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【第2話】超絶イケメンな恋人は瓜二つ
双子だから威圧も2倍。
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噂の第二王子殿下の視察日。俺たち教職員は整列して学校の入口で待機していた。
当然のように両隣で挟まれている。この学校で回復魔法使いは、もう1人いた。聖女のように誰でも関係なく慈しむ優しい心の持ち主だ。色白の肌は少しだけピンクがかって見えて、腰まで伸ばされた若葉色の髪は艶を帯びていて、深い翠眼の瞳。
彼女は確か恋人とかいなかったはずだ……。第二王子殿下に見初められたら、断れないだろうな。
「……もし、何かあったら。言うからね」
「ああ……分かってる」
「もし、離れても同棲するから関係ないしな」
ただ、2人して耳元で囁いてくるのはやめてほしい……。
身長が少し高いからって、俺だって177センチはあるんだぞ。
2人が心配しているようなことは起きないだろうけど……万一、俺たちの関係をバラすことになったら、一緒の学校には居られない。良く夫婦で仕事は出来ないって言うけど、この世界だと恋人同士も当てはまる。
2人は魔法の箒を使えるし、就任してまだ1年ちょっとだから別な場所へ行くらしい。学校で、その……エロいことをされるのは正直困るけど……。2人と離れたいわけじゃない。寧ろ同棲しても、学校でも会いたいと思ってしまう。
「――第二王子殿下が来られたぞ」
教頭の一言で教職員がざわつき始めた。俺も緊張して体が強張る。2人は澄まし顔で、本当に度胸があって羨ましい……。
そんなとき、空気が変わったのは俺でも分かる。
シーンと静まりかえった入口を歩いてくる1人の男。太陽の光に照らされてキラキラ輝いてみえる金髪は、癖もなくサラサラしていそうで、蒼玉の瞳は垂れ目だ。それが優しい雰囲気を醸し出していて、女教職員は浮足立ってみえる。
まさに王子様……。但し、俺は2人と出会ってなくても惹かれなかっただろう。恋愛としては、まったく唆られない。
いや、同性だから……。でも、女同士で付き合っているって打ち明けてくれた職員も無反応だ。
「――ヴァローナ先生。先生、第二王子殿下が話しかけられていますよ……」
「え……あっ! 大変失礼致しました……」
「いや、急な視察で……教職員の皆には迷惑をかけたな。ただ、私はそなたを気に入った。私の妻になってほしい」
へ……? 今なんて……?
俺の頭がおかしいのかと両隣を見た瞬間。荒振る魔物のような悍ましい顔が見えた……。
紫水晶みたいな目が、完全に据わってる――。
「そなたは回復魔法使いなのだろう? 子は授からないが、私の側で一生を共にしてほしい」
一瞬でシーンとなって空気が重い。この方は、俺が回復魔法使いだから選んだのか……? それなら、少し前にいた彼女の方に惹かれないのはおかしいだろう。
男女なら子供だって作れるぞ……。
言葉を迷ってしまった俺より先に、2人が異を唱えた。
「第二王子殿下、発言をお許し下さい」
「ヴァローナ先生には、恋人がおります」
「え……そうなのかい?」
第二王子殿下は勿論、全教職員の目が向けられる。少しだけ怖い……。だけど、2人の関係が知られたら一緒にいられなくなる……。
だけど、俺から言わないと……。俺が、第二王子殿下に見初められたんだから。
2人と離れるのは嫌だけど、婚姻なんてそれ以上のことだ。断らないと――。
俺と同じくらいの身長である第二王子殿下へ頭を下げる。
「大変申し訳ございません……。お……私には、恋人がおります。とても大事で、2人以外は考えられません」
「……2人? もしかして……」
「あっ……」
思わず2人って言ってしまった――。
両隣にいる双子が互いの顔を見合って笑いだす。
ちょっ……第二王子殿下の前だぞ、こいつら!?
死罪はやめてくれ……。
俺に向けられていた視線は第二王子殿下以外、双子へ向けられた。当然、怪訝な表情で教頭は青い顔をしている。それと違って校長が動じていないのは、大貴族出身だからか……。
「彼の言う2人は、僕たちのことです」
「俺たち、双子なんで。好きな子も、同じになっちゃいまして……」
「おい……お前ら」
「そうか。それは残念だ……。それでは、そなたたち2人に案内を頼みたい」
「「仰せのままに」」
どうなるか分からないけど、今は良かったと思おう。
第二王子殿下へ指名された2人が軽く手を振って、護衛と共に去っていった。
そのあと、当然俺は教頭に呼び出される。校長は第二王子殿下の側にいないといけないからだ。
2人と離れるのは正直寂しいけど、仕方ない……。
俺は意を決して教頭室の扉を叩いた。
当然のように両隣で挟まれている。この学校で回復魔法使いは、もう1人いた。聖女のように誰でも関係なく慈しむ優しい心の持ち主だ。色白の肌は少しだけピンクがかって見えて、腰まで伸ばされた若葉色の髪は艶を帯びていて、深い翠眼の瞳。
彼女は確か恋人とかいなかったはずだ……。第二王子殿下に見初められたら、断れないだろうな。
「……もし、何かあったら。言うからね」
「ああ……分かってる」
「もし、離れても同棲するから関係ないしな」
ただ、2人して耳元で囁いてくるのはやめてほしい……。
身長が少し高いからって、俺だって177センチはあるんだぞ。
2人が心配しているようなことは起きないだろうけど……万一、俺たちの関係をバラすことになったら、一緒の学校には居られない。良く夫婦で仕事は出来ないって言うけど、この世界だと恋人同士も当てはまる。
2人は魔法の箒を使えるし、就任してまだ1年ちょっとだから別な場所へ行くらしい。学校で、その……エロいことをされるのは正直困るけど……。2人と離れたいわけじゃない。寧ろ同棲しても、学校でも会いたいと思ってしまう。
「――第二王子殿下が来られたぞ」
教頭の一言で教職員がざわつき始めた。俺も緊張して体が強張る。2人は澄まし顔で、本当に度胸があって羨ましい……。
そんなとき、空気が変わったのは俺でも分かる。
シーンと静まりかえった入口を歩いてくる1人の男。太陽の光に照らされてキラキラ輝いてみえる金髪は、癖もなくサラサラしていそうで、蒼玉の瞳は垂れ目だ。それが優しい雰囲気を醸し出していて、女教職員は浮足立ってみえる。
まさに王子様……。但し、俺は2人と出会ってなくても惹かれなかっただろう。恋愛としては、まったく唆られない。
いや、同性だから……。でも、女同士で付き合っているって打ち明けてくれた職員も無反応だ。
「――ヴァローナ先生。先生、第二王子殿下が話しかけられていますよ……」
「え……あっ! 大変失礼致しました……」
「いや、急な視察で……教職員の皆には迷惑をかけたな。ただ、私はそなたを気に入った。私の妻になってほしい」
へ……? 今なんて……?
俺の頭がおかしいのかと両隣を見た瞬間。荒振る魔物のような悍ましい顔が見えた……。
紫水晶みたいな目が、完全に据わってる――。
「そなたは回復魔法使いなのだろう? 子は授からないが、私の側で一生を共にしてほしい」
一瞬でシーンとなって空気が重い。この方は、俺が回復魔法使いだから選んだのか……? それなら、少し前にいた彼女の方に惹かれないのはおかしいだろう。
男女なら子供だって作れるぞ……。
言葉を迷ってしまった俺より先に、2人が異を唱えた。
「第二王子殿下、発言をお許し下さい」
「ヴァローナ先生には、恋人がおります」
「え……そうなのかい?」
第二王子殿下は勿論、全教職員の目が向けられる。少しだけ怖い……。だけど、2人の関係が知られたら一緒にいられなくなる……。
だけど、俺から言わないと……。俺が、第二王子殿下に見初められたんだから。
2人と離れるのは嫌だけど、婚姻なんてそれ以上のことだ。断らないと――。
俺と同じくらいの身長である第二王子殿下へ頭を下げる。
「大変申し訳ございません……。お……私には、恋人がおります。とても大事で、2人以外は考えられません」
「……2人? もしかして……」
「あっ……」
思わず2人って言ってしまった――。
両隣にいる双子が互いの顔を見合って笑いだす。
ちょっ……第二王子殿下の前だぞ、こいつら!?
死罪はやめてくれ……。
俺に向けられていた視線は第二王子殿下以外、双子へ向けられた。当然、怪訝な表情で教頭は青い顔をしている。それと違って校長が動じていないのは、大貴族出身だからか……。
「彼の言う2人は、僕たちのことです」
「俺たち、双子なんで。好きな子も、同じになっちゃいまして……」
「おい……お前ら」
「そうか。それは残念だ……。それでは、そなたたち2人に案内を頼みたい」
「「仰せのままに」」
どうなるか分からないけど、今は良かったと思おう。
第二王子殿下へ指名された2人が軽く手を振って、護衛と共に去っていった。
そのあと、当然俺は教頭に呼び出される。校長は第二王子殿下の側にいないといけないからだ。
2人と離れるのは正直寂しいけど、仕方ない……。
俺は意を決して教頭室の扉を叩いた。
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