僕は伯爵様の抱きまくら………だったはず?

ゆずは

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本編

僕はやっぱり伯爵様の抱きまくら

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 何か都合のいい夢を見ていた気がした。
 僕の耳元でご主人様が「愛してる」ってささやく夢。絶対、そんなこと起こるはずもないのに。

「は……ぁ、ぁん、ん、ぁー……ぁー…」

 艶っぽい声が耳につく。
 パチュンパチュンって何かが当たる水の音。
 何故か僕の体はとても気持ちいい物に包まれてる。

 いつもの朝のはず。
 なんだか体が疼くような重いような、気怠い朝。

 そう、いつもどおりの――――

「あ、ああっ!!」
「目が覚めたのか」
「え……っ、あ、んんっ、ご、しゅじん、さぁ…っ、まっ…、あ、あっ」

 いつもどおりじゃなかった。
 ご主人様が後ろからぎゅって抱きしめているのはいつもどおりだったけど、寝る前に着てたはずの夜着はどこかにいったらしくて、何も着てない。
 ご主人様の大きな手は、僕の平たい胸を覆うように鷲掴みにしてて、小さい乳首を指先でつまんだり押しつぶしたりしてる。
 …なにより、お尻の中を、熱くて硬い棒のようなものでこすられていて、それが気持ちよくてたまらない。

「ぁ……あ、っ、ご、しゅじん、さま…っ」
「うん?」
「あ、あっ」
「ああ。この可愛い小さな蕾だけじゃ物足りないか?」
「ひぁ…っ」

 片手が胸から離れて、僕の足の間をなでた。
 僕のそこは気づかないうちに濡れてたみたいで、大きな手にこすられて、グチュグチュ水の音がする。

「ぁ……や、ぁっ、ごしゅ、じんさまぁ…っ」
「シュリはやはり可愛いな」
「きゃう……んんっ」

 ぐりぐり……って、お尻の奥深くに熱い棒が入り込んだ。
 ぐぐ…って、僕のお尻にご主人様の体があたってる。でも、その体が離れていくと、僕のお尻の中の棒も抜けていって……、またずちゅって押し込められるとご主人様の体がぶつかる。
 もしかしてもしかして……って、どきどきした。
 今、僕のお尻の中に、ご主人様の雄々しいものが入ってる?
 入浴のお手伝いのときに度々目にしたあの存在感のあるものが?

「ぁ、ぁっ、な、んで、なんで…っ」

 ぶるぶる…って震えてお尻に力が入った。耳元でご主人様の息を詰めた声が聞こえてきて、お尻の奥に熱いものが広がっていく。同時に、ご主人様の大きな手に包まれた僕のそこも、何かを流した。

「イったのか…。悪い子だな?イくときには言葉にしなさい」
「ひゃ……、ひゃぃ……っ」

 耳元の声にまた体が震えた。
 だって、こんなに甘い声で叱られたら……、僕、誤解してしまいそう。
 きゅうきゅうって、お尻が締まって、ご主人様の雄々しいものを締め付けてしまう。

「またイったのか?」
「ごしゅじんさま…ぁ…」
「腹がふくれるほど子種を注いだのに、まだ足りないのか?」
「あ、あっ」

 こんな、恋人や伴侶にするように、体を触られて、気持ちよくされて、お尻の奥にご主人様の子種を注がれたら……、本当に、本当に、誤解、してしまいそう。

「シュリ」
「ご……しゅじん、さま……?」
「シュリ、今日からは私のことは『旦那様』と呼べ」
「……だんな、さま?」
「ああ、そうだ。……わかるな?」
「……はい、だんなさま」

 僕が振り返ってご主人様……旦那様を見ると、嬉しそうに目を細めた旦那様が、僕の口に吸い付いてきた。






*****

「あ、あ、だん、な、さま…っ、きもち、いいです…っ、あ、あっ、また、また…っ、いっ、ちゃ……っ」
「何度でもイけばいい」
「ひゃあ……っ」

 日が高くなってからもシュリを離せずにいた。
 自分でも呆れるくらいに熱が冷めない。

「シュリの体は温かくて気持ちがいいな」

 シュリは少し驚いた顔をしたが、すぐにはにかみ私に抱きついてきた。

「だんな、さま」

 痙攣したように震える脚を、私の腰に巻き付けてくる。もっと…と強請られてる仕草に、シュリの中に収めたままの杭がまた力を取り戻した。
 可愛い、可愛い、私だけのシュリ。

「全て飲み込め…っ」
「ひゃぁぁ……!!」

 奥の壁も突き破り、奥深くまで杭を打ち込んだ。





 意識を飛ばしそのまま眠り始めたシュリの頬を、何度も指で拭った。涙で濡れたその場所は、赤く色づいている。
 私の杭を引き抜くと、閉じきらない蕾からトプトプと白濁が流れ始めた。蕾は少し赤くなり腫れぼったい。後で軟膏を塗っておこう。
 風呂にも入れてやりたいが、とりあえず魔法で綺麗にしておこう。サラサラのシーツの上で眠る方が気持ちいいだろう。

「ん………、だんな、さまぁ」
「ここにいる」
「ん、ふ、ぁ」

 寝ながら私を求めてくる姿が愛らしく、微笑ましい。




 夕刻、そろそろシュリを起こそうかと手を伸ばしたとき、突然シュリがパチリと目を開き、飛び起きた。

「………僕……っ!!」
「どうした?」

 シュリは私と部屋を見て、慌て始める。

「し…仕事、いかなきゃ…!!」
「シュリ?」
「も、申し訳ありません……ご、……旦那、さまっ、すぐ支度を……っ」

 あたふたとベッドを降りようとするシュリ。……抱き潰したと思ったが、もう動けるのか?

「何故仕事に…」

 お前は私の伴侶だ。私のそばにいることが仕事ではないのか。

「成人しましたし、これからは正式にお屋敷に雇っていただけるんですよね…?」
「は?」
「……旦那様……って、呼べ、と……」
「言ったが、なぜそれで雇う話になるんだ?」

 伴侶であれば旦那様と呼ぶものだろう。それを「わかった」と頷いたのはシュリだ。まさか忘れてしまったのか?

「……あの」
「ん」
「……執事様も、他の侍女の方も、皆さん『旦那様』と呼ばれてますよね…?」
「ん?……ああ、そうだな」

 この伯爵家の当主ではあるからな。

「なので、僕も成人して『旦那様』呼びが許されたってことは……、このお屋敷で正式に雇用されたってことですよね……?」
「……ん?」
「大丈夫です、旦那様。旦那様はとても健康な男性の方ですから、奥方様が決まるまでは、ぼ、僕が、旦那様のお体をお慰めしますから……!」
「は?」
「抱きまくらの本領発揮させていただきますから……!」
「おい、シュリ」
「で、でも、今日は初めてで……っ、慣れなくて、こんな時間まで眠ってしまって……っ!今すぐ着替えてお夕食の支度をします!」
「おい」
「お待ちになっててくださいね!!」

 ……と、毛布を体に巻き付け、室内履きを足に引っ掛け、逃げ出すように部屋から出ていった。

「………は?」

 シュリに言われたことに、理解が追いつかなかった。



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