11 / 15
【第2話】超絶イケメンな恋人は瓜二つ
双子との将来について。
しおりを挟む
数回ノックして中から返事がしてゆっくり扉を開ける。
「すみません。ヴァローナです」
中では厳かな黒い椅子に座った教頭の姿がある。空のような髪は少しだけ襟足が長くて後ろで1つに結ばれていた。同種の瞳は柔らかく、魔法学校で女性が教頭の地位まで上がるのは大変だろう。
一瞬だけ、俺のことを見た教頭から勧められるままソファーへ腰を下ろした。
スッと背筋を伸ばして立ち上がり、歩いてきた教頭も前に座る。
少しだけ緊張した俺の表情を見て、教頭は気品のある笑みを浮かべた。
「リラックスしてください。貴方を呼び出したのは他でもありません。先程の件で」
「……申し訳ございません。ですが、俺は第二王子殿下と婚姻は結べませんし……2人と」
教頭は何も言わずローブの袖で口元を隠して笑っている。叱責されると思っていたが、そうじゃないらしい。
何かを手にしていた教頭が、テーブルの上で広げて見せてきた。びっしりと文字が書かれた魔法紙だ。内容を読んですぐに理解する。
「これって……」
「ええ。去年から少しずつ制度が変わりまして、恋人同士でしたら同じ学校で教鞭を取ることは禁止しておりません」
「……公にされていなかった理由は?」
「確定するのが今年でした。ですが、第二王子殿下の件で時期を早めることにします」
全部俺のせいだよな……。なんだか教員として申し訳ない。4年もお世話になっているのに……いや、でも第二王子殿下とは婚姻出来ないから。
頭を掻く俺を見て、教頭は優しく話をしてくれる。しかも、驚く話まで。
「だから、貴方達を責められる権利はないのです。私達のことで、完全なる私情ですね」
「……まさか、教頭先生と校長先生が。恋人同士とは思いませんでした……」
去年から交際するようになったらしい。確か、校長は50代前半だったような……。教頭は多分30代前半……。だけど性別も、年だって恋愛に関係ないよな。
それに、この学校は校長の一族が代々継承しているから、私情だとしてもなんの問題もない。
俺たちも、歳を重ねてもそんな間柄でいたいな……。
教頭の馴れ初めを聞いて、元気が出た俺は2人を探す。いつの間にか視察は終わっていて、第二王子殿下は残念そうにしていたらしいけど……別れ際、2人を祝福してくれたとか。
図書室で何かを真剣に読んでいる双子の姿を見つけて駆け寄る。
「こんなところにいたのか……」
「ん……シュテルン! どこに行ったかって心配してたんだぞ? 神隠しにあったんじゃないかって」
「教頭に呼ばれていたって聞いたよ。何もなくて本当に良かった」
その割にまったく焦った様子のないルアに手招きされて、自然と空けられた2人の間で足を止めた。
すぐ両隣から腕を回されて密着する。
2人に触られると不安が消えていく。心地良い……。
真剣な表情で2人が覗いていたのは、『王族との婚姻』? 断ったことで罪になるのか……?
「おい……これって」
「ああ、俺たちはどうなっても良い……。だけど、お前だけは渡せない」
「うん……君だけは、僕たちが守るから。それから、学校も去ることになるから心配だよ」
そんなこと2人で背負わなくて良いのに……。それに、この世界は恋人同士に優しいと思う。
何も知らない2人の腰へ俺も腕を回した。驚いた顔をしている姿は珍しくて見物だ。今更だけど、俺から2人に何かすることって少ないかも……。いつも2人が先に触ってくるし。
そのあと、2人に教頭から聞いた話をした。勿論、校長との関係は伏せた上で。
残す不安材料は、王族についてだけど……。
「第二王子殿下は、祝福してくれたんだろう?」
「ああ、そうだけどさ。不安材料は、潰しておかないと……」
「うん。僕たちにとって、王族よりも大事なのは、シュテルン……君だけだから」
さっきよりも密着して額と頬に唇が触れる2人を、不謹慎だけど、好きだなって思った……。
そのあとすぐ、王族であっても結婚を誓い合った恋人同士とは、婚姻出来ないって書いてあるページを見つける。
俺たちは恋人同士になってまだ半年ちょっとで、これから同棲を考え始めたばかり……。結婚は誓い合ってないぞ――。
「あー……これ」
「それなら、1つしかないよな」
「うん、そうだね」
「「シュテルン。結婚前提で、婚約して欲しい」」
2人から降り注ぐ声と、同時に伸ばされた手を見て腰から腕を離す。照れ臭さを感じながら俺は2人の手を取った。
「――はい、喜んで」
2人から熱い抱擁をされたあと、代わる代わる唇を奪われる。
「すみません。ヴァローナです」
中では厳かな黒い椅子に座った教頭の姿がある。空のような髪は少しだけ襟足が長くて後ろで1つに結ばれていた。同種の瞳は柔らかく、魔法学校で女性が教頭の地位まで上がるのは大変だろう。
一瞬だけ、俺のことを見た教頭から勧められるままソファーへ腰を下ろした。
スッと背筋を伸ばして立ち上がり、歩いてきた教頭も前に座る。
少しだけ緊張した俺の表情を見て、教頭は気品のある笑みを浮かべた。
「リラックスしてください。貴方を呼び出したのは他でもありません。先程の件で」
「……申し訳ございません。ですが、俺は第二王子殿下と婚姻は結べませんし……2人と」
教頭は何も言わずローブの袖で口元を隠して笑っている。叱責されると思っていたが、そうじゃないらしい。
何かを手にしていた教頭が、テーブルの上で広げて見せてきた。びっしりと文字が書かれた魔法紙だ。内容を読んですぐに理解する。
「これって……」
「ええ。去年から少しずつ制度が変わりまして、恋人同士でしたら同じ学校で教鞭を取ることは禁止しておりません」
「……公にされていなかった理由は?」
「確定するのが今年でした。ですが、第二王子殿下の件で時期を早めることにします」
全部俺のせいだよな……。なんだか教員として申し訳ない。4年もお世話になっているのに……いや、でも第二王子殿下とは婚姻出来ないから。
頭を掻く俺を見て、教頭は優しく話をしてくれる。しかも、驚く話まで。
「だから、貴方達を責められる権利はないのです。私達のことで、完全なる私情ですね」
「……まさか、教頭先生と校長先生が。恋人同士とは思いませんでした……」
去年から交際するようになったらしい。確か、校長は50代前半だったような……。教頭は多分30代前半……。だけど性別も、年だって恋愛に関係ないよな。
それに、この学校は校長の一族が代々継承しているから、私情だとしてもなんの問題もない。
俺たちも、歳を重ねてもそんな間柄でいたいな……。
教頭の馴れ初めを聞いて、元気が出た俺は2人を探す。いつの間にか視察は終わっていて、第二王子殿下は残念そうにしていたらしいけど……別れ際、2人を祝福してくれたとか。
図書室で何かを真剣に読んでいる双子の姿を見つけて駆け寄る。
「こんなところにいたのか……」
「ん……シュテルン! どこに行ったかって心配してたんだぞ? 神隠しにあったんじゃないかって」
「教頭に呼ばれていたって聞いたよ。何もなくて本当に良かった」
その割にまったく焦った様子のないルアに手招きされて、自然と空けられた2人の間で足を止めた。
すぐ両隣から腕を回されて密着する。
2人に触られると不安が消えていく。心地良い……。
真剣な表情で2人が覗いていたのは、『王族との婚姻』? 断ったことで罪になるのか……?
「おい……これって」
「ああ、俺たちはどうなっても良い……。だけど、お前だけは渡せない」
「うん……君だけは、僕たちが守るから。それから、学校も去ることになるから心配だよ」
そんなこと2人で背負わなくて良いのに……。それに、この世界は恋人同士に優しいと思う。
何も知らない2人の腰へ俺も腕を回した。驚いた顔をしている姿は珍しくて見物だ。今更だけど、俺から2人に何かすることって少ないかも……。いつも2人が先に触ってくるし。
そのあと、2人に教頭から聞いた話をした。勿論、校長との関係は伏せた上で。
残す不安材料は、王族についてだけど……。
「第二王子殿下は、祝福してくれたんだろう?」
「ああ、そうだけどさ。不安材料は、潰しておかないと……」
「うん。僕たちにとって、王族よりも大事なのは、シュテルン……君だけだから」
さっきよりも密着して額と頬に唇が触れる2人を、不謹慎だけど、好きだなって思った……。
そのあとすぐ、王族であっても結婚を誓い合った恋人同士とは、婚姻出来ないって書いてあるページを見つける。
俺たちは恋人同士になってまだ半年ちょっとで、これから同棲を考え始めたばかり……。結婚は誓い合ってないぞ――。
「あー……これ」
「それなら、1つしかないよな」
「うん、そうだね」
「「シュテルン。結婚前提で、婚約して欲しい」」
2人から降り注ぐ声と、同時に伸ばされた手を見て腰から腕を離す。照れ臭さを感じながら俺は2人の手を取った。
「――はい、喜んで」
2人から熱い抱擁をされたあと、代わる代わる唇を奪われる。
0
あなたにおすすめの小説
【8話完結】ざまぁされて廃嫡されたバカ王子とは俺のことです。
キノア9g
BL
廃嫡され全てを失った元王子。地道に生きたいのにハイスペ幼馴染が逃がしてくれません。
あらすじ
「第二王子カイル、お前を廃嫡する」
傲慢な振る舞いを理由に、王位継承権も婚約者も失い、国外追放されたカイル。
絶望の最中、彼に蘇ったのは「ブラック企業で使い潰された前世の記憶」だった。
「もう二度と、他人任せにはしない」
前世の反省を活かし、隣国の冒険者ギルドで雑用係(清掃員)として地道にやり直そうとするカイル。しかし、そんな彼を追いかけてきたのは、隣国の貴族であり幼馴染のレオナードだった。
「君がどんな立場になろうと、僕にとっては君は君だ」
落ちぶれたカイルに変わらぬ愛を注ぎ、元婚約者の悪意ある噂からも守り抜くレオナード。
すべてを失った元バカ王子が、社畜根性と幼馴染の溺愛によって幸せを掴むまでの、再起と愛の物語。
全8話。
だって、君は210日のポラリス
大庭和香
BL
モテ属性過多男 × モブ要素しかない俺
モテ属性過多の理央は、地味で凡庸な俺を平然と「恋人」と呼ぶ。大学の履修登録も丸かぶりで、いつも一緒。
一方、平凡な小市民の俺は、旅行先で両親が事故死したという連絡を受け、
突然人生の岐路に立たされた。
――立春から210日、夏休みの終わる頃。
それでも理央は、変わらず俺のそばにいてくれて――
📌別サイトで読み切りの形で投稿した作品を、連載形式に切り替えて投稿しています。
エピローグまで公開いたしました。14,000字程度になりました。読み切りの形のときより短くなりました……1000文字ぐらい書き足したのになぁ。
勇者様への片思いを拗らせていた僕は勇者様から溺愛される
八朔バニラ
BL
蓮とリアムは共に孤児院育ちの幼馴染。
蓮とリアムは切磋琢磨しながら成長し、リアムは村の勇者として祭り上げられた。
リアムは勇者として村に入ってくる魔物退治をしていたが、だんだんと疲れが見えてきた。
ある日、蓮は何者かに誘拐されてしまい……
スパダリ勇者×ツンデレ陰陽師(忘却の術熟練者)
楽な片恋
藍川 東
BL
蓮見早良(はすみ さわら)は恋をしていた。
ひとつ下の幼馴染、片桐優一朗(かたぎり ゆういちろう)に。
それは一方的で、実ることを望んでいないがゆえに、『楽な片恋』のはずだった……
早良と優一朗は、母親同士が親友ということもあり、幼馴染として育った。
ひとつ年上ということは、高校生までならばアドバンテージになる。
平々凡々な自分でも、年上の幼馴染、ということですべてに優秀な優一朗に対して兄貴ぶった優しさで接することができる。
高校三年生になった早良は、今年が最後になる『年上の幼馴染』としての立ち位置をかみしめて、その後は手の届かない存在になるであろう優一朗を、遠くから片恋していくつもりだった。
優一朗のひとことさえなければ…………
俺の推し♂が路頭に迷っていたので
木野 章
BL
️アフターストーリーは中途半端ですが、本編は完結しております(何処かでまた書き直すつもりです)
どこにでも居る冴えない男
左江内 巨輝(さえない おおき)は
地下アイドルグループ『wedge stone』のメンバーである琥珀の熱烈なファンであった。
しかしある日、グループのメンバー数人が大炎上してしまい、その流れで解散となってしまった…
推しを失ってしまった左江内は抜け殻のように日々を過ごしていたのだが…???
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
たけむら
BL
何でもできる幼馴染への告白を邪魔してみたら
何でも出来る美形男子高校生(17)×ちょっと詰めが甘い平凡な男子高校生(17)が、とある生徒からの告白をきっかけに大きく関係が変わる話。
特に秀でたところがない花岡李久は、何でもできる幼馴染、月野秋斗に嫉妬して、日々何とか距離を取ろうと奮闘していた。それにも関わらず、その幼馴染に恋人はいるのか、と李久に聞いてくる人が後を絶たない。魔が差した李久は、ある日嘘をついてしまう。それがどんな結果になるのか、あまり考えもしないで…
*別タイトルでpixivに掲載していた作品をこちらでも公開いたしました。
【完結】社畜の俺が一途な犬系イケメン大学生に告白された話
日向汐
BL
「好きです」
「…手離せよ」
「いやだ、」
じっと見つめてくる眼力に気圧される。
ただでさえ16時間勤務の後なんだ。勘弁してくれ──。
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
純真天然イケメン大学生(21)× 気怠げ社畜お兄さん(26)
閉店間際のスーパーでの出会いから始まる、
一途でほんわか甘いラブストーリー🥐☕️💕
・:* ✧.---------・:* ✧.---------˚✧₊.:・:
短期でサクッと読める完結作です♡
ぜひぜひ
ゆるりとお楽しみください☻*
・───────────・
🧸Twitterもぜひ遊びに来てください🫧
❥❥❥ https://x.com/ushio_hinata_2?s=21
・───────────・
応援していただけると励みになります💪( ¨̮ 💪)
なにとぞ、よしなに♡
・───────────・
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる