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終幕 まさかこんな展開になるなんて。
しおりを挟む「イデア、イデアージュ、こっちにおいで。父様とお散歩の続きをしよう」
「あ、ぶぅ?」
僕は高速ハイハイで駆け寄ってきたイデアを、両手ですくい取るように抱き上げた。
僕とイヴが衝撃的な結婚をしてから約1年が経った。
あの日、僕はほぼ拉致のようにイヴの家へと連れられて(同意だからいいんだけど)、頭の中がバカになりそうな甘すぎる蜜月を過ごした。
仕事の引き継ぎも何もしてないし、行き先も告げていなかったから、お城も実家もかなり混乱したらしい。
拉致(笑)から四日目に、イヴだけがお城に行ってきて、僕が無事なこととか、書類上の結婚証明をもらったりしてきた。……その頃僕は裸のままでベッドに寝てるだけだったけど。
拉致(笑)から十日目、僕はようやく出仕を再開できた。当然のように送り迎えはイヴの転移魔法。だから、朝はぎりぎり、帰りは必ず定時上がりという規則正しい生活になった。
箍が外れたように僕を貪った最初の頃のイヴは、少しは落ち着いたと思ったけど毎日僕をベッドに引き倒した。
……僕が抱くほうじゃなくていいのかと問われたけれど、そのときにはもう、抱かれる歓びを知ってしまったし、イヴを抱ける気もしなかったから、ずっと現状維持だった。
そして、いずれは子供もほしいけどね……なんて話をしていた拉致(笑)から一ヶ月後。
僕の身体に異変が起きた。
『ご懐妊されてます。おめでとうございます』
っていう、王宮医の苦笑しながらの寿ぎを、僕は多分一生忘れない。
唖然とする王様や、王宮医と同じくらい苦笑する王太子殿下、魂が抜けたように真っ白になった父様と兄様。
そして何より、「「え?」」と、声を合わせて驚いた僕とイヴ。
『僕』の記憶で言うところ『びーえるふじょしむけ恋愛しみゅれーしょんげーむ』なのだというこの世界。
異性間で妊娠できるのは当たり前として、同性間でも妊娠は可能なんだ。
『夫婦』となった同性同士が、神殿で『珠核』というものに祈りを込める。それは互いの魔力を吸収して、どちらかの体内に入れられることで子供を成す。
女性同士の場合は、受精卵と同じ役割をして、男性同士の場合は疑似子宮と受精卵の役割を果たす。
あとは、定期的に魔力摂取……性行為をすることで、その珠核は成長し、子供に成る。
……はず、なんだけど。
僕たち、珠核なんて入れてない。
イヴも本当に知らないという。
それで、王宮医の先生は、少し困ったような顔をしながら、僕達に言った。
『珠核も一種の魔導具のようなものなのです。無機質ではなく、有機物……生きた魔導具と言いますか』
僕は『?』しか飛ばせなかったけど、イヴにはわかったようだった。
『つまり、僕がアデラール様のお腹の中にこれでもかと精子を注いだ結果、それが僕の魔力も伴っていていつの間にか珠核がアデラール様の体内で出来上がっていたということですね?』
……なんて身も蓋もないことを言われて、僕はみんなの顔が見れなくなった。
ま、そんな理由で、僕は予定外の妊娠をしたわけだけど、つわりがひどいわけでもなく、体調がわるいわけでもなく。
ただちょっと性欲が強くなったかな?と思う程度の変化しか無かった。
そして、そこから半年ほど経ったとき、僕は無事に第一子出産となった。
……妊娠期間が早いのは魔力が影響してるから、だそうだ。
「それにしても、イデアは本当に成長が早いね。イヴの魔力が想定外に強すぎるからかなぁ?」
「あぃ」
「ふふ。そんなに早く成長しなくてもいいんだよ?もっと僕に甘える子供のままでいて」
「あーぃ」
わかってるような、適当のような返事をして、イデアは僕の胸元にしがみつく。
ふくふくのほっぺがなんとも可愛らしい。
イデアの髪色はピンクゴールドで、瞳は澄んだ空色。しっかりと僕たちの色を身につけて生まれてきてくれた男の子。
愛しい愛しい我が子。
愛しいイヴとの子供。
「アデラール様、こちらにいましたか」
「イヴ、おかえり」
イデアを抱きながら心地の良い秋の庭を歩いていたら、冒険者の仕事を終えたイヴが現れて、イデアごと僕を抱きしめた。
「ただいま帰りました」
イヴは相変わらず僕のことを『アデラール様』と呼ぶ。
アデルでいいよって言ったのに、全然変わらない。
けど、ベッドの上で耳元で「アデル」と呼ばれるから、日常でアデルと呼ばれたら閨の熱に体が侵されそうでちょっと怖い……、や、ムラムラしてしまうかも。
ちゅ、ちゅ、って、軽いキスを交わす。
何度かしたら、イデアが「あぶぅっ」て怒りながら僕とイヴの間に手を挟めた。
「……イデア」
「あぃ」
「アデラール父様と僕の邪魔をしてはダメです」
「ぶぅっ」
「アデラール父様はイデアの父様ですが、僕の最愛です。イデアにはあげません。アデラール様の一番はこの僕です」
「あぶう!」
「ちょ……ちょっと、二人とも……っ」
「アデラール様が僕のものだと証明しましょう」
父親らしからぬ独占欲を見せたイヴは、僕たちとあっという間に寝室に、ベッドの上に戻った。
まさか、イデアの前で……とベッドの上でじりじり逃げていたら、笑顔のイヴが僕にキスをして……、服を、取られた。
「あーぅ」
……イデアを抱いたまま、お風呂でもないのに裸にされる僕。
そしてなぜか喜んだイデアが、赤く尖った僕の乳首に吸い付いてくる。
「イデア……っ、お乳出ないって言ってるでしょ……っ」
「んむぅ」
ちゅぅちゅぅ吸われる。
くすぐったい。
「全く……油断も隙もないんですから」
イヴは呆れながらイデアを離す……ことはなく、もう片方の乳首に吸い付いてきた。
「ひぁ!?」
「……アデラール様の乳首はやはり果実ですね…、甘くて美味しい……」
「あ、あっ、だめ、噛まないで……っ」
「あむ、あーむ」
「ちょ、イデアまで真似しないで……っ」
……こんな、平和?な日々。
なんか、子育てってこんなだっけ?と首を傾げることもあるけれど、毎日が幸福に包まれている。
でもさ。
『悪役令息』らしい『僕』が目覚めたときには断罪劇が始まってて、でも、こんな『悪役令息』と『主人公』がくっついて、子供までできちゃう展開になるなんて思いもしなかった……なぁ?
おしまい
*****
これにて完結です。
お付き合いくださった皆様、ありがとうございました!
イデアの将来が心配です……(笑)
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かなり完結から時間が経っての感想ですが、とても大好きな作品でした〜💖
イデアくんは将来結婚せずにアデルをイヴと共に溺愛してそうだなって思います🤭それはそれで私の大好物です✨💗
完結おめでとうございます。こんな悪役令息と主人公の関係、あったらアニメでも実写でも可なのでぜひ映像で見たいかも✨絶対麗しいカップルに決まってます。
そして、唖然呆然とする王様、父様、兄様のそばで(うん、こうなる事はわかってたw)と内心思いながら、
「だから焦らしすぎは良くないですよと、忠告申し上げたのに」
と黒い笑みを浮かべる王太子殿下がいたのでは、と想像してしまいました。先見の明アリの人なのでは、と思っています(笑) ……そして密かにこの人も転生者たったのかなぁと推測🤭
悪役令息も主人公も不幸にならない恋物語、とても楽しく読めました🎵
ありがとうございます( *´艸`)💕
追伸、イデアくん、将来、イヴパパ似な妻溺愛夫になりそう。そして両親の良いとこ取りな才能に溢れる人になりそう……溺愛凄そうですが😅💦
閨特化の魔法も受け継いでそうです(笑)
あと、個人的にイヴの、明後日に全力疾走する所とアデルのぽややんとした所が好きです❣️
王太子殿下については、この人も転生者だったら面白いだろうなぁとか考えてました。
アデル推しで、主人公に攻めをやらせたい腐男子ポジ(笑)
乙女(BL)ゲーム風のお話を書いたのは本当にはじめてなので、こんな悪役令息と主人公でいいのか……と思いつつ、自分も楽しく最後まで書けました^^
王太子の名前も、イヴの元取り巻き攻略対象らしいフランソワ以外の三人の名前も、全く考えてない(笑)
でも実は王太子殿下は隠しキャラ的な脳内補完はありましたが(笑)この要素は多分出さなかった……はず。
兎にも角にも、楽しんでいただけて何より♪
イデアは……、結婚できるのかな……?(笑)
完結おめでとうございます!
ただ!思うことが!
子育て方法絶対間違ってる!笑っ
イデアの将来が絶対イブと同じになる笑っ
ありがとうございます!
初めての悪役令息、完結できてホッとしてます…(^_^;)
イデア「僕はアデル父様と結婚します。イヴ父様ははやくさっさとアデル父様と離婚してください」
イヴ「はぁ!?離婚なんてするわけ無いでしょ!?そもそもイデアはアデラール様とは結婚できないんだからね!血が繋がってるんだから!!」
イデア「く……っ、ならば、法を変えるだけです……!!」
とか、親子喧嘩勃発します(笑)
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