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【第1話】自称モブ男は、恋愛フラグを回避する
運命を受け入れてやる……。
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分かるよー。雰囲気が一番大事だよねー。死線をくぐり抜けて、絶好の告白日和だわ……。
でもって、思ったとおり。しれっと、あのとき買った指輪を持参してんな。お守りだったんだろうけど……!
ソラティオが死ぬ未来か、俺の恋愛フラグを回避出来ない未来なら、当然――前者を選ぶに決まってるだろう!
「えっと……こんな俺でも、良かっ」
「君じゃなきゃ、駄目なんだ。嬉しい……とても、嬉しいよ。一生、大切にする」
25年間、恋愛フラグを回避していた俺だから分かること。このままコイツとの恋愛フラグを回避し続けたら、確実に死亡フラグから逃げられない。
なんの因果か分からないけど、恋愛フラグが立ったことで、どちらかしか選べない運命なんだろう。
男前が破顔する姿は悪くないな……。
感情のまま抱き締められると、少しだけ照れ臭くなってソラティオの背中をポンポン軽く叩く。
「あっ……すまない。早急すぎたね。こんなときに、こんなところで言うべきじゃないのは分かってるんだけれど……。その、手紙の……」
「え……? あっ……」
それから、照れ臭そうにするソラティオから手紙に書いていた内容を求められた。
俺が到着するまでの1時間。たった1人で、魔力暴走を食い止めていたのは事実だ。
そんなことで良いならと、10センチ違う頭へ腕を伸ばす。
「……1人で良く頑張ったな……。生きていてくれて嬉しい」
「…………うん」
軽く頭を撫でながらソラティオの目を見て褒める。
但し、25年間の想いが暴走したソラティオは、こんな魔窟の穴であることを要求してきた。
次第に顔が近づいてくる。
格好良いことを言っておいて……いま、まさに恋愛フラグを成就させた色男に唇を奪われそうになっている俺――。
もう、やけくそだ!
瞼を閉じて受け入れ体勢になると、頬へ優しく手が添えられてすぐ唇に柔らかい感触がする。
ちゅっと軽い音がして、啄むように口づけられた。
やばい……。俺、いま……ソラティオとキスしてる――。
次第にドキドキしてくる心臓がうるさくて、思わず瞼を開くと、凝視する視線に気づく。
視線があった瞬間、思考は停止した。
コ、コイツ……。
ずっと目を開けていたわけじゃないよな……。
キス顔を見られていたと思ったら急に全身が火照り始める。
胸板を押すように止めさせたあと、物足りなさそうな顔をする色男へ一喝した。
「目ぇ……開けてるんじゃねぇ!!」
「好きな人の初めては、しっかり目に焼きつけておきたいからね」
爽やかな笑みを浮かべる色男は、不意に俺の手を掴む。
照れ臭そうにする俺なんてお構いなしで手の平へ軽く唇が触れたあと、一緒に選んだ曇青の指輪が左手の薬指へ嵌められた――。
すべての処理を部下へ任せたらしいソラティオの愛馬へ否応無しに乗せられる形で草原を走る。
まんまと馬に2人乗りさせられてしまった……。
手綱を握っているから体が密着しているだけで、何かされるわけじゃないが……なんか恥ずかしい。それに、絶対コイツは俺を食おうとしている。
こんな爽やかな笑顔を向けて、中身はきっと狼だ……。なんせ俺は、コイツを抱ける自信が一切ないからな!
その時点で詰んでいる……。だって、恋人同士って言ったら――ヤるものだろう……?
男同士で、そんな純真無垢な恋人たちがいたら教えてくれ。
俺はこのままコイツの愛馬で王都へ連れて行かれて、きっと……いや、絶対一人暮らしをしている家に連れ込まれる。
そして、気づいたら朝でした……なんてことにはならず、服を剥がされてあられもない姿で醜態を晒すに違いない。
これだから男は……俺も男だけど! 実を言うと……同性の恋愛フラグを回避するのに人生をかけていたことで、俺は童貞だ――。
しかも、恋人を作ったこともない。それなのに、コイツは……俺の知る限り、両手で数えられるほどの女子と付き合っている。童貞は卒業したのか聞いたら、少しだけ照れたように頷きやがった。
まぁ、ソラティオが無事だったから俺の貞操くらい…………うん。くれてやる。男らしく?
「僕の家に着いたよ。君を連れてきたのは始めてだから、本当に嬉しいな……ねぇ、もう名前を呼んでも良い?」
「え……あー……そうだな。もう、自称モブも卒業だし。――そして、俺の貞操も……」
ソラティオの家はまさかの一軒家で、1人暮らしにしては大きめな平屋だった。
王都は屋根が赤で統一されていて、壁は白く塗られ半分から下が赤レンガで作られている。
果たして男の1人暮らしはどんな部屋なのか……。俺の場合は、装飾品もない寝られるだけの部屋だ。
「いま、本当に幸せだよ。でも、これからもっと幸せになることをしたいな……」
「え……具体的には?」
「それは……夜になったら分かるかな? 好きだよ、フール。世界中で一番愛してる……一生、幸せにするね」
――さよなら、俺の貞操。そして、恋愛フラグを回避出来なかった俺も……。
いや、そもそもおかしいだろう!? 付き合って速攻でヤるとか、ないよな。どれだけがっついてるんだこの色男な狼は……うん、俺の完敗だ。
愛馬を小屋に入れてきたソラティオから伸ばされる手を取って、導かれるまま開かれた扉から一歩を踏み出す。
パタンと閉まる扉の音がして、俺は思い切り腰を抱かれて寝室へと流されていった――。
(おい……夜って言った口はどこいった!? まだ辛うじて夕方だぞ!)
寝室へ連れ込まれた俺は、なぜか延々とお花畑無双から自分が好きになったときの馴れ初めを聞かされ、寝る際に後ろから抱き締められた以外に何もなく、度肝を抜かれるのだった――。
~END~
でもって、思ったとおり。しれっと、あのとき買った指輪を持参してんな。お守りだったんだろうけど……!
ソラティオが死ぬ未来か、俺の恋愛フラグを回避出来ない未来なら、当然――前者を選ぶに決まってるだろう!
「えっと……こんな俺でも、良かっ」
「君じゃなきゃ、駄目なんだ。嬉しい……とても、嬉しいよ。一生、大切にする」
25年間、恋愛フラグを回避していた俺だから分かること。このままコイツとの恋愛フラグを回避し続けたら、確実に死亡フラグから逃げられない。
なんの因果か分からないけど、恋愛フラグが立ったことで、どちらかしか選べない運命なんだろう。
男前が破顔する姿は悪くないな……。
感情のまま抱き締められると、少しだけ照れ臭くなってソラティオの背中をポンポン軽く叩く。
「あっ……すまない。早急すぎたね。こんなときに、こんなところで言うべきじゃないのは分かってるんだけれど……。その、手紙の……」
「え……? あっ……」
それから、照れ臭そうにするソラティオから手紙に書いていた内容を求められた。
俺が到着するまでの1時間。たった1人で、魔力暴走を食い止めていたのは事実だ。
そんなことで良いならと、10センチ違う頭へ腕を伸ばす。
「……1人で良く頑張ったな……。生きていてくれて嬉しい」
「…………うん」
軽く頭を撫でながらソラティオの目を見て褒める。
但し、25年間の想いが暴走したソラティオは、こんな魔窟の穴であることを要求してきた。
次第に顔が近づいてくる。
格好良いことを言っておいて……いま、まさに恋愛フラグを成就させた色男に唇を奪われそうになっている俺――。
もう、やけくそだ!
瞼を閉じて受け入れ体勢になると、頬へ優しく手が添えられてすぐ唇に柔らかい感触がする。
ちゅっと軽い音がして、啄むように口づけられた。
やばい……。俺、いま……ソラティオとキスしてる――。
次第にドキドキしてくる心臓がうるさくて、思わず瞼を開くと、凝視する視線に気づく。
視線があった瞬間、思考は停止した。
コ、コイツ……。
ずっと目を開けていたわけじゃないよな……。
キス顔を見られていたと思ったら急に全身が火照り始める。
胸板を押すように止めさせたあと、物足りなさそうな顔をする色男へ一喝した。
「目ぇ……開けてるんじゃねぇ!!」
「好きな人の初めては、しっかり目に焼きつけておきたいからね」
爽やかな笑みを浮かべる色男は、不意に俺の手を掴む。
照れ臭そうにする俺なんてお構いなしで手の平へ軽く唇が触れたあと、一緒に選んだ曇青の指輪が左手の薬指へ嵌められた――。
すべての処理を部下へ任せたらしいソラティオの愛馬へ否応無しに乗せられる形で草原を走る。
まんまと馬に2人乗りさせられてしまった……。
手綱を握っているから体が密着しているだけで、何かされるわけじゃないが……なんか恥ずかしい。それに、絶対コイツは俺を食おうとしている。
こんな爽やかな笑顔を向けて、中身はきっと狼だ……。なんせ俺は、コイツを抱ける自信が一切ないからな!
その時点で詰んでいる……。だって、恋人同士って言ったら――ヤるものだろう……?
男同士で、そんな純真無垢な恋人たちがいたら教えてくれ。
俺はこのままコイツの愛馬で王都へ連れて行かれて、きっと……いや、絶対一人暮らしをしている家に連れ込まれる。
そして、気づいたら朝でした……なんてことにはならず、服を剥がされてあられもない姿で醜態を晒すに違いない。
これだから男は……俺も男だけど! 実を言うと……同性の恋愛フラグを回避するのに人生をかけていたことで、俺は童貞だ――。
しかも、恋人を作ったこともない。それなのに、コイツは……俺の知る限り、両手で数えられるほどの女子と付き合っている。童貞は卒業したのか聞いたら、少しだけ照れたように頷きやがった。
まぁ、ソラティオが無事だったから俺の貞操くらい…………うん。くれてやる。男らしく?
「僕の家に着いたよ。君を連れてきたのは始めてだから、本当に嬉しいな……ねぇ、もう名前を呼んでも良い?」
「え……あー……そうだな。もう、自称モブも卒業だし。――そして、俺の貞操も……」
ソラティオの家はまさかの一軒家で、1人暮らしにしては大きめな平屋だった。
王都は屋根が赤で統一されていて、壁は白く塗られ半分から下が赤レンガで作られている。
果たして男の1人暮らしはどんな部屋なのか……。俺の場合は、装飾品もない寝られるだけの部屋だ。
「いま、本当に幸せだよ。でも、これからもっと幸せになることをしたいな……」
「え……具体的には?」
「それは……夜になったら分かるかな? 好きだよ、フール。世界中で一番愛してる……一生、幸せにするね」
――さよなら、俺の貞操。そして、恋愛フラグを回避出来なかった俺も……。
いや、そもそもおかしいだろう!? 付き合って速攻でヤるとか、ないよな。どれだけがっついてるんだこの色男な狼は……うん、俺の完敗だ。
愛馬を小屋に入れてきたソラティオから伸ばされる手を取って、導かれるまま開かれた扉から一歩を踏み出す。
パタンと閉まる扉の音がして、俺は思い切り腰を抱かれて寝室へと流されていった――。
(おい……夜って言った口はどこいった!? まだ辛うじて夕方だぞ!)
寝室へ連れ込まれた俺は、なぜか延々とお花畑無双から自分が好きになったときの馴れ初めを聞かされ、寝る際に後ろから抱き締められた以外に何もなく、度肝を抜かれるのだった――。
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