいんだ。それで、君の意見も聞きたいと思って」
勘ぐるのは良くないが……俺じゃないよな。
これはフラグの中だとあまりない。恋人同士ならありえるが、好きな相手を連れて行って本人に選ばせるなんて……。
まぁ、残念ながらそもそも俺は宝石に興味ないけどな。
「んー……世話になってても、相手が貴族とかじゃなかったら高価な物はやめたほうがいいだろうな」
「なるほどね。宝石に興味ない相手だとどうかな?」
「あー……俺も興味ないけど。そしたら、主張しない方が良いんじゃないか?」
コイツは素直だから俺の言葉をすんなり受け取って、いくつかの宝石が出てくる。
どれも庶民な俺から見ても、この店で一番価値は低そうだし光ってない。これなら俺でも持てる――フラグじゃないよな?
青なのに、くすんだ色をした宝石へ吸い込まれる。
「すみません、これをください」
「え……お前も、それを気に入ったのか?」
「うん……。なんか、惹きつけられるよね」
視線は感じなかった。まさか、俺の瞳の色に近いからとかじゃないだろうけど……。
店主は「曇青」と言う宝石だと教えてくれる。磨いても曇り目のように輝かず、宝石として価値は低いが「曇った場所でも青く輝く」と言う意味を持つらしい。
しかも、コイツ……指輪を購入している。サイズ調整があるから、後日受け取りらしいけど……指のサイズなんて分かるのか。
思わず疑いの眼差しを向けていると、急に手を握られる。
ドクン……。
いやいや、なんだドクンって。コイツが男前だからって、俺は異性なんだよ。
「えっと……何?」
「ああ、すまない。渡す相手も男性でね。君の指に近いから思わず触ってしまった」
「えっ……男に渡すのか? 指輪とか重くないか……」
「うーん……その人は気にしないと思う。僕が指輪で贈りたいから。それに、これは付与効果のある宝石だからさ」
あー……。付与効果。魔法具の一つだ。指輪は定番で、宝石は魔法を付与しやすくて重宝されている。
主に防護魔法を付与したり、属性強化なんかで使用者の力を増幅してくれる優れものだ。
俺とコイツも魔法は得意で、魔法学校では優秀な成績を収めた。それによって、貴族だったコイツは騎士団へ所属して、庶民の俺は堅いのが嫌いで自警団に入ったわけ。
まぁ、指を触られたくらいでサイズなんて分からないだろうし。
宝石店を出た俺達は場所を移動して、昼食を取ることにした。当然、室内じゃなくテラス席だ。此処なら開放感もあって、逃げられる。
日差し避けもあって悪くない。行きつけの店だから、お勧めを頼んで待つだけだ。
「今日は君のお陰で良い物が買えたよ。だから、奢らせて欲しい」
「ああ、それなら良かった。いや、奢られる筋合いはないから。昨日、給金が入って潤っているしな」
笑う俺に対して目を下げるソラティオは分かりやすい。これは、しょんぼり顔だ。
本当、絵になる色男で嫉妬する……。モブの俺には勿体ない。
「分かったよ。君は一度決めたら揺るがないからね。――そう言うところも、好きだけど……」
「え……? あー、うん……悪かったな強情で」
今微かに小さな声が聞こえたような……? 気のせいか。
まぁ、コイツが納得したのならそれで良い。
俺達は飯を食べてから最後に魔法学校へ向かう。実は、卒業生として今日は呼ばれていたんだ。
俺はコイツと違って子供を相手するのも苦手だし、教えるのも下手だけど。見せるだけで良いって言うから……自警団に所属している手前断れなかった。
「懐かしいな……」
「まぁ、お前はな? 俺はいつも巡回してるからさ」
赤い煉瓦の屋根しかない町の中で、唯一風変わりな見た目をした城に似た三角帽子の塔がある。危険な魔法を使用する際に使われる場所で、実験のための地下室もあった。
基本は赤い煉瓦と同じ色をした屋根に小麦色の壁で出来ている。学生は、同じローブを着用していてリボンタイの色で学年が分かるようになっていた。
「今日は、1年生相手だったか……なんの魔法が受けると思う?」
「うーん……やっぱり若い子なら、派手なのとか? でも、危険じゃないものね」
「言われなくても、そんな危険な魔法使うわけないだろう」
「そうかな。1年の時に雷を呼び寄せて綺麗だろうって、見せてくれたよね?」
それは俺の黒歴史……。
コイツは幼馴染だから、黒歴史の全てを知っている危険人物だと言うことを忘れていた――。
思わず唾を飲み込んで視線を向ける。それなのに、コイツは昔を懐かしんで爽やかな笑みを浮かべていた。
ああ……コイツにとっては大事な思い出で、黒歴史なんて微塵も思っていない。
「……恥ずかしいからやめてくれ」
「そうなの? すまない。でも、照れた顔が見れたのは役得かな」
コイツ……平然とした顔で凄い恥ずかしいことを。これが、色男のやり方か!
俺はモブ男で、可愛い女の子と恋をして結婚するんだ……。双子の兄が男に走って俺までなんて、一族は終わりを迎えてしまう。まぁ、可愛い幼馴染で当然女の子と良い感じの弟がいるから最悪は……。
いやいや、絆されてどうする。25年間を無駄にする気か。コイツも今更俺に好意を持たれても……。
「ん……どうかした?」
目が合って嬉しそうな笑顔を向けられると、いつでも受け入れ態勢を感じる。
自然の流れで目線をそらして正門へ向かった。
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