寄るな。触るな。近付くな。

何故こうなるのか

私、シュネー・ハーストは、ハーストは伯爵の次男坊で、家族は父と母に優しい兄の四人家族。

思い出したくもないあの日。
シュネーは三つ上の兄、フェルゼンに連れられて初めてのお茶会に参加していた。

貴族として人脈を作る為にわざわざ体調を万全に整えて参加したクランクハイト侯爵家でのお茶会。しかし身体の弱いシュネーは途中で疲れてしまい、目の前がくらりと揺れた。でも優しい兄に心配掛けたくなかったシュネーは兄が友達と話してる隙を見て離れた。

少しお茶会から離れて、休憩したら戻るつもりだった。しかし少しのつもりで離れたら見事に赤い薔薇が咲き誇る庭園の中で迷子に。

不安だっただろう。

初めて来たお茶会、初めて来た他所の貴族の邸宅での迷子。だからこそ、最初に聞こえてきた人の声に安堵して助けを求めて辿ってしまったのだろう。

まさか18禁に出くわしてしまうとは思わず。



「倒れたシュネーをエリアス様が見つけてくれたんだよ。今度は絶対僕から離れちゃダメだからね。」

兄が優しく頭を撫でてたしなめる。

しかし、私は声を大きくして言いたい。「そいつの所為です。」っと。

エリアス・クランクハイト。
今回のお茶会の主役であり、クランクハイト侯爵の嫡男。主役でありながらお茶会を抜け出し、私の前で見せつけてくれた上で誘ってきたクズ。確か、シュネーの二つ上の九歳だと兄は言っていた。

二つ上でどんだけ進んでるを通り越してすっ飛ばしてんだ。
絶対アイツは頭イかれてる。


もう二度と会いたくない。

そう心に誓った時、

「優しいね、エリアス様。明日お見舞いに来てくれるって。」

兄が慈愛の目を向けてとんでもない爆弾を投下した。