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ほんの少しの幸せで
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「シュネーは洗うのが雑すぎる。」
私が洗う姿を見て発したリヒトの最初の一言。
そうリヒトは言うが、別に雑だとは思わない。騎士団では皆、私よりもっと早く洗って数秒湯に浸かるくらいだった。私なんてまだ遅い方だ。
リヒトが丁寧過ぎるのだ、逆に。
頭なんて泡つけて多少洗えば流して大丈夫なのにしっかり丁寧に洗い上げる。身体もそうだ。ゴシゴシ洗えば早いのにゆっくり優しく丁寧に洗い上げる。女子か!?
と、思っていたのだが、「これからは僕が洗おうか? 」と言われて必死にしっかり洗ってる。
でもリヒトは不服なようでちょくちょく手出ししてくる。
でも絶対洗わせない。
任せた瞬間、何されるか分かったもんじゃない。
じっとリヒトが監視するように見てくる。
もしかしたらこういう時に「いや、恥ずかしい。見ないで。」なんて可愛い反応をするべきなのかもしれないが、もう何度も裸を見られてる。今更、見られたってあの行為に比べれば恥ずかしくない。大体男同士だ。
騎士団の仲間と何度か一緒に風呂には入った事あるので別にどうって事ない。結局全然毛が生えてこないアソコも何回も見られれば恥ずかしくない。
なので隠す気もない。
それよりも……。
「その身体の傷は前に言ってた王宮で付けられた傷ですか? 」
まるで歴戦の戦士のように無数の傷が程よく鍛えられた身体に刻まれている。それは受けた剣の傷ならば剣士としては誉れだろう。しかしそれは剣の傷ではない。何かで何度も叩かれたような傷。それが服を着ていたら見えないように付けられている。
ー 度し難いな。こんな事ならもっと宰相にやり返せば良かった。
リヒトが少し恥ずかしそうに辛そうに身体を隠す。
「汚いでしょ。」
そう言葉を無理矢理吐いて、作った笑顔を浮かべる。きっとこの傷は今でもリヒトを苦しめているのだろう。
今まで何度もリヒトに裸を見られたが、私がリヒトの裸を見た事はない。今、考えればそういう行為中もリヒトはほぼ脱いでいない。私にこの傷を余程、見られたくなかったのだろう。
ー 馬鹿だな。この人は本当に。
こてんとリヒトに身体を預ける。
ビクリッとリヒトの身体が震えたが、スリッとリヒトの肌に頰をすり寄せる。
「汚くなんかないでしょう? だってこれは辛くたって貴方がここまで生きてきた証でしょ。私はカッコイイと思いますよ。」
「カッコイイ…。」
「そうですよ。リヒトはとっても頑張り屋で優しくてカッコイイんです。」
リヒトの瞳が揺れる。
何度も私を抱き締めようとして手が彷徨う。
「君は……泣かないの? この傷を見て。」
「誰と比べているかは詮索しないですが、そうですね。傷は男の勲章って言葉もありますし。……だって貴方が頑張ってきた証でしょう。泣きませんよ。ただ……。」
リヒトの身体を抱き寄せる。
そして頭をゆっくりと撫でる。
するとポタポタと肩に雨が降る。
「頑張りましたね。生きててくれてありがとう。」
ギュウッと痛い程抱き締められる。
子供のようにリヒトが泣く。
ポンポンと優しく背中を叩いても泣き止まない。
『世界一幸せにならなきゃ、リヒトはもと取れないもん。』
青空の下、笑顔でそう言い切ったゲルダの姿がふと浮かぶ。
まだようやく一年が過ぎる所だが、何だかとても懐かしくて笑みと涙が零れる。
もとが取れなくてもいいんじゃないかな。世界一じゃなくてもいい。平凡でいい。私もそれくらいなら出来るだろうか。
ーこの人をほんの少しなら幸せに。
結局、風呂から出てもリヒトは泣き続けた。
あんまりにも泣くもんだから落ち着くまで抱き締めてあやしていたら何時の間にかに二人とも寝てた。
私が洗う姿を見て発したリヒトの最初の一言。
そうリヒトは言うが、別に雑だとは思わない。騎士団では皆、私よりもっと早く洗って数秒湯に浸かるくらいだった。私なんてまだ遅い方だ。
リヒトが丁寧過ぎるのだ、逆に。
頭なんて泡つけて多少洗えば流して大丈夫なのにしっかり丁寧に洗い上げる。身体もそうだ。ゴシゴシ洗えば早いのにゆっくり優しく丁寧に洗い上げる。女子か!?
と、思っていたのだが、「これからは僕が洗おうか? 」と言われて必死にしっかり洗ってる。
でもリヒトは不服なようでちょくちょく手出ししてくる。
でも絶対洗わせない。
任せた瞬間、何されるか分かったもんじゃない。
じっとリヒトが監視するように見てくる。
もしかしたらこういう時に「いや、恥ずかしい。見ないで。」なんて可愛い反応をするべきなのかもしれないが、もう何度も裸を見られてる。今更、見られたってあの行為に比べれば恥ずかしくない。大体男同士だ。
騎士団の仲間と何度か一緒に風呂には入った事あるので別にどうって事ない。結局全然毛が生えてこないアソコも何回も見られれば恥ずかしくない。
なので隠す気もない。
それよりも……。
「その身体の傷は前に言ってた王宮で付けられた傷ですか? 」
まるで歴戦の戦士のように無数の傷が程よく鍛えられた身体に刻まれている。それは受けた剣の傷ならば剣士としては誉れだろう。しかしそれは剣の傷ではない。何かで何度も叩かれたような傷。それが服を着ていたら見えないように付けられている。
ー 度し難いな。こんな事ならもっと宰相にやり返せば良かった。
リヒトが少し恥ずかしそうに辛そうに身体を隠す。
「汚いでしょ。」
そう言葉を無理矢理吐いて、作った笑顔を浮かべる。きっとこの傷は今でもリヒトを苦しめているのだろう。
今まで何度もリヒトに裸を見られたが、私がリヒトの裸を見た事はない。今、考えればそういう行為中もリヒトはほぼ脱いでいない。私にこの傷を余程、見られたくなかったのだろう。
ー 馬鹿だな。この人は本当に。
こてんとリヒトに身体を預ける。
ビクリッとリヒトの身体が震えたが、スリッとリヒトの肌に頰をすり寄せる。
「汚くなんかないでしょう? だってこれは辛くたって貴方がここまで生きてきた証でしょ。私はカッコイイと思いますよ。」
「カッコイイ…。」
「そうですよ。リヒトはとっても頑張り屋で優しくてカッコイイんです。」
リヒトの瞳が揺れる。
何度も私を抱き締めようとして手が彷徨う。
「君は……泣かないの? この傷を見て。」
「誰と比べているかは詮索しないですが、そうですね。傷は男の勲章って言葉もありますし。……だって貴方が頑張ってきた証でしょう。泣きませんよ。ただ……。」
リヒトの身体を抱き寄せる。
そして頭をゆっくりと撫でる。
するとポタポタと肩に雨が降る。
「頑張りましたね。生きててくれてありがとう。」
ギュウッと痛い程抱き締められる。
子供のようにリヒトが泣く。
ポンポンと優しく背中を叩いても泣き止まない。
『世界一幸せにならなきゃ、リヒトはもと取れないもん。』
青空の下、笑顔でそう言い切ったゲルダの姿がふと浮かぶ。
まだようやく一年が過ぎる所だが、何だかとても懐かしくて笑みと涙が零れる。
もとが取れなくてもいいんじゃないかな。世界一じゃなくてもいい。平凡でいい。私もそれくらいなら出来るだろうか。
ーこの人をほんの少しなら幸せに。
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