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北東の森

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 次の日の朝、私達は、うさぎの教えてくれた北東に向かって旅立ちました。
 少しでも遅れを取り戻そうと、私達も精一杯頑張って、いつもより早いペースで進んで行きました。
 疲れはしましたが、ようやく修理屋さんに会えると思ったら、疲れも吹き飛ぶというものです。



 ***




 「きっとここだわ!間違いない!」

 修理屋さんのことを教えてくれたうさぎのいる森を出発してから29日目の朝、私達はチクタクの森をみつけました。
あの森からきっちり北東の方角ですし、シュゼットの言う通り、きっとここだと私も思いました。
ですが、ひとつだけ問題がありました。
 新月の夜はあと数日後…私達はうさぎが止まった時計を捨てに来るまで待たないと、倉庫の入り口を知ることは出来ないのです。
まさかとは思いますが、その間に修理屋さんが帰ってしまったら大変です。
 私達は、新月まで森の中で泊まり込むことにしました。



 「お嬢様方はどうぞお休み下さい。
 私が起きていますから。」

 「馬鹿を言わないで。
こんな大切な時に眠ってなんていられるもんですか。」

シュゼットの隣で、私も大きく頷きました。
クリストファーは、困ったような顔をして、小さく首をすくめました。
 結局、私達はクリストファーから少し離れた場所に陣取って、修理屋さんが通らないかと、緊張して見守っていました。

 森にはほとんど人が来ません。
 人里離れた山の中ですから、それも無理はありません。



 「あ~あ、退屈だわ。
やっぱり昼間には来ないんじゃないかしら?」

 「そうかもしれないわね。
シュゼット…今のうちに少し休んでおいたら?
 私が見てるから。」

 「眠くなんかないわ。」



 風が動かす葉摩れの音、バタバタという羽ばたきの音が時折チクタクの音に加わります。



 「あ……」



 不意に上がったシュゼットの声の意味に私は気付きました。
 森の中に足音がするのです。
 足をひきずるような独特の音ですから、クリストファーのものではありません。
 私達は、音の源を探るため、足音の方へ急ぎました。

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